< 触れずに音も鳴らせるのですか >
未だ、 水気など在る筈の無い、 浴室に。
確かに、 水音は木霊したけれど。
下方から響く、 其の、 水の音が。
果たして、 何を意味するのか。
其の因に。
本当は、 気づかなかったのだ。
何れ程、 五感を研ぎ澄まして。
一つ残らず、 眼前の情報を絡め獲ろうと、 居ようとも。
腕の中で、 必要以上に俯く温もりを、 訝しんだ、 其の時迄は。
音の源が。
受け容れの為に、 泉から溢れた想いで在る事になど、 気づかなかったのだ。
其れ故に。
注視のため、 余計に応答して居た、 回路が。
より強い好奇心を、 誘発して終ったのだろうか。
開き掛けの、 門扉と、 其の周囲を潤す、 想いとを。
混ぜ逢わすかの様に。
「ふふ、そっか。」
「何?」
「こうやって動かすと鳴るんだね。」
「あ、馬鹿っ。」
腕の中の温もりを、 左右に、 動かしては。
卑猥な響きを。
執拗に、 奏で続けた。
形状の変化を伴わずには居られない、 自身に比して。
殆ど、 其の外見を変える事無く在る、 相手に。
少しだけ、 悔しさを覚えたのかな。
---------- References Jun.23 2006, 「触れずに辿り着けるのですか」
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2006年07月31日(月)
---------- History
2005年07月31日(日) 胸の話では無いのでしょうか 2003年07月31日(木) 触れずに残る痕跡も在るのですか
< 其の変調は戒めの標でしょうか >
遠く、 遠く、 互いを隔てる障壁は。
常に、 互いの手が触れ逢う事を。
許してはくれぬから。
せめて。
互いに触れる事を許された、 刹那には。
互いの間隙を、 出来る限り排除したいと、 希うのだろうか。
自身の到達へ、 直接、 接触可能な様にと。
相手の到達を、 直接、 感知可能な様にと。
偽りの説得を、 礎に。
薄膜が、 互いを隔てずに済む、 其の周期を。
見計らっては。
互いの距離を、 埋めに、 現れるのだ。
快楽と言う、 欲望を。
上手に、 隠した振りをして。
「始まっちゃったみたい。」 「ごめんね。」
計画の破綻と同時に贈られる、 謝罪の言葉が。
身勝手な欲望へ向けられた、 厳しい皮肉の様に、 木霊した。
謝る理由など、 何処にも無いのに。
---------- References Jul.18 2006, 「初心の様に戯れるのでしょうか」
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2006年07月28日(金)
---------- History
2005年07月28日(木) 受理して貰えるでしょうか 2004年07月28日(水) 言える様に成ったのですか 2002年07月28日(日) 捨てられますか
< 始めの針路が誤りでしたか >
手を携える理由は、 千差万別で。
其処に、 制限や限度や範囲など、 無いけれど。
お互いは。
飽く迄、 同じ方向へ、 顔を向けねば為らぬのだ。
求める利に、 共通項が在るからこそ。
互いが、 手を繋ぎ。
想いの儘、 進む事が出来るのだ。
けれども。
互いで、 新たに定めた航路は。
時に、 自身の航路を歪めた上で、 定められるから。
揃えた筈の、 針路は。
自我に、 常に、 揺らされて居るのかも知れない。
方や、 子を育て行く仕事を、 終えて。
自身の楽しみを求める為に、 歩み始めた筈だった。
方や、 苦難の道へ踏み出す権利を、 得て。
此れから、 其の海原へ漕ぎ出したいと、 願って居たのだ。
故に。
犠牲を強いたのは、 俺が、 姫に、 なのだ。
「今まで。」 「一度も楽しく無かったわよ。」
お互いを、 慮った上で放たれる、 姫の、 其の言葉は。
余計に、 此の身を切り刻む。
納得した上で。
互いの手を、 繋いだ筈なのに。
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2006年07月23日(日)
---------- History
2004年07月23日(金) 他に伝えたい事が在りましたか 2003年07月23日(水) 城の護りを崩して行けますか 2001年07月23日(月) 蟷螂の毒を隠していますか
< 捨てられる想い出でしょうか >
毎年。 毎年。
絶える事無く、 自身が、 触れ続ける物。
其処には。
恐らく、 他者では理解出来ぬ程の、 想いが。
注ぎ込まれて在るに、 違いない。
其れ故に。
毎年。 毎年。
絶え間無く変遷し続ける、 自身の、 如何に因らず。
其処に、 贈り届けねば為らぬと、 想ったのだ。
