ここ数か月関わっているテレビの仕事は、テレビ局担当者、製作会社プロデューサー、脚本家(わたし)全員が女性。男性の中で紅一点ということが多く、女ばかりというのは初めて。脱線話のガールズトーク(ガールって年ではないけど)も新鮮で、毎回打ち合わせが楽しみだった。だった、と過去形なのは、この三人で打ち合わせをするのは今日が最後だから。もろもろの事情により、いったんチームは解散となった。それ事態はよくあることではあるけれど、なかなかない出会いなので食事ぐらいしましょう、というわけで、最後の打ち合わせの後に初めての会食となった。
テレビ局嬢がご馳走してくださることになり、「鉄板焼きなんですけど、いいですか、関西風の」と聞かれる。「歓迎です。わたし、大阪出身なんで」と即答すると、「あら今井さん、関西人だったんですか。わたし神戸です」と製作会社嬢。「ええっ、お二人とも関西? わたし、京都です」とテレビ局嬢。「三都物語ですね!」と思わずわたしが言うと、「うまいっ!」と会議室に笑いがはじけた。
お店は広尾にあるやきやき三輪。関西風のベタなネーミングとは打って変わってインテリアは妙に洗練されて都会的。プリプリの蛸の鉄板焼、コロコロステーキなどに舌鼓を打ちつつ、どんどん平らげていく。打ち合わせ後の空腹も手伝って、箸が進む、お酒が進む、会話も進む。「味が気に入って通ってたんですけど、実は業界の人がよく来る店だったんです」とテレビ局嬢。隣のテーブルからは「24時間テレビTシャツ欲しい?」「欲しい!」という会話が聞こえる。あちらが丸聞こえということはこちらも筒抜けとなるのだけれど、仕事は一段落してしまっているので、ひたすらプライベートの話。自分たちのルーツを披露しあい、思わぬ接点を次々発見。そのテレビ局に深い縁のある得意先をわたしが広告会社のコピーライター時代に担当していたことも明かされ、「それじゃあ話が早い。また連絡しちゃいます」とテレビ局嬢。解散式でありながら出初式のようになった。
今回の仕事は、脚本家としてはちょっと宙ぶらりんな格好になり、残念だったけれど、珍しく「空しさ」を感じない幕切れだった。単純な性格なので、おなかが満ちたのに連動して、「おいしかったし、まあいっか」と気持ちの隙間が埋められたふしもある。これからも企画が頓挫したり飛んだりしたとき、最後の晩餐をやるのがいいかもしれない。満腹と満足がごっちゃになって、いろいろあっても「終わりよければ」になるような気がする。
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