2008年08月31日(日)  マタニティオレンジ327 くるくる ぐるぐる 何度でも

広告会社時代の同僚、E君T嬢夫妻の新居を一家で訪ねる。三人で同じ得意先を受け持っていた仲で、わたしが会社を辞めてからも、二人が結婚しても、親しくおつきあいしている。料理上手、もてなし上手の夫妻は交替でキッチンに立ち、生ハムでアスパラやチーズを巻いたもの、かぶとクルミのサラダ、ビシソワーズ、庭で育てたバジルのジェノヴェーゼ、カレイのパン粉焼き、チキンライスを次々と手際良くテーブルに出してくれた。その連携は美しく楽しげで、バタバタアタフタしてばかりのわが家のせわしなさとはえらい違いだった。

余裕があると言えば、「前の家から二倍になった」という間取りもそうで、アジアン家具がゆったりと配された広いLDKでベランダの向こうの緑を望みながら食事をしていると、リゾートにいるみたいな気分になった。

床のない(物があふれているせいで)家に暮らし、歩くときは膝を大きく持ち上げないと転ぶような生活を強いられている娘のたまは、広々としたフローリングを駆け回り、ウッドデッキのベランダに飛び出してキッチンのドアから入る遊びを覚え、大はしゃぎ。キッチンに立っているT嬢が「あらあ、たまちゃん、来たのねー」と大げさに喜んで出迎えてくれるのがうれしいらしく、LDKからベランダ経由でキッチンに入りLDKに戻ってくるルートを何度もめぐり、そのたびにT嬢は「あらあ、たまちゃん」を繰り返す羽目になった。

ベランダぐるぐるの後、たまの関心は広いお風呂に移った。お湯を張ってない浴槽の中でひと暴れし、温泉みたいな腰かけられる段差にちょこんと座り、わたしやT嬢にも横にかけろと誘い、女三人で縁側トーク。「たまちゃん、悪い男にひっかかっちゃダメよ」とT嬢に言われて、たまはキャキャッと笑っていた。空のお風呂から上がると、「くるくるこっこ るー」と,家でお風呂に入ったときみたいにバスタオルで体を巻いてとおねだり。お風呂に入って、おっちんたんして、くるくるっこ。それを何度も繰り返すので、家中の大きなタオルが尽きてしまった。

「バレリーナ」が持ち芸のたまのために、マシュー・ボーンの『SWAN LAKE』のDVDも流してくれ、半日がかりでさんざん遊んでもらったのに、帰り際、「今日何がいちばん楽しかった?」と聞くと、「ニャーン」と猫の置き物を指差した。ちなみに「いちばんおいしかった」ものは、最後に食べたクッキーとのこと。

2007年08月31日(金)  『怪談』より怖い話
2005年08月31日(水)  佳夏の誕生日
2004年08月31日(火)  東京ディズニーランド『ブレイジング・リズム』


2008年08月30日(土)  インド三昧、のち、『ペガモ星人の襲来』

銀座のメゾンエルメスで「南インドの食事を食べ終えた風景」をアートにした『レフトオーバーズ』という展示があることを知ってしばらくしてから、同じくメゾンエルメスで上映中の『India:Matri Bhumi』の案内をいただいた。エルメスの10階に「ル・ステュディオ」という40席のプライベートシネマがあり、季節ごとに興味深い映画作品を紹介していることを教えてくれたのは、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭事務局の木村美砂さん。

「ついでにインド料理をどう?」と友人アサミちゃんを誘い、ダバ・インディア姉妹店の南インド料理屋『グルガオン』で気分を盛り上げた後、これまで前を通り過ぎるだけだったメゾンエルメスに初めて足を踏み入れる。事前情報なしに観た『India:Matri Bhumi』が始まって間もなく、掘り出し物!と内心で快哉。ドキュメンタリー映像に淡々としたフランス語のナレーションが添えられた90分は、象、川、虎、猿という自然と人間が織り成す4つの物語になっている。腕を組むように雄象の牙に長い鼻をからめる雌象。そんな象の恋を自分の恋に重ねる象使い。ダム建設の犠牲者の名が刻まれた記念碑を見上げ、洪水の被害者の名を刻むならダムの長さの碑が必要だっただろう、と自分の仕事を誇らしく振り返る作業員。飢えて人を襲う虎を退治しようとする村人に先回りし、地上は全員が住めるほど広いのだから、と虎を説得して他の場所へ行かせようとする老人。死んだ主人の亡骸に取りすがった後、単身で町に戻り、サーカスの男に拾われる見世物の猿。裸足で踏ん張って生きる人たちは、大地のエネルギーで充電しているかのような生命力を感じさせ、人間も動物も緑も水も異なる姿かたちをした自然の一部なのだと感じさせる。自然と人間の距離は近く、結びつきは強く、寄り添い、助け合い、ともに生き、「共生」という言葉がしっくり当てはまる。自動車は走っているけれど他の機械はほとんど登場しない時代の風景だから、インドでも今日では昔話なのかもしれない。

見終わってから、ロベルト・ロッセリーニ監督が1959年に発表した作品だとわかる。「有名な映画監督だよ。『緑の光線』とか」とアサミちゃんに嘘を教えてしまった。『緑の光線』の監督はエリック・ロメールだった。ではロッセリーニ監督の代表作はというと、作品一覧を見ても、観たことあるものがないという勉強不足。

『レフトオーバーズ』がこれまた楽しい。バナナの葉っぱにのっかった南インドの定食、ミールスが、ざっと数えて百人前。ずらずらっと床に並んでいる。親戚の集まりがあったのか、村の寄り合いだったのか、車座になって食事を囲んでいた人たちはいなくなり、食べ残しだけが残された(つまりレフトオーバーズがレフトオーバーされた)風景がアートになっている。バナナの葉も、その上のおかずもごはんもモンキーバナナも日本の食品サンプル技術で表現されていて、ひとつひとつ盛りつけも食べられ具合も微妙に違う。「この人全然手つけてないよ」「ごはんは白いのとドライカレーっぽい茶色いのと2種類あるね。機内食みたいに選べるのかな」「ドライor ウェット?」「そもそもこれはどうやって盛りつけるの? バイキングだと葉っぱがしなって食べものが偏っちゃうから、葉っぱの上に配膳係が配っていくのかな?」などとアサミちゃんと突っ込みを入れながら見て回った。作者のN.S.ハーシャさんは「食と人」の関係に注目する1969年生まれのアーティスト。気が合いそうだ。

『レフトオーバーズ』は9/15まで。『India:Matri Bhumi』は9/27まで。毎週土曜11時/14時/17時。入場無料、完全予約制(03 3569 3300 同伴1名まで予約可能)。近くの銀座ハンズ8階では、友人の絵師ミヤケマイが益子焼の作家さんと作った土鍋や鍋敷や香炉を展示販売している「火の道具」展を9/30まで開催。

シモキタに移動して、夜はG-up企画・製作の第6弾『ペガモ星人の襲来』を駅前劇場で観る。脚本が後藤ひろひとさん、演出が関秀人さん、キャストには五反田団の後藤飛鳥さんや絶対王様の有川マコトさんや小椋あずきさんやあひるなんちゃらの黒岩三佳さんなど、これまで舞台を観て心惹かれた役者さんたちが名を連ね、おまけに「ラジオドラマ全盛期、アメリカの『火星人襲来』に触発されて製作したラジオドラマの効果音をめぐる物語」。NHK-FMで放送された今井雅子脚本のオーディオドラマ『昭和八十年のラヂオ少年』では、大正生まれの少年と平成からタイムスリップした少年が日本版『火星人襲来』の脚本を練る。そんな親しみもあって、チラシを見ただけで期待値は跳ね上がった。

現在と過去を行き来しながら、なぜか第一回で打ち切られた連続ラジオドラマ『ペガモ星人の襲来』の謎が明らかにされていく。合間にはさまれるお遊びのバカバカしい番組がいいスパイスになって、笑いの要素もたっぷり。音響効果スタッフが物語の鍵を握るだけあって、傘の開閉で鳥の羽ばたきを表現したり、風船をこすって蛙の泣き声を出したりといった効果音の実演が視覚的にも楽しめる仕掛けになっている。小学校時代、必修クラブの放送劇で手づくりの効果音を工夫した思い出が蘇った。コピーライターになってラジオCMを作る頃には一枚のCDに納まっていて、ミキサーさんに「20番の『水を流す』の後に21番の『野菜を切る』を入れてください」などと指示するだけで間に合った。それはそれで便利だったけど、てんやわんやの効果音作りを見ていると、ああいうことやりたかったなとうらやましくなった。

幻のドラマを再現するにあたって集められたメンバーはオリジナル版の制作メンバーとの一人二役で、血縁者だったり顔が似ているという設定だったり。究極の音を追求した音効スタッフが奇跡を呼んだせいで事件が起こり、その記憶は打ち切られた番組とともに封印された……というファンタジーっぽい落ちもわたし好み。遊気舎二代目座長だった後藤ひろひとさんが今から13年前、1995年にはじめてギャラをもらって立身出世劇場にあてて書いた作品だという。達者な出演者もアッパレ!

