抑もは。
少しずつ、 少しずつ、 其の濃度を減弱させられ続ける事が、 理で在って。
其れ故に。
摂理に抗い続け、 心に遺し続けようと、 試みるけれど。
一方で。
自身の内に、 想いを宿し続ける事が。
其の身を此処に縛り付け、 廻る先を、 妨げて了うのかも知れない。
夕刻。
未だ熱気の冷めぬ道を、 歩きながら。
「今日でしょ。」 「十四日。」
「あ。」 「本当だ。」
「だから一昨日。」 「洋菓子買いに行かないのかって言ったのに。」
毎年の、 記念と祈念の一日は、 不要なのかと。
口にした俺に。
あの子は、 漸く応える。
違うか。
一年前の今日。
「あのね。」 「伍歳までしか育たないんだって。」
想いの中で在っても。
死産した子は、 中途までしか時を刻まぬのだと。
そう、 口にしたあの子は。
気づかぬ振りをして。
忘れた振りをして。
想いを改める様にと。
俺に、 促し続けて居るのかもな。
---------- References Aug.14 2022, 「薄まりつつ在る十年でしょうか」 Aug.14 2012, 「禁句が幾つ見付かるでしょうか」
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