其の一つ一つに、 名前を付けて行き。
唇が触れ逢う、 其の度に。
其の名を口にする。
其の名には、 何の愛着も持たないけれど。
其の名が、 口から零れる度に。
姫の笑顔は、 確実に増えるから。
「よこちゅっちゅ。」
「たてちゅっちゅ。」
「ぐるぐるちゅぅ。」
「ラメラメちゅぅ。」
馬鹿で、 単純な振りをして。
其の名に踊るのだ。
「やめてよ!」 「納豆がネバネバする!」
「じゃぁ、ネバネバちゅぅ?」
「略してネバちゅぅだね。」
「何でも略すなよ・・・」
一つ。
俺と姫の、 妙で阿呆な合い言葉が、 増えてしまった。
---------- References May.17 2004, 「何の為の化粧ですか」 Jun.05 2004, 「別れに値する理由は何れですか」 |