G-up presents vol.6 ペガモ星人の襲来
【CAST】
ポキ(大谷雄二)    吉岡毅志 (演劇集団スプートニク)
クリさん(栗山寛之進) 有川マコト(絶対王様)
仁太          瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ) 
ミッチ(春本美智子)  後藤飛鳥(五反田団)
黒さん(黒田甚五郎)  赤星昇一郎
チョロ(宇野弘)    森啓一郎(東京タンバリン)
岸田浮世        小椋あずき
林田藤吉        岩井秀人(ハイバイ)
岡田良         大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)
木浦夕子        町田カナ
プロデューサーほか色々 柿丸美智恵(毛皮族)
ミゴー佐々木ほか色々  黒岩三佳(あひるなんちゃら)
ひろみほか色々     森下亮(クロムモリブデン)
ディレクターほか色々  板倉チヒロ(クロムモリブデン)
AD          森田祐吏(北京蝶々)
守衛さん        関秀人   

【STAFF】
プロデューサー     赤沼かがみ
脚本          後藤ひろひと(Piper)
演出          関秀人

2007年08月30日(木)  マタニティオレンジ169 布おむつはエコかエゴか


2008年08月29日(金)  下手な運転手さん

打ち合わせが終わると、「外、嵐なので車で帰ってください」とタクシーチケットを渡していただいた。雷の轟きは届いていたけれど、会議室には窓がなく、外がどういうことになっているのかわかっていなかった。建物の前にはタクシー待ちの行列。近づいてくるタクシーも明かりしか見えないほどの猛烈な雨。

今日の運転手さんは、よく言えば腕に自信のある職人気質、悪く言えば自慢が鼻につくタイプ。スピードを抑えて慎重に進みながら、「ブレーキにも水が入って、利きが悪くなるんですよ。急ブレーキかけたって間に合わないんです」などと解説しつつ、「下手な運転手につかまってたら危なっかしかったですね」とさりげなく恩着せがましいことをおっしゃる。道路が低くなって水がたまったところに突っ込み、急流滑りのようなしぶきを上げながら走り去ると、「今んとこ、下手な運転手だったら、焦ってふかしすぎてエンジン空回りして動けなくなってたね。そしたら後から後から追突されて大惨事ですよ」。トンネルに入って行くよそのタクシーに目をやり、「トンネルなんか入っちゃいけない。水がたまりやすいし、視界も悪いし、あんなとこで立ち往生したら大変だ」と警告。ラジオをNHKに合わせては「まだナイターやってやがる。こんなときに」と毒づき、TBSに替えて雨情報を収集する間にも水たまりにザブンと突っ込むたびに「下手な運転手だったら……」の名調子が出た。

「よかった。うまい運転手さんで」とわたしが相づちを打ち、「あちこちで事故とか起きてるかもしれませんねえ」と“下手な運転手さん”たちの心配をすると、運転手さんは得意げに「お客さん、帰ったらテレビすごいことになってますよ」。家に帰るなりテレビをつけたけど、雨量以外はすごいことにはなっていなかった。

2007年08月29日(水)  マタニティオレンジ168 「白山ベーグル」参り
2004年08月29日(日)  東京都現代美術館『日本漫画映画の全貌』


2008年08月28日(木)  3年ぶりの健康診断

3年前に会社を辞めて以来、健康診断を受けていない。会社員時代は年に2回、強制的に受けさせられたのだけど、申し込み用紙が回って来て、いつにしますかとせっつかれないと、つい機会を逸してしまう。それでも突然受けようと思い立ったのは、先週から頭痛とだるさが続いていて、健康に不安を覚えたからだった。

保険組合に電話をし、提携している病院施設の一覧をファックスしてもらい、最寄りのクリニックに電話をかけ、「急なんですけど、今週の木曜日はどうですか」と問い合わせると、あっさり予約が取れた。なんだ、こんな簡単なことだったのか、と拍子抜けする。案内と検便用キットはすぐさま速達で発送され、火曜日の午前中に届いた。

人間ドックを最初で最後に受けたのは、10年以上前。一泊二日プランで、宿泊先は赤坂のニューオータニ。同期のママチャリ嬢と金曜日を午後半休し、旅行気分で出かけた。一日目の検診は視力検査と身体測定だけ。さっさと済ませた後は、まわる展望カフェで、ひと駅先に見えるわが会社を見下ろし、優雅にお茶をした。夜はコイバナをし、「今のわたしの人生に男は邪魔」と言い切るママチャリ嬢に驚いた。翌日の検診を終えるとホテル内のレストランでランチをして帰った。

そのときの記憶があるので、今回は日帰りドックといえども半日ぐらいはかかるんだろうなと覚悟していたら、朝9時に始まり、オプションの婦人科検診二つ(子宮がんと乳がん)を終えても10時半。子どもの頃、父親が「お父さんな、明日、人間ドックやねん」と言うたびに、「犬になるん?」「ドッグやなくて、ドックや」「ホットドックの親戚?」のようなやりとりがあった。検査入院を船の点検修理をするドックにたとえたのはうまいけれど、1時間半では通常の検診よりも早いぐらい。スピードの秘密は流れるような連携にあり、ひとつの検査が終わると、「こちらです」と次の検査からお呼びがかかる具合で、持ち歩いた本を読む時間はほとんどなかった。きびきびした中にも血は通っている感じで、戸田恵子似の元助産師だったという看護師さんに採血されながら、「子どもの写真ってのは親のためにあるのよねえ」なんて話をした。

検査終了から15分ほど待ち時間があり、最後のお医者さんからの聴診と説明がたっぷり30分。「脳梗塞になったとき、最初の10秒が勝負です。10秒で気を失いますから、すぐに携帯で110番してください」。脅すような一般論を言った後に、「おたくは大丈夫のようです」と安心させ、「症状は30ぐらいありますが、覚えきれませんから4つだけ教えます」とお役立ち情報が続く。心筋梗塞や脂肪肝が増えていることに触れてから、「おたく(わたしのこと)の場合、内臓脂肪は少ないので心配はありませんが、脂肪が少なければいいというものではなく、適度についているほうが長生きするんですね。そういえば、あのニュースキャスター、最近見かけませんが、どこか悪いのかもしれませんねえ」……。

どなたにでも懇切丁寧なのか、わたしが聴き入ったせいなのか、話せば話すほど調子が出て来て、いつ終わるのだろうと不安になってくる。今日診た限りでは、わたしの体調不良は先週からの風邪の名残と夜中の授乳による寝不足が原因のよう。「子育てでいちばん大事なのは、あなたの精神が健康であることです。そのためには趣味を何かお持ちなさい」と言われて、「仕事が趣味みたいなものなので、いい息抜きになっています」と答えると、不思議そうな顔をされたが、検診結果をネタに際限なく話を膨らませるお医者様も楽しそうだった。

2007年08月28日(火)  マタニティオレンジ167 ベビーシッター代ぐらいは稼がないと
2005年08月28日(日)  高円寺阿波踊り2日目
2004年08月28日(土)  『心は孤独なアトム』と谷川俊太郎


2008年08月27日(水)  『トウキョウソナタ』『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一髪』

黒沢清監督の『トウキョウソナタ』を試写で観る。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した作品。家族のひずみが奏でる不協和音が、再びひとつの響きに合わさる日は来るのだろうか。ソナタは音楽のsonataだけれど、タイトルをつけた人がそこまで意図したかどうか、わたしは「其方」という漢字を思い浮かべた。

親密から始まる家族という単位であってもアナタはソナタになり、やがてドナタになり、とうとうカナタになる。そんな危うさがタイトルからも感じられて、興味深い。

先日観た『歩いても 歩いても』は、とくに何も起こらない家族の一日に生じる微妙なすれ違いを描いていたけれど、『トウキョウソナタ』は次々と大変なことが起こる。そこはもう少し引きずってもいいのでは、と思うような重い出来事がさらっと通り過ぎられたりするのだけれど、いちいち立ち止まってなんかいられないのが人生なんだなあと妙に身につまされる。

アプローチはまったく違うけれど、家族について考えさせられる二本の映画をスクリーンで観られたのは、この夏の大きな収穫。

ちょうどうまい具合に時間が空いたので、試写室と同じ建物内にあるシアターNで『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一髪』を観た。洞爺湖サミットを堂々とパロディーにした調子の良さに惹かれて気になっていた作品だけど、窓口で間違って「『キングギドラ』ください」と伝えてしまった。

中国の不良品衛星が爆発して生じたエネルギーで怪獣が生まれ、洞爺湖サミット開催中の日本に上陸し、サミットは急遽対策会議に変更というストーリー。「ここで活躍すれば支持率が上がる」と各国首脳に逃げるのではなく残ることを要請するアメリカ大統領をはじめ、次々と繰り出される作戦も各国のお国柄を反映した毒が効いていて、ニヤリとさせられる。おなかが痛くて退席したアベならぬイベ首相に代わり、小泉ならぬ大泉元首相が登板するが、彼の正体はサミット乗っ取りを企む某国総書記で、通訳の美女たちも彼の手下だった……という展開。

冒頭のクレジットの文字は無駄にでかく、音楽はとことん派手に盛り上げ、登場人物のネーミングも演技も大真面目にふざけていて、ここまでやるかと呆れながら徹底したB級ぶりを楽しむ。

