< いつもより離れる気がしますか >
やり場のない感情を振りかざしたまま、 携帯を睨み付けている俺。
甲板で波に揺られながら、 肌寒いやませを受けて気を鎮める。
さっきまで繋がっていた携帯が、 突然ぷつりと切れた。 アンテナは既に、 一本も立たなくなった。
最初は当然のように、 朝までの別れを覚悟していた。 けれども・・・ 下手にアンテナが立ってしまった。
だからこそ、 急にお前と繋がる糸を切られた感じがして、 余計に寂しさがつのる。
イカ釣漁船の明かりで照らされた暗闇の海・・・ 絶える事のない波飛沫の音・・・
ついさっきまでは、 高揚感を鎮める優しい綿だった物。
今は眩しく、 今はうるさい。
いつも離れているけれど、 それでもどこかに出掛ける時は、 妙にアイツが恋しいらしい。
お前の温もりから離れてしまった気がして、 不安になる。
旅先はアンテナが立つんだろうか・・・ |
2001年08月02日(木)
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