わたし好みのお芝居をプロデュースしては招待してくださるG-upの赤沼かがみさんと第三舞台出身の演出の板垣恭一さんと制作の橋本早苗さんの三人が立ち上げた海外戯曲を中心に上演するユニット・プレタポルテ(洋物+既成戯曲を言い得た、いいネーミング)。その第一回公演に選ばれたのは喜劇の天才アラン・エイクボーン(Alan Ayckbourn)の『ドアをあけると……』(Communicating Doors)。開幕前に配られた相関図を見ると、ドアを開けるたびに時代が20年ずつ(1986年、2006年、2026年)飛ぶとあり、なんだか複雑そうでついていけるかなぁと心配に。でも、幕が開いてみると、今がいつの時代なのか混乱させられることは一度もなく、むしろ時間を行き来するたびに明らかになる事実にハラハラドキドキさせられ、どんどん体が前のめりになってしまった。ドアの向こうに何が待ち受けるのか、先が読めない展開。15分の休憩を挟んで二時間半の上演時間を長いと感じさせない。これで終わりと思ったら、ラストに用意されていた感動的なオマケにもびっくり。スリルとサスペンスを味わった後に気持ちよく泣かせてもらう。実に面白いホンとすばらしい演出とキャストで、鮮烈なデビューを飾ったプレタポルテ。どんな二着目、三着目を見せてくれるのか楽しみ。
| プレタポルテ#1『ドアをあけると……』 作者:Alan Ayckbourn(アラン・エイクボーン) 訳者:出戸一幸 演出:板垣恭一 出演:円城寺あや 森若香織 岡本麻弥 水下きよし 朝倉伸二 郷本直也 会場:シアターVアカサカ |
2002年08月04日(日) キンダー・フィルム・フェスティバルで『パコダテ人』