なんたって、地球の危機を救う全身きんぴかのタケ魔人役は、ビートたけし。日本に向かって打ち込まれた核ミサイルを肛門で受け止め、あわや大惨事を免れるという活躍を見せる。世界の北野武監督のこんな贅沢な使い方があったとは。しかも、タケ魔人を呼ぶ儀式の怪しい踊りは「ネチコマ、ネチコマ」と唱えながら、懐かしのコマネチポーズを繰り返すというもの。

やっぱりこの人美形だなあとあらためて感心したヒロインの加藤夏希も真剣な表情で延々と踊っていた。毒が中途半端に効いてハイになったギララが舞う浮かれた盆踊りも愛らしかった。

2007年08月27日(月)  ひさびさのおきらくレシピ「野菜いろいろジュレ」
2005年08月27日(土)  高円寺阿波踊り1日目
2004年08月27日(金)  汐汲坂(しおくみざか)ガーデン
2002年08月27日(火)  虹の向こう


2008年08月26日(火)  ゴ○○リから「テン」を取って「マル」をつけたら

ゴで始まってリで終わる四文字、ゴマスリではなくゴムマリでもなく、茶色い背中に長い触覚の嫌われ者のアイツが我が家を徘徊している。夜中に喉の渇きを訴える娘の手を引き冷蔵庫へ向かうと、流しの辺りでガサゴソ動いている。トイレで出くわすこともある。一匹ずつしか会わないから、一匹があちこちに出没してるのかと思ったら、始末してもどんどん代わりが出てきて、いやはや層が厚い。食べこぼし放題のほったらかし、ゴ○○リの足で三歩あるけば食料に当たるわが家は、そりゃ居心地よかろう。先日の大地震の噂に続いて、またもや大掃除の切実な理由ができた。

ゴ○○リ氏が現れると、どうしてああも大げさに驚き、嫌がり、怖がってしまうのだろう。元同僚でわたしのシナリオのご意見番のアサミちゃんは、「あの濁音がいけない」という意見。濁音を取り、なおかつチャームポイントに撥音を加えて「コキプリ」と呼ぶと、たしかに小粋でポップなフレンチ風の響き。やっぱり愛せないことには変わりはないけれど、名前だけでもかわいげがあったほうがいい。それにしても、単語に撥音(パ行)が入ると、文字通り「撥(は)ねた」感じになる。この発見が、函館を函°館(パコダテ)と呼んだパコダテ語のルーツ。映画『
パコダテ人』の誕生にはゴ○○リも一枚かんでいる。

2007年08月26日(日)  マタニティオレンジ166 お風呂で初U  
2005年08月26日(金)  『道成寺一幕』→『螢光 TOKYO』
2004年08月26日(木)  土井たか子さんと『ジャンヌ・ダルク』を観る
2003年08月26日(火)  アフロ(A26)
2002年08月26日(月)  『ロシアは今日も荒れ模様』(米原万里)


2008年08月25日(月)  新藤兼人監督最新作『石内尋常高等小學校 花は散れども』

96才、新藤兼人監督の最新作『石内尋常高等小學校 花は散れども』を試写で観る。ほとばしる勢いとポップな感覚。「現代のピカソ」という評になるほどとうなずく。個人的には熱血教師が大好きなので、新藤監督の恩師をモデルにしたという柄本明さん演じる先生の人物像をとても好ましく、「こんな先生、見なくなったなあ」というまぶしい思いで見た。父兄やら教育委員会やらの目が厳しくなり、やってはいけないことが多すぎて、先生たちは個性を発揮し辛くなってきている気がする。むちゃくちゃなところが愛せる先生を子どもたちが慕い、親たちがあたたかく見守った、そんな大らかな時代を懐かしんだ。

2007年08月25日(土)  マタニティオレンジ165 誕生日の記念写真
2005年08月25日(木)  『クライマーズ・ハイ』(横山秀夫)
2004年08月25日(水)  アテネオリンピックと今井雅子
2003年08月25日(月)  冷凍マイナス18号
2002年08月25日(日) 1日1万


2008年08月24日(日)  マタニティオレンジ326 あかちゃんとポポちゃん

大学の応援団時代の後輩カジカジ君とマサコさん夫妻の愛娘ヨウコちゃんは、娘のたまより1年と2日後に生まれ、今日で2才。一家でわが家に来てくれて、ささやかな合同誕生会ランチをする。結婚を機に九州から上京したマサコさんとはカジカジ君のお嫁さんとして知り合ったのだけど、妊娠中に何度か一人で遊びに来てくれ、「一年後はこんな感じなんですね」とたまを見て想像をふくらませていた。マタニティビクスにも励み、おなかの大きな時代をしっかり楽しみながら出産の日を心待ちにするたくましい妊婦さんだった。予想通りの安産で、子育てもマイペースに取り組んでいる様子がメールのやりとりで伝わっていたけれど、なかなか会う機会がなく、生まれて一年経ってようやく再会そしてヨウコちゃんとの初対面となった。

わたしのペンフレンド、ドイツのアンネットから誕生日に贈られた赤ちゃん人形「ポポちゃん」のお世話ごっこに夢中のたまは、本物の赤ちゃんに興味津々。普段は甘えてばかりのくせに、後輩の前ではスプーンで上手に食べるところを見せつけたりする。だけどまだ一緒に遊ぼうと誘うほど気はきかず、むしろ無邪気な一歳児の予測不能な動きに戸惑い気味。たまとヨウコちゃんの顔合わせは交流のない平行線のまま終わった。ところが、一家が家に帰ってから、たまは「あかちゃん またくる?」を連発。そんなに気になるんだったら、うちにいるうちに一緒に遊べばよかったのに。人形と違って思い通りに動いてくれない赤ちゃんは、2歳児の手に追えないらしい。

ポポちゃんは妙にリアルで、目は青いし、頭はスキンヘッドだし、子どもには怖いかなと思っていたのだけど、慣れるとかわいげが出て来てきた。たまはおんぶにだっこ、おっぱいをあげたり着せ替えをしたり変なポーズを取らせたり、赤ちゃんのお世話というより子分をおもちゃにしているような感じだけど、仲良く遊んでいる。ポポちゃんというのは保育園にいるお世話人形と同じ名前。保育園のポポちゃんはいかにも日本の赤ちゃんで、黒髪もちゃんとある。

2007年08月24日(金)  半年ぶりに髪を切る
2004年08月24日(火)  TOKYO OYSTER BAR 
2002年08月24日(土)  『パコダテ人』ビデオ探しオリエンテーリング


2008年08月23日(土)  マタニティオレンジ325 じいじばあばあの二度目の子育て

ダンナの実家で娘のたまの2才を祝う。0才の頃は毎月友人を招いて月例(齢)誕生会を開いていたけれど、節目の1才は家族で祝った。2才はどうしよう、ひさしぶりだし友人たちに声かけようかとも考えたけれど、日頃お世話になっているじいじばあばとケーキを分け合うことに。座るとブーと鳴るレトロな赤い子ども椅子に乗ったたまが自ら「ハッピーバースデーディア あまちゃーん」と熱唱した後、2本のろうそくを吹き消した。

長男のダンナを頭に2男1女が育った実家には、三十余年もののおむつもおまるも取ってあり、たまがお下がりを使わせてもらっている。物持ちの良さもさることながら、ダンナ両親(とくに母)の子育て記憶の持ちの良さに驚かされる。成人した子の幼少時代を昨日のことのように覚えていて、目の前の孫と並べて、似ているだのどっちが早いだのと比べている。

孫を見ながら子育ての楽しさや大変さを味わい返しているダンナの両親を見ていると、ロンドンで出産した友人のイズミさんに教えてもらった『If I had my child raise over again』という詩を思い出してしまう。日本語訳をつけて日記で紹介(>>>2005年10月31日(月) もしも、もう一度子育てができるなら)しているのだけど、読んだ人からときどき反響が届く。自分はいま子育ての最中なのに、この詩を読むと、子どもが巣立ってしまうときの気持ちを想像してしまい、涙もろくなる。

2007年08月23日(木)  マタニティオレンジ164 ついに布おむつの出番
2005年08月23日(火)  たっぷり3時間『もとの黙阿弥』
2004年08月23日(月)  江戸川乱歩と大衆の20世紀展


2008年08月22日(金)  マタニティオレンジ324 指2本で「カニ!」たま2才

朝起きて、娘のたまに「2才だね」と指を2本立てて声をかけると、「カニ!」と無邪気な返事。1才から2才になったという実感はないのか。人差し指を立てることはできるけれど中指もとなると難しいらしく、パーの手をして「カニ!」と言う。

チョキを見て「カニ!」を連想するように、この一か月で、何かと何かを比べたり、似ているものを探したりするのが上手になった。それは言葉にも現れて、「おんなじ、おんなじ」と「〜みたい」を連発する。わたしが見ている通販カタログのヒラヒラ下着を指差し、「これ なあに? おむつ? おんなじ おんなじ」といった具合。前原星良ちゃんのうちで仲良くなった大型犬の「ミジュ」(本名の「ミズナ」を略して愛称「ミズ」)と過ごした時間がよほど楽しかったようで、犬とすれ違うたびに「ミジュみたい」。鎌倉文学館で見た「かいけつゾロリ展」も印象に残っていて、へんてこな格好をするときは「ジョロリみたい」とおどける。解説を読まなくたって、ゾロリの精神をちゃんと理解しているところが面白い。

