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JIROの独断的日記
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2004年12月02日(木) 「環境投資で排出枠獲得 政府、ロシアや中東欧対象」 京都メカニズムという制度が京都議定書にあるのです

◆記事1:環境投資で排出枠獲得 政府、ロシアや中東欧対象

 

 京都議定書の温室効果ガス削減目標達成に向け政府は1日、ロシアや中東欧諸国に対して省エネなどの環境投資を行う見返りに、排出枠の一部を譲り受ける「グリーン投資スキーム(GIS)」を、国内対策を補完する削減策の切り札として制度化する方針を固めた。

 国同士でガスの排出枠を売買する国際排出量取引の一変形と位置付け、来年度中に綱領を策定して公表。06年度からの実施を目指す。

 ロシアなど旧ソ連圏諸国の排出量は、ソ連崩壊に伴う経済活動の低迷が原因で減少しており、これを排出量取引で購入して目標達成に使うことは、実質的な削減につながらないと批判されている。これに対しGISは、単にこの排出枠を購入するのでなく、省エネ対策などに資金が確実に回るよう相手国と合意文書を交わすことで削減効果を確実にできるのが特徴だ。(共同通信) - 12月1日17時58分更新


◆コメント:普通、この見出しでは、何のことか分からないだろう。

 記事の見出しは字数制限があるから、やむを得ないだろうが、この見出しでは、“5W1H”はおろか、誰が、何を、どうしたのか?の、謂わば“2W1H”(←こんなの、無いですよ)も分からない。

 簡単に言うと、日本政府が、京都議定書の中にある、京都メカニズムの一つ、「クリーン開発メカニズム」を使って、その代わり、CO2の削減目標を低くしようとしている、ということなのだ。

 京都議定書の目的は、「締結国が温室効果ガスの排出量を減らすこと」。

 もう少し詳しく言うと、京都議定書は締結国に対して「2008〜12年の第一約束期間における温室効果ガスの排出を1990年比で、5.2%(日本6%、アメリカ7%、EU8%など)削減することを義務付け」ているのですが、減らせそうにない場合の代替手段をもうけている。

 この代替手段を「京都メカニズム」又は、「(京都議定書の)柔軟性措置」という。


 京都メカニズムには、3つの種類がある。

 

  • 一つ目は、「共同実施」(Joint Implementation)といって、先進国の2カ国以上が共同でプロジェクトを実施してそれによって達成されたCO2排出削減量を、各々の国で分け合うことが出来る、というもの。
  •  二つ目は、排出量取引。各国に割り当てられた排出量の一部を売買することが出来る、という制度。到底、排出量削減目標を達成出来そうにない国が、既に目標を大きく下回っているところから、余った部分を買うことになる。
  •  三つ目は、クリーン開発メカニズム。先進国が途上国における温暖化防止対策のプロジェクトに資金援助をし、それによって先進国は、そのプロジェクトにおいて達成された排出削減の一部を自国分としてカウントできる。というもの。



◆ロシアや東欧は発展途上国じゃないのだから、本来の「クリーン開発メカニズム」ではない。

 

 京都議定書は、大気中の二酸化炭素の濃度を減らす目標を立てているのではない。

 各国は、これからもCO2を排出し続けるであろうが、せめて、その排出量を四年間で、5.2%減らそう、という条約。

 専門家によれば、CO2濃度を今の水準に保つ為には、全体の排出量を50%〜70%減らさなければならないという。

 そして、仮に、CO2濃度を止めても、地球温暖化はすぐに止まるわけではない。

 次の記事をお読み頂きたい。


 

 ◆CO2増加止めても海面上昇 350年後まで続く

 100年後に人為的な排出による大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇傾向を止めても、地球温暖化に伴う海面上昇などは歯止めがかからず、その後少なくとも350年は続くとの予測結果を、電力中央研究所が29日、発表した。
 世界最速級のスパコン「地球シミュレーター」を用いた計算結果で、同研究所の丸山康樹研究員は「温暖化の影響は長期間にわたるので、問題を先送りせず、温室効果ガスの排出削減を急ぐべきだ」と指摘している。
 同研究所は、米大気研究センター(NCAR)と共同で、今世紀末にCO2濃度を現在の約2倍(770ppm)と約1・5倍(550ppm)で安定化させた場合、どのような気候変動が起きるかを調べた。
 その結果、平均気温は23世紀末に3度と1・6度それぞれ上昇し、平均降水量も7%と4%増えた。
(共同通信) - 11月29日19時58分更新



 

 ということであるから、やはり温暖化を防ぐのはかなり厳しい。

 温暖化で、温度の上昇自体は1℃とか、2℃とかで、地球上がサウナのようになって人間が死ぬ訳ではない。

 そうではなくて、これほどわずかな気温の上昇であっても、地球全体規模で起きている。それは、水資源を失うことにつながっている。これが、怖いのである。

 地球上の水の大部分は海水であり、淡水は2.5%に過ぎない。そして、その大部分は極地の氷や地下水であり、人間が簡単に浄化して飲むことができる、河川や湖沼の淡水は地球全体の水のわずか、0.008%なのである。

 だから、北極の氷が溶けていくとか、グリーンランドの氷河が溶けていくというのは、他人事ではない。


◆ガソリンより飲み物の方が高い事に気がついていましたか?

 

 ここ数ヶ月はイラク戦争の影響で原油価格が高騰しているが、少し前まではガソリン1リットル100円前後だった。

 一方、人間が口に入れる液体、ミネラルウォーター、コーラ、お茶、等々の価格は500mlで150円近い。

 つまり、人間の飲み物はガソリンの2倍以上もして売られている。

 それだけ需給がガソリンよりも逼迫しているのだというのは、大袈裟だけれども、それでも皆、ためらうことなく買って飲む。

 当たり前だ。水を飲まなければ死ぬ。

 京都議定書は、方向は正しいとして、目標とする数値があまりにも各国に対して甘いのではないか、ということ。

 世界全体の5分の1のCO2を排出している米国が、事態の深刻さを理解せず、加わっていないと言うこと。 

 そして、京都議定書を批准した国々の指導者たちも、また、本当には分かっていないこと。

 上で説明した京都メカニズムだが、政治的思惑と重なり、国家間の交渉の道具にされる可能性が非常に高い、という点が、問題であると思う。

 排出権取引なんて言っていたら、いつまで経っても、CO2排出量は減らないだろう。


2003年12月02日(火) 「ある音楽家の教養の程度は、彼のモーツァルトに対する関係で分かる」(カール・フレッシュ=バイオリン演奏の技法)
2002年12月02日(月) 未成年でも殺人犯は厳罰に処すべきである。

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