< 緊迫した攻防でしょうか >
仕掛けるとすれば。
敵が、 半ば無意識に応答する、 寝込みなのだ。
「ねぇ。」 「小坊主は誰が好きなの?」
真の意識を、 奪い捕る為には。
判断力を失いつつ在る、 寝込みが、 最適なのだ。
「小坊主の好きな人は。」 「何て名前なの?」
用心に、 用心を重ねても。
寝入り端には、 ふと、 高次の抑制が緩み。
眼前の女とは、 異なる名が。
口を吐いて出る。
けれども。
自身の防衛本能が、 辛うじて、 機能したのだろうか。
其の口から、 望む名が出る事は無く。
姫は、 更に追及の手を、 強めるのだ。
「小坊主の好きな人。」 「もう一人居るでしょう?」
一度では無く、 何度も、 何度も。
一瞬の隙が、 俺の口に顔を出す迄、 繰り返すのだ。
「違うよ。」 「その人じゃなくてもう一人居るでしょ?」
何か、 尻尾を掴んだのか。
其れとも、 不安の裏返しか。
姫は執拗に問い掛け。
自身の、 危機意識故か。
其れとも、 本心の想いなのか。
俺は、 眠りながら。
姫の尋問に、 娘の名を、 連呼し続けた。
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2006年08月30日(水)
---------- History
2005年08月30日(火) 何故に針を向けたのですか 2004年08月30日(月) 自分は正しいのでしょうか 2003年08月30日(土) 沈黙に勝る物が有るのでしょうか 2002年08月30日(金) また一つ支えが増えましたか
< 羨望の一種でしょうか >
何れ程。
強靱な想いが、 其処に在ろうとも。
自身の乞う、 多種多様な要求に。
全て、 応ずる事の出来る、 個は。
皆無なのだろうか。
其れ故に。
自身の周囲に、 一つの環境を築き上げ。
臨機応変に。
其れ其れの個と、 人は、 踊るのだ。
掛け替えの無い、 唯一の存在は。
実は、 唯一では無く。
唯一の数だけ。
唯一が、 存在するのかも知れない。
「もっと早くに逢ってたら。」 「俺の傍に来たのかな。」
「私は計算高いから。」 「自分の幸せを護れるなら行ったよね。」
一番近くの雄が、 然したる唯一を持たず。
此の俺が、 何れ程、 想いの唯一で在っても。
自身の歩みを、 相手に重ね得る対象が、 在れば。
其処に、 自身を併せるのだ。
数多在る、 複数の、 基準の異なる唯一を。
俺は、 幾つ、 専有出来て居るのかな。
---------- References Aug.19 2006, 「悪しき依存でしょうか」
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2006年08月28日(月)
---------- History
2005年08月28日(日) 費やす時間は適正でしたか 2004年08月28日(土) 嫉妬の裏に何が在りますか 2003年08月28日(木) 離れていても共に学べますか
< 無意識下で零れた本音でしょうか >
言葉に惑わされ、 深の想いに至らぬ事が、 無い様にと。
用心に、 用心を、 重ねて居たとしても。
何故に。
言葉尻に、 鋭敏に応答しては。
返す刀を、 振り翳して終うのだろうか。
言葉に宿される、 恣意は。
意識的に、 増減される一方で。
時に、 言葉が。
純然足る想いを、 無意識に、 零して了う術なのだと。
本能的に、 知って居るからかも知れない。
眼前には。
主を失い、 無造作に転がった指輪と。
消える迄ひと月待てと、 記された文が。
唯、 在るだけなのに。
「良いわよ。」 「もうすぐ秋だし。」 「涼しくなるから。」
暑さを凌げぬ、 遮光の布は、 其の儘で良いと。
姫は言う。
恣意を除いた、 言葉は。
秋が在ると、 伝えて居るのかな。
---------- References Aug.23 2006, 「其の輪は柵の象徴なのでしょうか」
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2006年08月25日(金)
---------- History
2004年08月25日(水) 要らない言葉でしょうか 2003年08月25日(月) 其の花火の様に稔っていますか 2002年08月25日(日) まだ秘密の存在ですか
< 其の輪は柵の象徴なのでしょうか >
寄り添い、 歩む過程で。
一つ、 一つ、 漸増し行く形は。
想いや、 絆を、 具象化した物だけれど。
其の形は。
互いの歩を、 力強くする為に。
其の姿を、 映すのだろうか。
其れとも。
其の形は。
互いの間隙に絡み付く柵の、 具象化に過ぎず。
想いや絆と異なる、 制約の、 其の膨大さを。
巧みに、 示して居るのだろうか。
柵を、 背負わねば。
嫁と言う文字を、 背負わねば。
想いを、 幸せを、 搦め盗られる事無く。
歩を、 進められたかも知れないと。