逗子と鎌倉の海で遊んだ夏休み。普段と違う体験をしたりすると、言葉が一気に溢れ出して、たま語銀行への預け入れが追いつかない。新しい刺激のおかげでバーニーやテレタビーズのことを忘れてくれ、ビデオ漬けの生活から抜け出して、絵本やふれあい遊びを楽しむ機会が増えた。お気に入りの絵本は『はっぱのおうち』やたべものやのりものの図鑑。パパとママと手をつないでくるくる回る「くるくるまわれ」が好きで、布団の上や電車の中でつきあわされている。「はんたーい」「ちゅいさくなあれ」(小さくなあれ)「ぶらんぶらん」(手をぶらぶらさせる)など、たまの指示に大人が従うのが愉快な様子。お風呂の壁に描けるクレヨンで絵を描く通称「おふろでじじ」が遊びのレパートリーに加わったけれど、描くよりも消すのが楽しくて、「消すために色を塗る」遊びに変身。

卒乳の兆しはいまだになく、あいかわらず「トントン」と催促してくる。ただ、「(おっぱい)はいってますか?」の口調がくだけて、「はいってるか?」になった。好きな食べ物はもっぱら炭水化物と魚と納豆。野菜はブロッコリーとトマトをときどき。おせんべいを食べだしたら止まらない。トイレトレーニングはまだまだで、おまるで小さいのと大きいのを偶然一回ずつ出したっきり。おむつ離れどころか好みがどんどん口うるさくなり、ワンワンでなきゃイヤだとごねたり、やっぱりパンダだと言い出したり、コッコのおむつをはきかけてニャーンにはきかえたり、リスにキリンを重ねばきしたり。その足を上げて「バレリーナ」の一発芸は、磨きがかかって、足がだいぶ高く上がるようになってきた。親のストレッチを真似して寝る前に「じゅうなん」しているのが効いたのかも。

2007年08月22日(水)  マタニティオレンジ163 風邪と汗疹と誕生日プレゼント 
2006年08月22日(火)  新作誕生
2004年08月22日(日)  H2O+H2=H4O(水素結合水)
2002年08月22日(木)  鼻血で得意先ミーティングに遅刻


2008年08月21日(木)  「まとめ食い危険」なROYCE’のナッティバー

チョコレートが有名な北海道のお菓子やさん、ROYCE’(ロイス)。通販で一度買い物して以来、お中元やお歳暮の季節になるとカタログが送られてくる。写真と商品コピーを眺めているだけで片っ端から食べたくなるのだけど、中でもNutty Bar(ナッティバー)という商品が気になっていた。ザクザクのナッツをチョコで固めたもので、クランチ系チョコ好きなわたしにはストライクの予感。北海道土産にリクエストして買って来てもらったところ予感的中で、そんなに急いじゃダメと思いつつ、あっという間にひと箱10本をたいらげてしまった。

通販で買うべきか、ひと箱のために送料を払うのはもったいない、かといってまとめ買いするとまとめ食いの危険……などと思いながら有楽町を歩いていたら、「北海道どさんこプラザ」が目に留まる。もしやここにと入ってみると、ナッティバーと目が合った。ひと箱買って、家の冷蔵庫へ。冷やすと歯ごたえカッシリで、これまた格別。

2007年08月21日(火)  マタニティオレンジ162 もしもし、たま電話。 


2008年08月20日(水)  映画『歩いても 歩いても』

有楽町シネカノンで是枝裕和監督の『歩いても 歩いても』を観る。「何も起こらない、だけど、ずっとドキドキする」という批評を見かけて、とても気になっていたのだけど、本当にそんな作品だった。大げさな事件も仕掛けもない。けれど、一瞬先がどうなるのか、目が離せない。家族といういちばん身近な存在の頭の中ほどわからないものはなくて、わかりあえるだろうという前提があるから余計にややこしい。家族だからわかってほしいこととか、家族だから言われたくないこととか、その食い違いに苛立ったり傷ついたりする。その瞬間は心がざわついても時間が経てば忘れてしまうような些細だけど芯のある実感を是枝監督の脚本は実にうまくすくいとっていて、台詞のひとつひとつに「あるある」とうなずいてしまった。

脚本も演技も嘘を上手につくには技術が必要だとよく言われる。作り物であることを忘れさせるほどの自然なたたずまいは、緻密な計算を重ねて実現したのだろう。帰省した息子夫婦と娘夫婦のために母親がこしらえる枝豆ごはんひとつ取っても、しゃもじでまぜる手つきから、映画の外の時間で何度も作ってきた歴史を想像させてしまう。使い込まれた家具同様、家族の会話の距離感からも、流れた時間を見て取れる。高等だなあとしみじみ感心した。

声高にメッセージを念押しして感情を押しつけるのでもなく、身につまされた観客に自分なりの何かを持ち帰らせる。映画らしい余韻が残る作品だった。

2007年08月20日(月)  マタニティオレンジ161 はじめての返品


2008年08月19日(火)  マタニティオレンジ323 おふろでおえかき 

先日アンパンマン目当てに初めて行ったフレーベル館は、海外の絵本やカラフルなおもちゃも充実していて、棚を眺めているだけでも楽しかった。そのなかに、お風呂でおえかきできるクレヨンを発見。ボーネルンドから出ているRub a Dub.Draw in the Tubという商品。「Rub」「Dub」「Tub」と韻を踏んでいるのがかわいい。Rubはキュッキュッ、Tubはバスタブ、ではDubはどういう意味だろ。日本語では「ダブ」ではなく「ラブアタブ」となっているので、お風呂の幼児語? 

早速「おふろでじじ」大会。湯船に立ってつかり、壁に落書き。黄色はオフホワイトの壁だとわかりづらい。プラスチックの持ち手にクレヨンの芯が入っているのだけど、かなりのスピードで芯が減る。あっという間になくなってしまいそう。書いたらすぐ消さないと、色がこびりついてしまう。消しゴム代わりに付属のスポンジがついているけれど、普通の布でも落ちる。クレヨンだけ買い足せるといいのだけど。ついでに芯ももう少し長いとありがたい。いろいろリクエストはあるけれど、お風呂をキャンバスにしようという発想は楽しい。

たまは一本の長い線を描いて、「へび」と得意げ。さらに、線を何本も描いたので、「たくさんのへびだね」と言うと、「あめ」という答え。お風呂の中で詩も生まれる。

2007年08月19日(日)  マタニティオレンジ160 ヨチヨチ記念日
2004年08月19日(木)  色数はあるけど色気がない
2002年08月19日(月)  大阪は外国!?


2008年08月18日(月)  『SEX AND THE CITY』とアラフォー

公開されたばかりの映画『SEX AND THE CITY』の話題が、わたしのまわりでもちきり。元は日本でも放送されたアメリカの人気テレビシリーズ(1998〜2004年)で、わたしは映画プロデューサーから「女同士の本音トークが面白いから勉強になるよ」とすすめられ、レンタルビデオでせっせと観ていた。恋、仕事、女友達とのおしゃべり、都会で働く30代女たちの悩みや痛みには自分に重なる部分も多くて、ずいぶん身につまされて観た。女同士の共感は、ガイジンであることも英語であることも飛び越えてしまう。

主人公のニューヨーカー四人組はドラマの中で年を重ねているらしく、放映開始時は三十路前半だった彼女たちは、今や日本でブームのaround forty。わたし自身もその世代にいて、友人知人先輩方もアラフォーだらけ。新潟で育児中のコピーライター時代の先輩は、先週末の先行上映にあわせて上京。登場人物を地でいくようなアラフォー四人組で観賞後はシャンパンを空けて、ドレスがどうだ二の腕がどうだと語り明かしたという。

出産後はじめての映画鑑賞と夜遊びではじけている先輩と、一週間の仕事の後で疲れている女友だちの温度差をメールの報告で読んで、アラフォーだなぁと思った。いつ誰と結婚する?ばっかりの20代の一直線時代と違って、30代半ばを過ぎると、別れる人、もう一度結婚する人、結婚しない生き方を選ぶ人、産む人、産まない人、そのことで悩んでいる人、向かう方向は実に様々。親の介護がはじまる人もいて、おむつ替えは子どもだけでは済まされなくもなる。わたしはSATCのシーズン1、2までしか観ていないのだけど、シーズン3以降は介護の問題もしっかり取り上げているのだとか……なんて話は、これまたアラフォーの元同僚とひさしぶりにランチしながら聞いた。

そんなわけで何気なく「すごい話題になってるんだよねー」と家で話をしたら、案の定ダンナは初耳。妻の口から軽々しくセックスなんて言葉が飛び出したことにたじろぎ、「セックスアンドザシティって何それ? どういう意味?」と聞いてきた。「文字通り、セックスと都会なんじゃないの? 都会で働くアラフォーの恋愛事情を描いてるんだけど、恋愛だけじゃなくてね……」と説明を始めたら、アラフォーも知らなかった。そういえば、「そろそろアラフォーですから」と時計に目をやった紳士がいたっけ。アラフォーとはアフターファイブの手前、4時あたりを指すと勘違いされていた模様。

