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JIROの独断的日記
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2005年12月31日(土) 「第九」の歌詞は何を訴えているのか。

◆オーチャードホールで第九を演っていましたね。

 

 キー局がテレビ東京なので、日本中では一体どれぐらいの人が見ることが出来たのか、或いは見たのかわからない。

  毎年、東京・渋谷のオーチャードホールでテレ東企画(実際には番組製作会社企画だろうが)のシルベスターコンサートが行われ、生中継される。

 このコンサートの目玉は「カウントダウン」と称して、演奏時間が15分程度の曲を演奏し、

 その最後の音が、丁度、元旦の0時0分0秒に終わるようにするのである。



 演奏者、特に指揮者にとっては、嫌な企画だろう。

音楽そのもの以外の事に異常に神経を使わなければならないからである。

 音楽は、途中で拍子が変らなければ、一小節の拍数は決まっていて、

 一曲の小節数は、頭から数える必要は無く、楽譜の所々に何小節目かがかいてあるので、容易に知ることが出来る。

 従って、その曲全体が、合計何拍であるかを算出し、演奏時間を決めれば、演奏時間を拍数で割ることにより、

 一拍あたり何秒で振ればよいか計算できる(普通はテンポはメトロノーム速度、

 即ち一分間に四分音符を80個のテンポで演奏せよ、という形式で指定される)。



 しかし、それは、理屈であって、クラシックの曲を最初から最後まで、歌謡曲のように、

 同じテンポで演奏すると云うことはあり得ない。

 あるところでは、遅くなり、そうしたら、演奏終了を何としても午前0時丁度にするためには、

 どこかでその分を取り戻すべく、テンポを上げなければならないが、コンピューターじゃないから、

 そこは指揮者の勘を頼りにするしかない。


◆絶対テンポ感

 

 そんな言葉はないのだが、現実には、指揮者になるような人は、この能力がないとやっていけないと思う。

 適切なテンポを設定するのは、指揮者の一番最初のしかし、非常に大切な役割である。



 指揮者の岩城宏之さんは、時計を用いないで、正確に1分間を測ることができるという。

 今日、オーチャードホールのジルベスターコンサートでは、

 何とベートーベンの交響曲第九番の第4楽章で「カウントダウン」を行ったわけである。

 指揮者は、私が子供の頃サインを貰った、「コバケン」こと、小林研一郎氏で、見事に成功を収めた。

 最後の合唱の部分が終わると、すごいアッチェレランド(段々早く、の意。逆がリタルダンド「段々遅く」だ)をかけて、

 聴いているこちらも、間に合うかどうか冷汗をかいたが、ドンピシャリであった。


◆第九の歌詞はシラーの詩からとったものだ。

 

 シラーの詩をベートーベンが用いたことや、

 一番最初のバリトン・ソロ、

 「オー、フロインデ。ニヒト・ディーゼ・テーネ」は、英語にすれば、

 “Oh,my friends! Not such a tone”(おお、友よ。このような音ではなく・・・)

 で始まる事は知っているが、最後まで逐語的にドイツ語の歌詞を理解している人は少ない。

 実は私も大雑把にしか分からぬ。



 だが、要するに、「人類愛」、つまり人類は皆兄弟なのだ、という事を強く訴えている。

 この詩を理解したからといって、国際紛争が無くなるような単純な世の中ではないことは百も承知だが、

 シラーの言葉は、理想としては高邁(気高く、すぐれていること)である。

 そこで、この詩を刻んで、平和を祈念しつつ、本年の日記を結びたい。


◆第九の歌詞の意訳。

 

 実際の音楽では、同じ部分がソロで歌われた後、合唱で歌われるなど、繰り返しが多いが、

 あの15分間で歌われているのは、以下の通りである。

 

 おお、友よ! このような調べではない!

 そんな調べより、もっと心地よく歌い始めよう、喜びに満ちて。

 歓喜よ、美しき神々の煌めきよ、

 エリジウム(楽土)から来た娘よ、

 我等は炎のような情熱に酔って

 天空の彼方、貴方の聖地に踏み入る!



 一人の友人を得るという

 大きな賭けに成功した者よ、一人の優しい妻を努めて得た者よ、

 その歓びの声を一つに混ぜよ!

 そう、この地球上でただ1人の(一つの心と呼ばれる)者も!

 そして、それが出来なかった者は、この集まりから涙を流してひっそりと去る。



 全ての生物は、

 自然の乳房より歓喜を飲む。

 そして、善きもの、悪しきものも全て薔薇色の跡を付けていく。



 歓喜は我等に口づけと葡萄、そして死の試練にある一人の友を与えた。

 官能的な快楽は虫けらに与えられ、そしてケルブ(智天使)は神の御前に立つ!



 喜ばしきかな、太陽が壮大なる天の計画に従って飛ぶが如く、

 兄弟達が己〔おの〕が道を駆け抜ける、勝利に向かう英雄のように喜ばしく。

 抱〔いだ〕かれよ、数多〔あまた〕の者よ! この口づけを全世界へ!



 兄弟達よ!星空の彼方に 愛する父(なる神)がおられるはずだ。

 地にひれ伏さぬのか? 数多の者よ。 創造主(の存在)を感じるか? 世界よ。

 星空の彼方に求めよ! 星々の彼方に彼の御方(神)がおられるはずだ。


2004年12月31日(金) 正しい新年の挨拶。初夢のことなど。
2003年12月31日(水) 「考えろ、考えろ、考えるんだ」
2002年12月31日(火) 今、現実にある幸福を見出す。

2005年12月30日(金) 日本は、外国に誘拐された一般人さえ取り返せないのに、プロの外交官を構うわけがない。

◆記事:中国当局が脅迫か…上海総領事館員の首吊り自殺

 

 上海日本総領事館の領事(46)=当時=が中国当局が用意した色仕掛けにハメられ、 昨年5月に自殺していたことが分かった。

 27日発売の週刊文春によると、亡くなった領事は外務省と領事館の暗号通信を担当。

 領事の自殺は暗号解読をねらった中国当局の執拗な恫喝が原因だったとみられ、中国政府の外交官に対する非道な工作活動に波紋が広がるのは必至だ。



 週刊文春によると、領事は昨年5月6日午前4時ごろ、上海総領事館の宿直室で首をつって自殺した。

 領事は旧国鉄出身で、分割民営化後に外務省に入省した。米・アラスカのアンカレジやロシアに勤務した後、平成14年3月に上海総領事館に単身赴任した。

 赴任後、領事は同僚に連れられ、外国企業が多く集まる虹橋地区にあるカラオケクラブに足を踏み入れる。

 そして、1人のホステスに魅せられ、足しげく出入りするようになった。

 クラブは事実上、個室で、ホステスが“接待”してくれる。そのうち、ホステスは中国当局に摘発され、

 取り調べで上客だった日本人の名を供述するよう強要された。

 供述の中に領事の名前があることに目を付けた当局は、15年6月、このホステスを利用して情報機関に所属する工作員の男に領事を接触させた。

 当初、工作員は機密レベルの低い情報提供を要求。領事は昨年4月に外務省へ転属願を提出し、ロシアの総領事館に転勤が決まったが、

 工作員の男は、ホステスとの関係を「領事館だけでなく、本国にバラす」「(女性との)関係はわが国の犯罪に該当する」と何度も脅迫した。

 同年5月に入り、工作員の脅迫はエスカレートし、転勤先のロシアの情報も提供するよう迫られた。

 きまじめだった領事は工作員と深い付き合いとなってしまったことに責任を感じ、総領事や妻、同僚に計5通の遺書を残して自殺。

 総領事あての遺書には「自分はどうしても国を売ることはできない」などと記されていたという。

 領事は外務省と総領事館の衛星通信や情報伝達を担当する「電信官」で、

 総領事しか知らない国家機密も把握。特に衛星通信に使われる極めて複雑な暗号の解読方法を熟知していた。

 中国当局はこの暗号に強い関心を示し、領事が転勤と決まるや何とかして暗号の解読を引き出そうと、強い圧力をかけたものとみられる。

 冷戦さながらの色仕掛けによる諜報(ちょうほう)戦。

 外務省は、国を守ろうと“殉職”した職員について事実関係を一切、公表していない。[ 2005年12月27日13時0分 ] (夕刊フジ)


◆コメント:外交官は「公認スパイ」なんだから、狙われるのですよ。

 

上海の領事の自殺事件をすっぱ抜いたのは週刊文春で、その内容は引用した夕刊フジが要約したとおりである。

 安倍官房長官があっさり自殺の事実を認めているが、背景に関しては一切説明しないところを見ると、恐らく文春が書いている通りなのだろう。

 自殺した領事には気の毒だが、見事に中国にはめられた、という他はない。



 外交官と云えば聞こえはよいが、どこの国の外交官も外国に駐在する最も大きな職務は「情報収集」である。

 いくら情報量がマスコミを通して増えたとしても、直接その国に住んで見なければ実情は分からない。

 情報と云っても、風俗習慣。文化的相違ということではない。

 それぞれの母国にとって役に立つ、又は(潜在的)脅威となるような動きが他国で起きていないか、

 いち早く情報を入手出来るようにするために、その国の中枢部となるべく人脈、つまり情報源を確保するのが外交官の重大な任務であり、

 逆にわが国がその国に対して如何なる外交的思惑を持っているのか、決して一般国民には知らされないような情報を知っているのが、外交官である。

 「外交官とは公認スパイだ」と書いたのは、そういう意味である。

 だから、相手国の政府は、そこに駐在しているわが国をはじめとする他国の外交官から、出来るだけそれぞれの国の外交政策に関する情報を引き出そうとして、

 しばしば今回のような汚い手を使うのは「常識」である。

 夕刊フジは「冷戦さながら」などと見当違いなことを書いているが、冷戦も何も外交とは、そういうものなのだ。

 大まかなこの世界の「雰囲気」を知りたければ、フレデリック・フォーサイスの小説の数々、

 わが国なら麻生幾のZEROという小説を読むと良く分かるだろう(フォーサイスはロイターだったか通信社勤務が長かったから、

 外交のウラを良く知っている。また、麻生幾の小説では日本の公安警察と か警察庁の外事課の人間が中心で、

 外交官ではないのだが、中国政府の謀略に対峙するストーリーで、かなり綿密に取材しているため、

 外交の裏幕をここまで赤裸々に描いた本は読んだことがない、と玄人が感心しているぐらいの本である)。

 だから、自殺した外交官には気の毒なのだが、女でひっかけられて脅迫され、わが国の機密情報の提供を迫られる、

 などというのは、はっきり言ってドジなのである。

 プロならば、中国側が女を使って接待してきた時点で、ピンと来なくてはいけないのである。

 日本政府は自国の外交官も守れないのかと書いている人がいるが、守りようがない。

 勝手に「色仕掛け」にあって、簡単に騙されてしまったのだから。


◆騙されたプロより、誘拐された素人(拉致被害者)を何とかしろよ。

 

 繰り返すが、今回の件は、気の毒だが、自らの意思で、危険を伴う外交官という職業を選んだ人物が、

 プロであるにもかかわらず、海外駐在中に現地政府のスパイにさせられかけたということである。

 つまり、本人にも責任がある。

 しかし、北朝鮮に拉致されている日本人は、全く何の責任もなく、北朝鮮が日本の主権を侵害して(密入国とは他国の主権を侵害することである)、

 市井の一般人を誘拐し、しかもその国の最高責任者が「ああ、誘拐したよ」と平然と云っているのだ。

 国連憲章なぞが出来る前、第2次大戦以前なら、宣戦布告しても構わないようなとんでもない状況なのである。

 横田めぐみさんの父上は、長年の心労が祟ったのであろう。先日倒れて入院してしまった。 

 それにもかかわらず、わが国の首相は「拉致問題の解決無くして国交正常化無し」といいながら、口先ばかりではないか。

 毎週映画をみたり、オペラを見たり、毎日行われる記者会見を聴いても「北朝鮮」の言葉が発せられることは殆ど皆無で、やる気が無いのは明らかである。



 自国民が他国に誘拐されたままになっているのが明らかだというのに、こともあろうに現職の内閣総理大臣が、

 重大な国政選挙である衆議院選挙を、「郵政民営化の是非『だけ』が問われる選挙だ」といってのけたのは開いた口が塞がらなかったし、

 それを支持した有権者の責任も重い。


2004年12月30日(木) 「Q&Aサイト大手の「OKWebコミュニティ」と「病院の通信簿」がサイト連携」 生兵法は大怪我の基。
2003年12月30日(火) 無名の人々に、感謝。

2005年12月29日(木) 「米兵ひき逃げ、3人重軽傷=「公務」で即日釈放」←小泉さん。対米関係は「改革」しないのですか?

◆記事1:米兵ひき逃げ、3人重軽傷=「公務」で即日釈放−小学生男児、横断歩道で・東京

 

 東京都八王子市で22日、米軍厚木基地(神奈川県)の女性上等水兵(23)がひき逃げ事故を起こし、

 小学生の男児3人が重軽傷を負っていたことが28日、分かった。

 警視庁が業務上過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで緊急逮捕したが、

 米軍から「公務証明書」が出されたため、日米地位協定などに基づき、即日釈放した。

 小学生が被害者になっていることや、逃走していることなどから、米軍の「特権」がなければ釈放されないケースだった。

 八王子署の調べでは、事故は22日午後1時ごろ、八王子市大谷町の国道交差点で発生。

 横断歩道を渡っていた近くの小学3年の男児3人が北上してきたボックス車にはねられ、数メートル飛ばされるなどした。

 9歳の男児が鎖骨骨折や胸部打撲など重傷を負って入院。ほかの2人も頭部打撲などの軽傷。(時事通信) - 12月29日6時3分更新


◆記事2:首相動静(12月29日)

 

 午前10時現在、公邸。朝の来客なし。

 午前中は来客なく、公邸で音楽鑑賞などして過ごす。

 午後も来客なく、公邸で家族と過ごす。

 30日午前0時現在、来客なし。(了)


◆資料:日米地位協定 第十七条(抜粋)

 1(b) 日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対し、日本国の領域内で犯す罪で日本国の法令によつて罰することができるものについて、裁判権を有する。

 3 裁判権を行使する権利が競合する場合には、次の規定が適用される。

(a) 合衆国の軍当局は、次の罪については、合衆国軍隊の構成員又は軍属に対して裁判権を行使する第一次の権利を有する。

(i) もつぱら合衆国の財産若しくは安全のみに対する罪又はもつぱら合衆国軍隊の他の構成員若しくは軍属若しくは合衆国軍隊の構成員若しくは軍属の家族の身体若しくは財産のみに対する罪

(ii) 公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪

(b) その他の罪については、日本国の当局が、裁判権を行使する第一次の権利を有する。

(c) 第一次の権利を有する国は、裁判権を行使しないことに決定したときは、

 できる限りすみやかに他方の国の当局にその旨を通告しなければならない。

 第一次の権利を有する国の当局は、他方の国がその権利の放棄を特に重要であると認めた場合において、

 その他方の国の当局から要請があつたときは、その要請に好意的考慮を払わなければならない。


◆コメント:要するにどういう事かというと、

 

 日米地位協定の基礎にあるのは、日米安保条約です。

 日本は日本の領土内に在日米軍を設置してその自由使用を認めるから、

 アメリカは日本を防衛せよというのが、安保条約ですね。



 それで、守ってもらっているから(私は、彼らに本気で守る気があるとは思えませんが)、

 アメリカの兵隊さんは特別扱いしますといって、その特別扱いの内容を細かく定めたのが、

 日米地位協定です。


◆日米地位協定17条がくせ者なのです。

 

 特別扱いで、最も揉めているのが、在日米軍の軍人が日本国内で犯罪を犯したときの扱いです。

 アメリカ兵がどこか夜遊びに行って、日本人をぶん殴ったら、

 これは文句なしに日本が被疑者の身柄を拘束して取り調べを行うことができるのです。

 しかし、米兵が日本国内で「公務中に」犯した犯罪の場合は、

 米国側に一次裁判権を認めており、身柄拘束も裁判も米国側が行う、と17条で定めてある。

 今回も17条を利用したのですが、米国側の権利の濫用だと思います。


◆保護法益

 

 どこの国でも、外国人が犯罪を犯したら、その国の法律で裁かれます。

 犯罪と刑罰に関する法律を「広義の刑法」といいます。

 「『刑法』という名前の法律」を「狭義の刑法」といいます。

 刑法は、いろいろな行為を犯罪と定めることによって守ろうとしている国民の利益があります。

 これを「保護法益」といいます。

 例えば、殺人罪の保護法益は、国民の生命ですし、窃盗罪の保護法益は、国民の財産(権)です。



 犯罪行為によって、被害が出た場合、保護法益が侵されたこと自体が問題なのです。

 その違法行為の主体が自国民であろうが外国人であろうが、迷惑を受けた人がいることに変わりはない。

 だから、外国人と云えどもその国の法律に従わざるを得ない。属地主義が原則です。


◆アメリカの顔色をうかがいすぎです。

 

 日本の治安を守るために刑法があるのですから、

 アメリカ軍の軍人(兵隊)が仕事中であろうがなかろうが、関係ないのではないでしょうか。

 強く出ると、アメリカに守って貰えなくなる、とビクビクするからなめられる。

 それとこれは話が別。日米地位協定17条こそ改正するべきです。



 沖縄の大学の敷地に米軍ヘリコプターが墜落しても、「公務証明書」の紙切れ一枚で、

 日本の中の出来事なのに日本の警察が現場を見ることすら出来ないというのは、明らかにおかしい。

 このまま行くと、小学生レイプ事件のときはさすがにおとなしくしていたアメリカ兵が、また、図に乗ります。

 「公務証明書」さえ出して貰えば、泥棒しても、人殺しをしても、

 アメリカ兵を取り調べることが出来ない、ということになりかねない。

 そんな馬鹿な話はないでしょう。


◆17条を改正するべきです。小泉さん、「改革を止めたらいけない」のでしょ?

 

 例外を認めず、米軍軍人が日本で犯罪を犯したら、公務中であろうがなかろうが、

 日本が取り調べ出来るように、日米地位協定第17条を改正するべきです。

 ところがわが国の首相は、どうでしょう?、記事2を読んで下さい。

 子供が3人も米兵の車にはねられた(目撃者によると、クルマにはねられた子供はあたかも高速のマット運動でもするかのごとく、

 20メートルも転がったそうです)というのに、

 事故の翌日である29日、なーんにも考えないで遊んでいますよ。



 「改革を止めてはいけない」と百万回は繰り返してきた小泉首相ですから、

 対米関係でも是非、「改革」の手を緩めないで欲しいですね。


2004年12月29日(水) 「津波死者7万に迫る。」「50人以上が安否未確」「首相動静:読書などして過ごす」
2003年12月29日(月) 日本人の無愛想
2002年12月29日(日) 第九以外の年末お勧め曲

2005年12月28日(水) 「プロジェクト X」は、やはり、良い。

◆NHKで「プロジェクトX」特集を放送していましたね。

 

 「プロジョクトX」が終了するにあたって、「視聴者が選んだプロジェクトX」を放送している(12月28日(水)21時40分現在)。

 昨今、NHKに対する風当たりが強く、受信料の支払いを拒否する人は「プロジェクトX」を見たことがあるのだろうか?

 他にも優れた番組はあるかも知れないが、少なくとも誰もが見られる時間帯に放送された番組で、

 これは、極めて少ない「見るべき」番組だった。

 仕事をしている人間なら、「青函トンネル」、「VHS」、「スバル360」、「富士山レーダー」、

「生体肝移植」、「南極観測隊」(あくまで、たまたま今、私の頭に浮かんだテーマを書いただけで、それ以外の「作品」が劣るという意味では決して、無い。)

 を見て、感動しない方がおかしい。


◆かなり、忠実に丹念に取材している。

 

 この番組を作った中核は30代のNHKスタッフだというから感心する。

 しかも、ヤラセは入っていない。

 「生体肝移植」に関しては、親戚があのチームにいたので、実際の様子を聴いていたし、親戚の者も、

 「番組の内容で事実に反することは一つもない(もちろん、番組で取り上げていない、細かい話は沢山あるが、

 それは、番組を一定時間内に収めなければならないのだから、やむを得ないだろう)」、と云っていた。


◆泣けますよね。

 

 あの番組を見て、泣いたことがあるか否かで、その人間の感受性がある程度推察できる、と私は「独断的」に、思っている。

 感受性は、さておき、 毎回感心するのは、登場する市井の一般人が皆、持っていた「仕事への責任感、使命感」、である。

 スバル360を作った人々は、途中、強度に問題があることがわかり、はじめから設計をやり直した。

 青函トンネル工事中に岩盤が崩れ大量の海水が流入したとき、責任者は、逃げようとしなかった。

 日本で初めての生体肝移植を行った島根医大の永末医師は、もしも、手術が失敗したら、

 大学を追われるどころか、医師を辞めなければならないことまで、覚悟した。




 いけしゃあしゃあと、人命に危険を及ぼす可能性がある、欠陥建築物を設計したり、

 売ったりしている今の一部の人間が 同じ「日本人」と思いたくない。


◆リヒテルが愛した日本製のピアノ

 

 ヤマハのピアノ職人は、「18世紀のモーツァルト、19世紀のショパン、20世紀のリヒテル」と呼ばれるほどの20世紀最高のピアニスト、

 スビャトスラフ・リヒテルが、世界の名器スタインウェイよりも気に入るピアノを創りあげた。

 「あの世界のリヒテルが日本人がつくったピアノを愛用している」という話は瞬く間に世界に広まった。



 リヒテルは飛行機嫌いで、日本に来ることは無い、と云われていた。

 しかし、すっかりヤマハのピアノを気に入ったリヒテルは、1970年、万国博覧会の際に初来日した。

 なんとシベリア鉄道でナホトカまで来て、船で大阪に着いたのだった。



 日本を気に入ったリヒテルは、1979年、3度目の来日の際に、「私のピアノを作ってくれているヤマハの人たちへのお礼に、工場で演奏をプレゼントしたい」と云った。

 びっくりしたヤマハ(浜松)の人々は大いぞぎで工場内のピアノ試聴室に、ピアノを整えた。観客は作業服姿のピアノ技術者ばかりである。しかし、リヒテルは云った。

 

「私はこれほど緊張して演奏した記憶がありません。何故なら、ここにいるのは本当にピアノを愛している人たちばかりだからです」

 コンサートは2時間も続いた。ピアノ職人達は、自分たちのピアノに命が吹き込まれた、と涙を流した。


◆株でいくら儲けても・・・・。

 

 今日も、日経平均株価は年初来最高値を更新した。明らかにバブルである。

 全国消費者物価指数が前年同月比+0.1%だったからといって、デフレ終了、景気回復というのは、早計である。



 今年は、「ヒルズ族」にマスコミが群がった。

 目立つ存在にブンヤ(新聞屋=新聞記者)やテレビ屋が群がるのは今に始まったことではない。

 しかし、彼らはもてはやされるに値する存在ではない。

 村上ファンドに代表される、ファンド(マネージャー)が自らは何も作りださない。サービスも提供しない。

 つまり、何一つ他人様の役に立つことをしているわけではなく、他の会社の株を買って、値上りしたら売って差益をあげているだけである。

 最近では、素人までが、仕事を辞めて自宅でデイトレーディング(1日の中で何度も売買を繰り返し、細かく収益を積み上げていく投機方法)をするらしい。

 それで大儲けしたお嬢ちゃんが「先生」と呼ばれ、講演会を開くと、欲に目が眩んだ連中が殺到する。



 勿論、資本主義経済であるから、株式を買ってくれる人がいなければ、株式会社が成り立たない。

 自己資本が集まらない。その意味では株式投資は「悪いこと」ではない。

 だが「投資」とは、長いスパン(期間)で行うもので、本業をほったらかしてチョコマカ売買することではない。


◆もしも、世の中皆が株に熱中したら、国は潰れる。

 

 しかし、世の中全員が、「真面目に働くのはアホくさい」といって働くのを辞め、自宅にこもって株の売買に熱中したら、大変なことになる。

 食べ物を作る人。或いは海外から輸入する人がいなくなる。売る人も株に熱中するのでいなくなる。とたんに国民は飢えてしまう。

 電気・水道・ガスがとまる。社員が全員株に熱中して仕事をしないからだ。

 投資どころか、凍死する人が続出するだろう。

 電車もバスもタクシーも姿を消す。

 医者も看護士も株の売買に熱中し、いなくなる。病気の人を手当てする人間がいない。

 大怪我をしたら最後、じっと死ぬのを待つだけだ。


◆虚構の世界に夢中になってはならぬ。

 

