昔、「伊豆に泳ぎに行ったよ」とアメリカ人の知人に話したら、「Where is Izu?」と聞かれ、駄洒落になってるねと大笑いした。でも、そのときは渋滞に巻き込まれ、伊豆から家に帰り着くのに7時間もかかってしまったので、あまりいい思い出はなかった。あれから8年。2度目の伊豆に行くことになったのは、そこに「宿」があったから。急に休みが取れることが決まったものの、どこも予約でいっぱい。「宿泊予約」で検索してヒットした中にあった こだわりの宿どっと混むで3つの宿にあたってもらったところ、伊豆熱川にある『作右衛門宿』を取ってもらえた。踊り子号で東京駅から2時間ちょっとで、そこはのどかな海辺の町。車窓から海を見て、「しまった!」。水着のことなど頭をよぎりもしなかった。もう何年も着てないけど。まあ今回は宿目当ての旅ということで、ひたすらのんびり、心の洗濯をするとしよう。作右衛門宿は、そんな人にはもってこいの宿。もとは地元の名主の屋敷だったということで、食事は趣のある母屋(というのかな)で、泊まりは土蔵作りの「蔵」で。2階建ての蔵の各階にひと組ずつ、さらに「離れ」があり、こちらにもう1組。1日3組しか客を取らないという宿なのだが、意外な穴場だった。泊まり客よりも宿の人のほうが多いのではと思ってしまうが、もてなす宿の人たちも肩の力が抜けていて、こちらも田舎の親戚の家に泊まりに来たようなくつろいだ気分になる。サービスがマニュアル化されていないので、いい意味でいい加減な部分も。露天風呂の鍵のかけ方を教え忘れられ、「後から来た人と鉢合わせたら……」と気をもんだが、次の瞬間には、「ま、そのときはそのときか」とおおらかな気分になってしまうのも、宿に流れるほんわりした空気のせいなのかも。開放感たっぷりの露天風呂は気に入った。海の幸づくし、ボリュームたっぷりの食事には降参。でも食後の自家製オレンジシャーベットは、するりとおなかに入った。それにしても伊豆はいいとこ。オレンジの花があちこちに咲いているし、遊歩道に足湯スポットがあったり、散歩も楽しい。お昼を食べた定食屋は、お刺身どっさり、小鉢と山盛りのお漬け物と磯の香りのお味噌汁がついて900円。宿の近くにあるハーブテラスでは、数百種あるというハーブを鑑賞した後に、ローズマリーウォーターで割ったオレンジジュースを飲みながら、ご主人と1時間ほど話をする。レジャースポットの乱立で伊豆への観光客は減ってきているとのこと。「いいとこですよ、伊豆は。わたしはまた来ます!」とリピーター宣言。 2002年08月10日(土) こどもが選んだNO.1
2002年08月10日(土) こどもが選んだNO.1
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