けれども。
「仕事帰りに行って来たら?」 「お迎えは俺が行くよ。」
俺の、 言葉に。
「疲れて余裕無いかなぁ。」 「元気だったらね。」
姫は、 踊らなかった。
二人で、 初めて出掛けた場所を。
姫から、 初めて譲り受けた、 想い出の場所を。
毎年。 毎年。
何を置いても、 姫が、 向かい続けた祭を。
姫は。
あっさり、 捨て去った。
俺は。
姫の世界を、 奪い続けて居るのかも知れない。
世界を拡げると言う、 建前を。
御立派に、 振り翳しながら。
---------- References Jul.19 2005, 「此の祭は想いに刻まれて居ませんか」 Jul.20 2004, 「必要な時に居ない雄でしょうか」
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2006年07月21日(金)
---------- History
2001年07月21日(土) 求め合うのは自然ですか
< 同じ笑顔と言い切りますか >
自身の内で眠る、 認識能力が。
機能を果たす迄に、 育ち在るのか。
其れは、 定かで無いから。
個を分類し、 個へ向ける好意だと。
断ずる根拠など、 無いのだ。
何れ程、 愛くるしく。
何れ程、 癒されようとも。
其の表情は。
反射的な、 唯の、 愛想笑いに近いのだ。
何よりも。
表情に委ねる想いの、 其の性質は。
極めて、 懸け離れて居るのに。
「小坊主、良かったね。」
「如何して?」
「私からの笑顔が減った分か、それ以上に。」 「娘からの笑顔が増えたじゃん。」
姫は。
同じ重みを、 其処に、 強要する。
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2006年07月20日(木)
---------- History
2005年07月20日(水) 何を持参して来るのでしょうか 2004年07月20日(火) 必要な時に居ない雄でしょうか
< 初心の様に戯れるのでしょうか >
其の始まりを、 想い返すべきなのかも知れない。
物理的な、 或いは、 精神的な。
互いの距離を、 徐々に、 徐々に、 縮め行く為に。
嗜好や、 思考や、 志向を探り。
徐々に、 徐々に、 互いの理解を深める事で。
手を繋ぎ、 寄り添い、 想いを交わす距離迄。
辿り着くのだ。
其れ故に。
例え。
傍に寄り添う距離に、 互いが、 居るのだとしても。
互いの想いを、 徐々に、 徐々に、 贈り逢いながら。
互いの距離を、 徐々に、 徐々に、 近付け進む事は。
基本的な。
要の、 素因なのかも知れない。
徐々に。
徐々に。
互いの感度を高め行く、 行為の様に。
「まるで。」 「長い前戯みたい。」
其の日迄。
戯れを、 贈り続ける。
---------- References Jul.17 2006, 「静かに過ごす夜の為でしょうか」
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2006年07月18日(火)
---------- History
2005年07月18日(月) 好かぬ雄の子なのでしょうか 2004年07月18日(日) 本当に譲れぬ条件でしたか
< 静かに過ごす夜の為でしょうか >
暗闇の中に浮かぶ画、 故なのか。
火の演じる画、 故なのか。
音の描き出す画、 故なのか。
雄大な画、 故なのだろうか。
其の華を、 共に眺めたいと、 切に希う。
其の理由は、 不明確だけれど。
僅か一日。
時機を、 前後させるだけで。
其の華を。
隣り逢わせて、 此の手に捕れる筈なのだ。
其れ故に。
「1日も花火なんだって(苦笑)」
独特の言い回しと、 辛口に。
過剰に、 想いは揺さ振られ。
其の一日すら、 許さぬ、 互いの許容度に。
想いを、 狂わされる。
遠くで。
遠くで。
揚がる花火を、 画面に、 映しながら。
煌々と。
画面の端に、 僅かに映る建物で。
過ごす二人を、 想い浮かべたいのに。
---------- References Jul.10 2006, 「傍に置きたい物でしょうか」
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2006年07月17日(月)
---------- History
2005年07月17日(日) 譲る気も無い日付でしょうか 2004年07月17日(土) 同じ阿呆なら踊るべきでしょうか 2003年07月17日(木) 相手の為に腹が切れますか
< 言葉遊びの心算でしょうか >
互いの周囲に。
潜み在る、 数多の、 流れの変化を。
一つ、 一つ。
探り、 愉しみながら。
言葉の。
其の間隙や、 其の裏を、 伝え遊ぶ事は。
