寝覚めの其の姿が、 後ろ向きで。
寝覚めの、 其の顔には。
泪の筋が、 痕跡として残されて居たから。
何らかの理由で、 眠れぬ夜を過ごしたのだと。
そう確信したけれど。
遥か昔に。
其れを、 感知出来たのに。
想いは、 届かなかったんだ。
「夜中に夢を見たの。」 「小坊主にさよなら言われる夢だったの。」
決して、 詳細を語る事は無く。
其の核だけを、 精一杯に伝えて来た、 姫に。
「知ってたよ。」
心の中で、 そう呟いた。
夜中に。
姫が、 体を震わせながら、 後ろを向いた、 其の瞬間に。
嫌な予感がして。
俺は後ろから、 姫を必死に抱きしめたから。
精一杯、 想いを込めたのにな。
---------- References Jun.28 2004, 「肱の内に居た筈では無いのですか」 |