 このように考えると、何もモノ・サービスを作り出さないで収益だけ上げている連中は、

 世の中の大多数の人が真面目に汗水流して働いているからこそ存在できる、狡い存在であることが分かる。時代の寵児でも何でもない。

 日本人は、たった十数年前、土地への投機を繰り返していた不動産屋達、一般企業、そして彼らにカネを貸した銀行が、

 地価の暴落=バブルの崩壊とともにどういうことになったか、もう忘れてしまったのか。


◆「プロジェクトX」の日本人を思い出せ。

 

 何と言っても勤勉に働き、良質のモノやサービスを作り出す人々が日本を支えてきた。

 今も支えられている。

 これからも支えられてゆく。

 株でいくら金持ちになっても、「リヒテルが愛したピアノ」を創りあげた人々のように、

 世界の称讃を浴びることは、絶対にないだろう。


2004年12月28日(火) <インド洋津波>「日本の防波壁が首都を守った」モルディブ こういうのを「人道支援」というのでしょう。
2003年12月28日(日) 「イラン地震で自衛隊派遣、首相が検討を指示」←これは、良い事だ。
2002年12月28日(土) 天皇陛下、前立腺癌との診断。御快癒をお祈り申し上げます。 <バリ島爆弾テロ>容疑者が日本向けテロを予告 HPで

2005年12月27日(火) ものは試しで、ベルリン・フィルを聴いてみませんか?NHKBS2で大晦日まで深夜に放送。

◆本物はなかなか聴けないのです。
 

 日本は異常でして、ベルリンフィルとフィーンフィルのときには、チケットが異常に高くなり、

 それでも、この不況のさなかでも飛ぶように売れ、また、無教養な大企業が、接待用にチケットを買い占めるので、

 本当にベルリンフィルの凄さが分かる人はなかなか、コンサートに行けないのです。

 生の方が良いに決まっているけれど、テレビでも結構面白い。


◆大晦日に「ジルベスター・コンサート」をやるのですが、その2001年分を今夜12:30からNHKBS2でやります。

 

 ベルリンフィルは毎年大晦日に「ジルヴェスター・コンサート」をやります。

 ジルヴェスターというのは、4世紀のローマ法王の名前で、いろいろ逸話があって

 大晦日をジルベスターというようになったのですが、その説明はまたいずれ。

 チャンネルは、NHKのBS2です。ハイビジョンではないので、古いテレビをお使いの方でも大丈夫です。

 NHKのサイト内に、Special Programs: 2005/12, Silvesterkonzert 2000-2005というページがあって

 曲目まで詳細が載っています。

 ちなみに今夜は、2001年のジルベスター・コンサートです。


  1. 組曲 第3番 ニ長調 BWV1068 から  「ガヴォット」 ( バッハ作曲 )

  2. ディベルティメント K.334 から   「メヌエット」 ( モーツァルト作曲 )

  3. ピアノとオーケストラのためのロンド ニ長調 K.382 ( モーツァルト作曲 )

  4. 歌劇「アイーダ」 第2幕 から    〜幼い奴隷たちの踊り〜 ( ヴェルディ作曲 )

  5. スラブ舞曲 作品46第8 ( ドボルザーク作曲 )

  6. バレエ「くるみ割り人形」 から  〜花のワルツ〜 ( チャイコフスキー作曲 )

  7. 劇音楽「クオレマ」 から   〜悲しいワルツ〜 ( シベリウス作曲 )

  8. 皇帝円舞曲 ( J.シュトラウス作曲 )

  9. ガランタ舞曲 ( コダーイ作曲 )

  10. とろ火で ( ホラシオ・サルガン作曲 )

  11. ティコ・ティコ ( ゼキーニャ・アブレウ作曲 )

  12. ポルカ「雷鳴と電光」 ( J.シュトラウス作曲 )

  13. エル・フィルレーテ ( マリアーノ・モーレス作曲 )

  14. ハンガリー舞曲 第1番 ( ブラームス作曲 )


これは、すごい大サービスですよ。ポピュラー名曲ばかり



指揮は、まだ現在の音楽監督サイモンラトルではなく、ピアニストでもあり、

夭折した天才女性チェリスト、ジャクリーヌ・デュプレと結婚していたことで知られる、ダニエル・バレンボイムです。

理屈抜きで、殆ど確実に楽しいと思います。勿論録画しておいてお暇なときにご覧になっても良いでしょう。

因みに、これは音楽DVDとして売られていますが、まともに新品を買ったら3,500円ぐらいしますから、

NHKが放送してくれるのは、いいですね。


◆明日も、大晦日まで毎日やります。

 

 明日は2,002年のジルベスター・コンサートで、 ベルリン・フィルとしては、かなり珍しい。

 バーンスタイン、ガーシュウィンはじめとするアメリカ音楽ばかり。


◆バイオリンの一番前に座っているのがコンサートマスターです。

 

 ベルリンフィルのコンサートマスターは3人います。

 その一人が日本人の安永徹さんです。

 他にも最近、ビオラと第一バイオリンに日本人奏者が入りました。もの凄いことです。 是非見て下さい。


2004年12月27日(月) 「痴漢の亜細亜大5人不起訴 」警察官が現行犯逮捕して証拠不十分なのですか?
2003年12月27日(土) BSE(狂牛病)、イラク戦争、京都議定書批准拒否。米国はどこまで世界に迷惑をかければ気が済むのか?
2002年12月27日(金) 「されど我は汝らに告ぐ。汝らの仇を愛し、汝らを責むる者のために祈れ」(マタイ福音書)

2005年12月26日(月) 「ES細胞:黄教授疑惑「論文、全部ねつ造」ソウル大調査委」 耐震強度虚偽表示がまかり通っていた国も、相当恥ずかしいと思いますが。

◆記事:ES細胞:黄教授虚偽疑惑「論文、全部ねつ造」ソウル大調査委が結論 

 【ソウル堀山明子】韓国の聯合ニュースは26日、ソウル大の黄禹錫(ファンウソク)教授が米科学誌サイエンスに掲載の論文を提出した3月時点では、難病患者の体細胞でつくった胚(はい)性幹細胞(ES細胞) は存在しなかったと報じた。疑惑解明中のソウル大調査委員会が、黄教授が保管していたES細胞のDNAを分析した結果、患者のクローン胚から作ったES細胞ではなく、共同研究者の病院で保管されていた受精 卵ES細胞だったと結論付けたという。

 調査委は来年初めにも結果を発表する見通し。

 同論文は難病患者の体細胞からES細胞を効率的に作成できたと報告、難病治療の実用化への一歩として注目されたが、完全なでっち上げだったことになる。

 調査委は23日の中間調査結果発表で、論文がサイエンス誌に提出された3月15日の時点でES細胞は2個しかなく、このデータを使って11個分のデータがねつ造されたと明らかにした。この2個のDNAを調べた結果、共同研究者の盧聖一(ノソンイル)ミズメディ病院理事長が保管していた受精卵ES細胞と一致したという。毎日新聞 2005年12月26日 東京夕刊


◆コメント:ES細胞とは何か。

 

 私は勿論、専門家ではないからこんなこと書きたくないですが、世の中のWeb日記やblogで、専門家がちっとも素人向けに解説しないので、調べましたよ。

 私は、自分が本当に理解していないことは承知していますよ。

 しかし、何の情報も無いより、良いでしょう。調べたことを書き写します。完全に受け売りです。知的財産権侵害ですが、やむを得ない。

◆胚性幹細胞(ES細胞)[embryonic stem cell]

 筋肉、骨、神経、内臓、血液など生体を構成するすべての組織に分化する能力を保ったまま培養できる細胞。

 マウスで初めて報告され、1998年米国ウィスコンシン大のジェームズ・トムソン博士らがヒトのES細胞の樹立に成功して以来脚光を浴びている。

 人体は約60兆個の細胞により構成されているがこれらはもともと1個の受精卵から分裂・分化したものである。

 発生初期の受精卵の一部(内部細胞塊)を特殊な状態で培養すると、筋肉、骨、神経、消化管、血液など様々な組織に分化していくが、

 その際同時に、未熟な状態で増殖し続けるES細胞が得られる。

 これを利用して移植臓器が作成できれば、臓器不足や拒絶反応の問題を一挙に解消できるため、医療に革命をもたらす可能性がある。


◆コメント:追加的説明。

 

 私の理解によれば、従来なら臓器移植しか治療法が無いという患者が助かるためには、誰かが脳死状態にならなければならなかったわけです。

 自分が健康になるために、誰かに不幸が起きることを待つという、残酷な状況なわけですね。良心的な患者にとっては。

 その臓器をES細胞から「作り出す」ことができれば、その悩みはなくなります。

 但し、他人の受精卵の胚から作った臓器を移植すると拒絶反応が起きるのだそうです。

 ところが、患者本人の体細胞からクローン胚を作ってES細胞を取り出すことが出来れば、拒絶反応が起きないのだそうです。

 その技術を確立できたら、ノーベル賞なんでしょうね。知りませんけど。そこまでは。

 それで、ソウル大学の教授はでっちあげをやってしまったのでしょう。けど、なんか幼稚ですね。


◆確かに彼らは「インチキ」に寛容なところがある。

 

 私は、韓国人の偉大な芸術家は尊敬しますが、一般大衆は、客観的に観察して、確かに割と平気でインチキをする傾向があります。

 これは、私の偏見というよりも、経験的事実なのですよ。

 ロンドンにいた頃。彼らは何と、ゴルフでスコアを虚偽申告するので驚きました。一度や二度ではないのです。

 ゴルフのスコアは自己申告で、決して嘘はつかないという前提で成り立っているのですから、これではお話になりません。

 こういう経験が私だけなら、例外ということができるのですが、日本人は皆そういう現場を見ているのです。


◆スポーツの大会でアンフェアなことを平気でする。

 

 昨年のアテネオリンピックの時に、40歳でしたっけ?

 16年ぶりに銅メダルから銀メダルになった山本さんというアーチェリーの選手がいたでしょう?

 埼玉の高校の体育の先生をやっている人。

 齋藤孝(声を出して読みたい日本語のあの人です)氏がアテネオリンピックの直前に、山本さんのみならずいろいろな選手と対談した、

 「五輪の身体」という本のことを、昨年オリンピック直後に書きました。

 山本さんの話を読んで驚いたのですが、韓国でアーチェリーの試合があると、勿論観客は山本さんが日本人だと知っていて、

 山本さんが弓を構えて集中しなければならないときに一斉に携帯の着メロを鳴らすのだそうです。

 失敗させるために。そういうところは確かに民度が低い。


◆でもねえ・・・。日本もあんまり偉そうなことはいえないよ。

 

 ES細胞の論文でっち上げが問題ではない、とは云いません。

 しかし、残念ながら、わが国でも旧石器偽装が大問題になったことがあります。

  所謂「藤村遺跡」は全部でっち上げだった。と言う話。

  あれは素人の偽装を専門の考古学者が誰も見抜けなかったのです。

  だから、他国を嘲笑出来ない。

  そしてまた、でっち上げなら、今、正に日本中の建物の強度がでっち上げかも知れない、と大騒ぎしている最中じゃないですか。

  どうしてこんなにいい加減なことになったかといえば、建築確認を民間検査会社が行っても良い、と、

  1998年に建築基準法を改正(改悪)したからです。

  そして、なぜ改正したかというと、アメリカの圧力に屈したからです。

  それについては、12月21日に書きました。

  アメリカといえば、でっち上げの一番ひどい例はアメリカじゃないですか。


◆アメリカの大量破壊兵器でっちあげには何故怒らないのか。

 

 ついでにもう一つ。

 この日記では何百回書いたか分かりませんが、ブッシュ大統領は、イラクに大量破壊兵器が無いことを知っていながら、

 「イラクが大量破壊兵器を保有している確かな証拠」をでっちあげて、イラク戦争を始めました。

 3万人のイラク人を殺し、2千人の米国人兵士を戦死させました。

 ES細胞と戦争を始める理由。どちらのでっち上げの罪が重いでしょうか?


◆昨日の記事にメールを頂きました。

 

 面白いメールを頂戴しました。

 【引用開始】

 

 Subject(件名) エンピツフォームメール

 Date(日付) 2005/12/26 (月) 21:12:12

 From(差出人) minatomail@yahoo.co.jp

 IP : 61.213.71.202

 リモートホスト j071202.ppp.asahi-net.or.jp

 名前:およよ!? ( minatomail@yahoo.co.jp )

 件名:えぇと

 「事故の原因はまだ分からないのだ」

 また同じこと言ってる。

 「バカノヒトツオボエ」って言葉ご存知?


 【引用終わり】

 最近の人は文章を最初から最後まで読まないのかな・・・・?

 不思議です。

 こういう記事があるのですが。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051226-00000024-maip-soci
 
◆山形特急転覆 原因究明難航か「突風受けやすい構造」とも

 「再発防止と言われても、はっきり言って頭が痛い」。突風が原因とみられる羽越線の脱線・転覆事故で、関係者はそろって頭を抱える。

  気象庁やJRの風速計では、電車を徐行させるほどの風も観測していない。

 運転士は「橋を渡ったところで突風にあおられた」と証言しており、「盛り土の上の線路は風の影響を受けやすい」とする専門家も。

 原因究明と再発防止対策は難航しそうだ。(略)(毎日新聞) - 12月26日18時10分更新


 メールを下さった方は、原因が究明できたのですね、きっと。ご教示ありがとうございました。


2004年12月26日(日) 「クラシカルMIDIデータベース」という凄いサイトがある。
2003年12月26日(金) 「自衛隊を派遣するのはイラクにいる困った人を助けるため」? パレスチナやアフガン難民は何故助けなかったの?
2002年12月26日(木) はた迷惑な酒飲み

2005年12月25日(日) 「特急が脱線転覆2人死亡 33人負傷、車内になお3人」事故の原因はまだ分からないのだ。

◆記事1:特急が脱線転覆2人死亡 33人負傷、車内になお3人

 

 25日午後7時15分ごろ、山形県庄内町のJR羽越線砂越−北余目間で、

秋田発新潟行きの特急いなほ14号=鈴木高司運転士(29)、6両編成=が最上川の鉄橋を通過後、前寄り5両が脱線、うち3両が転覆した。

 山形県警は26日未明、男女2人が死亡したと発表した。

現場で他に1人の死亡を医師が確認しており、県警が確認を急いでいる。

 乗客と鈴木運転士の計33人が重軽傷を負い、病院で手当てを受けた。

 同県警によると、死亡したのは転覆した先頭車両に閉じ込められた計6人のうち2人。

 消防がほかに女性1人を救出、残る性別不明の3人の救出を急いでいる。

 庄内署の調べに、鈴木運転士は「突風で車体がふわっと浮いた」と話しており、

 同署は死傷者の身元の確認を急ぐとともに、事故の詳しい状況や原因などを調べている。

 同署によると、電車には乗客44人と鈴木運転士、車掌の計46人が乗っていたとみられる。(共同通信) - 12月26日2時43分更新


◆記事2:<特急脱線転覆>JR東日本社長らが謝罪

 

JR東日本は東京都渋谷区の本社で25日午後10時から記者会見を開き、

 小縣方樹常務取締役らが「けがをされた方が多くいる。深くおわび申し上げます」と頭を下げた。

 しかし、現場の状況については「実際にどれだけの乗客がいたのかはわからない。

 運転士もけがをしているようだが、直接連絡が取れていない」と話した。(毎日新聞) - 12月26日1時52分更新


◆コメント:今、確認出来る事実は、羽越線の列車が脱線転覆して、死傷者が出たと言うことだけだ。

 

 12月25日に列車事故が起きた。

 奇しくも、福知山線の脱線転覆事故から丁度8か月目である。



 当時、事故原因が不明なのに、マスコミ各社があまりにも横柄な態度で、

 JRを取材すると云うよりも「吊し上げ」、遺族は関係の無いJRの社員に暴力を振るった。

 私は、「事故原因が分からないのだから、責任の所在は特定出来ない」、と書き、

 短絡的に事故をJRの責任と決めつけ、国民に錯覚を起こさせたマスコミ報道を批判した。



 今回も、現時点で確かな事実は、JR東日本羽越線の列車が脱線転覆して死者、負傷者が出た、と言うことだけである。

 何故、脱線したのかは分からない。

 従って、責任の所在も不明である。

 だから、論理的には、今、JRが東日本は謝罪する必要はないのだ。

 しかし、とにかく、何でも良いから謝らなければ済まされない、という精神的風土が日本にはある。

 犠牲者が出たのは誠に気の毒だが、

 もう一度繰り返すと、「事故の原因が分かるまでは、誰の責任かは分からない」という当たり前のことを、

 いい加減、日本人は理解するべきである。



 去年も今年も皮肉なことにクリスマス前後に悲劇が起きる。

 昨年、12月26日にはスマトラ島沖大地震による津波で、数十万人の犠牲者が出て、

 いまだに特定できない死体があるという。今年はこれ以上、何も起きないことを祈る。


2004年12月25日(土) 豪雪の山古志、自力で守る…村民有志が「雪下ろし隊」内閣はイラクへの自衛隊派遣には熱心だが新潟はどうするのか。
2003年12月25日(木) 「日本の安全保障の第一に来るのは国連ではなく日米安保関係だ」(アーミテージ国務副長官)←原爆を投下した国が言うべきではない。
2002年12月25日(水) 今更ながら、アメリカの残虐性に開いた口が塞がらない。

2005年12月23日(金) コメント、メール御礼申し上げます。毎コンに関するコメント。その他音楽諸々について。

◆ご祝辞御礼

 

 もう少し早く23日のNHK教育テレビ「毎コン本選」に気が付いて、

 記事をアップすれば良かったのですが、あまりに私事なので、ためらってしまいまして、申し訳ございません。

 それにもかかわらず多くのかたから、コメント、メールを頂戴し、感激しております。

 有難うございました。


◆コメント1:毎コン全般

 

 以前は存在しなかったシステムで最近採用されたのは、順位とは別の「聴衆賞」です。

 つまり、本選を聴きに来たお客さんが「だれが一番良かったか?」を投票する。

 一番得票した演奏者には、コンクールの結果(これは専門家である審査員が決めます)とは無関係に、「聴衆賞」が与えられるのです。

 感心したのは、全ての部門で「聴衆賞」を獲得した出場者が、「これが一番嬉しい」と云っていたことです。

 専門家の意見が大事ではないということではありません。但し、もしもこの先プロになるとしたら、

 聴いてくださるお客様は、音楽の専門的訓練を受けたことがない一般の方が大部分なのです。

 「自分の演奏で、他人様を束の間でも幸せにしたい」という気持ちは、プロの演奏家になるからには、非常に大切にしなければなりません。

 演奏家の責任は重いのです。

 それは、「お客さんの時間を預かる」ということです。



 大げさに云えば、お客さんは、一生の中の2時間なら2時間を、しかもお金を払って「演奏者に預け」ているのです。

 演奏が下手だった時、お客さんが怒って、「カネ返せ!」と云ったら、それは返すことが出来ます。

 しかし、「時間」は取り返しが付かない。「こんな下手な演奏を聴くぐらいだったら、どこかで美味いものを食った方が良かった」と言われても、時間は返すことが出来ません。

 演奏家の責任が重い、とはそのことです。プロになる人はそれをよく分かっていなければいなければならないのです。

 さすがに、毎コンの本選に残るぐらいの人々は、どの楽器(声楽もありますが)の人も、私が今書いたこと。即ち「プロの何たるか」を良く分かっている。

 それが嬉しかったですね。

 当たり前と言えば当たり前なのですが、最近の若い人は幼稚だから、自分のことしか考えない。

 世間一般の平均と比べると、私の身内はともかく、他の方々はとても精神的に成熟していると思います。


◆コメント2:そうは云うものの、出場者の今までの苦労を思い、涙が止まりませんでした。

 

 くどいようですが、毎コンの本選に残る、ということは並大抵のことではありません。

 才能は必要ですが、才能だけで残れるものでは、絶対にない。大昔から音楽演奏に限らずあらゆる「芸事(パフォーマンス)」を志す人間の世界で言い継がれている言葉があります。

 「1日(練習を)休むと自分に分かる。2日休むと仲間に分かる。3日休むとお客さんに分かる」


 皆、努力しているのです。

 バイオリンなら130人ぐらい受けて、本選に残れるのはわずか4人。それだって、第2次予選の日程が一日ずれていたら、全然別の顔ぶれになっていたかも知れない。

 プロの演奏家への道。プロになってからの苦労は並大抵ではありません。

 多くの出場者が「お客さんに聴いていただけて嬉しい」と云っていました。

 そうでしょうとも。この日のために苦労してきたのです。



 バイオリン入賞の中川さんは、大舞台でオーケストラ伴奏で弾けた事自体に感激して涙ぐんでいました。

 ホルンは実に上手くなりました。

 昔は、日本人には金管は無理ではないかと思われるほどホルンはよく音を外しました。それぐらい難しい楽器なのです。

 今回の本選の1位と2位はプロです。オーケストラの仕事をしながら、コンクールの準備をした。

 1位の大野さんは、非常に難しい、リヒャルトシュトラウスの「ホルン協奏曲第2番」を音を外さないだけではなく、絶えず楽器の向き、即ち身体の向きを変え、音色を変化させていました。

 ホルンはベル(ラッパの先端、「朝顔」といいます。あの大きく広がった、開口部です)がトランペットやトロンボーンと異なり、

 普通に構えた状態で、前を向いていないのです。ベルの向きを変えることにより、曲想により色々な工夫が可能となるのです。

 声楽で1位を獲得した志田雄啓氏は、あまりにも有名なプッチーニのオペラ「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」を歌いました。

 テノール歌手でこの歌を歌いたくない人はいないでしょう。誰もがステージ上でこのアリアを歌うことを夢に描くことでしょう。

 この歌は本当にイタリア語が一言も分からなくても、聴き手の胸が苦しくなるほど、気持ちが高ぶります。

 「これぞ、テノール。これぞ、オペラ」という曲です。

 志田さんはすでに演奏歴があるわけですが、声楽の本選会に来てくれたお客さんを前にクライマックスの最高音を歌いながら、

 「この時のために、自分は歌を勉強してきたのだ」と感無量だったのではないでしょうか。

 歌い終わった後、涙を堪えている姿に、私が泣けてしまいました。

 毎年のことですが、第74回日本音楽コンクール。予選で落ちた人も含めて、全員の研鑽と栄誉を讃えたいと思います。


◆コメント3:演奏者への敬意。

 

 音楽を聴く側は、勿論お客さんなのだけれども、音楽家が幼い頃から積み重ねてきた研鑽に対する敬意を忘れてはいけないと思うのです。

 分からないことを分かったように云うのはよくありません。

 作曲家の故・芥川也寸志氏は作曲以外に著作が多いですが、さすが龍之介のご令息だけのことはあり、いずれも非常に読みやすい名文です。

 数多い著作の中に次のような一節があります。手もとに本が無いので要旨を書きます。

 

「楽器を演奏なさること。それがハーモニカであれ、ウクレレであれ、ヴァイオリンであれ、ピアノであれ、そして演奏が玄人はだしであれ、たとえ、お話にならないぐらいヘタクソであれ、楽器を演奏なさることこそ、音楽を理解するための近道です」