捨て台詞を残し。
「ひと月だけ待ってね。」 「アパート探してるから。」
姫は、 譲歩の言葉を吐き出した。
掲げた輪状の印を。
そっと、 指から外して。
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2006年08月23日(水)
---------- History
2005年08月23日(火) 誰を対象に支給する気でしょうか 2004年08月23日(月) 怒られるのは傷付いた方でしょうか 2003年08月23日(土) 何れが正しい答えでしょうか
< 悪しき依存でしょうか >
今日一日を締める、 其の瞬間に。
隣で、 語り逢う事と。
今日一日を歩み始める、 其の瞬間に。
傍に、 寄り添う事と。
何方が、 より印象深き想いを、 残存し得るのか。
未だ、 分からないけれど。
何時の間にか。
其れは、 習慣化され。
形骸化した儀式の様に。
自身を、 蝕み行くのかも知れない。
「電話ありがとうございます。」
俺が残した、 留守電に応じて。
返された文字の、 其の、 他人行儀に。
今日一日の、 自身の能力を。
全て、 封印される。
朝の、 声一つに。
朝の、 文字一つに。
其の日を差配されて終う事など、 在っては為らぬと。
何度も、 何度も。
幾度と無く、 学んで来た筈なのにな。
---------- References Aug.18 2006, 「想えば雷鳴も嘶くでしょうか」
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2006年08月19日(土)
---------- History
2005年08月19日(金) 共に育て行く気は無いのですか 2004年08月19日(木) 啀み合って別れたからでしょうか 2001年08月19日(日) 素直になれれば楽ですか
< 想えば雷鳴も嘶くでしょうか >
互いの姿が。
眼前に在ろうと、 無かろうと。
想いを以て。
互いの姿を、 眼前に映し獲る事が。
可能だけれど。
飽く迄。
其の瞬間は、 個の刻に他ならないのだ。
何れ程。
互いの姿を、 鮮明に、 映し獲ったとしても。
日々に。
共の刻を、 追い求める時。
其れが、 個の産み出した共の幻影に過ぎぬと、 気付く。
「小坊主。」 「怖いよ。」
日々の、 其の瞬間を。
深く抉って、 突き付けられた時。
自身の手では、 如何様にも為らぬ領域を。
想い、 途方に暮れた。
俺の目には、 雲一つ無い青空が映り。
俺の耳に、 雷鳴は、 響いてくれない。
---------- References Aug.17 2006, 「其の画は望める画でしょうか」
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2006年08月18日(金)
---------- History
2005年08月18日(木) 代わりの在る不可欠の存在ですか 2004年08月18日(水) 其の瞳は何に怯えて居るのですか 2002年08月18日(日) 身嗜みを整えませんか 2001年08月18日(土) 行動の積み重ねが大切に想えませんか
< 其の画は望める画でしょうか >
丁寧に、 丁寧に、 想いを贈り。
深く、 深く、 互いに侵食する事で。
未だ、 自身には魅せぬ、 其の姿を。
初めて、 得られるのだけれど。
一方で。
未だに魅せぬ、 其の姿は。
決して、 手の届かぬ領域の存在を、 時に、 暗示する。
藍の浴衣。
短い髪。
自身の知らぬ其の姿を、 何時か、 眼前に獲りたいと。
其の時を、 想い浮かべながら。
其の、 笑顔の先や。
背景の、 門扉の内には。
決して踏み込めぬのだと。
想いと、 嫉妬を、 飲み込んだ。
丘の上の人から贈られた、 母と、 息子の姿と。
「もっと早くに。」 「声掛けてくれれば良かったのに。」
そして、 初めて逢った時の、 其の言葉が。
交互に木霊する。
---------- References Aug.02 2006, 「何方が非ずに相当するのですか」 Mar.10 2006, 「一歩目は何処に在るのでしょうか」
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2006年08月17日(木)
---------- History
2005年08月17日(水) 高次の想いは不要なのでしょうか 2004年08月17日(火) 呪縛は薄れ掛けて居ますか 2003年08月17日(日) 時が奪って行きませんか
< 二人の初めてはもう不要ですか >
新規に、 獲得する経験は。
自身の容量を、 増し。
次なる糧へ、 変化を、 遂げるのだけれど。
一歩、 一歩。
自身が、 歩んで居るならば。
自身の触れる、 其の世界は。
全てが、 初見なのだ。
其れ故に。
別段、 特異では無い筈の世界も。