粋と言う物だけれど。
其の言葉は。
飽く迄、 単語の羅列に他ならないのだ。
其れ故に。
其の言葉に、 想いが、 宿され在る事を。
互いに、 伝える事こそ。
先ずは、 必要不可欠で在る筈なのに。
「菓子パン」 「アイス」
姫から。
唯、 二行の文が届く。
確かに。
娘の発熱で、 休業を余儀なくされた姫に。
「必要な物が在るなら。」 「メールで教えてね。」
そう、 伝えて置いたのは。
俺自身だけれど。
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2006年07月14日(金)
---------- History
2005年07月14日(木) 外堀は掘り返される物でしょうか 2004年07月14日(水) 答えは与えて貰う物ですか 2003年07月14日(月) 飛行機雲に気が付きましたか 2002年07月14日(日) 忘れていませんか
< 予行演習でしょうか >
勝ちか。 負けか。
唯、 其の違いに拘る故の、 闘争心だろうか。
其れとも。
嫉妬と、 防衛本能が。
過剰に、 事を荒立てるのだろうか。
所詮。
外野は、 野次馬でしか無いけれど。
其の、 野次如きに。
心は、 惑わされ。
身体は、 踊らされて居るのかも知れない。
「凄い凄い!」
「お父さん、全部飲ませたよ!!」
「本当だ!」
「勝ちましたね!!」
「やっぱりお父さんが良いんだよねー。」
「入籍しちゃった男に用は無いよねー。」
途端に騒がしく成る、 姫や、 保母さん達に。
愛想笑いを、 振り撒きながら。
冷や汗と、 内心を、 ひた隠して。
何十年か先の、 出来事に、 想いを馳せる。
保育参観。
保父の手からしか、 飲み干す事の無かった、 人工乳を。
初めて。
娘は、 俺の手から飲み干した。
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2006年07月12日(水)
---------- History
2004年07月12日(月) 手の届かぬ夢ですか 2003年07月12日(土) 同じ月は見られないのでしょうか
< 傍に置きたい物でしょうか >
物理的な距離は。
時に、 想いを育てる貴重な刻を、 もたらすけれど。
物理的な距離は。
お互いで共有される、 刻を、 削って了う。
其れ故に。
自身の周囲と、 相手の周囲に。
互いの、 共通言語と成る物を、 飾るのだ。
其れが。
自身を、 そして相手を。
何れ程、 苦しめる事に成ろうとも。
「離れて居ても。」 「同じ風邪をひこうね。」
ふと口から零れた、 其の言葉に。
苦笑しながら。
其れでも。
つい、 想いを載せて了う。
---------- References Jul.07 2006, 「渡れぬ川も一歩の証でしょうか」
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2006年07月10日(月)
---------- History
2005年07月10日(日) 逢いたい故の略奪劇ですか 2004年07月10日(土) 抉じ開けずに包んで居れば良いですか 2003年07月10日(木) 役立たずを許してもらえますか 2002年07月10日(水) 俺は必要無いのですか
< 渡れぬ川も一歩の証でしょうか >
自身に備わる機能の、 発達は。
確かに、 自身の能力を、 向上させるけれど。
同時に。
向上した、 自身全体の能力は。
其の優れた機能に、 依存し、 差配されて了うから。
其れ故に。
感覚の内でも。
最も優れた視覚を封ずる、 闇が。
自身の能力をもぎ取る、 脅威の様に。
映るのかも知れない。
確かに。
夜の闇は。
離れたお互いを、 更に、 遠避ける。
けれども。
其の、 闇の繰り返しは。
一日、 一日。
互いの距離を、 確実に、 縮めても居るのだ。
「最近は。」 「一日一日近付いてる感じがするよ。」
天の川が隔てる、 夜半の闇を。
少しでも、 明日への一歩と想える事に。
感謝した。
---------- References Jun.22 2006, 「満を持した崩壊でしょうか」
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2006年07月07日(金)
---------- History
2005年07月07日(木) 未だ周囲は不安要素でしょうか 2004年07月07日(水) 火を消して終うのですか 2002年07月07日(日) 目覚めの声がもらえますか
< 甘えに相当するのでしょうか >
寂寥感だろうか。
温もりが一つ、 其処から、 消えて了う事への抗議だろうか。
不平だろうか。