 もちろん、世の中には生まれついた時代や、環境があるから、全ての人が楽器を習うわけにはいかない。そんなことは芥川さんも理解しているのです。

 但し、確かに楽器を習ってみると、楽器を人に聴かせることが出来るぐらいまで上手くなる、ということが、如何に難しいかがわかりますよ、という意味です。



 私は学生時代から下手なトランペット吹きですが、大人になってからどうしてもオーケストラの心臓部たる弦楽器、

 しかも、楽器の中の楽器、バイオリンを習ってみたくなり、26歳から習い始めました。

 最初は鈴木・メソッドに通いました。鈴木メソッドの最初の曲は「キラキラ星変奏曲」というのですが、まず、音を出すまでが大変です。

 バイオリンは構え方がなかなか決まらないのです。

 プロは子供の頃から毎日やっているので、曲が始まる寸前に、ごく自然にスッと構えますが、初めてのものには、腹が立つほど難しい。

 基本的にバイオリンは肩に「置く」のであり、それを多少アゴで押さえるだけなのですが、初心者は例外なく、アゴ、つまりクビにもの凄く無駄な力を入れるのです。

 身体の一カ所でも無駄な力が入っていると、全体に影響が出て、音を出す(弓を持つ)右手が自由に動かず、弦を押さえる左腕の角度が不自然になります。

 それを何とかクリアして初めて音を出すのです。

 ただ、バイオリンの初心者が出す音をよく「のこぎりの目立て」といい、聴くに堪えない雑音になるようにいいますが、あれは、嘘でした。

 余程勘が悪くなければ、弓を早く動かしていないときに、弓の圧力を高めれば、のこぎりの目立てになることは、感覚的にすぐに分かります。

 しかし、まだまだ、難関が山積みです。

 バイオリン奏者がまるで自然に行っていること。「弓を直線的に上下運動させること」が至難の業です。

 あれは、何も滑り止めなどないのです。

 初心者は、弓と弦が接する位置が駒よりになったり、逆に指板(「しばん」と読みます。弦を押さえる黒い部分です)の方に流れます。

 バイオリニストの美しいボーイング(弓使い)は練習で獲得したものなのです。

 それに左手。ご存じの通り、オーケストラの弦楽器(バイオリン・ビオラ・チェロ・コントラバス)の指板にはギターのようなフレット(弦を区切る出っ張り)がありません。

 ただひたすら繰り返し繰り返し練習して、正しい音程が出る位置に指をもっていけるようにするのです。

 それは、もう、気の遠くなるほど大変なことです。1ミリ、押さえる場所がずれたら、完全に間違った音程であることが、ばれます。

 それ以前に僅かな音程の狂いでも認識出来る「耳」が無いとお話になりません。弦楽器はそういうわけで実に難しいことがわかりました。

 それが分かっただけでも、私には収穫でした。

 みなさんは、何もバイオリンを習わなくてもいいですが、想像してみてください。

 例えば、学校で習ったリコーダー。あれは、立派な独奏楽器でテレマンやヘンデルがソナタを書いているのですが、それはここでは、割愛します。

 貴方があのリコーダーを「ステージ上で」、「スポットライトを浴び」、「1000人のお客さんの前で」、「ただ一人で」、

「ドーレーミーファーソーラーシードー」とそれだけでいいです。吹くことになった、と想像してみてください。

 曲を吹くのではありません。1オクターブの音階を吹くだけです。

 それでも、大抵の人は、絶対に間違えるか、音がひっくり返るか、音が震えることでしょう。

 プロはその1,000倍も難しいことを毎回、演っているのです。

 このような経験・または想像をしてみると、「○○管弦楽団は弦が甘い(弦楽器セクションが上手くない、という意味です)とか、

 「管が鳴っていない」とか分かったようなことを、簡単に口に出来なくなります。



 無論、プロにも上手い下手はありますし、お客さんはお客さんですから感想を述べて構わないのは当然ですが、

ときどき立ち止まって、今、私が書いたようななことを思い出すのも必要だと思います。

「『ハ長調とト長調』の違いも分からないのに、知ったかぶりをするのはあまり感心できない」と云っても、特に傲慢な思想だとは思いません。


◆コメント4:バイオリン。
 

 昨日の教育テレビはは毎コンのダイジェスト版でしたが、NHKBS2では12月中旬から、本選会全部門・全員の演奏を全曲(カット無しで)放送していたのです。

 しかし、これはあまりにもマニアックですので、書きませんでした。

 バイオリンの本選はシベリウスかバルトークの協奏曲でした。優勝した芸大の男性は、無茶苦茶上手いですね。もうプロですね。

 バイオリンというのは不思議なもので、現代科学の粋をもってしても、300年も昔にイタリアの天才バイオリン職人が作った、

 ストラディバリウスや、ガルネリウス、ガダニーニ、アマティと同じぐらい良い音がする楽器を作ることが出来ないのです。

 バイオリンの音というのは、人の心を惑わす、妖しさを持っています。

 官能性というと誤解を招くかも知れませんが、間違いではない。

 どの楽器の演奏者、学生も「美しい」音を目指すのは当然ですが、バイオリンはこの「妖しさ」が出てこないとダメだと思います。


◆コメント5:シベリウスはバイオリニストでした。

 

 シベリウスは「フィンランディア」(あまりに有名ですがやはり名曲だと思います。但しトランペット吹きの私は出来れば避けたい。あの「タッタ・タカタカ・タ・タッタ」というフレーズはテンポが中途半端でタンギングしにくいのです。私が下手な所為ですけど)で有名ですが、本当はバイオリニストになりたかったのです。

 しかし、致命的な欠点がありました。シベリウスはひどい「アガリ症」だったのです。

 練習の時には上手いのですが、試験の時(音楽の学生の試験とは即ち実技=演奏です)とか、リサイタルとか、「ここ一番」というときに上手く弾けない。

 これでは、演奏家にはなれません。

 この「あがり症」を克服できずに演奏者になることを断念した人が、一体、古今東西、どれほどいることでしょう

 (だからと言って、楽器を続ける資格が無い、などというつもりは毛頭ありません。趣味で楽しめば良いのです)。



 それでシベリウスは作曲家になったのですが、言うまでもないことながら、バイオリニストとしてダメな人が、必ずしも作曲の才能があるわけではない。

 演奏が上手い人でも作曲となると別です。演奏することと、作曲するのとは全く別の才能です。どちらの才能も世の中には必要です。

 幸い、シベリウスには作曲に関して天賦の才が備わっていたのですね。

 バイオリニストが作曲するとバイオリン曲がどうしても多くなりますが(パガニーニとかね)、シベリウスの場合は表現手段として「オーケストラ」を選びました。

 勿論、他の分野もありますけど、彼の名作の殆どはオーケストラが関係する作品です。

 交響曲は特に第2番が有名です。


◆コメント6:シベリウスのバイオリン協奏曲、その他バイオリンと言えばこれ、という名盤。

 

 教科書風に書くと、3大バイオリン協奏曲はベートーベン・メンデルスゾーン・ブラームスです。

この中でブラームスは名曲には違いないけれども、なにしろクソ真面目な人なので、音楽がちょっと重苦しいです。

 一度魅力が分かればいいのですが、最初はチャイコフスキーのバイオリン協奏曲の方が取っつきやすいです。

 「大作曲家」の殆ど全てがバイオリン協奏曲を書いています。

やはりバイオリンは、「人の心を惑わす」つまり「この楽器で良い音楽を書いてみたい」という、作曲家の創作意欲を刺激する「妖しさ」を持っているのだと思います。

 私の親戚の娘が弾いた「シベリウスのバイオリン協奏曲」は3大バイオリン協奏曲から見ると少し傍流ということになりますが、私は非常な名曲だと思います。

 聴いていると、不思議な「懐かしさ」「郷愁」のような感情がこみ上げてきます。

 ごく一般的にいって、北欧の作曲家の作品にはそういう面がある。

 但し、シベリウスの協奏曲は、技術的には大変難しいそうです。

 自分がヴァイオリニストで、なまじ分かるので、難しく書いちゃったのですね。


◆コメント7:ハイフェッツ

 

 さて、シベリウスのバイオリン協奏曲のCDは数え切れないほどあります。

 パールマン、諏訪内晶子さん、五嶋みどりさん、変人というか個性派のクレーメル。

 それぞれ良いのですが、やはりダントツの名人による名演はバイオリンの場合、ハイフェッツです。

 もう一人オイストラフという人がいますが、ここではハイフェッツに絞ります。

 ハイフェッツによるシベリウス:VN協奏曲はお薦めです。

 お薦めなんですが、他にプロコフィエフとか録れてありまして、ちょっと退屈してくる可能性があるのです。

 しかし、バイオリンでハイフェッツといったら、いまだに神様なのです。これこそ百年に一人の天才です。

 本当のバイオリンってのはこういうもんだ!というCDを御紹介します。

 小品集。ツィゴイネルワイゼン〜ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリンです。

 ツィゴイネルワイゼンを弾く、と言うだけなら、日本人だって、毎コンに出るような子たちは、小学生の時に弾けています。

 それぐらい日本のレベルは高いのです。

 しかし、弾けばいいってものじゃない。

 ツィゴイネルワイゼンはとかく「バイオリニストがテクニックを見せびらかすためだけの曲」「クラシック入門用ポピュラー名曲」の扱いを受けます。

 テクニックだけ達者だけど、中身のない、音楽性の無いバイオリン弾きが演奏すると、確かにそうなります。

 ハイフェッツのすごいのは、もの凄いテクニックと、音楽性・芸術性が共存しているところです。

 だからこそ、とっくの昔に亡くなったのにいまだに、皆が聴くのです。

 シベリウスの協奏曲はさておき、この小品集は永遠の名盤です。お薦めです。


2004年12月23日(木) 「モスルの米・イラク軍共同基地に攻撃、22人死亡」ファルージャ総攻撃でテロリストを掃討したんじゃないの?
2003年12月23日(火) 「イラク派遣隊員に心のケア 防衛庁、PTSDの治療体制も」こういうのを「マッチポンブ」というのだ。
2002年12月23日(月) マイナス思考を正す、「認知療法」

2005年12月22日(木) 今日、毎コン本選会の模様を午前10時から教育テレビで放送します。

◆他人様(ひとさま)の情けの有難さ。

 

 私は、天下国家について書くときは、大抵、その日のテーマがスパッと決まるのですが、私事になると、どうしても迷います。

 今日は、グダグダと迷っていたら、日付がとっくに変っていました。

 約2週間前に、私事で恐縮ながら、「たまには良いことがあるものだ。」という話と題する一文を書きました。

 私の身内の子が、毎コンバイオリン部門で比較的上位に入賞し、

 その後、驚くべき事が起きて大変驚き、嬉しく思っているという、完全に私事を綴ったものであります。

 あまり感心しないな、と思いつつ書いたのですが、その後、多くの読者の皆様から思いがけないほど、ご祝辞を賜り、恐縮すると共に感激いたしました。

 Web上の赤の他人に、わざわざ時間を割いてメールやコメントを書いてくださった皆様方の優しさに目頭が熱くなりました。

 皆様にはメールでお返事を差し上げましたが、今一度、御礼申し上げます。


◆今日、12月23日(金)午前10時よりNHK教育テレビで、「毎コン本選会」の放送があります。

 

 毎年恒例なのですが、毎コンの本選はNHKが録画して、暫く経ってから放送するのです。

 第74回日本音楽コンクール本選会です。(10時のところまでスクロールしてください)

 


  •  ピアノ部門 −

  •  バイオリン部門 −

  •  作曲部門(室内楽曲) −

  •  ホルン部門 −

  •  声楽部門(オペラ・アリア) −

  •  チェロ部門 −


 の順番で放送するようです。

 こうなったら、書きます。

 私の身内というのは、バイオリン部門で2位になった娘です(私の子供ではありません。親戚です)。

 まだまだ、未熟ですが、もし、良ければ聴いてやってください。

 勿論、他の入賞者の方々も、各部門で毎コンの本選に残るということは、血の滲むような努力をしているわけです。
 是非聴いてみてください。青春の生命の輝き。音楽への情熱に、胸が熱くなります。
 
 ところで、このコンクールのあと、バイオリンで入賞した本人は、至ってケロッとしているのですが、

 私は、前回、日記に書いた後もいまだに、脳の一部が興奮状態なのです。

 本人があまりにも、のほほんとしているので、私は気が気じゃないのですが、自分の子供ではありませんから、

 ああせい、こうせい、と言うわけにも参りません。

 このような小心者の私には、とてもプロの演奏家など無理な訳だと改めて合点がいきました。

 全然、個人的なことですね。どうも今日は頭がそちらの方向にしか働かないので、思い切って、書いてしまいました。

 いつも、ひどい文章を書いていますが、今日はそれに輪をかけた、駄文です。

 今日だけ、何卒、ご容赦のほど。


2004年12月22日(水) 「イラク訪問、将来いつか」 自衛隊派遣期間延長の記者会見では、安全だといっていましたね?
2003年12月22日(月) <米テロ警戒>「高い脅威」のオレンジにレベル引き上げ←知らねえよ。てめえが蒔いた種だろ
2002年12月22日(日) 今日は冬至。因みに、季節性うつ病というものがある。

2005年12月21日(水) 「今日の出来事」(日テレ)「東京直下型地震が起きたら」←今、こういうニュースを流さなくても良いと思うのです。

◆伝えても仕方がないニュースで、徒に不安を煽るな。

 

 先週はTBS、今日は日本テレビ系列のニュースで、「東京直下型地震が起きる可能性が高い。その時の被害はどうなるか」、をご丁寧にCGまで用いて、生々しく説明してくれた。

 東京付近で大地震(因みに、テレビのアナウンサーは必ず「おおじしん」と読むのですね)が発生した場合、

 1万1千人が死亡し(そんなものじゃ済まないだろうと思うのだが・・・)400万人が被災者(家が倒壊するとか、火災で焼失するとか)になるのだそうだ。

 大地震が遅かれ早かれ首都を襲うであろうことは、常識である。

 しかし、何時起きるか、現在の科学では、正確に予想出来ないのだから、厳密には「防災」という言葉は殆ど無意味である。


◆防災と云っても、結局「運」次第。

 

 あまりにも当たり前だが、地震が起きて生きのびるか、死ぬかは、運次第だ。

 運が良ければ助かる。悪ければ死ぬ。

 運の悪いことに、エレベーターに閉じこめられ、そのビルで火災が発生し、エレベータから脱出出来ずに、

 蒸し焼きになる人もいるだろう(勿論、それは、私かも知れない)。

 家屋の下敷きになって、圧死する人もいるだろう。

 水道管が破裂し、地下鉄を大量の水が襲い、溺死する人もいるだろう。



 そんなことは分かっている。

 分かってはいるが、どうしようもない。

 何時起きるか分からない地震を恐れて、学校にも会社にも行かず、自宅に頑丈なシェルターみたいなものを作って(作れる人は限られますね)、

 地震が起きるまで、一歩も外に出ないという訳にはいかないでしょ? 

 地震対策に非常食とか水とか、懐中電灯とか云っても、自宅にいる時に地震が起きるとは限らない。

 我々は、それでも仕方がないから肚をくくって生きている。

 そういう市民の不安を徒(いたずら)に煽るべきではない。



 おどろおどろしい音楽をならし、わざとらしく不気味なトーンでナレーターが原稿を読む。

 何故、こういう事をするのか?

 「数字(視聴率)が取れれば何をしても良い。」それが民放の行動規範だからである。

 話が逸れるが、何でも「民で出来ることは民で」、といい、NHKを民営化するなどという案が出ているが、とんでもない話である。


◆どうして、欠陥住宅が問題になっているときに、どうしようもない情報を強調するんだ?

 

 間(ま)が悪い、と言う言葉がある。今、「大地震の恐怖を伝える」、という行為がまさにそれだ。

 建築物の強度偽造問題で、みんなが思っているのは、これは、姉歯建築士や木村建設、ヒューザー、総研だけの問題ではなくて、

 日本中至る所で同様の手抜きが行われているのではないか、ということだ。

 建築業界、土木業界の構造的な問題ではないか、ということだ。

 多分、そうだろう。パンドラの箱を開けてしまったのだろう。日本中欠陥住宅だらけなのだろう。

 これについて、取り上げるべき事があるだろう。


◆建築基準法改正は、アメリカの年次要望書に従った結果だと知っていますか?

 

アメリカの年次要望書のことは過去に何度か触れた。

 「拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる」という本を読めば、一層良く分かる。

 要するに、

「建築基準法の改正や半世紀ぶりの商法大改正、公正取引委員会の規制強化、弁護士業の自由化や様々な司法改革…。これらはすべてアメリカ政府が彼らの国益のために日本政府に要求して実現させたもので、アメリカの公文書には実に率直にそう明記されている。」



 と、要約される。



 地震はどうしようもない。

 だが、アメリカの言いなりになって建築基準法を変えたのは、云うまでもなく、人間の意思に基づいている。

 具体的には、日本の政治家の責任だ。

 テレビ屋さんは、どうせニュースにするなら、追及する意味のあることをテーマにしていただきたい。


2004年12月21日(火) 「ガサ入れ注意」メモ押収=元副頭取が会議で発言−UFJ検査妨害・東京地検 これ、国家公務員法の守秘義務違反では?
2003年12月21日(日) 「『サマワは比較的安全』 会見で神崎氏」←2時間の滞在で何が分かるのだ?

2005年12月20日(火) 「第九」シーズン真っ最中ですね。お薦めがあります。

◆ベートーベン作曲「交響曲第九番、ニ短調、作品125、「合唱付き」

 

 日本の年末は、普段クラシックへ行かない人も、第九は行くという方が多いですね。

 昨日も、今日も、明日も、東京は勿論日本の色々な場所で演奏されています。

 普段、クラシックは人気が無いですから、日本の殆どのオーケストラは、この「第九」で何とか食べているようなものなのです。

 だから皆さん今からでも遅くないからどんどんコンサートに行ってあげてください。

 第九に関する限り、日本のオーケストラは世界で一番上手いというか少なくとも慣れているかも知れません。

 そして、とにかく作品自体が素晴らしいので、極端にいえば、少々演奏技術が劣っても、感激します。うるさくオーケストラを選ぶ必要がありません。


◆ベテラン・オーケストラプレイヤーでも緊張するそうです。

 

 オーケストラの人は毎年5回も6回もやって、ベテランはそれを何十年も続けているわけですから、段々緊張が無くならないかと思いますが、

 それは、素人考えで、先日紹介した「バイオリニストは肩が凝る」によれば、著者であり、N響で30年もファースト・ヴァイオリンを弾いている鶴我さんですら未だに緊張するのだそうです。

 そもそも、難しいので、たるんでいられないのだそうです。難しいというのは、単純に技術的な事だけではないとおもいますが。


◆ベートーベンの作品におけるティンパニ

 

 モーツァルトまでは、ティンパニはあくまで「添え物」というか、

 アクセントを強調したいときにトランペットや、バス(チェロ、コントラバス、ファゴットなど)と同じタイミングで音を出すだけでした。

 ベートーベンの交響曲を聴くと、彼がこの楽器の表現力にかなり期待していたことが分かります。

 早い時期から、モーツァルトまでとは違う使い方をしている。

 ティンパニは太鼓の中で唯一音程を取れる楽器ですが、モーツァルトまでは2個しか使われず、

 高い方が主音(長調ならド、短調ならラ)、低い方が属音(長調ならソ、短調ならミ)と決まっていました。

 殆ど例外がありません。


◆第九は第2楽章のティンパニの連打をよく見て、聴いてください。

 

 第九は、他にも聞き所は沢山ありますが、これが一番分かりやすいので、今回は特にティンパニを取り上げます。

 ベートーベンの作品においても、ティンパニは2個で、7番までは原則「ド」と「ソ」なのですが使い方がモーツァルトと明らかに違うのです。

 ベートーベンはティンパニをソロ楽器として使った初めての作曲家ではないかとおもいます。

 ベートーベンのバイオリン協奏曲はティンパニのソロで始まります。

 交響曲だけでも1番の終楽章、5番「運命」の第3楽章から終楽章への移行部分に、ティンパニ・ソロと言える箇所があります。

 そして第9の第2楽章では、完全にソロで演奏する部分が登場します。

 ベートーベンは、ティンパニの常識を破り、F(ファ)のオクターブに調律させています

(本当は実験的に交響曲第8番の終楽章でもF-Fのオクターブを使っています。これが最初です)。

 これから第九を聴かれる方は、第2楽章のティンパニをよく聴いて、

 奏者のバチ(ティンパニのバチは「マレット」といいます)さばきを見て下さい。鮮やかなものです。

 そして、小気味よいアクセントと、聴いている、私たちの腹にズシンと響く低音の快さを堪能して下さい。

 「ティンパニ、やってみたい」という気持ちになる方が多いと思います。


◆お薦めCD

 

 第九のコンサートに行きたいけど行けない。或いは何だか面倒くさいと言う方のためにお薦めCDを紹介します。

 これは、簡単なのです。

 第九と云ったら、フルトヴェングラー指揮・バイロイト祝祭劇場管弦楽団と、決まっているのです。

 あまりにも有名であるが故に、Amazonのカスタマーレビューで、何だかんだ文句を言って

 ★を一つか二つしか付けていない坊やがいますが、

 若いときは、こういうことを云いたくなるものです。まあ、それもいいでしょう。

 色々云っても結局、歴史的名演であると云わざるを得ないと思います。

 CDはソニーとフィリップスが開発したものですが、記録時間を74分に決めたのは、

 このフルトヴェングラー、バイロイトの「第九」を一枚に収められるかというのが、基準だったという話があります。

 この逸話には異論もあるようなのですが、いずれにせよ、それぐらい、重視されている名演だと云うことです。


◆第九交響曲の最後の部分です。

 

 これが、オーケストラのスコア(総譜)です。作曲家や指揮者になりたいという人は、

 こういうのを見て、音楽が頭の中で鳴るのです。それが出来ないと話にならない。

 素人は無論、そんなこと出来なくて構いません。




 一番最後のページを見てみます。




 オーケストラ全員がプレスティッシモ(極めて早く)で、オークターブの音型を繰り返します。

 ティンパニは6連符が印象的です。

 さて、一番最後の小節はどうなっているでしょう?

 休符です。音を出さない、という記号です。それが全ての楽器に付いている。

 こう言うのを総休止(ゲネラル・パウゼ。GPと略します)といいます。

 第9の一番最後は、静寂なのです。

 尤も、この交響曲では、一楽章から三楽章の最後の小節も同様です。


◆音が鳴っているところだけが「音楽」ではないのです。

 

ベートーベンはフォルティッシモの最後の音が鳴った後の静寂を含めて「音楽」と見なしていることが分かります。

「音が鳴っているところだけが音楽ではない」ということです。

 ところが、第九のコンサートへ行くと、ほぼ100パーセント、この休符は無視されてしまいます。

 最後の「音」が鳴り終わるか終わらないか、と言うタイミングで、すごい大声で「ブラボー」が飛びます。

 ベートーベンはあまり嬉しくないかもしれません。

 その意味では、独りでCDを聴くのも悪くないと思います。

 フルトヴェングラーは、紛れもなく20世紀の大指揮者です。好みは勿論あります。

 昔のクラシックファンは、フルトベングラー派ともうひとりの大指揮者、トスカニーニ派がいました。

 今は、このような本物の大家がいないのです。

 歴史に名を刻む「巨匠」は何十年とか百年に一人出るか出ないか、というものです。

 だからこそ「巨匠」なのですね。


2004年12月20日(月) 正月ぐらい、日本全体が休んだらどうだろうか。
2003年12月20日(土) 「アルカイダ副官とみられる男、テープで米本土攻撃を示唆」次は日本ですよ。東京だけじゃない。覚悟はできてますね?
2002年12月20日(金) 米国も国連の査察を受けるべきではないだろうか??

