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JIROの独断的日記
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2002年12月08日(日) 自殺願望サイトで知り合って1カ月の男女が心中 死にたいと思ったら、まず、精神科へ

いかにも、マスコミが騒ぎそうな(実際騒いでいる・・・)嫌な言い方をすれば、「喜びそうな」事件が起きた。

毎日新聞によれば、

 「東京都練馬区のマンション一室で今年10月、男女2人が心中しているのが見つかった。2人の“出会い”は、インターネットの自殺願望の掲示板だった。見ず知らずの男女が、死ぬためだけに出会い、そして命を絶った。その間、わずか1カ月余だった。 

 10月24日、同区内のワンルームマンション1階の無職の男性(30)方を父親が訪ねた。玄関や窓はガムテープで目張りがしてあった。部屋の中央で、息子と、知らない女性が並んで倒れ、絶命していた。そばには、まだ新しい七輪が置かれ、練炭をたいた跡があった。一酸化炭素中毒死だった。

 女性の身元は、持っていた運転免許証から大阪市内の会社員(32)と分かった。同月11日に家出し、1週間後に家族から捜索願が出されていた。2人とも死後10日前後と推定された。一緒に生活した形跡はなく、女性の家出後、間もなく自殺したとみられた。」


この場合、「ネットで知り合ったばかりの男女が心中した」という事実が、大衆の関心を惹くわけであるが、要するに問題の本質は「自殺者を如何にして減らすか」ということである。

自殺者の多くはうつ病に陥っているのである。うつ病にはとくにこれといった原因がなくても生じる場合がある。有名人で言えば、高島忠男とか木の実ナナが、うつ病になったことが有名である。こういうのは、「内因性うつ病」という。

また、職場のストレスなどでうつ病になるのは、「反応性うつ病」と呼ばれる。ごくありふれたことである。

どの型のうつ病であろうが、うつ病を発症したのは本人の責任ではない。前にも書いたように、精神現象を起こしているのは脳であり、脳内神経伝達物質のバランスが崩れるのがうつ病の原因と考えられている。その意味ではインスリンが不足して発病する糖尿病とうつ病は、科学的には同次元にある。

うつ病に罹患すると、たとえその程度が軽い患者であっても、かなりの割合で自殺を考える。そして、軽症うつ病の方が自殺しやすいのである。今回の事件の女性のようにわざわざ、大阪から上京して、見知らぬ男性に会い、その自宅までいって自殺する、という行為にはそれなりのエネルギーが必要である。そういうエネルギーが残っている状態が一番危ないのである。重症のうつ病になれば、起き上がることすら出来ないから、自殺の心配は少ない。この場合は回復期に自殺することが多いので注意を要する。

死を考えたからといって、絶対にうつ病だとは限らないが、可能性は非常に高い。そしてうつ病は薬物療法等により治る病気なのだから、ます、死にたいという考えが頻繁に頭に浮かぶようになったら、精神科へ行くことが肝心である。

どうも「精神科」という言葉は響きが良くないので最近は「メンタルクリニック」と称する開業医が殆どである。初めて行く人は勇気がいるかもしれないが、まったく心配する必要はない。実際に行ってみれば、待合室にいる患者がどこにでもいるような普通の人たちばかりであることに、逆の驚きを覚えるであろう。

他の身体の病気と同様に、うつ病も早く治療を始めた方が早く良くなる。

以上のような知識が、一層世間に知られるようになることが、自殺を防ぐために有効である。私もそのためにこの文章を書いた。


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