手が一つ離れて了う事で、 自身のみで、 娘に対峙しなければ為らないからか。
発散だろうか。
単に、 自身の衝動的な苛立ちを、 投げ付けたのか。
答えは、 分からないけれど。
俺が。
深夜に、 家を出て行く事と。
姫が。
一言、 俺に放った事と。
其の二点のみは、 事実に、 違いないのだ。
検診と。 発熱と。 役員会と。
育児に費やした、 仕事の時間は。
深夜で補充するしか無いのに。
「帰って来るな!」
出掛けの俺へ。
姫は、 妥協を許さぬ言葉を、 投げ掛ける。
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2006年07月06日(木)
---------- History
2005年07月06日(水) 口先だけで操る心算ですか 2004年07月06日(火) 妙な妥協をして居ませんか 2003年07月06日(日) 何故の御機嫌伺いでしたか
< 比較可能な想いでしょうか >
其の類の言葉に。
何の、 意味も、 意義も、 効力も、 無いのだと。
恐らくは、 理解して居るのだ。
純粋に、 同一基準で比較する事など、 出来ぬのだから。
強弱や、 優劣を。
定義する事すら、 不可能なのだ。
其れでも。
何故か。
其の言葉を、 贈られるだけで。
少しだけ、 心が、 躍って了うけれど。
「今までで。」 「一番愛されてる気がするの。」
其の言葉に。
決して、 惑わされぬよう。
目指すは。
相対的な、 比較では無く。
絶対的に、 向き合い続ける事なのだから。
---------- References Jun.26 2006, 「例外を認めた上での道でしょうか」
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2006年07月05日(水)
---------- History
2004年07月05日(月) 喧嘩に組み込む気でしょうか 2003年07月05日(土) 曇った眼だからでしょうか 2001年07月05日(木) 月明かりの魔法は効きましたか
< 下手なのでしょうか >
贈る想いと、 受け容れる想いの、 両輪が、 其処に在る事で。
相乗的に、 効果は増大するから。
其の、 介在する想いの影響力が、 減弱し在る事を。
暗示して居るのだろうか。
其れとも。
想いを、 介在させる以前の、 基礎力こそ。
抑も、 鍛えられるべきなのに。
其の大原則を、 御座形に、 過ごして来た結果。
必然的に、 生じた逆転だろうか。
姫の、 俺の知らぬ場所が。
姫の、 俺の知らぬ拍子が。
俺の眼前で、 明らかにされて行く。
「ちょっとちょっと!」 「そんなとこ舐めないでよ!」
姫は。
突然、 嬌声を上げ。
「小坊主より舌遣いが上手いんだけれど。」
左の腕を舐める、 其の、 娘の舌遣いを。
俺の其れと、 並べて魅せた。
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2006年07月03日(月)
---------- History
2005年07月03日(日) 手玉に取られて居るだけでしょうか 2004年07月03日(土) 別れた方が幸せですか 2002年07月03日(水) 変わって無いですか
< 飽く迄湯湯婆扱いでしょうか >
多種多様な情報に、 曝され。
数多の技量を、 獲得すると同時に。
成熟は。
時に、 其の純粋さを、 奪うから。
未熟な、 其の存在こそ。
想いに応じて。
忠実に、 振る舞えるのかも知れないけれど。
其の、 振る舞いは。
何の混じり気も無い、 想いだから。
鋭い刃として。
より深く、 身体を抉るのだろうか。
俺に抱かれる事を、 拒絶し、 泣き止まぬ娘を。
出汁に。
「小坊主が熱いからだよ!」 「役に立たないんだから!」
姫は。
勝ち誇った様に、 自説を、 強調する。
臭いとも。 うざいとも。
未だ、 口に出来ぬ筈の、 娘でも。
姫と同様に。
夏期には必要無いと、 俺を、 避けるんだね。
---------- References Feb.13 2006, 「勢力争いでしょうか」
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2006年07月01日(土)
---------- History
2005年07月01日(金) 必死に隠した遠慮なのでしょうか 2004年07月01日(木) 夏の華が結ぶ縁なのでしょうか 2003年07月01日(火) 一度きりの言葉じゃいけませんか 2002年07月01日(月) 近いですか
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