2005年12月19日(月) プロのプロたる所以。

◆ショパンコンクール出場者の練習風景

 

 今年は、ショパンコンクールで、日本人が上位に入賞して誠に喜ばしい。

 ずっと以前、日本人ばかりではなく、各国出場者の、予備選考から本選までの様子を記録したドキュメンタリーをNHKが放送したことがあった。

 本選まで残った出場者が、実際に本選が行われるコンサートホールのステージで練習する時間を与えられていた。

 ここまで来たら、通し(全曲始めから終わりまで弾くこと)かな、と思ったのが、さすが素人の私の浅はかさであった。

 そのピアニストは、まず、右手だけで弾き、次に左手だけをさらった。



 ピアノの初心者は必ずそのような練習をするように先生が指導する。

 但し、これは、まだ片手ずつでも満足に弾けないからだ。右、左それぞれが弾けないのに、両手で弾けるということはあり得ない。

 これに対して、ショパンコンクールの出場者は次元が違う。

 彼らは当然、両手で全く違う動きが出来る。信じられないほど難しいことが出来る。

 ショパンコンクールに出なくても弾ける人は沢山いるけれども、ショパンのよく知られた名曲に「幻想即興曲」というのがある。

 Fantaisie-impromptu(ファンタジア・アンプロンプチュ。カタカナで覚えておくと、知ったかぶりが出来て具合が良い)。

 この曲は、手元に楽譜が無いまま書くので不正確かも知れぬが、左手が6連符を1小節で2回弾くあいだに、右手は15個の16分音符を弾く。左手が12、右手が15。

 人間は随分難しいことが出来るものだと思うが、一度習得してしまうと、左手も右手も殆ど自動的に動いてしまうのだ。また、それぐらいになるまで練習しなければいけないのだが、それに慣れすぎると、 一つ一つの音を意識しなくなる。すると、片手ずつ弾けと言われた場合、特に、左手が弾けないことがある。これでは、本当に弾いているとは言えない。

 だから、ショパンコンクールに出るような名人ですら、基本に戻って練習するのだけれども、私はこの番組で、ショパンコンクール本選出場者ともあろう人々がこの地道な練習をしているのを知り、驚き、 感動した。


◆第一線の同時通訳者が毎日読んでいるのは、Daily Yomiuriだった。

 

 英語が好きな人は意外と多いが、こういう人々は、少し上達すると、TimeとNewsweekとどちらが良いか(私はどちらもつまらない)、はたまた、英国のThe Economistか、 などという話題を持ち出して、得意そうな顔をするものだ。

 ところが、私はあるとき、現在、国際会議や、NHKのニュースなど、第一線で活躍する超一流の同時通訳者が、「私はいつもDaily Yomiuri(読売新聞の英語版)が最も役に立つと思っている」と書いておられて、驚いた。

 日本で起きている、最も新しい出来事、新しく話題になった言葉を英語でどのように表現するかを知るためには、日本で発行されている英字新聞が一番だし、Timeみたいなややこしい言い回しより、Daily  Yomiuriの簡潔な表現の方が参考になると言う。

 また、この通訳者は英英辞典を使うことはなく、使う辞書は殆ど英和と和英だという。

 英英辞典をすすめる人は多い。知らない単語を英語の説明で理解すると、如何にも語学力が付いた気分になる。

 しかし、それでは日本語ではどういう意味だと訊かれて答えられないようでは通訳にならないのである。


◆司馬遼太郎さんは、未知の分野について書くときは、まず、子供用の入門書を読んだ。

 

 これは、エッセイ集「風塵抄」に載っているのでご存じの方もあろう。

 「菜の花の沖」(高田屋嘉兵衛の物語)を書くとき、船舶・航海術などの知識が必要だったが、司馬さんは全然知らなかった。

 そういうとき、司馬さんは、子供向けに書かれた入門書を、まず読むのだそうだ。

 司馬さんによれば、子供向けの本はその時の一流の学者が書いていることが多く、そういう人は本当に分かっているから、難しいことが実に平易かつ明快に書かれているので、とても勉強になると言う。


◆一流のプロに共通すること

 

 以上の例から分かるように、それぞれの仕事は違うが、一流のプロというのは、常人が驚くぐらい、基礎を大事にするのである。

 これらの人々が到達した境地にはとても及ばないが、方法自体は真似できる。実際便利だ。

 ピアノはともかく、 例えばネットで何か調べたいときは、Yahoo!キッズがいい。

 文化系の私には特に科学的な情報が平易に書かれているのが大変有難い。


2004年12月19日(日) 「目を閉じたまま音楽を聴くほど、馬鹿げたことはない」 (ストラヴィンスキー) 第九の季節ですね。
2003年12月19日(金) <自衛隊派遣>空自に命令 本隊は首相承認経て1月下旬に ←反対。日本が戦争をしてはいけない。
2002年12月19日(木) 全ては幻想である。

2005年12月17日(土) 「浅田真央のトリノ出場 会長、改めて否定−−国際スケート連盟」ガイジンに対してはここで黙ってはダメなのだ。

◆記事1:浅田真央:女王に圧勝!“真の世界一”

 

 世界の女王は真央だ!フィギュアスケートのGPファイナルは17日、国立代々木競技場で各種目のフリーを行い、女子は浅田真央(15=グランプリ東海ク)が125・24点の自己ベストをマークしてショートプログラム(SP)に続いて1位となり、合計189・62点で優勝した。

 GPファイナルでの日本勢の優勝は03年の村主章枝(24=avex)以来、史上2人目。トリノ五輪金メダル最有力候補のイリーナ・スルツカヤ(26=ロシア)に8・14点の大差をつけての圧勝で、浅田の五輪出場を否定した国際スケート連盟(ISU)に強烈なパンチを見舞う演技となった。

 最後のポーズを決めた浅田の表情に会心の笑みが浮かんだ。誘われるように客席から拍手が降り注ぐ。ただの拍手ではない。鳥肌の立つ感動をそのまま両手に込めたような拍手だ。次々と立ち上がる。総立ちのスタンディングオベーションが、すでに浅田が世界一の座にいることを証明していた。

 得点が表示されるとうっすらと涙が浮かんだ。「びっくりしたのと、うれしいのと…。いっぱいです」。15歳の精いっぱいの言葉で浅田は感動を表現した。「きょうは100点」。前日の99点が満点に変わった。言葉通り、世界女王にふさわしい完ぺきな演技だった。

 7つのジャンプをすべて成功させた。1カ月前から宣言していたトリプルアクセル(3回転半)を2度盛り込むとの約束は「(直前の)スルツカヤさんの時に少し不安になったので(山田)先生に言って1回にした」と言う。成功していれば女子では世界初、しかも1回はコンビネーションを予定していただけに、二重の世界初だった。快挙は「次の目標」にお預けとなったが、優勝は逆に強さを際立たせた。

 この日の大会前、ISUのチンクワンタ会長はあらためて浅田のトリノ五輪出場を否定した。ルールはルール。正論をタテに、イタリア人会長はかたくなだった。だが、02年ソルトレークシティー五輪2位、世界記録保持者、昨シーズンの世界選手権女王と数々の肩書を誇るスルツカヤを下した演技は、同会長の目にどう映ったのだろう。同国にはコストナーというトリノ五輪メダル候補もいる。自国での五輪を色あせたものにしかねない決断を、浅田の演技が真っ向から否定した会心の優勝だった。

 「スルツカヤさんに勝てるとは思わなかったのでびっくりしています。前と変わらず、トリノ五輪には少し出たい気持ちがあるけど、(2010年の)バンクーバー五輪で頑張りたい」。わずか87日、規定より生まれた日が遅かっただけの浅田に、世界最高の実力を世界最高の舞台で披露する機会は失われた。それでも色あせない実力を、代々木の総立ちの観衆が称えていた。スポーツニッポン 2005年12月18日


◆記事2:浅田真央のトリノ出場 会長、改めて否定−−国際スケート連盟

 

 国際スケート連盟(ISU)のオッタビオ・チンクアンタ会長は17日、東京・代々木第1体育館で会見し、ISUの年齢制限規定のためトリノ冬季五輪出場資格のない浅田真央(グランプリ東海ク)について「ルールはルールであり、(出場は)総会で規則改正されない限り認められない」と述べ、特例措置などによる同五輪出場の可能性を改めて否定した。
 ISUの年齢制限規定では、五輪前年の7月1日時点で15歳となっていることが五輪と世界選手権の出場資格の条件であるため、9月25日に15歳になった浅田真は約3カ月届かない。
 同会長は「個人的には五輪で見たいと思うが、会長としては別。規則は医学的見地から定められたもので、技術的見地からではない」と説明。日本スケート連盟から出場の嘆願申請がないことを述べたうえで、「日本連盟から申請があり、それを受けて理事会が総会を開くと決めれば総会を開くが、私から働きかけはしない。理事会は一選手の利益にかかわることでは動かない」と強調した。

 浅田真は東京で開催中のグランプリ(GP)ファイナルに出場。16日のショートプログラム(SP)では、3月の世界選手権覇者のイリーナ・スルツカヤらを抑えて首位。17日午後、初優勝をかけてフリーの演技に臨む。毎日新聞 2005年12月17日 東京夕刊


◆コメント:浅田選手が「演技者」として桁外れの天分を持っていることは間違いない。

 

 普段、フィギュアスケートなぞに関心が全く無い私ですら、若干15歳の浅田真央選手の演技を見て、彼女には演技者として人を惹きつける「天賦の才」があることは、良く分かった。

 更に、私はスケーティングに関して技術的な知識は皆無であるけれども、あらゆる分野における「名人」の共通点を、彼女は持っている。

 それは、「難しいことを、さも、たやすい事の如くやってのける」ということである。

 ジャンプにおける安定性。見ていて浅田さんがスッテンコロリンと転びそうな気がしない。この安心感。

 ジャンプの難しさは私自身は「身体で」知ることは出来ないが、他の選手を見れば、容易に推察出来る。

 殆どの選手は、あれだけ子供の頃から十数年も毎日々々、何時間も、或いは十何時間も練習しているのにも関わらず、しかも、昨日の様な大会に出るのは、それまで勝ち抜いてきた、それなりの天分を持つ選手なのであるのにも関わらず、多くが本番で失敗する。

 それだけ難しいことを、浅田選手は「簡単そうに」演ってみせる。

 これこそ「名人」たる証である。


◆外人に対しては、黙っていてはダメなのだ。パワー全開の自己主張をしなければ。

 

 オリンピックに出るためには、オリンピック前年の7月1日時点で15歳になっていなければならない。

 ところが、浅田真央選手は9月25日に15歳になった。よって、来年のオリンピックに出場する資格は無いし、これを帰るつもりはない、と国際スケート連盟会長は云っている。

 日本のスケート連盟は何も云わないつもりらしいが、ダメだそんなことでは。




 外人に対しては「黙ったら、承諾したことになる」のだ。西洋人の文化は徹底した自己主張の文化であり、例え論理が多少無茶でも、強引すぎるほどアピールしなければダメだ。

 記事2をよく読んでいただきたい。

 国際スケート連盟会長自身、云っているではないか。「個人的には五輪で見たいと思うが」、また、 「日本連盟から申請があり、それを受けて理事会が総会を開くと決めれば総会を開くが、私から働きかけはしない。理事会は一選手の利益にかかわることでは動かない」と。

 この意味が分からないのか?

 会長は、「可能性はまだある」、とほのめかしているのである。

 ここで、黙って引き下がれば、国際スケート連盟が同情して特例を認めてくれるかも知れないというのは、日本人の発想だ。

 くどいようだが、西洋人はこちらが黙っていたら、accept(承諾する)した、と見なすのである。以心伝心、行間を読む、気持ちを察するという精神構造は彼らに通用しない。


◆オリンピックだってしょっちゅうルールを変更している。

 

 国際スケート連盟会長は「ルールはルール」だという。常識的には、そうだ。

 しかし、スケートだけではなく、オリンピック全体を見た場合、ルールや競技種目の変更が実に頻繁に行われている。

 例えば、夏のオリンピックでロンドン大会では野球が無くなる。 野球はイギリス人の国技、クリケットが変形したものだと言われており、イギリス人は野球をやらない。野球はイギリス人の軽蔑するアメリカが発明し、世界的とは言えないが、元祖クリケットよりは世界の競技人口が多い。これがイギリス人には気に入らない。だから廃止にしたのだ。

 スケート競技内のルールとは違うが、スポーツのルールなどというのは、その程度の悪く云えば「いい加減な」、普通に云えば「流動的な」ものなのだ。


◆年齢制限は医学的見地に基づくと云うが、「人間の成長には個体差があり、一律に適用すべきでない。」と言えばよい。

 

 国際スケート連盟会長は「(年齢に関する)規則は医学的見地から定められたもので、技術的見地からではない」という。

 なるほど。それならば、次のように反論するが良い。

 「云うまでもなく人間の成長には個体差がある。2005年7月1日に15歳になった選手と、9月25日に15歳になった選手を比較した場合、如何なる医学的、解剖学的相違があるのか説明されたい。国際スケート連盟会長は浅田選手の才能を認めるという。今回出場できなければ、次は4年後だ。その間に浅田選手に何が起きるか分からない。最盛期を迎えた選手をオリンピックに出場させず、その才能をつぶしてよいのか」と。


◆論理は無茶苦茶だが、スポーツだけではない。ガイジンにはこれぐらい主張して丁度良い。

 

 話が変るが、外交もそうだ。黙っているから何でもアメリカの言いなりになる。

 「イラク復興資金を50億ドル出せ」と言われて、すぐに「分かりました」という。だから、いつまで経ってもナメられる。

 そうではない。「それはおかしい。日本はODA(政府開発援助)の拠出において世界のトップレベルにある。今回の戦争を始めたのはアメリカの責任だ。どうして日本が最大の資金を提供しなければならないのだ」と云わなければならない。



 アメリカの元国務副長官、アーミテージがやって来て、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と一括されたら、一も二も無く自衛隊のイラク派遣を決めた。

 そうではない。「日本は憲法によって武力行使が禁じられている。いまだに戦闘状態にある国に自衛隊を派遣することは出来ない」というべきなのだ。

 そのとき、米国が「あ、そう。じゃ、日本が責められたときに守ってやらないよ?」というだろう。

 その時は、「それはおかしい。日米安全保障条約に基づき日本は在日米軍の莫大な駐留費用を国民の血税で負担している。こちらの債務は履行している。イラクとは無関係に日本を守るのが、米国の義務だ」と。


◆結論:ガイジン相手に黙ってはいけない。押して押して、押しまくれ。

 

 スケートから話が逸れたが、要するに本稿で私が言いたいのはそういうことだ。

 ペリーが黒船で浦賀にあらわれたのは、1853年7月の事である。 それから152年が経った。

 いまだに、日本人は西洋人相手の交渉の仕方が分かっていない。


2004年12月17日(金) 「ジャーナリスト鳥越氏ら6人、19日の特別番組『NHKに言いたい』に出演」  民放もいい加減じゃないか。
2003年12月17日(水) なし崩し的に憲法とイラク復興支援特別措置法を無視する首相と防衛庁長官 
2002年12月17日(火) インフルエンザ脳症と解熱剤

2005年12月16日(金) 「東京フィルハーモニー交響楽団、中国・韓国公演」 感動のエネルギーは憎悪よりも強い。

◆記事1:東京フィルハーモニー交響楽団 上海公演(11月3日、4日)

 http://www.tpo.or.jp/japanese/info/pdf/ar6.pdf



中国人音楽家はアジアの巨匠チョン・ミョンフンが東京フィルハーモニー交響楽団を指揮し、

ブラームスを演奏する事に興味駸駸。『こんなにすばらしいとは思ってなかった。完璧。』と、

上海出身で、ボストン在中のヴィオリニストのシャ・シャオツアオは感動を表現した。

 彼女の父、ツアオ・パン、80歳、上海シンフォニー・オーケストラ指揮者、も同感。

『音楽的にアジア人はヨーロッパ人に劣ると思っていたが、今夜、この演奏を聞いて考えが変わった。

 まさに互角だ。日本のオーケストラと韓国人指揮者を、アジア人として誇りに思う。』

 中国の一般音楽愛好者にも東京フィルが浸透して行く日も近い。


◆記事2:同交響楽団、公演レポート 済州公演(11月9日)

 

 釜山の南西、人口50万の済州島はみかん、漁業と観光の島。しかし、近年国際観光をめざし、文化、教養に力を入れている。

 「モーツアルトの音楽を聞いて、頭の良い子に育てようと、教育熱心な親も多いです。」と、ローカルテレビ局記者、イジョフン。

 在済州日本国総領事岡本毅氏によると英語熱も高く、「英語を公用語にしたいと言う人もいる。」 

 チェリスト、ヤンバンウン(日本育ち、父親が済州島出身)のサッカー2002年ワールドカップソングの演奏、

 去年のチョントリオの済州公演に続き、今回の東京フィルのコンサートは文化活性剤として、大変重要視された。


【済民日報コラム 2005年11月18日(金)】

 文化都市済州を夢見て 在済州日本国総領事館 丸尾 克昌

 9日に私が行ったチョン・ミョンフン氏と東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートは、驚きの連続でした。

 チケット代が、済州の物価水準に比べて多少割高であったのに、完売とのことです。

 しかも、始まる直前に座席に座って周囲を見回すと、空席がほとんどないのです。

 長い間、総領事館の広報文化担当として数々の文化行事を手がけ、数々の文化行事を観覧し、

 多くの人に来ていただくことの難しさを実感している私にとって、これが第一の驚きでした。

 東京フィルの関係者の皆さんとお話させていただく機会がありましたが、驚きと喜びを隠しませんでした。

 さて、いざコンサートが始り、チョン・ミョンフン氏がコー・ボンイン氏、庄司紗矢香氏とともに入るや、

 大きな拍手が鳴り響きました。

 1曲目が終ると、その拍手が一層大きく、長くなり、スタンディングオベーションがありました。

 韓国の他の地域に比べて感情をなかなか表現せず、コンサートでも後半になって、

 ようやく大きな拍手をしていた済州の皆さんがこのような熱い反応を見せたのは、長い済州での生活の中で初めてでした。

 2曲目が終ると、普段あまりかからない「アンコールの声」がかかり、歓声が混じりました。



 東京フィルの方が私に、こんなに盛り上がったのは初めてで、済州の皆さんのあたたかい拍手に涙が出てきたと述べ、

 他の地域でのコンサートのために済州を離れた後も、済州の感動が未だに心に残っており、

 済州の皆さんのあたたかさを懐かしく思うとのメールを送ってきました。

 コンサート終了後、何人かの方にお話を伺ったとき、有名で質の高い文化人・芸術人がなかなか来なくて、

 このような公演を心待ちにしていたから、このコンサートに行く機会に恵まれて嬉しく思う、

 チョン・ミョンフンと東京フィルに感謝したいと述べていました。


◆記事3:同交響楽団 公演レポート ソウル・仁川公演 2005年11月12日、13日

 

 ソウル近郊の果川は鮮やかな紅葉でまばゆい。

「チェロ、ヴァイオリン、オーケストラのハーモニーがすばらしい。

 やっぱりチョンさんの指揮だから、今日のコンサートは今までのコンサートと違う。」と、

 ソウル芸術高校でフルートを学ぶイテーファが言った。

 完売のため、ユンジョンリム(ヴァイオリン教師)はダフ屋からチケットを買った。

 インターネットからプリントアウトした紙評を幾つか見せながら、「評判どうり、本当にすばらしかった。」





 仁川はソウル、釜山に次ぐ第3番目の大都市。

 ソウルの西、40キロメーターの人口240万の港町仁川は、サッカー2002年ワールドカップの開催地でもある。

 街で出会った大学生は仁川を誇りに思っていた。又、仁川総合文化芸術センターの公演に来た観客は気取らない、

 情熱的な音楽愛好家が多かった。


 韓国での最終公演。観衆から東京フィルに向けて、スタンディング・オベーション、耳が痛くなるほどの大きな拍手が送られた。


◆コメント:東京フィルハーモニー交響楽団の音楽監督は韓国人指揮者、チョン・ミョンフン氏である。

 

 長い、引用となった。

 日本のメディアはどうして、こういう出来事を取り上げないのだろうか。



 東京フィルハーモニー交響楽団は起源を遠く遡れば、明治44年に名古屋の「いとう呉服店(現在の松坂屋)音楽隊となる。

 しかし、この時点ではオーケストラとは云いかねる。

 東京フィルハーモニー交響楽団(以下、東フィルと略す)が発足したのは、何と終戦の一ヶ月後、1945年9月である。

 その時の音楽監督は山田耕筰(知っている人は知っている。「赤とんぼ」の作曲者であるが、

 ドイツに行って本格的に勉強してきた人で、交響曲をを残し、指揮者としても活躍した)だった。



 2001年、韓国人指揮者、チョン・ミョンフンがスペシャル・アーティスティック・アドヴァイザーに就任した。

 チョンミョンフン氏は指揮者になる前はピアニストであり、

 1974年、チャイコフスキーコンクールピアノ部門第2位に入賞しているからただ者ではない。

 指揮者になった後もパリ・オペラ座の音楽監督に就任した。大変な芸術性を持つ「本物」である。



 姉上は、私が聴いた限り、現存する中で世界最高のヴァイオリニストのひとり、チョンキョンファさんである。

 チョン・キョン・ファさん独奏のツィゴイネルワイゼン”(ヴァイオリン名曲集)はお薦めです。

 本当は、サン・サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」というのを聴いて頂きたいのですが、

 あいにく今は品切れのようです。


◆東フィルの中国・韓国公演は大成功だったようだが、何故マスコミは取り上げないのか。

 

 上の記事は、東フィルのサイトの中にある日・中・韓「未来へのフレンドシップツアー」(中国・ソウル、韓国5都市)から引用している。

 出来れば、公演直後の現地の新聞記事が読みたかったが、私としたことが気が付くのが遅れた。

 但し、東フィルが韓国公演を行う直前、東京オペラシティで、チョンミョンフン氏の指揮で開いたコンサートの様子を朝鮮日報がつたえている。

 読めば分かるが、「韓国人の指揮者が日本のオーケストラを振った(指揮することを「振る」という)」

 ということではなく、演奏そのもののすばらしさを讃えている。


◆今回の東フィル海外公演は、単なる名曲コンサートではない。

 

 今回、東フィルが中国・韓国公演で取り上げたプログラムは、プロのオーケストラのレパートリーとしては普通のものだが、

 所謂「大衆受け」を狙っていないところが良い。

 うるさいクラシックファンは「チャイコン(チャイコフスキーのバイオリン協奏曲のこと)とか、

 ショスタコ(ショスタコービチのこと)の5番なんてポピュラー名曲だ」というだろうが、

 長いクラシック鑑賞歴を持つ聴衆ばかりではない。

 かといって、「ウィリアム・テル序曲」、「新世界」、「運命」では、馬鹿にしている。

 ブラームス・チャイコフスキー、ショスタコービッチは、それぞれドイツとロシアの、

 西洋音楽史上絶対に無視できない大作曲家である。

 今回のプログラム(演奏曲目)とて、歌謡曲と同じ気分で聴いていられるたぐいの音楽では絶対にない。

 これらの演奏を最期まで聴いた上、長いスタンディング・オベーションがあったということは、

 韓国の聴衆も当然のことながら我々と同様の芸術に対する感受性があることを端的に表している。

 聴衆の全員が普段から親日的であるかどうかは知らぬが、

 兎にも角にも、この日、この時、中国と韓国の聴衆と東フィルのメンバー全員、

 そしてチョンミョンフン氏は同じ芸術的感動を分かち合ったと言うことである。


◆芸術的感動は憎悪をも溶かす。

 

 元・旧西独首相のヘルムート・シュミット氏はたいへんな音楽好きで、

 自らもピアノが玄人はだしだが、以前、ニューズウィークのインタビューに答え、

 

「現在、ドイツの殆どのオーケストラには日本人音楽家がいる。

 彼らは如何なる日本の政治家、外交官、財界人よりも、ドイツ人の日本人に対するイメージの向上に貢献している」



 と述べていたことを、私は鮮明に記憶している。

 また、以前、この日記で、オーストラリアのオーケストラのあるメンバーが、

 戦争で身内を日本人に殺され、日本人を憎んできたが、岩城さんと音楽をすることにより、

 その恨みを忘れる決心をしたというエピソードを書いた。



 東フィルの音楽監督(スペシャル・アーティスティック・アドヴァイザーなんて言葉は聞いたことがないから、

 ここでは「音楽監督」という語に置き換えさせていただく)のミョンフン氏とて、最初から喜んで日本に来たのではない。

 彼の祖父上は熱心な抗日運動家だったので、チョンミョンフン氏も長い間、日本人に反感を持ち、日本で指揮をすることを拒んでいた。



 ある時、どうしても日本で振らざるを得ない事があり、渋々来日してみたら、

 オーケストラが優秀かつ協力的であり、コンサートの本番では一般聴衆から「ブラボー」が飛び、惜しみない拍手が送られた。

 ミョンフン氏はその時、「音楽に人種や、国家間の政治的対立は関係がない」と思った、と随分前になるが、

 NHKニュース「おはよう日本」で、当時の担当、三宅アナウンサーのインタビューに答えていたのを思い出す。



  勘違いする人がいるだろうと思うので、記す。

 「指揮者」と言う言葉は、誤解を招きやすい。

 だが、「指揮者」は「指揮官」ではない。

 指揮者が先生で、オーケストラが生徒、ではない。

 オーケストラは指揮者に支配されるのではない。

 互いに対等な音楽家である。

 駆け出しの指揮者よりもオーケストラのメンバーの方が、音楽をよく知っている。



 長い歴史を持つ日本を代表するオーケストラの一つ、東フィルがチョンミョンフン氏を音楽監督に選んだのは、

 国籍もへったくれもなく、音楽性が優れていると判断したからに他ならない。

 これは大変重要なことなのだが、政治家もマスコミも大衆も関心を抱こうとしない。

 武器をいくら海外で用いても憎悪は消えないが、

 楽器を演奏する「音楽」というこの素晴らしい芸術が生む感動は、

 堅く凝り固まった憎悪さえも溶かしてしまう偉大な力を持っている。


2004年12月16日(木) 日銀も金融庁も不祥事。市中金融機関の検査をする資格があるのか。
2003年12月16日(火) <アルカイダ>関係組織が日本でテロ装備購入 韓国情報院が指摘 「テロリストとの対決覚悟」−小泉首相
2002年12月16日(月) 「殺されるのが怖くて女王が務まりますか」(エリザベス女王)

2005年12月15日(木) 「米大統領、開戦判断の責任認める=イラク大量破壊兵器の情報誤り」3万人殺しておいて、どうやって責任を取るのだ?

