DiaryINDEX|past|will
2004年12月14日(火) |
本田美奈子が基礎から声楽を勉強し直して歌った、フォーレやサンサーンスが美しいのに、失礼ながら驚いた。 |
◆元々はアイドル歌手だった人ですね。
たまには、好きな音楽の話を書きます。
口幅ったい(くちはばったい)言い方ですが、私がクラシック以外の人がクラシックを演奏(歌うことも演奏というのです)をしたのを聴いて、褒めることは、滅多に無いのです。
それは、偏見からではなくて、やはり子供の頃から基礎から積み上げてきた人たちと比較したら、大抵、全然話にならないからです。
◆歌は比較的融通が利く。
ピアノやヴァイオリンのプロになろうというのならば、これはもう、絶対に子供の頃からやらないと、だめです。
ソリストになるような人は、ピアノなら小学生のころから、ショパンやリストのエチュード(死ぬほど難しい)をバリバリ弾きます。
ヴァイオリニストになりたい、しかもソリストになりたいなら、同じく小学校の低学年で、メンデルスゾーンの協奏曲など弾けてあたりまえで、技術的にはもっと難しい、パガニーニの24のカプリース(発狂するほど難しい。私なんか、3000年練習しても弾けない)を弾けて当たり前。多分皆さん、例えば、そうだな。東京音大の付属音楽教室の発表会を聴いたら、気絶すると思います。全員、天才です。
ソリストとして、大成するにはそれが、最低レベルです。前提条件です。十分条件ではありません。
それぐらい天才的でもソリストになれるのは何百人に一人です。
それに比べると、歌は遅くからはじめて良いのです。
というか、そのようにせざるを得ない。
なぜかというと、何せ身体が楽器だから、身体が成長して、できあがらないと、どこまで才能が伸びるか分からないのです。
◆本田美奈子がここまで勉強して上手くなるとは・・・。
先日、たまたまテレビで、聞き覚えのある、しかし、以前より遙かに良く声が出ている人がいて、誰かと思ったら、本田美奈子でした。
彼女は、アイドルを辞めて、ミュージカル「ミス・サイゴン」に出ていたけれども、あれは、まだ本当の発声ではありません。一生懸命歌っているが、声が伸びていません。
本当の発声とは、最も声が良く通る(声や音の「抜け」がいい、という表現も出来ます)歌い方です。
クラシックの声楽というと、人々は何故か、いきんで歌っている、という印象があるらしいけれども、それはとんでもない話です。その正反対です。
上手い人ほど、喉や口周辺のみならず、全身の無駄な力が抜けているのです。
楽器もそうですが、無駄な力が減るほど、いい音、声が出て、技術の進歩が早まります。
本当に力が抜けて正しい発声を身につけた人の歌は、驚くほど良く響きます。人間の声とは、これほどまでに素晴らしいものか、と驚きます。
ホールの空気がビリビリ振動するのが分かるのです。勿論マイクなど使わずに。
本田美奈子が最近、クラシックの色々な曲、「色々」とは、もともと歌ではなく、オーケストラ曲の一部とか、器楽独奏曲などに歌詞をつけて歌ったCDを出していることを知りました。
最近出たばかりの2枚目、時というCD。2曲目は有名なチェロの曲、サンサーンスの「白鳥」です。
チェロの響きをこれぐらい見事に弾き出している曲は、珍しいのですが、音域が広い。歌うのは、かなり難しい。それを、歌っている。歌詞がちょっと私には余計なのですが、本田美奈子さんの演奏自体は大変素晴らしい。
それから、昨年出した(知りませんでしたが)AVE MARIAというCD。
この10曲目にフォーレのシチリアーノという曲があります。
フォーレはフランスの作曲家。シチリアーノは組曲「ペレアスとメリザンド」という、メーテルリンクの書いた物語を、フォーレがオーケストラを用いて音楽で表現した作品の中の1曲です。
オリジナルではオーケストラでフルートがこのメロディーを吹くのですが、余りにも美しいので、色々な楽器で好んで演奏されます。
この旋律は美しい。気が遠くなるほど美しい。
美しいけれど、歌うのは大変です。音程がとても難しいのです。似たフレーズが繰り返されるのですが、半音の位置が毎回少しずつ違う。
耳が良くないひとは、絶対歌えないです。
耳がよくて、相当必死に練習しないと歌えないと思います。
どんな曲か知りたかったら、Yahoo!で「シチリアーノ フォーレ」を検索します。
検索結果が出たら、右上で「音声」を選択します(音声検索というのがあるのですね)。
そうすると、本田美奈子は聴けないが、フルートなどで演奏したMP3やMIDIがかなり出てきますので、聴いてみると良いと思います。
いやー、それにしても、本田美奈子はよく勉強したなあ・・・・。これは、大したものです。
勿論、オペラの専門家と比べたら、まだまだだけれども、それは、酷だ。
所謂芸能人で、一念発起して、ここまでの発声を体得した人は他にいないと思います。
今年、ホルストの「惑星」から「木星」のさわりの所だけに歌詞をつけて歌っていた女の子がいますね?あんなのより、ずっとクラシック。感心しました。
クリスマスにどうぞ。
2003年12月14日(日) フセイン逮捕は重要なニュースではない。一体何が変わるというのか?
2002年12月14日(土) H2A ロケット4号機打ち上げ成功。関係者・技術者の努力は称えられるべきだ。