2007年08月18日(土)  マタニティオレンジ159 三世代合同誕生会でたま1才
2004年08月18日(水)  スチームボーイと津嘉山正種さん
2002年08月18日(日)  24時間テレビ


2008年08月17日(日)  マタニティオレンジ322 イヤイヤしたり、モーモー鳴いたり。

夜中に「いらない!」と声がして目を覚ましたら、娘のたまの寝言だった。夢の中でもイヤイヤをしているらしい。起きている間は、おむつに、スプーンに、靴に、あらゆるものに「いらない」とダメ出ししている。わんわんのおむつでなきゃいらないと泣き、わんわんをはきかけて、にゃーんじゃなきゃいらないと言い出す。

最近は語尾に「よー」がついて、「いらないよー」「バイバイよー」などと言う。その「よー」がバカにしたような口調で、なんとも憎たらしい。そんな言い方、どこで覚えたのか。「ぎゅうにゅう くださいな!」と要求して、パパが入れてあげると、「ママに」と言われて、パパが入れた牛乳は宙に浮く。「パパの牛乳は?」とコップを差し出すと、「いらないよー」と突っ返す。いたいけな幼子相手に人はどこまで寛容になれるか試されているような気分になる。

イヤイヤ表現には閉口することもあるけれど、言葉がだいぶ通じるようになってきて、「牛乳欲しい人、モーモーと鳴いてください」と言うと、「モーモー」と鳴いてくれたり、やりとりが面白くなってきた。「モーモー」と鳴いて大人が受けるのを見て喜んでいて、ますます調子に乗る。

たま「マ〜マ〜、こっちおいでよ〜」
わたし「そっち行ったら何があるの?」
たま「あまがいるよ」

基本的にナルシストなんだと思う。

2007年08月17日(金)  年に一度だけ思い出されても
2004年08月17日(火)  サービスって?
2002年08月17日(土)  浴衣・花火・箏・まが玉


2008年08月16日(土)  谷中のうどん屋で雨宿り

アンパンマンの本やグッズがそろう「フレーベル館」へ初めて娘のたまを連れて行く。アンパンマンのビデオ上映にくぎづけ。外はうだる暑さで、巣鴨駅まで10分ほど歩いただけで溶けそうになる。駅前の上島珈琲店でソルベ状のドリンクを飲んで生き返り、浅草行きのバスに乗り込む。冷房が効いた車内から去りがたく、自宅最寄りの停留所を過ぎ、そのまま谷中へ。谷中商店街の突き当たりにあるペルシャ料理の「ザクロ」でお昼。あいかわらず日本離れした時間が流れる店内で摩訶不思議な食べものを味わう。

外に出て、暑さがやわらいだなと思ったら、突然雨が降り出し、あっという間に地面を打つ豪雨になった。「あめ〜」と喜ぶたまを抱きかかえて走り出すと、「バカヤロ! 風邪を引く!」と後ろでダンナが叫ぶ。すぐそばの店先で雨宿りをしていたら、ガラガラと背後の窓が開いて、「お入んなさい」と店主が手招きした。

そこは、うどん屋さん。ザクロへ向かう途中で「こんなところにうどん屋が」と気づき、「今度来よう」と話していた店だった。店内には食事中の家族とカップルが一組ずつ。家族連れには、たまと同じぐらいの男の子。テーブルに案内され、タオルを差し出される。一人で店を切り盛りする店主はカウンターの中と外を行き来しながら、江戸っ子の口ぶりでおしゃべりを続けている。雨が小止みになり、ふと店から消えた店主が戻って来たと思ったら、「はいよ」とたまと隣のテーブルの男の子にお菓子をくれた。近くの店で買ってきてくれたのだろうか。

雨がすっかり上がり、二組の客に続いて店を出た。食事は済ませてきたので注文するわけにもいかず、持ち帰り用うどんを買い求めようとすると、「いいよいいよ、今日はあんまり用意してなくて。明日の分も取っとかないと」と店主。よく考えたら二人前持ち帰ったからといって翌日の分がなくなるわけではない。こちらの気遣いを察して遠慮してくれたのかもしれない。

「谷中のうどん屋で雨宿り、なんだか池波正太郎の小説みたいだ」とダンナ。今度食べに行こうと話す。谷中の『かみや』のおじさん、ありがとうございました。

2007年08月16日(木)  円周率は音楽だった
2006年08月16日(水)  売れ行き好調『子ぎつねヘレン』DVD
2005年08月16日(火)  いいにおいのお芝居『おじいちゃんの夏』
2004年08月16日(月)  伊豆高原のアンダティバリゾート
2003年08月16日(土)  6人で400才
2002年08月16日(金)  持ち込み企画


2008年08月15日(金)  マタニティオレンジ321 ケェコ、またくる?

娘のたまは、ダンナ妹のケイコちんが小さかった頃に瓜二つらしく、「ほんと、そっくりだよ」とダンナは口癖のように言う。公開中の『崖の上のポニョ』のポニョって目が大きくて離れていて、たまに似てるねえと話していたら、ひさしぶりに会ったケイコちんが「会社で『ポニョ』って呼ばれてる」と言い出した。ポニョに似たもの同士の二人がポニョの携帯着信メロディに合わせて「ポーニョポニョポニョ」と歌う姿は微笑ましく、年の離れた姉妹みたいに見える。


顔が似ている親近感からか、たまも「ケェコ、ケェコ」となついている。今日はお盆休みのケイコちんに上野動物園へ連れて行ってもらい、ますます「ケェコ きー(好き)」になった様子。ケイコちんが家に帰ってからも、「ケェコ またくる?」と名残を惜しんでいる。会った人の名前を別れてからも覚えられるようになって、少しずつ昨日と今日と明日がつながってきた。

2007年08月15日(水)  人の名前が出てこない
2004年08月15日(日)  ハリケーン・チャーリーさん
2002年08月15日(木)  川喜多記念映画文化財団


2008年08月14日(木)  マタニティオレンジ320 ちぇらちゃん、みじゅ、ちぇらまま、きー!

『パコダテ人』で大泉洋さん演じる古田はるおの娘、まゆを演じた前原星良ちゃんちに母娘で遊びに行く。パコでは「ぴまわり保°育園 ぴよこ組」だった星良ちゃんも4月から中学に通っていて、今は夏休み。春にもお邪魔して星良ちゃんとせらママにはたっぷり遊んでもらっているので、いつもはお宅訪問で固くなるたまも終始リラックス。保育園でお昼を食べてきたばかりなのに、せらママの手料理もパクパク。


驚いたのは、春に来たときは「あっちいって」と怖がっていた大型犬のミズ(ミズナ)に自分から近づいて行ったこと。「ミジュ〜」と追いかけ、テーブルの下で一緒にゴロンとなったり、なでなでしたり、最後はプロレスの技みたいに上から乗っかったりして、もう若くはないミズは子ども相手にクタクタ。ほんの数か月で、犬から逃げていたのが、犬に逃げられる、に逆転。

ランチの後は、板橋区立の熱帯植物園へ。真夏に熱帯。真冬にアイスを食べるようなもの? 高山植物のエリアだったか、冷気がファーっとたちこめる一画があり、足を踏み入れると、冷蔵庫の中に入ったよう。たまは深呼吸するように両手を大きく回して、うっとり。「さあ、わたしを信じなさい。気持ちよくなるでしょう」と教祖サマ風の台詞を重ねて、みんなで大笑い。たまもつられて、ニタニタとうれしそう。

「ちぇらちゃん、きー。みじゅ、きー。ちぇらまま、きー」。とたま。みんな大好き、また遊んでもらおうね。

2007年08月14日(火)  マタニティオレンジ158 おおたま ちいたま
2004年08月14日(土)  シナリオ合宿は体育会ノリ


2008年08月13日(水)  言葉という窓

今日の読売新聞。芥川賞を受賞したばかりの楊逸さんと芥川小作歌の大先輩の辻原登さんの往復書簡第2回。今回は楊逸さんから。「私が持っている言語感覚というのは、窓のようなイメージで、新しい言語を習得することで、新たな窓が開かれ、見たことのない風景が目の前に広がるようなものです」。うまいこと言うなあと窓がひとつ開いたような感覚をこちらも味わいながら、記事を切り抜いた。

2007年08月13日(月)  『絶後の記録』映画化めざして来日
2005年08月13日(土)  西村由紀江さんの『ふんわりぴあの vol.7』


2008年08月12日(火)  鎌倉文学館「ゾロリ展」と宮沢賢治原画展

2泊3日の鎌倉旅行3日目。昨日訪ねたものの休館だった鎌倉文学館に惹かれるものがあり、石畳の長い坂を再び登る。トンネルを抜けると見える古めかしい洋館が美術館。開催中の「かいけつゾロリ展」のあやしたのしい雰囲気とよく合っている。入口で渡される「ゾロリしんぶん」にスタンプを押したり記念写真を貼ったりメモを書き込んだりして世界にひとつだけの新聞を作るという発想も楽しい。バラ園のある広い庭のあちこちにもゾロリと仲間たちが見え隠れしていて、子どもたちが大喜び。ゾロリと初対面の娘のたまは、世の中を面白がるゾロリ精神をたちまち理解した様子で、おかしなものを見つけると「ジョロリみたい」。


