其の言葉の何方に、 想いを乗せて居たのか。
其の重み付けを、 察知出来なかったから。
飽く迄、 表面上の方向へ、 向かう事で。
事の収拾を図ったけれど。
もしも、 最終的に行き着く先が、 事の、 深部だとしたら。
「俺は平気だよ。」 「あんまり気を遣うな。」
そう応えて、 不安を消し去る想いが、 正解だっただろうか。
物語の区切りを告げる、 主題歌が。
画面に、 浮かび上がると同時に。
「どんなに啀み合って別れてもさ。」
そう言って、 姫は話を切り出した。
其の絆が。
如何に引き裂かれ、 何れ程ささくれ立とうとも。
鎹の存在は。
否応無しに、 元配偶者の存在を、 呼び覚ますから。
「どんな影でも。」 「女の影がちらつく人とはね。」 「結婚したくないんだよ。」
共演者は、 身を引き掛けたのだと。
「俺に、影在る?」
「あるじゃん、いっぱい。」
唇を重ねても、 事を誤魔化す為の振る舞いだと想われるに、 間違い無いけれど。
其れでも、 唇を重ねずには居られない。
確かに何度か。
姫の息子から、 姫の元旦那を連想したけれど。
今更、 其処を問題にしても。
始まらないでしょう? |