ふとした瞬間に、 唇を重ねて来たとしても。
決して其れは、 寂寥感や、 愛情から、 自然と起こる振る舞いでは無く。
尻の下の新聞や、 身体の影に隠れた化粧品が、 目的なのに。
ふとした瞬間に、 腕に巻き付く時には。
明らかに、 自然と起こる振る舞いで。
其の表情は、 怯え、 狼狽して居る。
ふとした瞬間に、 自然と起こる振る舞いは。
二人の間に流れる、 二人の空気を。
二人で創り上げた、 二人の想いを。
正確に言い当てるだろうから。
其処に在る、 自然の振る舞いにこそ。
想いの本質が、 隠れて居る筈なのに。
何故に。
遮二無二、 隣の温もりを求めるのか。
如何しても、 察知出来ないのだ。
生い立ちか?
不在勝ちの親の仕事と、 求められた責務が、 負担を強いた反動だろうか。
過去の恐怖か?
一度壊れた道と、 元旦那に抱いた想いが、 不安を増強させるのだろうか。
「寂しい。寂しい。」
姫が、 そう口にした時には。
何故か必ず、 俺の横から腕を掴む。
---------- References Aug.12 2004, 「其の口付けは他の雄の為ですか」 |