鎌倉滞在中の三日間、プールで泳ぎ、海で遊び、実によく遊んだ。昨日は花火が始まる前の夕方、お寺を散策(大きなはっぱに「はっぱのおうち!」とたまは大はしゃぎ)した後、CHACAというワッフルが自慢のお店でお茶をし、近くの肉屋さんでその場で揚げてくれるコロッケを買って帰った。飛行機に乗って遠くまで出かけなくても、知らない町を歩いているだけで旅行気分を味わえる。

東京に戻り、日本橋三越で今日から開催の「絵で読む宮沢賢治展 賢治と絵本原画の世界」へ。賢治さんの弟・清六さんのお孫さんにあたる宮沢和樹さんが花巻から見えられていて、展示を見せていただいた後に控え室でお目にかかる。宮沢賢治研究会に長年関わっているダンナ父と和樹さんが親しくしている縁で5年前の賢治祭に参加した折りにはずいぶんお世話になった。体も心も大きくて、お話ししていると、ほかほかした気持ちになれる人。展示は点数も多く、自分が読んだ絵本の原画もあり、見ている人たちの目も懐かしそうで、「これ知ってるわ」と語り合いながら鑑賞する微笑ましい姿があちこちで見られた。

2007年08月12日(日)  マタニティオレンジ157 0歳にしてジャズにスイング 
2006年08月12日(土)  土曜ミッドナイトドラマ『快感職人』
2005年08月12日(金)  宮崎あおいちゃんの『星の王子さま』
2002年08月12日(月)  お笑い犬トトの思い出


2008年08月11日(月)  マタニティオレンジ319 お姉さんに憧れて成長する

昨日から鎌倉の友人宅に2泊3日で泊まりに来ている。お目当ては今宵の花火大会。娘のたまは、「はなび」と言うつもりが、「あわび」に。「おっきいあわびねー」と言うたびに、「花火だよ」と言い直すのは、友人の姪っ子のハナちゃん。たまと一日違いの誕生日に5才になるので、たまとはちょうど3才違い。能力の差は歴然だけど幼い子への遠慮もまだない頃なので、大人だったら「たまちゃん、なんて言ってるのかな? あ、牛乳欲しい、かな?」と調子を合わせるところを「何言ってんの? わけわかんなーい」とバッサリ。でも、たまはハナちゃん先輩を一目見て「ついていく!」と決めたらしく、しっぽのようにつきまとう。「何して遊んでいいかわかんなーい」と突き放され、「あっち行ってよ」と冷たくされても、「きー」(好き)と抱きつきにいく。困ったようなハナちゃんの顔は、背伸びしていてもやっぱり子どもで、大人たちの笑いを誘う。

ダメ出しされるうちにたまの日本語は心なしか上達していき、ハナちゃんも発音にクセのある外国語に慣れるようにたま語を聞き取れるようになっていき、二人の間にコミュニケーションらしきものが成立するようになったことも大人たちを喜ばせた。

そんなハナちゃんは絵を描くのが大好き。お姫様の絵をせっせと描くそばからたまがグジャグジャと落書きで邪魔をするのだけど、そこは耐えてくれた。わたしも子どもの頃、よく描いた。ハナちゃんぐらいの頃はどうだったか思い出せないけれど、小学校の授業中に下敷きやノートにパーティドレス姿の女の子をいくつも描いた。あのときの髪型やドレスのデザインは何からひらめいたのだろう。ひさしぶりに描いてみると、「わあ、すごい」とハナちゃんの目が輝いた。「ドレスの模様はどうしよう? すそにリボンを飾る?」などと話しながら、ハナちゃんのオーダーメイドドレスを描き上げると、ハナちゃんはその絵を真似して描き始めた。「ハナはへたくそでかなしい。もっとうまくなりたい」と言うので、「好きなことは続けてたらうまくなるんだよ」と励ますと、「ほんと? じゃあ毎日かく!」。そうだ、わたしも昔、お隣に住んでいる山田さんちのサヤカちゃんとミオちゃんのお母さんに、お手本を描いてもらった。少女漫画から飛び出したみたいな女の子をさらさらと描くのが不思議で、まぶしくて、わたしもこんな風に描きたい、と思ったのだ。

お姉さんに憧れて、女の子は大きくなる。

2007年08月11日(土)  マタニティオレンジ156 誰に似ているのか「顔ちぇき!」
2005年08月11日(木)  『子ぎつねヘレン』チラシ第1号
2003年08月11日(月)  伊豆高原
2002年08月11日(日)  ヤクルトVS横浜


2008年08月10日(日)  マタニティオレンジ318 キンダーフィルムフェスティバルで初めての映画

SKIPシティDシネマ映画祭の審査会議当日の朝、映画祭事務局の木村美砂さんとホテルの朝食をご一緒したときにキンダーフィルムフェスティバルの話になった。映画祭の3日目に親子で楽しめる映画を上映するプログラムがあったのだけど、それが8月に行われるキンダーフィルムフェスティバルとの共同企画で、同じ作品をそちらでもかけるということだった。6年前のフェスティバルで『パコダテ人』を上映されたときに、トークをしたり授賞式に参加したりしたのだけど、それっきりになっていた。子どもを連れてまた行ってみたい、と話していたら、後日木村さんから招待状が送られてきた。

間もなく2歳になる娘のたまを連れて「子連れOK」のママズシアターへは何度か足を運んだのだけど、たまはわたしにつきあわされただけで、「鑑賞」とはほど遠かった。キンダーフィルムフェスティバルのプログラムは5〜20分ほどの短編を何本かあわせて1時間ちょっとの上映になっている。前に参加したとき、小さな子どもたちが身を乗り出してじっと見入っていたのが印象的だった。今のたまぐらいの年の子もまじっていたのではないかと思う。初めての映画鑑賞、興味を持って楽しんでくれるといいのだけど、と会場の青山こどもの城へ向かった。

一作目はペンギンキャラクターの『ピングー』(オットマー・グッドマン原作 スイス 2005年 5分)。ドイツ語でもフランス語でもなく、あれは何語なのだろう。字幕も吹き替えもないけれど、氷の山の飛び込み台におじけづくピングーのユーモラスな姿に、大人以上に子どもがけらけら笑っていた。

2作目は『ロシアのくま物語』(監督:マリナ・カルポヴァ ロシア 2007年 13分)。ナレーターさんがマイクの前に立ってその場で吹き替え。ナマの臨場感がありながら、絵と見事に重なる絶妙なタイミングで、アニメーションの動物たちに命と感情が吹き込まれた。

3作目は『昆虫家族のゆかいな休日』(監督:エヴァラッド・ラシス ラトビア 2008年/10分)。クレイアニメのカラフルな昆虫がディズニーランドみたいで楽しい。台詞はほとんどないけれど、人間のコレクターにつかまった親を子どもが助けに行くストーリーがよくわかった。

4作目は『テディとアニー』(監督:グラハム・ラルフ
 イギリス 1997年)。捨てられたぬいぐるみのクマと人形の女の子が反発し合いながらも友情をはぐくみ、最後は別々の子どもに拾われていく心温まるストーリー。こちらもナレーターさんのナマ吹き替え。始まって間もなく、どこかで観たこと……と記憶をたどったら、6年前にも観た作品だった。

果たして、たまの反応は、親が思った以上に食いついた。途中何度かわたしの顔を見た以外は目を見開いてスクリーンにくぎづけだった。たまだけでなく、集まった子どもが誰一人ぐずらず、騒がず、最後まで集中して観ていたのは驚き。「観る!」という場の空気を共有していたのかもしれない。

2007年08月10日(金)  あの流行語の生みの親
2004年08月10日(火)  六本木ヒルズクラブでUFOディナー
2003年08月10日(日)  伊豆 is nice!
2002年08月10日(土)  こどもが選んだNO.1


2008年08月09日(土)  冷蔵庫に塩豚があれば

「冷蔵庫に塩豚があると安心するの」
数週間前、ご近所仲間のキョウコちゃんちを訪ねたとき、彼女がしみじみと言った。その言葉をしみじみと実感する今日この頃。「塩豚なんか作ったことないし、簡単に作れるの?」と聞いたわたしにキョウコちゃんが教えてくれた作り方は、「豚バラ肉を固まりで買って来て、フォークで穴あけて、塩すりこんで、ラップして冷蔵庫に寝かせるだけ」。料理本に載っているレシピを後で調べると、「手ですりこむ」とだけあったので、フォーク穴を省略し、豚400グラムに塩大さじ1というレシピ通りの分量で作ってみることにした。塩は「ハーブが混じってるとおいしいよ。クレイジーソルトだとラクチン」というキョウコちゃんのアドバイスを採用し、購入。