時に、 想いも拠らぬ領域から、 発生し。
予期せぬ世界に、 戸惑うのかも知れない。
七色の炎が途絶え、 元の暗闇が戻るや否や。
「初めて花火したんだよ?」 「小坊主との初めてって。」 「まだたくさんあるんだよ?」
非難の想いを、 其処に忍ばせながら。
姫は、 そう言うけれど。
寧ろ。
其れを忘れて居たのは、 姫の方なのだ。
「花火買って帰らない?」
何気無いに、 忍ばせた想いへ。
「娘に見せるのね♪」
姫は、 反応すらしなかった。
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2006年08月16日(水)
---------- History
2005年08月16日(火) 揺れぬ姿は大樹が在る故でしたか 2004年08月16日(月) 幸福が幸福を奪うのですか 2003年08月16日(土) 寂しさの裏はまた寂しさでしょうか
< 針が進んだ証拠でしょうか >
自身の、 想いや拠り所を。
何かの形へ託す事が、 在るけれど。
其の形を、 自身が、 不要に想う時とは。
如何なる時なのだろう。
一歩、 一歩、 幹が育まれる事で。
託し委ねた、 分身を、 切り離す時なのか。
度重なる揺れに、 耐え兼ね。
徐々に、 徐々に、 壊れて終う時なのか。
其れとも。
別の適役に。
新たに、 想いを委ねた時なのだろうか。
其の、 飄々とした黒猫に。
然程、 喜色を表さぬ、 姫の姿に。
一つ。
時計の針が進んだ事を、 感知する。
其の飼い猫を。
強く、 欲しがらないのは。
姫と、 俺との間に。
新たな鎹が、 在るからかも知れない。
---------- References May.13 2006, 「共通項には値しないのでしょうか」 May.13 2005, 「俺より想いが深い日なのですか」 May.27 2004, 「二人の子供の心算でしょうか」
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2006年08月15日(火)
---------- History
2004年08月15日(日) 繰り返す事は進歩でしょうか 2002年08月15日(木) 安堵しても良いのですか
< 何時迄保つ言葉でしょうか >
何度も、 何度も。
其の壁を、 突き破る試みを続けて来たから。
此の耳に、 初めて、 其の言葉を手に入れた時。
小躍りしたのだけれど。
何度も、 何度も。
其の壁は、 消えた振りをして来たから。
其の言葉を、 耳にしたとしても。
然程、 浮かれた気持ちには、 成れぬのだ。
何が、 閾値を超える切り口なのか。
未だに。
未だに。
不明瞭なのだ。
「最近やっとね。」 「毎日が幸せに感じるようになって来たよ。」
ほんの数週前の言葉など、 無かったかの様に。
姫は、 そう口にした。
きっと。
再び、 後ろ向きの言葉を吐くのだけれど。
---------- References Jul.23 2006, 「始めの針路が誤りでしたか」
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2006年08月12日(土)
---------- History
2005年08月12日(金) 胎児が言わせる言葉でしょうか 2004年08月12日(木) 其の口付けは他の雄の為ですか 2003年08月12日(火) 言葉に踊らぬ術が身に付きますか
< 酔って居るのは何方でしょうか >
一瞬だけを、 一側面から切り出して、 鏡に映したならば。
確かに、 其の姿は。
理性を持ち合わせぬ動物に、 より近い姿の様に。
酒精に呑まれた挙げ句の、 錯乱状態に。
映し出されるのかも知れない。
けれども。
相手が語気を荒げる、 其の因は。
酒の度に、 一方的に不平を叩き付け。
唯、 攻撃のみに終始する、 自身の、 振る舞いに在る事を。
自分以外の言葉を、 理解せずに。
唯、 相手の言葉は、 自身への攻撃だと思い込む、 振る舞いに在る事を。
本来は。
排除する事など、 出来ぬのだ。
「小坊主って。」 「酒乱なんじゃないの?」
姫の、 一方的な言葉に。
「酒乱はてめぇだろ。」
そう言い掛け、 直ぐに、 踏み留まった。
如何なる言葉で、 俺を、 切り刻み、 挑発して居るかなど。
どうせ姫は、 覚えちゃ居ないんだ。
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2006年08月08日(火)
---------- History
2005年08月08日(月) 何処で流れを変えたのですか 2004年08月08日(日) 想いも結晶も壊れて了ったでしょうか
< 約束の華は待てば届くのですか >
然程、 自由の利かぬ日々に。
想いが、 埋もれて終わぬ様にと。
例え、 僅かでも。
変化の切っ掛けを、 其処に、 仕込んで置くのだけれど。
