< 同じ月は見られないのでしょうか >
アイツと月を見ながら。
徐々に欠けて行く月を、 アイツと見ながら。
「離れているけれど、同じ月を見ているんだね。」
そんな言葉を送った事が、 在ったかも知れないけれど。
違うんだ。
同じ月など在り得ないんだ。
中世の匂いを、 余す事無く残して居る古都の、 幻想的な月明かりに。
中世の匂いを、 絶やす事無く聳えて居る古城の背後で、 俺を見つめる十三夜の月に。
「貴女と同じ月じゃないのか?」 「貴女の見る月とは違うのか?」
そう問いかけた。
月は満ち欠けを繰り返し、 時と共に姿を変えるのだから。
離れた地に在る人と共に、 同じ月を瞳に残す事など出来ないんだ。
空を見上げて、 瞳に焼き付けた月は。
この地に降り立った時に、 確か三日月だった筈の月は。
もう満ち満ちる寸前に、 其の姿形を変えて居るんだよ。
---------- References Jul.05 2001, 「月明かりの魔法は効きましたか」 |
2003年07月12日(土)
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