肉が熟成してうまみが出るので2、3日してからが食べ頃。どれどれと3日目に炒めてみたら(油は出るので敷く必要なし)、とろけるような濃厚な味わい。こんなうまいお肉があんなに簡単に!と驚いた。肉からしみ出た塩味の油で茄子やキノコを炒めると、これまたしんなりとなったところに味がしみて、おなかも満足な一品となる。スープにしてよし、カレーにしても良さそう。確かに、これが冷蔵庫に横たわっているだけで、安心する。キョウコちゃんは「一週間ぐらい持つ」と言っていたけれど、2週間後に食べても熟成が進んでいい感じ。だったら多めに作っておこうとなり、肉を買うたびにグラム数がふえている。柚子こしょうで漬けるのもおいしいよ、とのこと。

2007年08月09日(木)  ちょこっと関わった『犬と私の10の約束』
2004年08月09日(月)  巨星 小林正樹の世界『怪談』
2002年08月09日(金)  二代目デジカメ
1999年08月09日(月)  カンヌレポート最終ページ


2008年08月08日(金)  『ぼくとママの黄色い自転車』ロケ

6本目の長編映画となる『ぼくとママの黄色い自転車』の撮影現場になかなか行けず、小豆島ロケに行けなかったけれど都内スタジオにはぜひと言ううちにクランクインからひと月経ち、「そろそろ終わってしまいますよ」と言われて、あわてて今日見に行くことになった。

新横浜駅前での主人公大志が母を探しに旅立つシーン。ボーイスカウト、ガールスカウトの子どもたちや通行人役のエキストラさんにまじって、大志役の武井証くんと大志のいとこの鈴間美緒役の阿部美央ちゃんを見つける。ミオ役を射止めたミオちゃん! 名前も合っているし、吸い込まれそうなきれいな目の美少女で、映像になった姿を見るのが楽しみ。映画とドラマの『いま、会いにいきます』でけなげな男の子を演じていた証くんは、ちょっぴり大きくなってもやっぱりかわいい。

証くんと美央ちゃん、この二人に大志の飼い犬のアン(本名)が加わったスリーショットの吸引力はかなり強力。睡眠時間3時間、30代後半のわたしが並ぶと、落差くっきり。わたしの隣に写っている男性は、『子ぎつねヘレン』でもアニマルトレーナーだった宮忠臣さん。「また今回もできないことをト書きに書いてくれて……」という明るいぼやきも懐かしい。ヘレンのときも「犬にもできないことをキツネにさせようとするんだから……」と言いつつ、ずいぶん高度な動きをつけてくれたので、今回のアンちゃんの名演技にも期待してしまう。

ヘレンつながりといえば、声をかけてくださった共同テレビのプロデューサー、井口喜一さん、監督の河野圭太さんにも挨拶できたのだけど、今日が撮影アップだった大志の父・一志役の阿部サダヲさんにはニアミスで、わたしが到着する少し前に撮影が終わってしまっていた。ヘレン以来、阿部さんが所属する大人計画の舞台を何度か見せてもらって、また作品に出ていただけたらいいなあと願っていたので、阿部さんの一志役はとてもうれしくて、どんなお父さんになっているのか楽しみ。ロケ弁当を食べる機会は逃したけれど、井口プロデューサーに駅ビルの中のインド料理屋でベジタリアンカレーをごちそうになった。

2007年08月08日(水)  「やきやき三輪」で三都物語の会
2005年08月08日(月)  虫食いワンピース救済法
2004年08月08日(日)  ミヤケマイ展『お茶の時間』
2002年08月08日(木)  War Game(ウォー・ゲーム)


2008年08月07日(木)  暁に帰る

打ち合わせが長引いて、明け方のタクシーで帰宅。長時間の打ち合わせの後は、寝不足の頭にアドレナリンが充満して、ちょっと興奮状態。こういうときは運転手さんと話して帰ることが多い。今日の運転手さんは大の漫画好きで、「漫画だったら一日に15冊ぐらい行けますよ」。おすすめの漫画はありますか、と聞いたら、次から次へとタイトルを挙げてくれ、「それ、映画になりましたよね」だの「新聞の書評で読みました」だの熱心に相づちを打ったのは記憶にあるのに、タイトルをまったく覚えていない。島で生け贄が食べられる話があったような……。やっぱり疲れていたんだなあ。

2007年08月07日(火)  シンクロニシティの人
2005年08月07日(日)  串駒『蔵元を囲む会 始禄 小左衛門』
2004年08月07日(土)  ご近所の会・一時帰国同窓会
2002年08月07日(水)  ティファニー


2008年08月06日(水)  東京大地震の代わりに、小さな天災。

日付が8月6日から7日に変わった瞬間を携帯電話の待ち受け画面で見届けたダンナが、パソコンに向かっているわたしの背中に、「地震は起きませんでしたねえ」とイヤミったらしく言った。ここ数日、せっせと棚の上のものを床に下ろしたりワイングラスを牛乳パックでガードしたりしているわたしを見て、普段まるで掃除をしないくせにこういうときだけ張り切るそのエネルギーの使い方は間違っていないか、と首を傾げていたダンナは、ほらみろ取り越し苦労だ、と勝ち誇ったのだった。

来なければ来ないでよし、部屋が片付くいい口実だと思えばいい。そう開き直っていたのだけど、地震は来なかったのに、若干の被害が生じた。ベッドの下にワレモノなどを避難させたものの、そのベッドの上で娘のたまがはねることは想定外で、グシャリとつぶされるようにグラスが割れてしまった。また、妙にたまがおとなしいなあと思ったら、テレビの上からじゅうたんに避難させた観葉植物の土を素手でほじくり返し、じゅうたんが砂場と化していた。備えあれば憂いなし、のはずが、備えたせいで憂いあり。やれやれ、子どものいたずらは天災のようなもの。

2006年08月06日(日)  アシナガバチの巣
2005年08月06日(土)  下垣真希 平和のリサイタル『命かがやいて』
2004年08月06日(金)  シナリオ『父と暮らせば』
2002年08月06日(火)  『絶後の記録〜広島原子爆弾の手記』


2008年08月05日(火)  マタニティオレンジ317 ビクス母三人と娘三人

マタニティビクスで仲良くなったレイコさんが上京するのに合わせて、三人で親しくしていたトモミさんの家に集まり、母娘三組で再会。トモミさんはご両親が住む東京で里帰り出産したのだけど、早めに東京入りしてマタニティビクスやマタニティスイミングで体を鍛え、お産のときには「産道に筋肉がつきすぎて子どもが出てこれない」事態に見舞われた。産後のアフタービクスにもせっせと通い、ダンナさんが待つ徳島に帰ってからは、出産で休学していた歯学部に復学して勉強を続けている。生き方そのものがマタニティビクスの最前列で汗していたときの勢い。もともと美人だったけれど、ひさしぶりに会うと、いちだんとスリムになって若返ったように見えた。

トモミさんに会うのもひさしぶり。アテンションプリーズのときに航空会社勤務時代のエピソードを聞かせてもらったお礼に食事をしたのは、桜が咲く前だった。わたしが日記に「ベビーカーのレインカバーをなかなか買いに行けなくてビニール袋でしのいでいる」と書いたのを見て、すかさず「アカチャン本舗に行くときに買ってきましょうか」と連絡をくれるような、子どもにも友人にも惜しみなく愛情を注げる人。おもてなし料理にもそれは現れていて、今日のお昼は大人も子どもも楽しめるよう微妙に濃さと味つけを変えたビシソワーズとタコライス。食後のデザートの杏仁豆腐まで手づくりのやさしい味。

トモミさんの愛娘ミューちゃんは、たまの一日後の8月22日生まれ。レイコさんちのレミちゃんは、二人よりひと月早い7月末生まれ。たまとミューちゃんは身長も髪の長さもよく似ていて「一日違いだなあ」という感じなのだけど、レミちゃんは手足がすらりと長く、ずいぶんお姉さんに見える。娘たち三人は生まれてからも何度も会っているのだけど、お互いに覚えていないのか、おっかなびっくり。一緒に遊ぶというより、それぞれのママにくっつきながら距離を詰めて行く感じ。それでも午後をゆったり過ごすうちにサヨナラのときにはギュッとだっこ。「おなかにいたときから一緒に踊ってた仲間だもんね」とレイコさん。また会おうね。

2007年08月05日(日)  マタニティオレンジ155 シルバーパスの効用
2002年08月05日(月)  風邪には足浴


2008年08月04日(月)  宙返りできなかったことが心残り

枕が変わると、いつもと違う夢を見る。はじめて泊まった葉山の別荘で見たのは、宙返りの夢だった。数十メートル先に待ち構えている人に向かってダッシュし、その人の腕に自分の腕を絡めると、勢いで宙返りができる。それを何度も繰り返すわたしは大学時代にやっていたチアリーダーのコスチューム姿で、わたしに声援を送っているのは当時のチームメイトらしかった。