其の仕掛けは。
飽く迄、 互いの気付きに因ってのみ、 発動し。
発動して初めて。
想いに、 化けるのだ。
其れ故に。
其処には、 気付きの為の想いが、 必要で。
想いを、 埋もれさせぬ算段にも。
飽く迄、 想いは必須なのかも知れない。
麦酒も。 素麺も。
自宅からの、 制約だらけの約束の華を。
少しでも、 良い華にする仕掛けを。
互いに、 朝から準備して居た筈なのに。
一瞬の泣き声に、 互いが、 離れた儘。
「一緒に観ないの?」 「もう終わっちゃうよ・・・。」
窓一つ隔ててられた、 其の位置で。
お互い、 途方に暮れた。
俺でも。 姫でも。
何方かの、 ほんの一声が在れば。
其れで、 手を繋げたのだ。
娘は、 もう泣き止んで、 眠りに就いて居たのだから。
---------- References Aug.05 2005, 「約束の華は揚がり続けますか」 Aug.06 2004, 「約束の華は違う色彩でしたか」
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2006年08月06日(日)
---------- History
2004年08月06日(金) 約束の華は違う色彩でしたか
< 何処が御不満でしたか >
何を為したか。
飽く迄、 達成された成果の絶対量が、 注視されるから。
自身に在る、 容量が。
極僅かで在れば。
何れ程、 努力を重ねても。
成果は、 完全に不足する。
けれども。
不足を、 補い合う存在として。
互いが、 振る舞う事で。
能力不足から誘発される、 穴を。
少しでも、 埋め合えるのでは無かったのか。
少なくとも。
自身に備わる容量の、 其の全てを。
其処へ振り向けた、 相手に。
容量の一部すら、 消費せず。
何の成果も無い、 存在が。
決して、 口に出して良い言葉では、 無いだろうに。
娘の、 唐突な発熱に。
慌てて、 自身の全てを停止して。
緊急発進を余儀なくされた、 そんな日に。
「小坊主は。」 「親になるのが早かったんじゃないの?」
全てを俺に委ね、 自身を満喫して帰宅した、 姫は。
言う。
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2006年08月04日(金)
---------- History
2001年08月04日(土) 信じるに値しませんか
< 何方が非ずに相当するのですか >
自身の望む、 其の姿形の内から。
何かが、 零れ落ちて終ったとしたら。
眼前に在る筈の、 其の形は。
飽く迄、 贋物かも知れないのだ。
一方で。
既に失った一部を、 追い求め。
欠片を、 拾い上げたいと、 希う時。
其処に。
真に足る要が、 埋もれて居るに違いないのだ。
「日常に戻って来たよ。」
夢の後。
人は、 そう口にするけれど。
実は。
其の日常こそが、 非日常で。
本当は。
失って終った、 ほんの僅かな日常を、 取り戻す為に。
隣の温もりを、 追い求め。
非日常から、 飛び出して居るのかも知れないね。
---------- References Aug.01 2006, 「涙を隠す為の方便でしょうか」
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2006年08月02日(水)
---------- History
2005年08月02日(火) 終電は何時でしょうか 2004年08月02日(月) 挑発の応えに成り得る質でしたか 2001年08月02日(木) いつもより離れる気がしますか
< 涙を隠す為の方便でしょうか >
一方の、 半分と。
もう一方の、 半分と。
確かに。
ほぼ例外無く、 二つの組み合わせに、 差配されるから。
掛け併せた、 其の姿は。
容易に、 推測可能で。
掛け併せる前の、 其の、 二つの姿をも。
容易に、 推測可能なのだ。
けれども。
其処に在る、 非機械的な要素の。
或いは、 互いを遮る制約の。
再確認は。
機械的な吟味以前に。
必要不可欠な想いで在る事に、 変わりは無い。
「小坊主、AB型でしょ?」 「ごまかせないもん。」
微笑みながら。
悪魔の様に、 囁く、 其の瞳は。
つい寸前迄。
「小坊主が全部私の物になるまでは。」 「だめ。」
一筋の、 水滴を流して居た。
---------- References Jul.31 2006, 「触れずに音も鳴らせるのですか」
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2006年08月01日(火)
---------- History
2004年08月01日(日) 如何にしても兄妹には見えないですか 2003年08月01日(金) 信頼を失う時でしょうか
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