高度に、 進化し行く過程で、 人が、 此の手に修めた物は。
言葉に、 他ならないのだから。
言葉に乗せる、 想いの量如何に因らず。
言葉を吐き、 其の音を、 相手の耳に伝播させる事が。
重要視されて了うのだろうか。
「私のこと好き?」
「好きだよ。」
「どのくらい?」
「大大大大大好きだよ。」
何度と無く、 単調に、 繰り返されても。
変わらずに、 言葉は響き続け。
不思議と、 勢いを、 与えてくれるのだ。
けれども。
其の、 言葉の魔力は、 不公平で。
決して、 俺には微笑まない。
「俺の事は好きなのか?」
「好きだよ。」
「どの位?」
「大大大大大大好きだよ。」
「俺より一つ増えるの?」
「小坊主より好きだもん。」
「そんなに好きなら籍入れてよ。」
「どさくさに紛れて何言ってるのよ。」
言葉では。
姫の壁へは、 辿り着けないのかな。 |