◆記事1:米大統領、開戦判断の責任認める=イラク大量破壊兵器の情報誤り

 

 【ワシントン14日時事】ブッシュ米大統領は14日、ワシントン市内で演説し、

イラクの大量破壊兵器に関する情報機関の分析は誤っていたと述べるとともに、

 これに基づき開戦を決断した自らの責任を明確に認めた。

 ブッシュ大統領はイラク戦略に関する4回目の演説で、武力行使の大義名分として挙げた大量破壊兵器に関する情報について、

 「多くが誤りであることが判明した。大統領として、イラク攻撃を決断した責任がある」と言明した。

 米国民の間には、ブッシュ政権がイラクの大量破壊兵器問題で

 誤った情報分析に基づいて武力行使を行ったことに対する批判が根強い。

 大統領は、この問題で自らの責任を明確に認めることにより、批判を緩和し、

 政権のイラク政策への支持を拡大することを狙ったとみられる。

 その一方で、フセイン元大統領は米国を敵と宣言し、米国にとって脅威だったと強調。

 フセイン氏の過去の行動や同時テロの教訓からも「フセイン政権打倒の決断は正しかった」

 と従来の立場を改めて訴えた。 (時事通信) - 12月15日11時0分更新


◆記事2:「イラク人犠牲者は3万人」…米大統領、初めて明かす

 

 【ワシントン=貞広貴志】ブッシュ米大統領は12日、イラク戦争の開戦以来のイラク人の犠牲者数について、

 「最初の(米軍による)進攻と、その後のイラク人に対する暴力の結果として、3万人前後が死亡した」と語った。

  フィラデルフィアで行った演説後の質疑で明らかにしたもので、米政府がイラク人犠牲者の数を示すのは初めて。

 大統領は、「米軍についてはイラクで約2140人の人命を失った」と述べており、

 イラク側の犠牲は米軍の14倍に上る。ホワイトハウスはただ、

 「(3万人は)報道されている民間の試算に言及したもので、政府の公式な数字はない」と釈明している。

 15日のイラク国民議会選挙を前にした一連の演説の第3弾となるこの日の演説は、政治プロセスに焦点を当てた。

 大統領は、米国と連合国が忍耐強く今後の政治プロセスを見守るよう訴えた。(読売新聞) - 12月13日13時17分更新


◆記事3:首相、イラク開戦支持「反省点ない」(朝日新聞)

 

 小泉首相は15日、ブッシュ米大統領がイラク戦争開始の根拠とした

 大量破壊兵器情報の大半が誤りだったと認めたことに関連し、

 「大統領は(戦争開始の判断は)正しかったと発言している。

 イラクが大量破壊兵器がないと証明すれば、戦争は起こらなかった」と述べた。

 米国の武力行使を支持した自らの判断に問題はないとの考えを強調したものだ。

 首相官邸で記者団の質問に答えた。

 首相は、「反省すべき点はないか」との記者団の質問に

 「日本は国連決議に沿って判断した」と述べ、記者団が「反省材料はないのか」と重ねて問うと

 「(あると)思っていない」と語った。 [2005年12月15日22時14分]


◆大量破壊兵器の有無と米国のイラク攻撃の違法性とは関係がない。

 

 2003年3月20日にアメリカはイラクに対する武力攻撃を開始したが、その正当性の根拠は、

 「イラクが大量破壊兵器を保有しており、それがテロリストの手に渡って、

 アメリカが明日にでも、テロリストの攻撃を受けるかもしれない」というものだった。

 小泉首相はその日のうちに世界で一番早く、アメリカの行為を支持した。

 昨日ブッシュ大統領は、大量破壊兵器に関する情報分析が間違っていた、と云う点は認めているが、

 戦争を始めたことは誤りではなかったと云い、小泉首相もあの戦争は正しかったと発言した。



 私は、イラク戦争が始まるずっと前から、アメリカがイラクを武力攻撃することは正しくないと述べてきた。

 何度も書いたが、例えばアメリカは何故イラクを攻撃するのかをお読み頂きたい。

 アメリカがおこなったことは、国際法上違法行為であり、違法行為を支持する日本政府の見解も間違っている。

 これは、「正しいと思う、思わない」という問題ではない。

 議論の余地はなく、仮に、イラクが大量破壊兵器を保有していたとしても、それだけの理由で

 国連決議も無いのに、アメリカがイラクを攻撃する正当性は全く無いのである。

 従って、今回のブッシュ大統領の演説は、問題の本質をとらえていない。


 ◆国際法において、武力行使は自衛権を行使するとき、多国籍軍に参加するとき以外、違法である。

 

 このことを定めているのは、国連憲章である。

 それは、私がイラク戦争が始まる前日に書いた、アメリカの行動は明らかに国際法違反である。その法的根拠で詳しく

 説明しているので、是非、こちらもご参照いただきたい。


◆何ら正当性がない武力攻撃でイラク人3万人を殺した米国の行為を「正しい」と擁護する日本政府。

 

 ブッシュ大統領は、最初はイラクの大量破壊兵器を破壊するため、と言って戦争を開始しながら、

 大量破壊兵器が見つからないとなったら、「フセイン独裁政権を打倒するため」と問題をすり替えて誤魔化した。

 しかし、これも、国連憲章に照らし、武力行使の違法性を阻却する事由とはなり得ない。

 要するにアメリカがやったことは、イラクに言いがかりを付け、

 無辜のイラク国民を3万人も殺した、という一言につきる。



 小泉首相がこれを支持するということは、「他国を侵略して人殺しをするのは正しいことだ」

 と公に主張していることになる。

 「国連決議に従って」、というのは、1991年、湾岸戦争の時の国連決議1441を云っているのだろうが、

 この決議とて、国連加盟各国が勝手にイラクに対して武力を行使することは認めていない。

 ましてや、イラク戦争が始まる前に、国連は何ら武力攻撃を容認する決議を採択していない。

 私は、郵政民営化よりもなによりも、この一点、「人殺しは正しい」という認識を持っている、というだけでも、

 小泉純一郎氏は内閣総理大臣としてふさわしくない、と考えている。


2004年12月15日(水) 北朝鮮日本人拉致問題、「経済制裁、レベル5で一気に解決も手だ」(安倍晋三氏) 総理は黙っていないで何とかしろ。
2003年12月15日(月) フセインより、ブッシュを拘束して欲しいよ。
2002年12月15日(日) 田中耕一さん帰国、ワドル船長慰霊碑に献花、韓国の反米運動、精神障害者の犯罪。

2005年12月14日(水) 「6証券、全額返還へ 株誤発注利益」

◆記事:6証券、全額返還へ 株誤発注利益

 

 UBS証券グループなど、ジェイコム株の大量誤発注で利益を得たことが判明している国内外の証券六社が、

 計百六十八億円程度とみられる利益を全額返還する方向で最終調整に入ったことが十四日、分かった。

 みずほ証券の発注ミスに付け込む形で、多額の利益を得たことに対しては、

 与謝野馨金融担当相や自民党から批判的な意見が出ており、こうした声に配慮することにしたとみられる。

 今回の誤発注では、UBSの他に国内外の証券会社五社が多額の利益を得たことが判明している。

 これらの証券各社が利益を返還すれば、四百億円強とされるみずほ証券側の損失額が大幅に圧縮される。

 UBSは十三日、ジェイコム株を三万八千百九十八株取得していたと発表。

 取得価格と強制決済価格である一株九十一万二千円との差額を受け取っていた。(産経新聞) - 12月14日15時26分更新


◆コメント:狡猾な手段が公然とまかり通る世の中ではいけないのだ。

 

 三日も連続して、金融市場に関する記事を書くのは、私の日記では初めてのことである。

 昨日は、マーケットで取引をする者の「仁義」と書いたが、

 「道義」(人として行うべき正しい道)と書いた方が適切だったかも知れない。



 昨今の世の中には、「自分さえ良ければ他人がどうなろうが知ったことではない」、という風潮がある。

 今回、みずほ証券のミスにつけ込んで、ジェイコムの株を大量に買った証券会社は、

 いずれも、世界的に名を知られている会社ばかりである。

 野村証券は日本を代表する証券会社である。みずほの売り注文を見た瞬間に、

 それが誤って出された注文を理解していたはずなのだ。

 それでも、法律に違反しない限りは「買ってしまった者が勝ち」という状況が放置されるならば

、日本は、インチキしてでも、儲ければ良い、他人などどうでも良い、

 という社会通念が存在すると云うことだ。

 それは、正しくない。

 記事に掲載したとおり、UBS証券ら6社が、今回の騒動に乗じて得た利益をみずほに返すという。

 おかしいことが、おかしいと指摘されるのが正しい世の中である。


◆金融当局の責任もある。

 

 今回は、みずほが誤注文を取り消そうとしたのに、それが出来なかったのは、

 東証のシステムに問題があったことが原因だというので、東証ばかり、責任が問われているが、

 そもそも、注文を出し間違えたみずほ証券が一番悪いのだ。

 同時に、証券会社の検査を行う証券取引等監視委員会がそれを発見できなかったのか?という責任がある。

 この点はメディアは国に遠慮しているのか、全然触れないので、ここに、指摘する。


◆返還を決断するのも大変だったろうな。

 

 利益を返上する決断をした、各証券会社の責任もかなり、辛い立場だろう。

 一度計上した利益を取り消すのだから、内部的には責任が生ずる。それが、会社というところである。

 特に、今回、一番利益を上げたUBS証券は、日本法人だがUBSはスイスの会社である。

 当然、数日前にはスイスの本社に対して百数十億円儲かりました、と報告をしたばかりである。

 それを、あの株はやはり買ってはいけないと思うので利益を返上することにしました、といったら、

 本社は「一体何をしているのだ」と、別に損失があるわけではなくても、責めてくることは、ほぼ間違いない。

 その意味では、各証券会社の自己売買部門の責任者は覚悟のうえで決断しているのだ。

 その「勇気」は評価しないと、不公平だ。


2004年12月14日(火) 本田美奈子が基礎から声楽を勉強し直して歌った、フォーレやサンサーンスが美しいのに、失礼ながら驚いた。
2003年12月14日(日) フセイン逮捕は重要なニュースではない。一体何が変わるというのか?
2002年12月14日(土) H2A ロケット4号機打ち上げ成功。関係者・技術者の努力は称えられるべきだ。

2005年12月13日(火) 「みずほ証券誤発注問題『証券5社の手法、美しくない』金融相」云うまでもなく、同感である。

◆記事:みずほ証券誤発注 「証券5社の手法 美しくない」金融相
 

 与謝野馨金融・経済財政担当相は13日の閣議後会見で、みずほ証券の大量誤発注の後に

 日興コーディアル証券など証券5社が自社の資金でジェイコム株を大量に取得していたことについて

 「美しくない」と批判した。

 与謝野金融担当相は「誤発注を認識しながら買い注文を出すことは法的には問題はない」とした上で

 「顧客の注文を取り次ぐのではなく、自己売買部門で間隙(かんげき)をぬって売買するの

 は証券会社として美しい話ではないと思う」と述べた。

 また「証券会社の経営者は行動の美学を持つべきだろう。今回の行動は、

 心温まる『ちょっといい話』を載せた本には決して掲載されない話だ」と注文をつけた。

 (毎日新聞) - 12月13日17時17分更新


◆コメント:色々なディーラーに尋ねてみたが同じ意見でした。

 

 この問題ばかり取り上げるのも、平衡感覚に欠けるきらいがあるが、

 自分がマーケットに携わっていた所為で、どうしても気になるのだ。

 昨日の日記で、野村証券や、日興コーディアル証券、モルガン・スタンレーなど、

 この世界を熟知した人々が、明らかに、みずほ証券の誤注文と分かっているのに、

 平気で大量に買い占め、本日、クリアリング機構による強制決済で、

 各社数十億円の利益を上げるのを、「汚い」と言った。



 奇しくも、金融相は、本日の閣議(毎週火曜日と金曜日には閣議があり、その後、各大臣は記者会見を行うのが慣例である)

 後の記者会見で、記事に引用したとおり、証券五社(これ以外にも、外資系証券会社も大量にジェイコム株を買っているが)

 の行動は「美しくない」と表現した。

 やっぱりね。普通そう思うだろう。

 私は、自分の感覚がおかしいとは思わなかったが、その思いを確認したくて、

 今日は色々なマーケットディーラー(株・外国為替、金利、債券、デリバティブなど)に、

 「今回の騒動についてどう思うか?」とたずねた。

 皆、答えは同じだった。

 「こういう場合、取引は取り消されるべきだ。みずほ証券の注文ミスだと分かっていながら、

 大量の株を購入した証券会社は、マーケットの人間の仁義を分かっていない」というものだった。

 あるディーラーは、

 「ダメだよ。こんな取引はなかったことにしなくちゃ。

 間違いだと知っていて、大手の株屋(証券会社)が買い占めるなんて、とんでもないよ。みっともねえよ。」

 と吐き捨てる様にいっていた。


◆人の不幸に乗じて「儲かった」と自慢するのは下品だ。

 

 Yahoo!掲示板を見ると、「個人投資家」(投資家じゃなくて、投機家だな)が、

 今回の騒動で如何に大儲けしたか、「自慢大会」を繰り広げている。

 実に「下品」だ。こういうのを「人品が卑しい」という。
 この誤注文によって、ミスをした自分が悪いとはいえ、悲惨な目に遭ったであろうみずほの担当者、

 その上司、担当役員、とばっちりを受けた東証の社長、富士通のエンジニアが、

 これから多分、暮れも正月もなく、後始末に奔走しなければならないことなど、想像もしないようだ。

 間違えた人間が悪いと言ったらそれまであるが、

 ジェイコムやみずほのことを誰も全く考えない世の中というのは、冷たいものだ。

 私は、「世の中厳しいのだ」、などと云いたくない。

 そういう気持ちをここ数日ずっと抱いていたので、

 担当大臣が、他人の不幸に乗じてはしゃいでいる「大」証券会社の行動を

 「美しくない」と言ってくれたのは、せめてもの救いだった。


◆「美しくない」という表現を用いる与謝野金融相は与謝野鉄幹・晶子の孫である。

 

 ここからは余談であり本題から逸れるが、かなり興味深いので、自らの覚え書きの意味で記す。

 政治家が「美しくない」というのは、極めて珍しい。

 つまり、否定の助動詞が付いているものの、「美しい」という形容詞を使う政治家は、記憶にない。

 他の代議士なら、せいぜい、「望ましくない」「感心しない」と云うだろう。

 また、「心温まる『ちょっといい話』を載せた本には決して掲載されない話だ」というくだりを、

 「当たり前じゃないか」と云う人。センスがないね。

 こう言うのを「皮肉」若しくは「嫌味」というのだ。

 先般の内閣改造で「与謝野馨」という人物が金融・財政担当大臣になった。

 「与謝野」という苗字は滅多になく、当然、「みだれ髪」の与謝野晶子を連想する。

 知ってますよね?

 「柔肌の熱き血潮に触れもみで悲しからずや道を説く君」


 の与謝野晶子です。

 意味が分からない人は、調べて下さいね。その方が記憶に残ります。

 与謝野大臣のサイトには、与謝野家の人々というページがある。

 この家系図を見ると一目瞭然だが、与謝野金融相はなんと本当に、鉄幹、晶子の孫なのだ。

 ははあ、なるほど。血は争えない。 「美しくない」の起源が分かった気がする。

 やはり文学的才能の遺伝子が組み込まれているのだな、と思った。少し短絡が過ぎるかも知れぬが。

 いずれにしても、この人のプロフィールをWikipediaで読むと、かなり面白い。

 昭和13年生まれで、パソコンを自作する人、しかも政治家は、あまりいないのではないか。

 Linuxに付いても詳しいのだそうだ。


◆閣僚は云うべき時には云わなければならない。

 

 前の伊藤金融相は、40歳を少し過ぎたばかりの、典型的松下政経塾出身優等生トッチャンボーヤで、

 ただひたすら安全運転。

 何を訊かれても、

「個別の問題にはお答え出来ませんので、あくまで一般論として申し上げますが、

 法律の規定にのっとり、適切に措置したいと考えております」と言うばかりだった。

 当たり前だろ?どこの大臣が「法律を破って、不適切に処置したい」と云うのだ!

 記者会見の度にイライラさせられた。

 今回の一件だけで、与謝野金融相を絶賛するほど、私は単純ではないが、

 稀に見る大混乱に乗じて狡いことをする奴が出たときに、

 担当大臣がぴしりと一言発言するのは、結構なことだと思った。


2004年12月13日(月) 「ヤフーBBの顧客情報6500件流出 最大8万6000件流出か」 Yahoo!のトップページには謝罪文一つ載っていない。
2003年12月13日(土) 「我々を今すぐ家に帰してくれ!」「我々は石油と企業の欲望のために死ぬのか!」(米軍兵士)
2002年12月13日(金) 中高年男性の自殺が急増「防止マニュアル」作成へ  待っていられないのでうつ病の症状をここに記す。

2005年12月11日(日) みずほ証券ジェイコム株誤注文問題 東証の社長だけ辞めるのは不公平だろう。

◆記事1:東証システムにも不具合 鶴島社長が辞意表明

 

 みずほ証券の株大量発注ミス問題で、東京証券取引所の鶴島琢夫社長(67)は11日夜、

 緊急記者会見し、みずほが誤発注を取り消せず売買が成立した原因について、

 東証の売買システムの不具合が主因だったと明らかにし、引責辞任する考えを示した。

 誤った売り注文に気付いたみずほは直後に取り消そうとしたが、

 東証のシステムは取り消し指示を、取り消し価格にかかわらず一切受け付けない状態に陥っていた。

 東証は損失の一部肩代わりをみずほ側から求められそうだ。

 発注ミスで大量の売買が成立したままのジェイコム株について、東証は12日、9日に続き売買を停止した。

 株取引の決済を保証する日本証券クリアリング機構は12日に、

 みずほ証券が株の買い手に株券でなく現金を払う「強制決済」を正式決定。

 13日には市場に残る10万株弱の取引を終了させ事態収拾を図る。

 (共同通信) - 12月12日12時54分更新


◆記事2:東証の責任明確化は当然 株発注ミスで官房長官

 

 安倍晋三官房長官は12日の記者会見で、みずほ証券の株大量発注ミスで、

 東京証券取引所の売買システムの不具合が混乱拡大の原因になったことについて、

 「重大な事態を招いた責任の明確化は行われて当然」と述べ、

 東証トップの辞任は避けられないとの認識を示した。

 官房長官は、鶴島琢夫東証社長の進退については「社長自身が判断する問題」と述べ、

 後任人事については「時期尚早だ」と語った。

 また、東証を監督する立場にある金融庁に対しては「事態の正確な解明と正常化、

 再発防止に万全を期すよう指示した」と述べた。(共同通信) - 12月12日13時11分更新


◆記事3:1株91万2千円で強制決済=ジェイコム株誤発注で―クリアリング機構

 

 みずほ証券がジェイコム <2462> 株式を大量に誤発注した問題で、

 証券取引の決済を担う日本証券クリアリング機構は12日、同株式を買った投資家に対し、

 株券の代わりに1株=91万2000円の現金で決済する強制措置の適用を決定した。

 (時事通信) - 12月12日20時1分更新


◆記事4:決済安定性確保で大きな決断=ジェイコム株めぐる機構の措置で−みずほ証券

 

 みずほ証券は12日、誤発注問題のジェイコム <2462> 株式について証券取引の決済を担う日本証券クリアリング機構が、

 同日、同株式を買った投資家に対し株券の代わりに1株=91万2000円の現金で決済する非常措置の適応を決定したことに対し、

 「証券市場の決済における安定性確保の観点から、大きな決断を機動的に実施された」

 とのコメントを発表した。 (時事通信) - 12月12日20時1分更新


◆記事5:みずほ証券誤発注:日興など3社がジェイコム株65%保有

 

 日興コーディアル証券など3社がジェイコム株の発行済み株式総数(1万4500株)の

 計65.48%を保有していることが、3社が12日に関東財務局に届け出た大量保有報告書で新たに分かった。

 これまで野村証券とモルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッドが計38.08%を保有していることが分かっており、

 5社の保有する株式を合算すると1万5016株で、発行済み株式総数の103.56%にのぼり、

 本来あり得ない異常事態がおきている。

 毎日新聞(最終更新時間 12月12日 20時55分)


◆コメント:東証の責任もあるが、まず、みずほが間違えたのがいけないのだ。

 

 長い間マーケットを見ている(株ではないが、株も為替も、債券も、デリバティブも互いに無関係ではない)が、こんな事は初めてだ。

 ただの一度のミスディールが東京の株式市場を大混乱に陥れたのである。

 どのメディアも株の発行体であるジェイコムに全然言及しないが、

 上場するまさにその日にこのようなミスをされて気の毒だ。

 最初から、自社の株に「ケチがつい」た形になってしまった。

 そもそも、事の発端は、間違った注文を出して市場を混乱させたみずほ証券だ。

 そのみずほ証券の社長は辞めないのに、東京証券取引所の社長が辞任すると言う。

 安倍官房長官もメディアも世論も、東証の責任だけを追及するのは、不公平である。

 記事4。みずほ証券のコメント。「証券市場の決済における安定性確保の観点から、大きな決断を機動的に実施された」だと?

