< 言葉に踊らぬ術が身に付きますか >
言葉を素直に追っても、 真実に辿り着ける保証は無いのだと、 教えてくれた相手。
例え目の前で、 口から飛び出て来た言葉でも。
例え相手に面と向かって、 口にした言葉でも。
底に眠る真の想いを追う事が、 困難を伴うけれど、 本当の核心に辿り着く術なのだと、 教えてくれた相手。
「してやったりじゃん?」
「そうかも知れないね。」
奴の言葉は、 あくまで慎重だけれど。
奴の顔は、 自信たっぷりに笑顔を零す。
奴の精神的な不安定に繋がるなら、 彼女の心だけに、 秘めて封じて行こうとして来たから。
「旦那がそういう人だったから・・・」
息子の精神的な不安定に繋がるなら、 奴は此処には住まないと、 言い続けて来たから。
「息子だってストレス感じてるよ!」
彼女の其の言葉は、 奴に取って、 一見すると辛い言葉だけれど。
事の核心は其処に無い。
奴が初めて、 彼女から勝ち取った言葉。
彼女が其の言葉を、 初めて奴の前で口にした事実が、 二人に取って大きな変化。
腰を据えて問えば、 彼女の真意は別の所に在る事が分かるのだ。
自身を省みて、 俺は奴の力を欲しいと願った。
「強ぇな・・・」
「馬鹿。ビビってんのわからんか?」
うん。 良く分かるよ。
---------- References Aug.09 2003, 「屍を拾えば未だ闘えますか」 |
2003年08月12日(火)
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