定めた筋道を、 歩み行けば。
時には、 転がる石を避け、 横渡る大木を乗り越え。
更には、 其の筋道から逸れ、 深い森の中を、 迂回する事も在るけれど。
辿り着く、 其の目的の場所は。
或いは、 望み願う通過点は。
決して、 揺れる事など無い。
けれども。
未だ、 歩み行く道を見定めず、 在るならば。
此の身に、 何れ程、 迂回の技術を備えようと。
樹海に惑い、 確実に、 自身の立つ其の位置を、 見失うのだ。
育て行く道筋の、 其の備えを。
道々で生じるであろう、 出来事を、 必死に予測して。
「手当とか一時金とか。」 「ちゃんと手続きしないと。」
「其れは俺も想ってた。」 「今週末は其の話をしようか。」
「うん。」
姫も、 俺も。
話して居るけれど。
歩み行く、 其の目的地は。
或いは、 通過点ですら。
二人、 同じ地点を指し示す事が、 出来ずに居る。 |