 何を偉そうに言っているのだ。みずほの所為だぞ。すったもんだしてるのは。


 ◆日本証券クリアリング機構

 

 日本証券クリアリング機構というのは、証券市場の交通整理係とでも言ったら良かろうか。

 株式や先物など売買を効率的に行うため、当事者に代わって、株式や代金の受け渡しを証券会社や銀行に指図する機関である。

 証券取引法に基づき各証券取引所がそれぞれ持っていた清算機能を統合して、2003年に設立された組織である。

 本日ここが決めたのは、どういうことかというと、ジェイコムが発行した株式は世の中に、1万4,500株しかないのである。

 それを、みずほ証券はなんと間違えて、「61万株を1円で売ります」とマーケットに公表してしまった(これが売り注文を出すということだ)。

 発行済み株式が14,500株しかないのに、610,000株売ることは原理的に不可能である。

 ところが、その多くの架空の株を買うと言う市場参加者が現れて、取引が成立してしまったのである。

 成立してしまったが、株はない。

 仕方がないから、株の変わりにそのときの株価に迷惑料を上乗せした現金を渡すことにする、と、クリアリング機構が
 決定したのである。

 みずほ証券は、証券取引法に基づき、クリアリング機構の決定に従わなければならない。


 ◆汚い世界なのですよ。素人が手を出さない方がいい。

 

 今回は、トラブルを起こしたのがたまたま、みずほ証券だったが、システム設定や体制の不備により、

 他の証券会社でも起こりうることなのですよ。

 だから、本当は、私が思うのは、 架空の株を買った人々(会社)みんなが、

「いいですよ。間違えたのでしょ?この取引はなかったことにしましょう」と、言ってくれればよいのだが、

 株などというのは、人間の欲が渦巻く、ヤクザな世界である。

 「間違えた奴が悪いのだ」という世界。誰もそんなことは言わない。


  私がムカつくのは、プロの連中である。

 記事5をお読みいただきたい。日興、野村、モルガンスタンレー。汚いなあ。

 ミニ株をパソコンでチョコマカやっている素人じゃあるまいし、同業の失敗に乗じて、大儲けして喜んでやがる。

 くどいようだが、「相場」なんて、こういう世界なんですよ。

 素人さんだって、株の売買の時には気をつけることだ。

 株数か、指し値を間違えてインプットしたり、損切り出し忘れて、運が悪ければ(相場がアゲンストに動いたら)、

 破産ですからね。


2004年12月11日(土) 自衛隊の派遣期間延長が何故、1年間なのか
2003年12月11日(木) <イラク復興事業>日本などに限定へ 米国防総省←小泉さん、商売を取るのが目的でしたか。
2002年12月11日(水) 小柴先生も、田中さんも、凛々しかった。

2005年12月10日(土) <松下電器>石油温風機事故←問題ではあるが、松下の対応はさすがだ。

◆記事1:<松下電器>石油温風機事故 修理作業の関連会社を家宅捜索

 

 松下電器産業の修理済み石油温風機を使用していた山形市の男性(82)が、

一酸化炭素中毒で意識不明の重体になった事故で、山形県警は10日、

社員が修理作業をした関連会社「山形ナショナル電機」を業務上過失傷害容疑で家宅捜索した。

 松下は、同事故を含む13件の製品修理で、交換したホースが抜けていたとしている。(毎日新聞) - 12月11日1時2分更新


◆記事2:FF式石油温風機及び石油フラットラジアントヒーター 安全確保のための『社告』実施について 松下電器産業株式会社

 http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn050420-3/jn050420-3.html

2005年4月20日
松下電器産業株式会社は、1985年から1992年までの期間に製造した

「FF式石油温風機」及び「石油フラットラジアントヒーター」の25機種について、

安全確保のための市場対応を行うことにいたしました。このたび、FF式石油温風機(OK−3527、OK−3527HA)におきまして、

不完全燃焼により発生した一酸化炭素を含む排気ガスが室内に漏れ出した事故が3件発生しました。

事故原因を究明した結果、長期間のご使用による経年劣化とその他の要因が複合して起こるものであり、

新たな同種の事故が発生する可能性があると判断し、当該製品と同等構造の機種を加え、

社告を行い、無料で部品の交換等の処置を実施いたします。

ご使用時に異臭・異音・運転停止などの異常にお気付きの場合、直ちに室内の換気とご使用の中止をお願いいたします。

皆様方には、大変ご迷惑をおかけし申し訳ございません。

なにとぞご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

1.対象製品及び台数

(1)FF式石油温風機 19機種 124,356台

(2)石油フラットラジアントヒーター 6機種 27,776台

合計 25機種   152,132台(詳細は別表参照)

2.事故の概要弊社製FF式石油温風機(OK−3527、OK−3527HA)で3件の一酸化炭素中毒事故が発生しました。

1件目は、 2005年1月5日福島県南会津郡で1名の方が死亡、1名の方が入院中。

原因については、現在警察で調査中です。

弊社としては引き続き調査に協力してまいります。

2件目は、 同年2月23日長野県茅野市で、2名の方が入院、現在退院回復。

3件目は、 同年4月13日長野県長野市で、3名の方が診察を受け、2名の方が検査入院し翌日退院。

3.一酸化炭素が漏れ出た原因の推定


事故品は、14年以上経過しており、また過去事故事例がなかったので、

経年劣化ではないかと想定して解析しました。事故原因を究明した結果、以下のメカニズムが推定されました。


  1.  経年劣化により、FF式石油温風機の燃焼室に給気する耐熱ゴム製2次エアホースに亀裂が入ると、燃焼用空気の供給圧力が低下し、不完全燃焼がはじまる。

  2.  亀裂が大きくなると、2次エアホース内の空気の圧力が燃焼室内の圧力より低くなり、燃焼排気ガスが2次エアホース内を逆流し、微量の一酸化炭素が漏れ出る。

  3.  さらに給排気筒・製品の設置状況、また燃焼ファンの異常など複数の要因が重なると、一酸化炭素濃度の上昇や燃焼室内圧力が増加し、事故に至る一酸化炭素が室内に漏れたと推定する。


4.お客様への対応

(1) 対象製品をお持ちのお客様には、お買い求めの販売店並びに弊社サービス部門が無料で部品交換等の処置をさせていただきます。

(2) 明日新聞紙上で、『謹告』を行います。

(3) 弊社ホームページでもお知らせいたします。

(4) 本日から、フリーダイヤルにてお問い合わせをお受けいたします。フリーダイヤル  0120−872−773

(以下、表の為、引用者が省略)


◆記事3:謹告 大切なお知らせとお願い 松下電器産業(12月8日付)

 URL:http://panasonic.co.jp/appliance/info/important/heating/index.htm

1985年から1992年製のナショナルFF式石油温風機及び石油フラットラジアントヒーターには事故に至る危険性があります。



日頃は、弊社製品をご愛用いただきまして、誠にありがとうございます。

さて、本年4月21日「謹告」にて部品交換等の実施に関わるお知らせとお願いをさせていただいておりますが、

未点検品において新たな一酸化炭素中毒事故が発生いたしました。

当該対象製品を未点検のままご使用になりますと、一酸化炭素を含む排気ガスが、室内に漏れ出し、

場合によっては死亡事故に至るおそれがあります。

ご使用のFF式石油温風器及び石油フラットラジアントヒーターの品番をご確認いただき、

未点検のお客様は、直ちにご使用を中止いただき、

下記のフリーダイヤルまたは、ご購入販売店までご連絡ください。

加えてこのたび新たな事故が発生しました。事故品は部品交換済みの2次エアホースが外れていたものです。

これを受けて、点検・部品交換済みの製品につきましても全数再点検を実施いたします。

お客様のご要望に応じ、対象製品のお引取り(1台当り5万円)もしくは、無料で点検修理をさせていただきます。

既に点検修理をされたお客様にも別途同様のご案内をさせていただきます。

ご愛用の皆様には、大変ご迷惑をおかけいたしますが、

なにとぞご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

平成17年12月8日 松下電器産業株式会社

(以下、画像となるので引用者が省略)


◆コメント:松下電器産業の製造物責任と修理店の刑事責任は別の話。

 

 松下温風器の問題には、2つの流れがあるが、新聞の書き方が悪い。

 両者を分けて書かないから、消費者が混乱しているのではないか。

 1番目は、製品そのものの欠陥である。

 これは、記事2と記事3で松下が公式に製造物責任を認めているわけである。

 「製造物責任」とは「製造物の欠陥から生じた損害に対して製造者などが負う責任。あるいは,これに関する特別な責任制度。」である。

 「製造物責任法」という法律が存在する。平成6(1994)年から施行されている。

 2番目は、記事1で掲げた、修理店の刑事責任である。

 欠陥製品の修理がいい加減で、事故が起きた、という問題である。

 これは修理店の刑事責任(業務上過失致傷)が問われているのであり、松下電器産業の製造物責任とは別個の問題である。

 製品に欠陥があるのは、松下がわるいが、

 修理がいい加減だったのは、修理した人間の責任であり、製造者の責任ではない。

 これら2つの問題を混同してはならぬ。


◆死者が出ているので不謹慎な云い方であるが、松下の対応はさすがだ。

 

 温風器の不完全燃焼により一酸化炭素中毒の被害者が出たことを、松下は記事2に掲載したとおり、

 既に今年の4月に欠陥の具体的内容、被害者が死亡したこと。

 その他の被害者の被害の程度、欠陥が生じた原因、補償の方針について、細かく公表している。

 そして、4月の松下による「謹告」を見落とした人が、同種欠陥製品を使い続けて、

 再び死者が出たのであるが、これに関しても、記事3で1台5万円で引き取ると発表している。

 テレビでは、驚くほどの頻度で注意を促すコマーシャル(?)を放映している。

 松下がこの事態の対応に必要だと考えているのは200億だという。



 これは、人それぞれ考え方が違うだろうが、私は20年も前の温風器を使い続けている人がいるのに驚いた。

 20年も使えば、所詮、機械である。壊れるだろう。

 それはさておき、松下の対応は、本来これが当然なのだが、そうは言ってもさすがだ。

 自らに都合の悪いことは、たとえ他人の生命に関わることでも隠し通そうとする、

 どこかの建築設計士や土建屋、不動産屋のことを考えると、如何に良心的か分かろうというものだ。

 一時的に松下の家電製品の売上げは落ちるかもしれないが、

 問題が生じたのが最近の製品ではなくて、20年も前の製品であったのに、これだけ、正直に全てを公表して責任を認め、

 補償に応じる、と即座に言ってのけるところは、さすがに世界に冠たる松下だ、と感心してしまう。

 まずいことを隠したり、嘘をついたりしてごまかすほど、後で受ける打撃は大きくなる。

 長い目で見るならば、「やはり松下は信用できる」、という社会的評価につながるであろう。


◆松下幸之助氏が健在だったら・・・。
 

 松下電器産業の責任者にとって運が良かったのは、松下幸之助氏が既に故人であることだ。

 健在だったら、タダでは済まなかっただろう。

 無論、今回も社内処分はあるのだろうが、松下氏というのは、普段からすごかったのだ。

 下っ端は、直接接することがないからまだ良いが、役員などは徹底的に絞られる。

 何か問題があった場合ではない。通常の業務報告をしただけで、

 ここはどうなんだ?それでは、こういう場合はどうするのだ?それが上手くいかなかったら次はどうするのだ?

 と「詰め」のあまりのものすごさに、多くの役員は気絶してしまう。

 そして、気絶しても放免にはならないのだ。

 気付け用のブランデーが幸之助氏の部屋には常備してあり、

 それで目を覚まさせて「詰め」を続けるというのだから、想像を絶する。

 日本の世界に冠たる製造業は、皆、松下幸之助氏ほどでなくても、同様の誠実さでモノを作り続けてきたのである。


◆偽被害者が出ることを懸念する。

 

 問題は異なるが、4月に起きたJR西日本、福知山線脱線事故の被害者でもないのに、

 被害者だといつわって、なかにはJRその他から200万円も騙し取った人間がいる。

 「偽被害者」少なくとも50人はいるのだそうだ。

 

◆記事:偽乗客”の女逮捕 見舞金詐取、未遂含め50人

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、事故を起こした快速電車の乗客を装い、

 JR西日本から見舞金など約10万円をだまし取ったとして、兵庫県警捜査2課と尼崎東署などは28日、

 詐欺容疑で事故当時、大阪市に住んでいた無職石橋日出子容疑者(58)=窃盗罪で服役中=を逮捕した。

 事故を捜査する尼崎東署捜査本部が負傷者からの事情聴取を重ねる過程で、

 未遂を含めた“偽乗客”が約50人いたことが判明。

 うち29人が見舞金などをだまし取り、発覚後も弁済に応じていないことも分かった。

 休業補償やタクシー代など計約200万円をだまし取ったケースもあり、

 捜査2課は特に悪質な約10人について順次、立件する方針。

 調べでは、石橋容疑者は4月の事故直後から6月にかけて3回にわたり、

 JR西が負傷者に対して支払った一律3万円の見舞金や休業補償など計約10万円をだまし取った疑い。

 石橋容疑者に勤務実態はなかった。 (共同通信) - 11月28日18時17分更新


◆コメント:恥を知れ。

 

 今回の「温風器事故」でも、恐らく「偽被害者」が現れるのだろう。

 世の中には卑しい人間がいるものだ。


2004年12月10日(金) フィブリノゲン製剤問題とはなにか。
2003年12月10日(水) 他の国がどのように行動しているかを見て、日本の政策を決定するのは、おかしい。/活動区域にバグダッド加える方針 防衛庁
2002年12月10日(火) 「田中さんはかわいそう。」スウェーデンの外務省が日本のマスコミを批判。

2005年12月09日(金) 東京証券取引所における、株取引誤発注問題に関する一考察

◆記事:東証、責任を否定=みずほ証券の失態指摘−誤発注問題

 

 東証の天野富夫常務は9日未明、みずほ証券がジェイコム株で誤った売り注文を大量に出した問題で記者会見した。

この中で同常務は、極端に多い売り注文数から誤発注を疑った東証が、

 注文取り消しを3回にわたって要請したにもかかわらず、実行されなかったと指摘。

 「東証の手続きに誤りはない」と強調し、みずほ証側の失態との見方を示した。 

 (時事通信) - 12月9日7時1分更新


◆コメント:昔の東京証券取引所なら誰かすぐに気が付いて注意したのですけどね。

 

 最初に、この大騒動とは関係がないが、ちょっと触れておくと、 東京証券取引所(東証)というのは、株式会社なのです。

 日本には、他に札幌、名古屋、大阪、福岡にも証券取引所がありますが、

 このうち東京、名古屋、大阪の証券取引所は株式会社なのです。

 だから、東証の常務取締役という人がいるのですね。

 株式に限らず、外国為替市場も、債券市場もルールは同じで、

 売買が成立(Done)したら、原則的に、取り消すことはできないのです。

 ただし、取引額がもっと小さくて、売買の当事者の数が少なければ、

 間違えて注文を出した市場参加者が相手を訪ねて、頭を下げて、

 買い戻し、或いは売り戻してもらうことが出来る場合もあります。

 一度も注文を間違えたことのないディーラーというのは、株でも、為替でも債券でも、いないと思います。

 ここで言うディーラーとは銀行、証券会社などでお客さんの注文を市場に取り次ぐ役目のひと、

 或いは、会社自身のおカネで市場でディーリングをして、

 収益を上げることを仕事にしている人を指します。



 今回は、「61万円で1株売りたい」というべきところを

 「1円で61万株売りたい」という誤った注文を出して、それが成立してしまったわけですね。

 ミス自体は、プライス(価格)とアマウント(量)を逆にしてしまったという極めてありふれたミスです。

 これは、株でも外為でも間違えたことが一度も無いディーラーを見つける方が難しいぐらいでしょう。

 株に関して言えば、以前は、外為や債券とことなり、実際に東京証券取引所という空間(建物)の中で、

 大勢の「場立ち」と言われる、売り買いの実務専門の人だけが実際に一堂に会して取引が行われていたのです。

 昔はよくニュースで株式市場の様子が映りました。

 あまりに人が多いので、大声を出しても取引所で注文を仲介する人に聞こえない。

 それで独特のジェスチャーで、銘柄、売買の別、希望する値段を伝えていたのです。

 これはこれで、非常に危ない方式で、勘違いにより、当事者の希望しない取引が成立してしまう、

 ということがやはりあったのですが、ただし、場立ちは皆プロですし、

 大勢が同じ場所に現実にいるわけです。ですから、今回のような注文を出したら、

 あまりにも間違いが明らかなので、誰かが気づいて「おい、それ、違うだろ?」

 という互いの監視というか助け合いというか、人間ならではの融通が利いたのです。

 違う会社であってもね。株の世界の人間の仁義とでもいいましょうか。


◆システム売買ならではの悲劇

 

 ところが、今は、株式市場も、外為のように、コンピューター端末を用いた取引なので、

 誰かが注文を出して、他の人が殆ど間を置かずにヒットしてしまったら、それで取引が成立する。

 システムによる売買は、取引内容の記録が確実に残るし、

 ある注文を複数の人が殆ど同時にヒットした場合、場立ちだとどちらが先か良く分からなくて揉める事もあったわけですが、

 機械なら、100分の1秒の違いでも判定できますから、そういうところは便利で安全になったのですが、

 その代わり、あまりにも、文字通り、「機械的」に売買が成立してしまう。

 昔なら誰かが絶対に「これは、おかしい」と取引所の係員に注意を喚起したでしょうけど、

 今はそれがない。おまけに、プロだけじゃなくてインターネット取引で素人が参加するようになったので始末が悪い。



 プロ同士ならば、このような明らかな注文ミスはヒットしないか、

 しても、みずほ証券が頭を下げてきたら、「ま、仕方ないか」と売り戻してやるでしょうけど、

 素人はネット取引で1株1円でジェイコム株を買うことにより、 後で大儲けしたと言って喜んでいるようですね。

 理屈で言えば、間違えた方が確かに悪いのですが、

 本当は、今回のような、他人の間違いに乗じて儲けるという、株の世界の「仁義」に反することはしないものです。

 ただ、素人さんだからそういう慣行が通用しない。

 株式市場が活況を呈するのは原則として悪いことではないが、こういう市場参加者が増えてしまったのが、

 システム売買が普及したことによる「悲劇」です。


◆システムの不備 取引権限設定はどうなっていたのか。

 

 株・外為・債券、いずれの取引でも、証券会社や銀行内では、

 現場の一人一人が一回に売買出来る取引金額(又は、株数など、何らかの単位で。)

 の上限を定めているはずなのです。

 それは任命簿に本人がハンコを捺していて、保管されているはずです。

 初めてマーケットに出る坊やは1,000株まで、とか、ベテランなら何万株、或いは何十万株とか。

 いずれにしても、一人あたりの取引限度額を低めに抑えておくこと。

 そしてそれをシステムで設定しておくことが絶対に必要です。



 このディーラーの限度額がいくらだったか分からないけれども、

 60万株などということは、まずあり得ない。

 だとすると、限度額がシステムに反映されていなかったということです。

 システムに反映するとは、例えば1万株の取引権限のディーラーがそれを超える量の注文をインプットしても、

 エラーになって、注文できない、という設定をすることです。

 そして、間違ってそういう取引をしそうになったら、直ちに、「ミドルオフィス」といって、

 取引を監視する部署(現場の売買する部署をフロント、取引後に売買の明細確認や決済事務を行う部署をバックオフィスといいます)

 がそれを認識できるような、アラームシステムを設置しておくのが常識です。

 今回はフロントの担当者に注意を促すサインが表示されたけど気が付かなかった、

 と新聞にあります。そりゃ、取引する人間じゃなくて、ミドルが監視していなくては、ダメですよ。

 まだ、事件の全貌が明らかになったわけではないが、

 みずほともあろうものが、そこはちょっとお粗末ですね。


◆東京証券取引所の責任

 

 株でもなんでも、、一瞬の判断ミス、勘違いで、大損失を出す可能性が常にあります。

 だからこそ、プロの世界、自己責任の世界であり、みずほが後始末をするのが当然なのですが、

 東京証券取引所とて、株式会社とはいえ、売買の場を提供する組織には監視義務がある。

 もの凄い数の取引がマーケットが開いている(場が立っている、といいます)間じゅう続くのですから、

 監視は大変ですが、それに対応するためにシステム化したのですから、やはり責任が無いとはいえない。



 問題の取引は木曜日に起りましたが、

 他の参加者はどういう事態かすぐに把握できなかったのです。

 そして、なにかヤバいことが起ったらしいというとき、

 ポジション(売り持ちか買い持ちかということ)はなるべくスクエア(プラスマイナス、ゼロ)にするのが原則ですから、

 買い持ちだった人が売り戻したので一時日経平均が300円も暴落しました。

 その後もどしたからよかったけど、結果論です。

 東京の株式市場は世界三大市場の一つなのですから、ここでの暴騰・暴落は、次のロンドン、ニューヨークに影響する。

 下手をすると世界じゅうに迷惑をかけます。

 個別銘柄の異常値を瞬間的に把握して、明らかにおかしい今回のような取引は、

 即座に売買停止出来るようにするべきです。


2004年12月09日(木) 「遺骨別人 小泉首相、北朝鮮経済制裁には消極的」 主権を侵害した国は、原状回復義務を負う。
2003年12月09日(火) 小泉首相イラク自衛隊派遣で会見「戦争に行くのではない。」←戦争が行われている場所に自衛隊を派遣するというのに。
2002年12月09日(月) 今日は漱石の命日。東京では雪、ストックホルムではノーベル賞スピーチ

2005年12月08日(木) 「<牛肉輸入再開>米、官民一体で最後まで圧力」 牛肉だけではない。今年も来た「年次要望書」

◆記事1:<牛肉輸入再開>米、官民一体で最後まで圧力

 

 米国産牛の輸入再開問題では、米議会・政府が畜産業界の利益擁護を優先し、日本に圧力を加え続けた。

 米国では今年6月、2頭目の牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認されたが、農務省は当初「シロ」と判定。

 農務省は「米国牛は安全」と繰り返し、全頭検査についても「年15億ドルの業界負担が生じる」と突っぱねた。

 (毎日新聞) - 12月8日21時53分更新


◆記事2:郵政民営化で重ねて注文 米、規制改革で対日要望書

 

 【ワシントン7日共同】米政府は7日、日本に対する規制改革の年次要望書を発表し、

 郵政民営化を実現する際には銀行や保険、郵便の各分野で米企業と競争条件を同じにするよう重ねて求めた。

 ポートマン通商代表は同時に発表した声明で、解禁が迫る米国産牛肉の対日輸出問題について「依然として政権の最優先課題だ」と指摘した。
 米側要望書はこのほか、医療機器や医薬品の価格算定に際し、最先端の開発成果が考慮されるようあらためて要請。酒税の見直しに絡んで米国産ワインを不利に扱わないことも求めた。 日米両政府は7日にシアトルで要望書を交換した。今後事務レベルで対策を協議する。(共同通信) - 12月8日8時16分更新


◆コメント:アメリカの超内政干渉にはおとなしい日本人

 

 米国産牛肉の輸入を再開するそうだ。アメリカは牛の月齢を正確に特定出来ないこと、

 特に危険と言われる脳、脊髄などの特定危険部位除去に関しても1年半で1,000件以上もの違反があったことが判明したのは、

 10月30日に詳しく書いたのでご参照いただきたい。

 「米国産牛肉の輸入を再開しても、食べなければいいじゃないか」と言っていた人がいたが、

 米国産牛肉を「和牛」と「虚偽表示」する奴がきっと出る。そうしたら、消費者はどうしようもない。

 この牛肉輸入再開の背景には、記事1のとおりアメリカの圧力が存在したというが、

 実際は圧力などという生やさしいものではなくて、恫喝に近いものだったと言う話である。

 これも、10月30日に書いた。


◆牛肉なんか、ホンの一角。ありとあらゆる事にケチを付けている「年次要望書」が今年も来た。

 

 これは、9月30日に書いたが、

 アメリカは毎年日本国内のありとあらゆる制度、法律、規制などにケチを付ける文書を送ってくる。

 この文書の存在を明らかにしたのが、昨年4月に文春新書から発売された拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいるだが、

 実は、これは在日米国大使館のサイトで公表されている。

 今年のはまだ全文日本語訳されていないが、要旨は在日米国大使館に大きく掲載されている。

 昨年分は、日本政府に規制改革要望書に全部載っている。

 2003年分もその前も読める。

 これを読むと、小泉首相の郵政民営化は、アメリカの要望に応えたものであることが分かる。

 郵政ばかりではなく、とにかくその項目の細かいことは驚くほどである。

 アメリカはその意識において日本を独立した主権国家と見なしていない、と言って良い。

 それにしても「牛肉」は腹が立つ。

 アメリカは、日本は「国際基準」に合わせて月齢30か月未満の牛肉を輸入するように、要求していた。

 日本では、月齢23か月と21か月の牛肉からBSE感染牛が全頭検査により発見されている。

 それを知っていて、30か月未満の、しかも極めてずさんな管理が行われていて、

 本当の月齢も分からず、特定危険部位が取り除かれたか分からない牛肉の輸入を日本に強要し、

 日本は、「拒否できな」かったのである。

 米国政府も日本政府も日本国民の生命のことなど、「知ったことではない」と考えている、と判断せざるを得ない。


2004年12月08日(水) 「武装米兵ら1200人空輸 空自機の輸送、全容判明」 ⇔「武器弾薬の輸送は行いません。(小泉首相)」2003年12月9日
2003年12月08日(月) バグダッドからの(イラク人による)メール。日本人は「復興支援」だと云うが、イラク人にとっては「侵略」なのだ。
2002年12月08日(日) 自殺願望サイトで知り合って1カ月の男女が心中 死にたいと思ったら、まず、精神科へ

2005年12月07日(水) 私事で恐縮ながら、「たまには良いことがあるものだ。」という話。

◆例外的に私事を書かせていただきます。

 

 原則的に、「JIROの独断的日記」には、私事は書かないのであるが、

 今回あまりの大ごとに頭が一杯で、天下国家を論ずる余裕がない。

 脳のキャパシティを超えている。例外をお許し頂きたい。

 これまで、何度も通称「毎コン」つまり、毎日音楽コンクールについて書いた。

 そもそも、毎日新聞が戦前に始めた文化事業なのだが、NHKとか協賛者が加わって、

 今では正式には「日本音楽コンクール」というのだが、日本のクラシック音楽関係者は、

 今でも「毎コン」と呼ぶ人が多いのではないかと思う。

 とにかく日本で最も権威がある、つまり優れた才能を発掘してきたコンクールである。


◆今年のバイオリン部門で身内の子が上位に入賞したのです。

 

 今年は、ショパンコンクールがあったから、毎コンは、やや埋没してしまったが、

 実は、今年のバイオリン部門の上位に身内の子が入賞した。上位とは1位から3位までのどれかだ。



 以前から、かなりの才能がある子だとはおもっていたが、まさか毎コンで?位に入賞するとは・・・。

 この一件だけでも、気が遠くなりそだった。

 だが、私の身内の話など、天下国家には関係がないので、書かなかった。このまま書かないつもりだった。


◆しかし、どこかで吐き出さないと、頭が元に戻らないような事が起きた。

 

