2002年08月01日(木)  日傘

■朝から日比谷公園の噴水前でスチール撮影。広告の撮影には大きく分けてムービー(テレビコマーシャル用)とスチール(新聞・雑誌・ポスターなどの平面媒体用)がある。今日は秋に出る新聞・雑誌用の撮影なので、モデルさんの服装は長袖。付き添うスタイリストさんもなぜか長袖。日焼け対策だ、と気付いたのは、半袖から出ているわたしの腕を太陽がじりじりと焼き始めたから。女性スタッフは皆、帽子や日傘で陽射しをガ−ドしているというのに、そんな用意を忘れてきたどころか、そもそも夏の帽子も日傘も持っていない。よりによって上下黒ずくめの体は太陽の格好の餌食となって、虫眼鏡のターゲットに選ばれた蟻のような気分を味わう。(子どもの頃、虫眼鏡で太陽の光を黒い焦点に集中させると、黒い部分が焦げるというのを教わり、黒い紙では飽きたらずに蟻を追いかけた、あのときの罰だ)。わずか一時間の立ち会いが永遠にも思えた。■反省が冷めないうちに、近くの有楽町阪急で日傘を買う。日傘人口は年々増えているそうで、同僚もランチタイムには傘を広げているが、わたしは持ったことがなかった。ちゃっかり者なので、晴雨兼用のものを選ぶ。しかもセール品。ピンクに水色の刺繍のデザインは、よっぽど不人気だったらしく、千円の大特価だった。早速、広げて歩いてみる。日を遮るもののない遊歩道に映ったわたしの影は、日傘の影を従えている。なるほど、日傘を携帯するということは、「マイ日陰」を連れて歩くことなんだなと納得。しかし、期待したほど涼しくない。日陰にいるはずなのに、日陰の涼しさがついてこない。少し考えて、思い当たった。日傘のつくる日陰は「インスタント日陰」で、熱した地面までは冷やしてくれない。日傘が遮ってくれるのは、上から照りつける暑さだけなのだと。こうなったら、日傘を差しながら、水をまいて歩くしかないのだろうか。

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