目が覚めて夢の内容を覚えているとき、どうしてこんな夢を見たのかと分析してしまうのは、大学の教養課程で取ったフロイトの夢判断のクラス(雑学として楽しめた)の名残。「チアの格好して宙返り」の夢のルーツはすぐに突き止められた。小学校時代の習いごとと高校時代のクラブ活動で器械体操をやったのだけど、どうしても宙返りができなかった。踏み込みの瞬間、足がすくんで、入れるべき力を逃してしまう。どうやったら宙返りができるか、頭ではわかっているのに、体が動かないのだった。踏ん切りがつかない臆病者。同じことが、チア時代にも起こった。土台の二人が両手を組んだ上に立ち、組んだ手が持ち上がる勢いに乗ってジャンプする(余裕があれば開脚などのポーズを決め、ツワモノになると宙返りして降りてくる)「バスケットトス」という人間トランポリンのような技があったのだけど、わたしはいつも足がすくんで、へっぴり腰になり、浮く間もなく落下して、痛い思いをして持ち上げてくれたチームメイトをがっかりさせた。すまない気持ちでいっぱいになりつつも、最後まで飛べなかった。

そのことをずっと忘れていたけれど、心のどこかで引っかかっていた過去が何かの拍子で浮き上がって夢に出てきたらしい。踏ん切り……初めての海を最初は怖がっていた娘のたまが海に向かって足を踏み出した、その瞬間が記憶のスイッチを入れたのかもしれない。

「夢は欲望の充足」という言葉も、フロイトの夢判断のクラスで習った。夢の中で願いを叶えるというよりは、昼間考えきれなかったことを夢の中で考えるのだという。その内容は楽しいことよりは不安だったり懸念だったり、「何か引っかかること」であることが多い。だから、入試に落ちる夢にうなされるのは、「落ちたらどうしよう」とびくびくする試験前より、大学に合格して試験勉強からすっかり解放された頃。こんなに遊んでばっかりでいいんだろか、という後ろめたさが夢になって現れる……そんな講義が懐かしい。実際、脚本家として一本立ちして以来、会社を辞めますといつ上司に切り出そうか悩む夢を見るようになった。

2007年08月04日(土)  マタニティオレンジ154 タマーズブートキャンプ
2006年08月04日(金)  プレタポルテ#1『ドアをあけると……』
2002年08月04日(日)  キンダー・フィルム・フェスティバルで『パコダテ人』


2008年08月03日(日)  葉山の別荘2日目 田舎でのんびり

一階の客間で朝目覚めるなり、「おにかい いく!」と娘のたま。リビング兼ダイニングルームの大きな窓から海を見はるかす二階が、すっかり気に入った様子。同じ階にあるお風呂からも海が見え、日が高いうちにひと風呂浴びるのもとても気持ちいい。

昨日の晩ご飯に負けじとテーブルにごちそうが並ぶ。カリッと焼いたフランスパンにブルサンのガーリックチーズを塗り、地元のとれたてトマトをのっけたオープンサンド。たっぷりヨーグルトに、たっぷりのブルーベリージャムを放り込み、「はちみつもどうぞ」。サラダの野菜もシャキッとしている。窓に目をやれば、緑の向こうに大きな海。映画に出て来るような別荘の朝ごはんで、2日目の朝がはじまった。

朝食を終えると、車で買い出し。地元のおばちゃんたちがとれたての野菜や花を売っている掘建て小屋へ。縦長のプチトマトが袋いっぱい詰まって、百円。小屋の前の通りを奥へ進むと、行列のできるトラック。さばきたてのマグロを求めて、地元の主婦が詰めかけている。ここで昼食の丼用の刺身を調達。帰りに寄ったしらす屋で、たまが気に入った釜揚げしらすを買う。帰り道の山の途中で、湧き水で手を冷やし、お不動さんに手を合わせた。


昨日の夕方の海は貸し切りのようだったけれど、今日の午前中はパラソルやテントがびっしりと並び、別な砂浜に来たよう。砂で立体お絵描きをしたり、お風呂を掘ったり、アンパンマンを作ったり。

一時間ほど遊んで帰ると、お昼ごはん。今朝買いに行ったまぐろの丼と、昨日の鱸のかまでだしを取った潮汁。さらに、地元でとれたトウモロコシ。皮付きのトウモロコシなんて見たことがないたまは、皮むきに興味津々。とれたてのゆでたては、甘くてやわらかくて、たまも夢中でかじりついていた。

すっかり食欲を盛り返したたまは、気をゆるした相手にしか披露しない一発芸の「バレリーナ」も飛び出し、何度も来ている親戚の田舎のようにくつろいでいた。窓から見える空と海と緑。吹き渡る風。木を震わせる虫の声。海と山の間で過ごす休日は、子どもにもリフレッシュ効果をもたらしてくれる。たった一泊二日、自宅から二時間足らず離れただけなのに、普段の暮らしとは違う時間の流れに身をおいて、気持ちの中を風が通り抜けたような開放感を味わった。

思わぬ落とし穴は、日焼け。日焼け止めを買ったものの顔だけガードしていたら、ダンナとたまが背中や肩を真っ赤に晴らし、眠れないほど痛がった。同じ陽射しの下に同じ時間いたわたしは、ちょっぴりひりひりする程度。わが家の日焼け勢力図は「色白・繊細族」と「地黒・鈍感族」の2対1に分かれることが判明した。

2007年08月03日(金)  ラジオが聴きたくなる、書きたくなる『ラジオな日々』
2006年08月03日(木)  子どもの城+ネルケプランニング『南国プールの熱い砂』
2005年08月03日(水)  『三枝成彰2005 2つの幻』@サントリーホール
2002年08月03日(土)  青森映画祭から木造(きづくり)メロン


2008年08月02日(土)  葉山の別荘1日目 海水浴と海の幸づくし

葉山に別荘を持つ知人夫妻から、遊びに来ませんかのお誘い。娘のたまに「海行く?」と聞くと、「ミッキーは?」の返事。彼女にとって、海と言えば先月行ったディズニーシー。1才の秋に鎌倉で夜の海を見たことはあったけれど、海水浴は初めての体験。高台に建つ知人の別荘からは坂道をずんずん降りると海に出られる。

最初はわたしにしがみついて波をこわがっていたたまは、慣れてくると歓声を上げ、大きな波が来るのを待つようになった。頭から水をかぶっても笑っていて、強い強い。保育園で毎日プール遊びをしている成果かなと思う。砂を掘ってお風呂を作ったり、アンパンマンを作ったり、自然の水に触れるのも砂に触れるのもめったにできないことで、親も童心に返ってはしゃいでしまった。

夜は海の幸づくし。東北から仕入れた牡蠣2種類に続いて、地元のとれたて魚介類が一枚木のテーブルに次々と運ばれる。焼きサザエ、別荘の主人が包丁をふるってさばいた鯵と鱸(すずき)、透き通った生しらすをポン酢で。箸も進み、ワインも進む。たまは釜揚げしらすを1パック平らげる勢い。手足口病に夏バテが重なって食欲減退気味だったのが嘘のような豪快な食べっぷり。トマトの酢の物、サラダ、玉子炒め、もてなし料理もすべて絶品。

夫妻の友人という衆議院議員の保坂展人さん夫妻も急遽東京から駆けつけ、にぎやかな食卓に。手土産のどら焼きがあまりにおいしく、満腹なのに二個ペロリ。初対面の保坂さんはいい意味で社民党っぽくないイマっぽい人。明日の夜は阿佐ヶ谷で『政治をROCKしろ!』というトークショーを開催するのだとか。そう、顔つきも話し方も話す内容も、「ロックな政治家」という印象だった。夫人も気さくで楽しい人。和菓子屋の福引きで当てたというブーブークッション(まだあったのか!)をもらったたまは、おならの音に大喜び。

2007年08月02日(木)  ブロードウェイ・ミュージカル『ヘアスプレー』
2002年08月02日(金)  「山の上ホテル」サプライズと「実録・福田和子」


2008年08月01日(金)  地震の噂のたびに部屋が片づく

朝から仕事そっちのけで大掃除に励んでいるのは、先日、打ち合わせでプロデューサーが「来週東京に大地震が来るって噂があるんですよ」と言い出したから。彼女は別々のルートで聞いたことから、「ひょっとしたら、ひょっとするかも」と言う。広告会社に勤めていた頃は同じ部署に「地震雲」を熱心に観察しているCMプランナーがいて、「今度のは怪しい」などと年中警告を発していたのだけど、会社を辞めて以来、その手の警告を聞く機会がめっきり減った。

聞かなきゃよかったと思いつつ、聞いてしまったからにはベストを尽くさずにはいられない性分。地震に備えてあたふたするのは、2003年の9月にネット上でかなり大々的に「地震が来るかも」の噂が流れたとき以来(2003年9月14日の日記)。備えるといっても、できることといえば、壊れそうなものを避難させるぐらいなのだけど、その避難先を確保するために大掃除が必要なのだった。棚の高いところにしまってある高級な食器を低いところに移動するために、低いところにのさばっているいらないものに見切りをつけ、場所をつくる。賞味期限切れの乾物や調味料や一度も参考にしたことがないおまけのレシピがざくざくと出てくる。必要に迫られないと後回しにしてしまうわたしには、5年に一度ぐらい、地震が来るぞの強制力が必要なのかもしれない。噂通り地震に見舞われた場合は備えが役に立つだろうし、噂が外れた場合も部屋は多少片付き、骨折り損にはならない。

2007年08月01日(水)  バランスがいいこと バランスを取ること
2002年08月01日(木)  日傘

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