 コンクールで上位に入賞すると言うことは、「瞬間最大風速」のような物で、

 その日、その時、その審査会場で演奏した者の中で、相対的に上手かったということを意味するに過ぎないのだが、

 毎コンで上位に残るというのは、はっきり言ってただごとではないのである。

 私は卒倒しそうになったのであるが、さらに驚くべき事が起きた。



 日本で一番有名なバイオリンの大先生がいる。

 自らもソリストとした活躍なさったが、教師としても大変な実績があり、

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第一コンサートマスター、安永徹さんも、

 ずっと後の生徒だが、有名な諏訪内晶子さんも、

 現在活躍している日本人バイオリニストは、殆どこの先生に習っている。



 こういう大先生には、誰でも習える訳ではない。

 先生が「この子は見込みがある」と思わなければ、門前払いなのである。

 結論を書くと、この大先生が、何と。私の身内の子の演奏を聴いて、

 「教えさせてくれ」と申し出てくださったのである。

 もう、目が回りそうである。あまりの光栄に。


◆さらに・・・。

 

 これだけでも、私は十分すぎるほど幸せだ。

 「お前が褒められたわけではないのに、何がそんなに嬉しいのだ」と思われる方も多かろう。

 こればかりは、この世界のことが分からないと、分からない。すいません。

 しかし、驚きはこれで終わらなかった。

  超弩級の話が起きた。

 かの有名な小澤征爾さんが、やはり、私の身内の子に関心を持ち、

 一度聴かせて欲しいから、東京の自宅に来て欲しい、と連絡してきたという。

 小沢さんはウィーンのオペラハウス、国立歌劇場の音楽監督だから、1年のうち、日本にいる時間は限られている。

 その小沢さんがわざわざ、自分から時間を空けて、私のごく近い存在である子の演奏を聴きたいという。



 小沢さんが聴きたいとはどういう事かというと、もしかすると、その子のデビューコンサート、

 つまりオーケストラをバックに協奏曲を弾く時に、小沢さんが振ってくださる(指揮する)かも知れないということなのである。



 たまたま気が向いたから、と言うことはあり得ない。

 ヘタクソのデビューを伴奏(協奏曲では、指揮者は伴奏者である)を引き受けたりしたら、小沢さんの経歴に傷が付く。

 「この子は、何か持っている」と認めてくださらなければ、自宅に来て弾いて聴かせてくれなどということは、絶対に、ない。

 それは断言できる。

 以上の状況から言えることは、上手くいけば、まともに修行を積めば、

 もしかするとこの子は、本当にソリストになれるかも知れない、ということなのだ。

 嬉しくて、嬉しくて、涙が出そうだ。


◆目が眩むほど、光栄。

 

 あまりのことに、再び卒倒しそうである。

 目が眩むような名誉とは、このことだ。

 私とて、この手の話が読者の方にとって不愉快であることは、承知している。

 他人の自慢話は不愉快なものだ。誠に申し訳ない。



 ただ、少し背景をご説明したい。

 私は12年前から4年間英国に駐在したが、出発する直前に親父が脳梗塞で倒れた。

 父は、寝たきりになった。私は父の死に目には会えなかった。

 帰国してからは、それまでとあまりにも違う業務に携わり、うつ病を発症した。

 それに加えて、実の兄弟はガンに罹った。

 既にある程度進行しており、5年生存率40パーセントと言われた

 (おかげさまで、医師の予想ははずれ、先日8年目の検診でも異常が無かったのだが)。

 こういう事を我慢しながら、約8年働いたので、みっともないけれども、正直言って辛かった。

 私は、自分の人生では、もう「良いこと」は何も起きないだろうと、思った。

 今回のこととて、私自身の話ではない。

 親戚の子と言えども当然ながら、全く別の人格、個性を持つ、独立した個人である。

 それを自分のことと混同するほど私は馬鹿ではない。

 しかし、それでも十分過ぎるほど嬉しい。いや、嬉しいなどというものではない。

 音楽は私にとって崇高な存在である。

 身近な人間が、もしかすると並ではない、音楽的才能を持っているのかもしれない。

 そう考えただけで、私は報われた気がするのだ。

 大げさに言うと、「もう思い残すことは無い」。

 勿論死ぬわけではない。が、それぐらいの意味を持つ出来事なのである。

 今日は、全然、時事・社会ではなく、完全な私的日記だが、

 最後までお読み頂き誠に忝(かたじけ)ない。
 ありがとうございました。


2003年12月07日(日) 要するに「イラク復興支援特別措置法」は「アメリカ支援法」だ。
2002年12月07日(土) 「・・・だから清の墓は小日向の養源寺にある」(続)

2005年12月06日(火) 「ある音楽家の教養の程度は彼のモーツァルトに対する関係で分かる。」昨日(12月5日)はモーツァルトの命日でした。

◆「ある音楽家の教養の程度は彼のモーツァルトに対する関係で分かる。」カール・フレッシュ

 「ある音楽家の教養の程度は彼のモーツァルトに対する関係で分かる。

 相当の年にならねばモーツァルトを理解することができない、というのは、よく知られた事実である。

 若い人たちは、モーツァルトを単純、単調、冗漫だと思う。

 人生という嵐によって純化された人だけが、単純さの中の崇高さと、霊感の直接性を理解するのである。」

 (カール・フレッシュ)



 カール・フレッシュというのは、19世紀後半から20世紀前半の人です。

 もともとはハンガリーの生まれですが、パリ音楽院で勉強して、バイオリニストとしても活動したのですが、

 どちらかというと、名バイオリン教師として知られています。

 冒頭の言葉はこのカール・フレッシュが、「ヴァイオリン演奏の技法」(音楽之友社刊。今は絶版です。)という本に書いている言葉です。



 要するに、モーツァルトが分かるかどうかで、ある音楽家の音楽的な才能とか成熟度がわかる、というわけです。

 これはどうやら真理のようです。

 天才的な演奏家なら若くてもモーツァルトの真価を理解出来るのではないか、とわたしは思っていたのですが、

 五嶋みどりさんという、天才的バイオリニスト(ベルリンフィルのソリストに呼ばれるぐらいだから、本当に一流です)がいるのですが、

 彼女ですら、若い頃、「モーツァルトって、どれも同じようなメロディーだから好きじゃない」、と言っています。

 それを知ったとき、私は、「あ、カール・フレッシュの言っていたことは本当だ」と思いました。


◆誰もが絶賛するのです。

 

そうはいっても、私のような非才な凡人がいくら力んで

 「モーツァルトは天才だ」と言っても全く説得力がないので、ある本を紹介します。



古今東西、モーツァルトほどありとあらゆる人(音楽家だけではないです)に絶賛された人間は、

 モーツァルトぐらいしかいないと思います。

 モーツァルトへの賛辞だけで、分厚い一冊の本になっているのです。

 モーツァルト頌(しょう)という本です。

 「頌」(しょう)とは、「褒め称える」という意味です。

 この本に載っているモーツァルトへの賛辞は、それを述べている人自身、私たち凡人から見れば、十分天才なのです。

 その天才達がさらに、天才だといって尊敬しているのがモーツァルトなのです。いくつか拾ってみます。

 

  • ベートーベン:「いかなるときもわたしは自分をモーツァルトの最大の尊敬者の一人にかぞえてきましたが、これは最後の息を引き取るまで変らないでしょう。」

  •  シューベルト:「おお、モーツァルト、不滅のモーツァルトよ。君は、より明るくよりよい生活についての快い映像を、どんなにたくさん、無限に数多く、私たちの魂に刻みつけてくれたことか!」

  •  ショパン:死の床のショパンが、友人たちにいった。「みんなで何か演奏してくれないか。」チェリストのオーギュスト・フランショームが、「じゃ、君のソナタを弾こう」というと、ショパンは言った。「そりゃ、いけない。ほんとうの音楽を弾いてくれたまえ。モーツァルトの音楽を!」

  •  ブラームス:「モーツァルトの音楽、とりわけピアノ協奏曲のような真の作品のすばらしさは、必ずしも誰にでも分かるものではありません。私たちのような者が書く音楽がもてはやされるのは、そのおかげなのです。」

  •  スタンダール(「赤と黒」のスタンダールです)「私が生涯に情熱をこめて愛したのは、チマローザ、モーツァルト、そして、シェイクスピア、だけである。」

  •  アインシュタイン(相対性理論のアインシュタインです。):「死とは・・・、モーツァルトが聴けなくなる、ということだ。」



◆モーツァルト最晩年の傑作、「クラリネット協奏曲」

 

 このモーツァルト頌(しょう)の翻訳者の中 に音楽評論家の吉田秀和という方が います。

 その吉田さんが昔書いたLP300選 (新潮文庫)という本があります。

 クラシックで何を聴いたらいいか、最初は分かりません。

 だから、私も僭越、かつ、微力ながら、こうしてときどき名曲、名演奏を御紹介しているのですが、

 一番、信頼できるのは、この吉田秀和さんの本です。古い本ですが、今でも十分に通用します。

 当たり前です。取り上げている作品は100年、200年、300年前に作曲されて、いまだに世界中で聴かれている音楽です。

 10年や20年で、その評価は変りません。



 この本では西洋音楽で是非、聴いておきたい作曲家の代表作を吉田さんが苦労して選んでいるのです。

 モーツァルトの項では、交響曲やピアノ協奏曲とならんで、

 絶対に無視できない曲として、「クラリネット協奏曲」が載っています。

 この曲はモーツァルト最晩年に書かれている。モーツァルトは死期が迫りつつあるのを知りながら書いているのです。

 だからというわけではなくて、吉田さんのような天才的な「聴き手」が聴くと、

 「この曲では、モーツァルトが音楽と人生に別れを告げている」というのです。

 音楽には、演奏する才能もありますが、吉田秀和さんの音楽評論を読むと、音楽を聴く才能もまた存在し、

 それは誰にでも備わっている才能ではない事が分かります。

 ただし、吉田さんほどの「聴く才能」がないから聴いてはいけない、などと云うつもりは勿論ありません。

 ベートーベンは言っています。

 「私の音楽は皆のものだ。皆に聴いてもらいたい」

 つまり、今では高級とか、ハイソとか言われているけど、

 ベートーベンは決して特権階級の為に音楽を書いたつもりはなかったのです。



 話をモーツァルトの「クラリネット協奏曲」にもどします。

 「モーツァルトはこの曲で、人生と音楽に別れを告げている」と、吉田秀和さんは書いている。

 ところが、この音楽は「イ長調」で書かれています。「長調」です。 長調は、明るい感じですよね?

 普通悲しさを表現したかったら、短調になりますね。



 そこが、モーツァルトのモーツァルトたる所以で、あくまで長調なのです

 (これ以上書くと非常に長くなるので、今は説明を省略します)。

 初めて聴くと、吉田さんの言っている意味がわかりません。

 しかし、私のごとき凡人でも何十年も聴いていると、吉田さんの言わんとするところが、おぼろげながらも分かってきます。



 しかし、こういうことは、はじめから分かろうとしなくて良いとおもいます。気にしないで良いとおもいます。

 本でも、若い頃に読んだ本を、年月を経て、再読すると、若い頃には気が付かなかったことに気づく、

 という体験をします。音楽に関してもそういうことがあるわけです。


◆ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席クラリネット奏者と群馬交響楽団の奇跡的名演。

 

 今回お薦めするのは、モーツァルト作曲「クラリネット協奏曲 イ長調 K.622」、

 演奏はクラリネット独奏がカール・ライスター(元・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 首席クラリネット奏者)、

 指揮・豊田耕児(元・ベルリン交響楽団のコンサートマスター)、

 オーケストラは群馬交響楽団です。 

 
 モーツァルトのクラリネット協奏曲といえば、カールベーム、ウィーンフィル、独奏アルフレート・プリンツとか、

 フランスの奏者なら、ジャック・ランスロとか無限に名演があります。

 それぞれの音楽家について書くと、更に長くなるので、今は書きませんが、

 ここはひとつ、日本でも非常に優れた演奏が録音され、今でも売られているので、紹介します。

 このCDは幻の名演と言われています。


 日本のプロ・オーケストラはどうしても東京に集中しています。

 一番多いときは9つもありました。ロンドンですら、オーケストラは4団体しかないのです。

 東京以外の関東地方で、プロのオーケストラは、群馬交響楽団と神奈川フィルだけです。



 群馬交響楽団は、終戦直後の1945年、戦争で荒んだ世の中に音楽をと有志があつまり、

 高崎市民オーケストラが結成されたのが、始まりです。

 それから、2年後、1947年には早くも「群馬フィルハーモニー・オーケストラ」と改称してプロ楽団としての活動を始めます。

 その時の苦労話、感動的な逸話が1955年に「ここに泉あり」という映画になり、

 全国的に注目されました(この映画は良い映画ですが、ちょっと早かった。

 音楽的な評価以前に、「あの映画になった群馬のオーケストラか」という面ばかりがひとり歩きをしてしまった感があるのです)。

ともあれ、その映画の影響もあり、1956年には、群馬県が全国初の「音楽モデル県」に指定されたことはあまり知られていません。



1963年、財団法人「群馬交響楽団」と改称して今に至ります。

群馬交響楽団は、実はNHK交響楽団に次ぐ、日本で2番目に古いオーケストラなのです。

とは、いうものの、やはり東京のオーケストラに比べると、色々な面で不利です。

優秀な音楽家はどちらかと言えば、東京のオーケストラに入りたがる。

  有名な指揮者やソリストは高崎まで行くのは、けっこう大変ですから、なかなか来てくれない。

 東京以外では楽器や楽譜の調達が困難です(因みにオーケストラの楽譜は借り物であることが多いのです。

 オーケストラに楽譜を貸し出す商売があるのです。最近ではさすがに有名な曲の楽譜は各オーケストラが自前で買っているようですが・・)。

 はっきり言って、東京のオーケストラに比べたら下手でした。



  そこで、群馬交響楽団の理事長さん(だったか事務局長さんだったか、要するに裏方を支える人)が、

  ベルリン交響楽団のコンサートマスターを務めていた豊田耕児さんという方をドイツまで訪ねて行き、

  拝み倒して、群響の音楽監督になってもらうことに成功しました。

  豊田耕児さんが群響を鍛え上げたと言っていいとおもいます。

  正式に音楽監督だったのは1981年から6年間ですが、その前から指導していた。

  そして、豊田さんはベルリンでずっと弾いていた人ですから顔が利く。
 そこで、思い切って、世界一のオーケストラの首席クラリネット奏者を群響のレコーディングのために呼んでもらったのです。

  ライスターはベルリンフィルにいたので、何度も来日したことがあり、この申し出を快諾してくれたようです。

  このようにして、実現したこのモーツァルト:クラリネット協奏曲という夢のような企画が実現しました。

  これは、本当に驚きます。

  既に故人ですが、作曲家の柴田南雄氏は著作も多く、レコード、CD評も良く書いておられました。

  大抵、感想の中に、「もうすこしここをこうした方が・・」という文章なのです。

  ところが、その柴田南雄先生が、カールライスター、群響の「クラリネット協奏曲」を聴いたときの評価はすごい。べた褒めです。

「これは、心底驚いた。このCDの音だけを聴いて、日本のオーケストラだと言い当てることが出来る人がいるだろうか?」



  というのです。本場ヨーロッパのオーケストラに匹敵する名演を群馬交響楽団は実現しました。

  勿論、それまでの豊田耕児さんの指導の成果が大きいのですが、

  カールライスターという、超一流の音楽家を迎えたことにより、

  その音楽性に触発されて、オーケストラの潜在的な音楽性が花開いたということだとおもいます。

  ライスターの演奏は非のつけようがありません。

  ちょっと聴くと、簡単に吹いているようです。これこそ名人の証です。

  よく、モーツァルトの音楽は完璧だから、楽譜通りに弾けばいい、何も工夫しなくて良い、

  と言うような文章や発言を見聞きしますが、それでは機械が演奏しているのと変らないです。メトロノームです。

  少しずつテンポやアーティキュレーション(各音の切り方、又は次の音とのつなげ方)を変えているのですが、

  全体としては何もしていないように均一に、自然に聞こえるように演奏するために、音楽家は大変な修練を積んでいます。

  カールライスターはそのお手本のような演奏です。

  このCDに録音されているのは、正真正銘、人類史上最高の天才の名曲の、大名演です。


2004年12月06日(月) 「専門家の意見を聞くことは悪いことではない」(陸自幹部が改憲案について。小泉首相)。小泉流魔法の詭弁術。
2003年12月06日(土) 「首相、涙でイラク復興誓う…2外交官合同葬 」 外交官が亡くなったことは自衛隊派遣の理由にならない。
2002年12月06日(金) 小柴、田中両氏、ストックホルム到着、のニュースを聞いて、色々と思いを巡らせる。

2005年12月05日(月) 最近の世論の不思議な傾向。「耐震強度の偽装問題 」、「東武鉄道と東西線」

◆【耐震強度の偽装問題】加害者よりも被害者が非難されるの?

 

 毎日、新しい情報が飛び込んでくる耐震強度の偽装問題に関して、色々なご意見を拝読すると、

 「強度を偽った建築士も悪いには、悪いが、騙された被害者は、注意が足りない。

 強制退去させられた欠陥マンション住人の引っ越し費用や、新しい住居費用に、

 公的資金を使うのはおかしいのではないか?」という考え方をしている人が多いのに驚く。



 人を騙すより、騙される方が悪いのだ、という考え方が自然だと考える人は、

 折あらば自分も人を騙そうとしているのではないか、と勘ぐりたくなる。

 騙した人間は文書偽造、詐欺、という犯罪を犯している。

 他人の善意につけ込んで、生命の危険がある住居に住まわせようとしたのである。

 これは、私の何とかの一つ覚えのようであるが、

 「住人がちょっと大きな地震で死ぬかも知れないが、それは簡単に騙されるからいけないのだ」、

 ということだから「殺人の未必の故意」があったとすら言える。

 一方、欠陥マンションの住人は、仮に用心が足りなかったとしても、「相手を信用すること」は違法行為ではない。

 どうして、住民側に対して、世間はこれほど冷たいのか。


◆【東武鉄道と東西線】

 

 東武鉄道は、「<東武運転士>解雇処分を正式決定」←妥当である。に書いた。

 東西線の「事件」は次のようなものである。

 

◆走行中「アイちゃん好き」 運転士が奇声、乗客騒ぐ

 東京メトロ東西線の運転士が走行中に奇声を出し、不審に思った乗客が西葛西駅(東京都江戸川区)ホームで

 非常通報ボタンを押す騒ぎがあったことが1日分かった。

 東京メトロによると、11月30日午後9時半ごろ、中野発西船橋行き普通電車の運転士(41)が運転中、

 「アイちゃんが好きだ」などと、意味不明なことを大声で叫んだらしい。

 西葛西駅で停車した際、乗客が非常ボタンを押し、駅員が駆け付けたが、

 異常が認められないため、運転士は妙典駅(千葉県市川市)まで運転した。

 東京メトロ側の調べでは、運転士が飲酒などした形跡はなく、騒ぎについて

 「独り言を話す癖がある。乗客に迷惑をかけた」と釈明した。

 運転士は過去に処分歴などはないが、しばらく運転勤務から外す方針という。

 (共同通信) - 12月1日17時22分更新


 東武鉄道の運転士は、人命に関わる自分の仕事場に、服務規程に違反して我が子を入れたのである。

 その理由は、「泣きやまないから」というものだった。

 一方、東西線の運転士は、叫びはしたものの、異常な運転をした前歴は無く、

 その日も「奇声をあげ」て、乗客を「不安な気持ちにさせた」ことが咎められるべきだが、

 オーバーランも信号無視もしていない。



 東武鉄道のときは、処分が厳しすぎると2,000件もの抗議があったそうだが、東西線には非難ごうごうである。

 しかし、奇声をあげたことから、直ちに精神の異常を連想するのは短絡的である。



 普通の人は多くの人命を預かるような乗り物を運転・操縦することはないが、

 同乗者がいない場合、自動車を運転中に他のクルマに毒づいたり、

 何か良いことがあって気分が良いときに、鼻歌を歌ったことがある人は多いのではあるまいか。



 眞野あずささんという美人女優がおられるが、以前テレビで告白していた。

 彼女はクルマの運転が大好きで、かなりの「飛ばし屋」である。

 前を不必要に低速で走っている車がいると「早く行けよ、馬鹿野郎」とか

 「モタモタすんじゃねえよ」とか、彼女の外見からは到底想像できないような罵詈雑言を吐くのだそうだ。

 独りで乗っているときなら良いのだが、あるとき同乗者がいることをわすれて、

 思わず「馬鹿野郎」をやってしまい、同乗者が唖然としているのを見て、ハッと我に返り、

 「ヤベえ・・・」と思ったそうだ。

 人間単純ではない。勿論、公共交通機関の運転士たるもの、油断して貰ってはこまる。

 だが、「アイちゃん好き」運転士を、それだけで「異常」若しくは「危険」と判断するのは、

 あまりにも早計だ。子供を運転席に入れる方が余程危険である。


2004年12月05日(日) 「陸自幹部が改憲案作成 自民大綱素案に反映」 危ない国になってきたな。
2003年12月05日(金) 小泉首相は、亡くなった奧参事官、井ノ上書記官の帰国を自ら出迎えるべきだった。/イラク人もしっかりしろ。
2002年12月05日(木) 曾我ひとみさん達の笑顔を見ることが増えてきたね。

2005年12月04日(日) 「<イラク自衛隊>サドル師派デモ隊が車両に投石、一部破損」 それでもサマワは安全だという防衛庁長官

◆記事1:<イラク自衛隊>サドル師派デモ隊が車両に投石、一部破損 (毎日新聞) - 12月4日21時59分

 

 イラク南部サマワで4日午前11時半(日本時間午後5時半)ごろ、陸上自衛隊の車両が郊外へ移動中に、

 イスラム教シーア派の反米指導者サドル師派のデモ隊と遭遇した。

 デモ隊からの投石で軽装甲機動車1台のサイドミラーが割られたが、隊員にけがはなかったという。

 防衛庁によると、陸自の車両はサマワから北へ約20キロのルメイサ市で担当していた養護施設の修復工事の完工式に出席するため現地に向かっていた。

 現在派遣されている第8次隊トップの立花尊顕(たかあき)群長も同行していた。

 デモ隊は「ノージャパン」と叫んで投石していたが、陸自の車両を待ち伏せしていたかどうかは不明。

 サマワの宿営地には3日、額賀福志郎・防衛庁長官が訪問し、

「現地の治安は比較的安定している」とコメントしたばかりだった。【反田昌平】

 ◇額賀長官「サマワの治安はよくなりつつある」

 サマワ訪問を終えて4日夜に帰国した額賀福志郎・防衛庁長官は、記者団に「(投石被害は)初めてのことではない。

 サマワの治安はよくなりつつあるという感じを受けた」と語り、治安情勢に問題はないとの認識を示した。


◆記事2:陸自など狙い3連続攻撃 サマワ、警官ら2人負傷 (共同通信) - 11月8日7時3分更新

 

 【サマワ7日共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワの警察当局によると、

 7日夜(日本時間8日未明)、陸自宿営地と警察を狙ったとみられる攻撃が3件続き、

 警官とタクシー運転手が負傷した。陸自に被害はなかったもよう。

 まず午後9時ごろ、警察署前で、車に乗った武装集団が発砲し、見張りをしていた警官らが応戦、銃撃戦となった。

 近くにいたタクシー運転手が首を撃たれて負傷し、武装集団は車で逃走した。

 約1時間後、サマワ南部で巡回中の警官がロケット弾で攻撃され、1人が負傷、警察車両1台が損壊した。

 さらに数十分後、陸自宿営地を狙ったとみられる砲撃があり、宿営地の外に着弾したという。

 サマワでは先月15―16日にも、警察と武装集団の間で銃撃戦が起きたほか、

 郊外で警官が銃撃を受けて死亡する連続攻撃が起きていた。


◆記事3:「サマワの外国軍必要ない」=最も安全な地域の1つ−イラク報道官(時事通信) - 11月18日11時1分更新

 

 【シドニー18日時事】18日のオーストラリアの国営ABC放送によると、イラクのジャファリ首相の報道官は、

 自衛隊が駐留するイラク南部サマワについて、「最近サマワを訪れたが、イラクの中で最も安全な地域の1つ。

 (外国の)軍隊は必要ない」と語った。

 サマワには現在、豪州と英国の軍隊が駐留し、自衛隊警護のほかイラク軍の訓練を行っている。


◆記事4:<イラク自衛隊>額賀長官が派遣延長方針を明言(毎日新聞) - 12月2日12時16分更新

  

