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2004年12月21日(火) |
「ガサ入れ注意」メモ押収=元副頭取が会議で発言−UFJ検査妨害・東京地検 これ、国家公務員法の守秘義務違反では? |
◆記事:「ガサ入れ注意」メモ押収=元副頭取が会議で発言−UFJ検査妨害・東京地検
UFJ銀行の検査妨害事件で、元副頭取岡崎和美容疑者(56)が隠ぺいを指示した発言が、「ガサ入れ注意」と記されたメモとして残り、東京地検特捜部が押収していたことが17日、分かった。
岡崎容疑者の直接指示を示す有力な物証で、特捜部は同容疑者らが主導した疑いが裏付けられたと判断。拘置期限は21日に迫っており、逮捕した3人と法人としての同行を、銀行法違反罪で起訴する方針を固めたもようだ。
逮捕されていたのは、岡崎容疑者のほか、元常務執行役員早川潜(55)、元執行役員稲葉誠之(51)両容疑者。
関係者によると、UFJ銀は昨年8月からの金融庁検査に先立ち、銀行側に厳しいとされる検査官が担当になるとの情報を入手した。岡崎容疑者は危機感を抱き、「危険な検査官が来るから何とかしておけ」「余分なものはきれいにしておけ」と命じていた。
さらに、部下を集めた会議では、事前通告なしで財務資料などの提出を求められる実地調査について、「ガサ入れ」と呼んで警戒し、資料隠しの指示をしていた。
この発言について、同行中堅行員である調査役が「ガサ入れ注意」とメモし、残したという。 (時事通信) - 12月18日6時4分更新
◆記事2:<UFJ銀検査妨害>岡崎元副頭取ら起訴 東京地検
UFJ銀行の検査妨害事件で、東京地検特捜部は21日、元副頭取の岡崎和美ら3容疑者と法人としての同行を、検査忌避の罪で起訴した。岡崎被告ら3人は容疑を全面的に認めている。特捜部は当時経営トップだった寺西正司元頭取も参考人として事情聴取したが、検査妨害を事前に承知しておらず、関与していなかったと判断。
(毎日新聞) - 12月21日21時18分更新
◆コメント:記事1は捜査中の人間しか分からないはずの情報。何故新聞が知っているのか。
UFJの元副頭取らは、記事2にある通り、今日起訴されたのです。 まだ、裁判は始まっていません。
裁判が始まって、検察官が起訴状の朗読をするときには、事件の細かい点まで指摘することになります。
これは、法律に則って(のっとって)行われる正当な手続きです。
ところが、記事1が新聞に載ったのは、まだ、起訴もされていないときですよね。
この記事を読めば、誰でも分かるとおり、これほど詳細な情報を知ることが出来るのは、取り調べを行っている検事自身が、マスコミに、取り調べの内容を漏らしていることになりますね。いいんですか?国家公務員法で、「公務員の守秘義務」が規定されていますが。
国家公務員法 第百条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
専門家じゃないから、法曹界の慣習は知りませんが、文字通りに法律を読むと、記事1が書かれた時点では、まだ、被告人になっていない、被疑者でしかないUFJの元副頭取は、無罪の推定がなされなければならないのです。
しかし、被疑者の供述内容を新聞がこのようないかにも「有罪間違いなし」という姿勢でとりあげたら、誰だって、「ああ、この人は何か悪いことをしたに違いない」という、「有罪の推定」をしてしまします。
これは、マスコミによる世論の誘導ですが、大手の新聞が争うように、これでもか、これでもか、とUFJの「悪行(あくぎょう)」をかき立てる。なんか、きな臭い。
◆すべては、ノーパンしゃぶしゃぶ接待が発端?
UFJの前身(の一部)、三和銀行が昔から、当局検査に対して挑戦的で睨まれていたという話は丸の内界隈では良く云われることです。
それから、実に下らないのだけれど、金融庁は昔の大蔵省の一部が独立して出来た役所です。昔は大蔵省が何年かに一度、銀行の検査をしていた。
当時はまだ、悠長なもので、検査を受ける銀行が、検査をする大蔵役人を接待に招待して、大蔵省も当たり前のように応じていたのですね。その代わり、検査で少し大目に見てやると。
今の世の中の風潮からはとんでもない話なのですが、昔は全ての銀行がやっていた。接待しないと逆に検査で厳しくされてしまいかねない、という癒着の時代でした。「護送船団方式」なんて呼ばれていました。
そして、段々接待はエスカレートしていきます。あるとき三和は、大蔵役人を新宿の「ノーパンしゃぶしゃぶ」へ連れて行きました。この手の店は一つしかないので、知っている人は知っている。
実は、「ノーパンしゃぶしゃぶ」接待を行ったのは三和だけではないし、接待を受けたのは、大蔵省だけではない。勿論、他の役所はそれぞれが監督する業界から接待されたわけですが、今、ちょっと調べたら、すごい。
恐ろしくて、リンクを張れませんが、「ノーパンしゃぶしゃぶ 楼蘭 顧客名簿」で検索すると、当時(1998年)の各省のお偉方の実名が出ているサイトを発見できます。
何と、主だった省の事務次官がほとんど全員・・・・です。
それなのに、大蔵省だけがバレてしまい、しかもキャリアは無傷で、下っ端のノンキャリアが、収賄容疑で逮捕され、送検されて、東京地検特捜部の取り調べを受けた。
当時の朝日新聞には、
第一勧業銀行から接待を受けた金融検査部の幹部が昨年七月に戒告処分を受けた後も、谷内補佐(東京地検が収賄容疑で逮捕。引用者注)は接待を要求し、三和銀行から高額なフラメンコショーのチケットを受け取り、部下も交えた飲食の費用を支払わせたという。(中略)谷内補佐は、昨年八月中旬、今回の汚職事件で贈賄側とされる三和銀行のMOF担に対し、「フラメンコを見に行こう」と持ちかけ、接待の場を設定させ(後略)」
という具合で、要するに大恥をかいたのです。 接待を受けた自分も悪いのですがね。
で、そのとき情報が東京地検に漏れたのは三和からだったと噂され、真実はどうか知りませんが、金融庁となった今も、ノンキャリアの検査官は当時のことを根に持っている、というのはUFJが検査で執拗に金融庁に苛められ、なおかつ、刑事告発されるずっと前から、丸の内界隈では皆知っている。
もちろん、検査忌避、検査妨害が許される訳ではないけど余りにも露骨です。
不良債権処理とか、構造改革とか云っているけれども、本当はこのような下らないことが発端だったと思われます。
繰り返しますが、新聞がどれほど騒ごうが、有罪判決が確定するまでは、被告人に対しては「無罪の推定」をしなければなりません。それが、正しい「法的な」ものの考え方です。
◆リンク
12月14日の日記で書いた本田美奈子さんが歌うクラシックをお聴きになった、aozoraさんが感想をお書きになって、再びリンクして下さいました。有り難うございます。
2003年12月21日(日) 「『サマワは比較的安全』 会見で神崎氏」←2時間の滞在で何が分かるのだ?