■メールと電話でやりとりしていた映像制作会社の方二人とはじめて会う。『風の絨毯』で知り合った方の紹介で、2時間サスペンスの企画をいくつか提案していた。この二人とともに番組企画会社のプロデューサーを訪ね、わたしの書いた企画をもとに「こういう企画は、すでにやっている」「この企画がはまる枠がない」「これはキャスティング次第」などと、ざっくばらんに話し合う。テレビ番組の企画がどういう形で持ち込まれ、会議に生き残り、世に出ていくのか、あまりにわかっていなかったので、何を聞いても「そうなんですかー」と驚く。人気のある枠は半年先まで企画がぎっしりで、おなかいっぱい状態。よっぽど突き抜けた企画を出さないと入り込む余地はないらしい。また、曜日によって2時間サスペンスのキャラクターは、はっきり分かれているので、それぞれに合った企画を出さないと、「うちの色ではない」ということになる。「面白い企画ありき」だと思っていたのだが、「枠にはまる企画」を考えなくてはならないのだと教えられる。広告と同じようにテレビ番組もクライアント(局)やターゲット(視聴者)のニーズありき、らしい。「一度で企画が通るなんてことは、まずありません。一年がかり、十本出してやっと一本、そんな気持ちで」と番組企画会社のプロデューサー氏。さあて、一年以内に企画を通せるか、知恵を絞ってみよう。■会社に戻ると、同僚の女の子が「どうして背中開いてるの?」。なんと、ワンピースの背中のファスナーが全開していた。背中の真ん中までパックリ。隣の席のM君が「僕、気づいていたんですけど、今井さんのことだから、そういうファッションだと思ったんですよね」。そんなわけあるかいな!初対面の三人は、どう思っただろう。会ったばかりの人に突っ込むわけにもいかず、気まずい思いをしたのでは。しかし、背中まる出し事件は初めてではない。さらに歴史を掘り起こせば、パンツ丸見え事件というのもあった。就職してから大学の応援団の大会を見に行ったとき、トイレから出てきたわたしに後輩の女の子たちが「センパーイ!」と駆け寄ってきた。わたしもなかなか人気者ではないかと気をよくしたら、後輩の一人が礼儀正しく「先輩、おしりが見えてらっしゃいます」。ワンピースの後ろをパンツに突っ込んで堂々と出てきたわたしを、必死に止めてくれたのだった。