 額賀福志郎防衛庁長官は2日午前の記者会見で、14日に期限切れとなる自衛隊のイラク派遣について

「イラク移行政府が強く自衛隊の活動を望んでいる。引き続き行動していくことを前提に協議している」と述べ、

 延長方針を明言した。

 政府は現行の基本計画の活動内容や派遣規模を維持したまま、派遣期間のみ1年間延長する方向で与党と協議を進めているが、

 派遣延長を前提にしていることを正式に認めたのは額賀長官が初めて。

 当初、派遣延長を盛り込んだ基本計画の閣議決定は9日の予定だったが、党首会談などの日程調整で8日に変更された。


◆記事5:陸自撤収後も空自残留=対米配慮で輸送先拡大も−政府検討(時事通信) - 12月2日23時1分更新

 

 政府は2日、自衛隊のイラク派遣に関し、来年前半に陸上自衛隊が撤収した場合でも、

 クウェートを拠点とする航空自衛隊の輸送活動は続ける方向で検討に入った。

 自衛隊の活動継続を求めている米国に配慮した措置で、輸送先の拡大も検討する方針だ。 

 (時事通信) - 12月2日23時1分更新


◆コメント:これでも、サマワは安全ですか。

 

 イラク復興支援特別措置法では自衛隊が活動するのは非戦闘地域でなければならない、と定められている。

 

イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年八月一日法律第百三十七号)

第二条 3  対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。



 非戦闘行為でなければならないと定めているのは、言うまでもなく日本国憲法により、 

 こちらから武力を行使することを禁止されている(攻撃されたときに防衛のため、武器を使うのはやむを得ない)

 自衛隊の安全を確保するためである。

 イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊のイラク派遣は、本当は、昨年12月で終わるはずだったが、

 わが国の内閣総理大臣は米国のいいなりなので、あっさり、1年間の延長を決定した。

 このときに、臨時国会が開かれており、民主党の岡田代表が、

 小泉首相に、「この先1年間、サマワが非戦闘地域であり続ける、と判断する根拠を示せ」と詰め寄ったら、

 小泉首相は「将来のことなど分かるわけがない」と発言した。

 つまり、はじめから、非戦闘地域などというものは存在しないのだ、と首相自らが認めたのである。


◆自衛隊の宿営地は何度も攻撃を受けている。

 

 一番はじめに載せたニュースは今日の話である。自衛隊のトラックに投石があった。

 また、記事2のような、「武装集団」による攻撃が行われた回数は、既に10回をとっくに超えている。

 しかし、これは、政府見解によると「戦闘行為」ではないのである。

 戦闘行為とは、主権を有する国家が主体となった、国権の発動としての武力の行使を指すから、

 一般市民が乱暴をはたらいたところで「戦闘」ではない。

 また、イスラムテロ組織が10回以上もサマワの自衛隊宿営地に迫撃砲や、ロケット弾を撃ち込んでいるのだが、

 テロ組織は「国家」ではなくて、「犯罪集団」だから、これも「戦闘行為」ではないのである。

 法律は、書き方により、このように、いくらでも国家権力による「言い訳」を可能にするのである。


◆イラク人が、サマワに軍隊はいらんといっているのに、「いや、必要だ」という日本政府

 

 日本の自衛隊のうち、陸上自衛隊はサマワにおいて「人道復興支援活動」を行うために派遣されており、

 無論、自衛官には何の責任もなく、内閣総理大臣の命令にしたがっているだけだが、

 これまでに沢山の道路を修復し、学校や、病院を建てたり、それはそれなりに良いことをしているが、

 記事3でイラク政府の報道官は、「サマワに軍隊は必要はない」といっている。

 これは、今に始まったことではなく、陸自の車両が「給水事業」を行っているのなどは、甚だ滑稽で、

 サマワには立派な浄水場があり、何も外国の自衛隊に「水くみ」をして貰う必要はない、というのである。


◆それでも、「自衛隊派遣延長」を主張する防衛庁長官

 

 防衛庁長官がサマワに行って様子を見てきたらしい。数日間で何が分かるのだろうか。

 また、現地が要らないと言っている上、自衛隊は武力を発動しないのであるから、

 治安維持の為に必要だ、というのもおかしい。給水事業などは、地元民が自分で出来ると言っている。

 宿営地は10回以上も攻撃を受け、今日は住民に自衛隊のトラックが取り囲まれて、投石を受けている。

 「戦闘」でないという、言葉の問題ではなく、現実に危険が存在する。

 それでも自衛隊が、まだイラクへ行かなければならない理由は何か?

 自衛隊の駐留には当然、莫大な費用が投じられ、勿論それは、税金でまかなわれている。

 内閣総理大臣は国民に説明する義務があるが、何の説明もない。


◆航空自衛隊が行っている米軍の物資輸送は違憲である。

 

 自衛隊のイラク派遣というと、もっぱらサマワの陸上自衛隊が注目されるが、

 他にも航空自衛隊がC-130輸送機でクウェートからイラク各地の米軍基地に物資輸送を行っている。

 これは、イラク復興支援特別措置法では「安全確保活動」という良く分からない言葉になっている。

 実は、これこそ、違憲である。

 米軍の武器弾薬を輸送すると言うことは、戦闘中の同盟国への後方支援であり、

 後方支援は自分で武器を用いなくても武力行使の一端を担う。

 つまり、集団的自衛権の行使であり、今の憲法はこれを禁止している。


◆小泉首相は2003年12月9日、自衛隊派遣に関する記者会見で武器弾薬輸送は行わないと言った。

 

 約2年前、イラクへの自衛隊派遣を閣議決定した後、

 小泉首相は「イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画について」の臨時記者会見を開いた。

 今でも残っているからリンクをご参照いただきたい。

 リンク先を見れば分かるが、記者との間で以下の質疑応答があった。

 

 【質問】 今回、武器弾薬の輸送は行われるんでしょうか。

 【小泉総理】 武器弾薬の輸送は行いません。

 【質問】 行わない。

 【小泉総理】 行いません。

 【質問】 それは、実施要項の中とかで担保されるんですか。

 【小泉総理】 そうです。

 【質問】 そういうことですか。

 【小泉総理】 はい。復興支援活動であります。日本は戦争に行くのではありません。自衛隊は復興人道支援活動に行くんです。



 これほど、はっきり「約束」しておきながら、今や米軍の武器弾薬輸送は空自の「日常業務」になっている。

 それは今一度繰り返すが、違憲である。

 こういうことを、平気で行う内閣(何度も書くが、自衛隊に責任はない。

 自衛隊の最高司令官は文民たる内閣総理大臣であると自衛隊法で定められている)、

 記者会見で直接首相に質問して答えを聴いているのに、事態を問題として取り上げない、大新聞、大テレビ局。

 全く無関心で、約束を破った総理大臣を選挙で大勝させてしまう有権者。

 いずれの責任も重大である。

 簡単に自衛隊派遣延長を決めてはいけないのである。


2004年12月04日(土) 「旧橋本派事件、元会計責任者に有罪」「NHKプロデューサー横領」←不祥事発覚の影には陰謀が有ることが多い。
2003年12月04日(木) <自衛隊派遣>「非戦闘地域」該当の判断せず 基本計画←こいつらは、悪魔だ。
2002年12月04日(水) 英語とPCとインターネット

2005年12月03日(土) 「栃木女児殺害」過熱報道への懸念を今一度強調する。

◆記事:胸狙い何回も刺す=深く心臓に、失血死−同級生と別れすぐ拉致か−栃木女児殺害

 

 栃木県今市市の小学1年吉田有希ちゃん(7つ)が行方不明になり、遺体が茨城県常陸大宮市の山林で見つかった事件で、

有希ちゃんは胸を何回も刺されていたことが3日、両県警の合同捜査本部の調べで分かった。

 死因は心臓を深く刺されたことによる失血死。遺体には切られた跡も含め、数カ所の傷があり、捜査本部は凶器の特定などを急ぐ。

 捜査本部は3日、遺体を司法解剖した。同日午前9時40分の解剖開始を起点とし死後1〜2日であることも判明した。

 また、捜査本部は警察犬を使い、有希ちゃんの通学路周辺を捜索。

 しかし、犬は有希ちゃんが同級生3人と別れたY字路から自宅方向に数十メートル行った場所で追跡できなくなった。

 捜査本部は同級生と別れた直後に、近い場所で拉致された可能性があるとみて、

 周辺で不審な車や人物を目撃した人がいないか情報収集に全力を挙げている。

 これまでのところ、事件に直結する情報はないという。 (時事通信) - 12月4日2時0分更新


◆コメント:一ヶ月前の大事件のことは忘れているでしょう?

 

 ちょうど一ヶ月前、11月4日の日記で取り上げたが、

 大事件があったのをずっと覚えていた人がいるだろうか?

 これは、静岡県の女子高生が母親に劇物のタリウムを摂取させていた事件である。

 当時マスコミは大きく取り上げたし、犯罪の原因・背景などについてブログで取り上げた人は数え切れなかった。

 しかし、今、ここでそのことを再び書くまで、忘れていた人が多いのではないだろうか?

 「異常だ」「許せない」と、そのときは騒いでも、所詮、一般人が自分に直接関係がない犯罪に対する関心の程度というのはその程度だ。


◆だから、犯行の詳細を報道するメリットはない、と書いたのである。

 

 わずか数日前、広島の事件に関して、「広島小一女児殺害事件」の詳細を報道するべきではない。という稿を上げた。

 犯罪の詳細を一般国民が知るメリット、知らないことによって被る不利益、いずれも認められない、と書いた。

 マスコミがいくら大々的かつ詳細に事件を報じても、特段の意義が認められないのは、

 今書いたとおり、静岡の異常な事件のことを、わずか一ヶ月で人々が忘れていることからも、ほぼ明らかである。


◆事件をセンセーショナルに取り上げることにより、連続犯となることがある。

 

 間違えないで頂きたいが、私は「事件そのものを完全に報道しなくて良い」、と述べている訳ではない。

 「センセーショナルに騒ぎ立てることは極めてよろしくない」ことを強調しているのである。

 その理由は、上で述べたこと以外にも、ある。



 11月4日に書いたが、アメリカではこの手の殺人の殆どは「快楽殺人」、

 つまり、他に目的がなく、殺害時の被害者の苦しみ方などを喜ぶ異常性を持つ犯行である。

 それは同じ文章で紹介したFBI心理分析官を読めば、分かる。

 栃木で起きたような犯罪も恐らくそれに類似している。

 そうだとすれば、事件を騒ぎ立てるほど、犯人を喜ばせることになる。



 何故なら、彼らは自らの犯行が新聞で取り上げられ、テレビで報道されるのを見て、「満足する」のである。

 これは、我々がいくら考えたところで、異常な人間の思考だから、理解できぬ。

 但し、彼らにそういう傾向があることは知っておく必要がある。

 繰り返すが、世間が自分の事件で大騒ぎをするということは、犯人の目的の達成を助けているのも同然だからだ。

 そして、さらにまずいのは、「自分の犯行が世間で騒がれることの喜び」が、

 同一犯が同種犯罪を繰り返す起因となりかねないことである。 連続殺人犯は、大抵、そのパターンだ。

 だから、何度も書くが、テレビも新聞も雑誌も、必要最低限以外の事を放送したり、書いたりするべきではないのである。


2004年12月03日(金) 「ルソン島豪雨の死者・行方不明者、1000人突破」←人道支援活動、しないのですか?
2003年12月03日(水) 米国のしてきたことを考えたら、日本が義理立てする必要は全く、無い。
2002年12月03日(火) 「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。」(鬼平犯科帳)

2005年12月02日(金) <耐震偽造>民間確認検査機関が陳謝、再調査結果を説明←陳謝で済むか、馬鹿者。

◆記事1:<耐震偽造>民間確認検査機関が陳謝、再調査結果を説明

 

 姉歯秀次1級建築士が構造計算書を偽造したマンション「グランドステージ船橋海神」(千葉県船橋市)の建築確認をした

民間確認検査機関「東日本住宅評価センター」(横浜市鶴見区)が2日会見し、「偽造を見抜けずに申し訳ない」と陳謝した。

奥沢泰一社長は「社内調査の結果、この他には偽造はなかった」と説明した。(毎日新聞) - 12月2日20時58分更新


◆記事2:耐震計算偽造:「転居費用は」「子の学校は」 横浜市使用禁止命令に、住民悲鳴

 

 「あまりに急だ」「引っ越し費用もない」。

 横浜市が使用禁止命令を出す方針を明らかにした分譲マンション「コンアルマーディオ横浜鶴見」(同市鶴見区)の

 住民への説明会では、住民から悲鳴のような声が相次いだ。

 市側は、使用禁止命令に伴う転居について「市は市営住宅の住居費は出すが転居費用は負担しない」と説明。

 住民は「新しいマンションに移るなら家具なども買わなければならないが、引っ越し費用も出せない状況だ」と訴えた。

 別の住民は「子供が区外の学校に通っている。市営住宅では通えず、民間住宅に入りたい。民間でも援助してほしい」と要望した。

 だが、市側は「(民間住宅の)費用を市が負担することはできない」と理解を求めた。毎日新聞 2005年11月26日 東京夕刊


◆記事3:耐震計算偽造:転居先に公営住宅提供、石原都知事が難色

 

 構造計算書偽造問題で国土交通省がマンション住民の転居先として公営住宅の提供を打診したことについて、

 東京都の石原慎太郎知事は18日の会見で「災害と違い、無条件で優先的に入れるわけにはなかなかいかない」と難色を示した。

 国交省は公営住宅の提供を求めているが、都都市整備局によると、

 都営住宅の競争率は20〜30倍で、2年以上入居待ちの人もいる。

 石原知事は「人間の生命にかかわりかねない認定は、きちんと審査をするよう指導する必要がある」と話した。毎日新聞 2005年11月19日 東京朝刊


◆記事4:耐震計算偽造:東京都が500戸提供−−入居者の受け入れ先

 

 東京都は25日、倒壊の恐れがあるマンション入居者の受け入れ先として都営住宅など500戸を提供すると発表した。

 受け入れるのは、都営住宅50戸、都民住宅300戸、都住宅供給公社住宅150戸。

 28日以降、物件一覧を配布し、来月1〜7日に同公社で受け付ける。早ければ年内の入居が可能という。

 期間は原則3カ月で、必要に応じて6カ月まで延長可能。

 家賃の減免措置はとらず、都民住宅の場合、3LDK中心で7万〜13万円台。

 期間終了後の特例措置として、公営住宅の入居資格を満たす高齢者や障害者の場合は、

 優先的に都営住宅入居をあっせんする。毎日新聞 2005年11月26日 東京朝刊


◆記事5:耐震計算偽造:転居用に2200戸−−安倍官房長官

 

 安倍晋三官房長官は30日午前の記者会見で、耐震データ偽造問題に関する政府の当面の対応策を発表した。

 耐震強度偽造が発覚したマンションの居住者対策が中心で、

 (1)居住者の受け入れ住宅2200戸の確保とあっせん

 (2)12月中旬ごろまでに問題がある物件からの退去勧告の準備

 (3)住宅購入者への支援措置の可能性を早急に検討−−などとなっている。

 受け入れ住宅は公営住宅を中心にあっせんする。

 姉歯秀次1級建築士と指定確認検査機関「イーホームズ」などについて、立ち入り検査や建築士資格取り消し、

 建築基準法違反にかかる刑事告発の準備などを進めていることも明らかにした。毎日新聞 2005年11月30日 東京夕刊


◆コメント:もう少し、「情」のある措置を取るべきだと思います。

 

 まず、一昨日の復習から。

 建物を建てるときは、本来、3回検査しなければいけないのです。

 最初に図面にミスがないか、強度に問題がないか等を調べる「建築確認」。

 途中、設計通りに建築されているかを確かめる「中間検査」。

 完成した建物に問題が無いかどうかを調べる「完了検査」。

 1998年の建築基準法改正までは、市町村区の仕事でした。しかし、「建築確認」しか行っていなかった。

 改正後は民間検査機関に任せても良いことになったが、ひどい話で、改正建築基準法には検査の項目もやり方も定められていないのです。

 そして、民間検査機関がきちんと検査をしていたのか、役所は調べていなかった。 

 民間検査会社は、いい加減な検査をしていた。それで謝っているというのが、記事1です。


◆勿論、一番悪いのは、強度を偽装表示した建築士とそうと知って売っていた不動産屋達ですが。

 

 勿論、直接的には、わざと手抜き設計した人間と、手抜きと分かりながら、建物を建てた工務店、

 建設会社(長年やっているのだから、鉄骨の数が少ないとか、現場の人間だって分かっていたはずです)が悪いのです。

 また、まともな検査をしていなかった民間検査会社も悪い。
 記事1にあるとおり、「東日本住宅評価センター」(横浜市鶴見区)が2日会見し、

「偽造を見抜けずに申し訳ない」と陳謝したというが、「申し訳ない」で済む問題か、と怒鳴りつけたい気持ちです。


◆建築基準法を改正した国と民間検査業者に任せきりでいた市町村区の責任も当然、あるでしょう。

 

 このような、いい加減な設計、工事、検査が横行しているのは、建築基準法を改正した国と、

 民間検査会社に任せっきりでいた地方にも、責任があります。

 それなのに、地方自治体は冷たすぎるのではないでしょうか?

 記事2は悲惨です。横浜市と川崎市はは欠陥マンションの住人に横浜市退去命令を出したのです。 

 そして、「市営住宅へに入れ。住居費は出すが引っ越しの費用は自分で出せ」というのです。

 住民は欠陥マンションへのローンも返済し続けている。中にはお年寄りもいる。

 本当に余分な資金など無い人もいるでしょうに、「退去命令」。

 こうなった原因の一端は横浜市にもあるのですよ。


◆弱者に冷たい石原都知事。

 

 東京都も冷たい。石原都知事が冷たいのです。相変わらず、この人は、「社会的弱者」にとても冷たい。

 記事3を読んで下さい。最初石原氏は、都営住宅を提供するつもりはなかったのです。

 石原慎太郎は、先日テレビで発言していました。

 要するに、「そんな広くて安い住宅には何か問題があるに決まっている。見抜けない奴も悪い」という事です。

 そんなことは誰もわかっているけどさ。今言わなくてもいいでしょう。

 困っている人が大勢いるときに、わざわざ言わなくても良いでしょう。

 都営住宅は入居待ちの人が沢山いる事も分かっています。自然災害でないと言うのもその通りです。でもね・・・。

 記事4によれば、東京は都営住宅を500戸提供する、家賃の減免措置は取らず、7万円から13万円。

 しかも、原則3か月しか住ませてくれない。状況に応じて延長しても半年まで。 その間に新しい家を探しなさい、という訳です。



 くどいようですが、欠陥住宅の住人はローンの返済があるのですよ。

 それに加えて、13万円も支払えというのは、あまりに酷ではないでしょうか。

 東京都だって、都に責任は無く、責任は市町村区(東京にも「村」があります)だ、と言うことでしょうが、

 それはそうですが、国民は、所得税の上に地方税(都道府県に支払う税金)と、住民税(市町村区に支払う税金)を収めていて、

 東京はそれが毎月4万円、5万円になる(無論所得によりますが)人が多く、

 かつ、今回は、「異常事態」なのですから、いくら何でももう少し「情」のある措置が出来ないのか、と思います。


◆自殺者がでるぞ。

 

 どう考えても、厳しい。経済的負担が、です。

 欠陥住宅のローンを支払い、新しくあてがわれた市営住宅都営住宅の家賃を支払い、

 引っ越し費用を負担し、新しい家を見つけたとしてもそれを借りるときに、敷金とか礼金などが必要となる。

 欠陥住宅から「退去」を命ぜられた人の経済的負担は重すぎます。

 安倍官房長官(「情」が感じられるのは、この人ぐらいです)は記事5にあるように、

 経済的な援助も考えてくれているようですが、多分時間がかかる。

 お年寄りなんか、どうしたら良いのか分からない。死ぬしかないと言っている人が何人もいます。

 このまま、放っておけば自殺者は本当に出るとおもいます。

 そんなこと、知事も役人も国会議員も分かっているでしょうに。

 早く、公的資金による経済的援助を決めるべきです。


2004年12月02日(木) 「環境投資で排出枠獲得 政府、ロシアや中東欧対象」 京都メカニズムという制度が京都議定書にあるのです
2003年12月02日(火) 「ある音楽家の教養の程度は、彼のモーツァルトに対する関係で分かる」(カール・フレッシュ=バイオリン演奏の技法)
2002年12月02日(月) 未成年でも殺人犯は厳罰に処すべきである。

2005年12月01日(木) 「耐震計算偽造:都道府県による民間検査機関検査、国交省が容認へ」←何でも「民に出来ることは民に」は間違っている。

◆記事:「耐震計算偽造:都道府県による民間検査機関検査、国交省が容認へ」

 

 耐震データ偽造問題で、北側一雄国土交通相は30日、国指定の民間確認検査機関に対しても、

 都道府県の権限で「立ち入り検査」が実施出来るよう検討していることを明らかにした。

 現行制度では、国が年1度程度の立ち入り検査を行っているが、検査員の数など形式的な調査に終わっているのが現状。

 実際に建築確認業務を行っている自治体の関与で、民間検査機関への監視を強める方針とみられる。

 北側国交相は、全国のマンションなどの耐震性を調べるサンプル調査についても「検討したい」と述べた。

 この日午後の衆院国土交通委員会で答弁した。毎日新聞 2005年12月1日 東京朝刊


◆コメント:小泉首相、何でも「民が出来ることは民に」やらせるのは間違っているのですよ。

 

 建物を建てる時には、国家における「三権分立」に相当する仕組みが機能する筈だった。

 つまり、設計(建築士)、設計通りに建物を建てる施工(工務店、建築会社)、

 設計通りに施工されているかを確認する監理(検査機関)である。これが全然機能していない。



 そもそも、以前は、検査は市区町村が行っていたのだが阪神・淡路大震災のときがきっかけで、変更されたのである。

 即ち、市区町村では、処理能力に限界があり、施工主に義務づけられていたのは、建築前に行う「建築確認」のみだったのだ。

 本当は、施工が設計通りに行われているか確かめる、「中間検査」、

 完成した建物の検査、「完了検査」が行われなければいけないのだが、

 中間検査と完了検査は行われていなかった。



 その結果、「完了検査証」の無い、耐震強度が十分でない住居が乱立し、

 阪神・淡路大震災 のときには、多くの家屋が倒壊した。

 震災の死者の8割は倒壊した家屋の下敷きになった。圧死だったのである。

 そこで、1998年の建築基準法大改正により、3回の検査が義務づけられることになったのだが、

 同時に、検査を民間検査会社に委ねてもよいことにしてしまった。

 ところが、今の法律は、検査すべき項目も、検査の方法も定めていない、というのだから、驚く。

 当時、これを重く見た日弁連(日本弁護士連合会)は相当猛烈に反対した。

 検査が商売になったら、甘い検査になるに決まっている、と。しかし、法案は可決されてしまった。


◆検査会社にとって施工主は「客」だから、欠陥を指摘しないのだ。

 

 実際、日弁連の予想通りになった。

 検査会社にとって、依頼主は客だから、なるべく検査を簡単に済ませてしまうのである。

 厳格に検査されたら、手抜き工事をしている連中はひとたまりも無いので、

 なるべく検査が甘い検査会社に仕事が集中するようになったのだ。

 その結果、専門家ならば、唖然とするほどひどい設計と施工がまかり通るようになってしまった。

 実際、渦中の姉歯建築士は、検査を担当していたイー・ホームズのことを、

 「基準が甘いから、いい」 と、言っていたのである。


◆「民が出来ることは民に」じゃなく、「民が出来ても官がやるべきこと」があるのだ。

 

 衆議院選挙の時に、小泉純一郎内閣総理大臣は、「民が出来ることは民に」、

 という言葉を百万回も繰り返していた。

 しかし、今回の例を見ると、必ずしもそうではないことが明らかだ。

 何でもかんでも、公費負担を抑えることを優先すればよいというものではない。



 日本国憲法は前文で、国民の「平和的生存権」を守らなくてはいけないと謳っている。

 いつ倒壊するか分からないような建物は、住人の「平和的生存権」を侵している。

 建築物の検査は、国民の生命に関わるのだから、国が必要な予算を振り分けて、

 まともな検査が行われるようにするべきなのだ。


2004年12月01日(水) 「改正刑法など成立」←同時に成立した「犯罪被害者基本法」に意義がある。
2003年12月01日(月) 小泉首相は説明責任をないがしろにしている。民主主義国家では許されないことだ

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