< 美味しい誕生日でしょうか >
例え。
其の時を、 共有出来ずとも。
例え。
其の目的が、 別の目的に替わろうと。
漸減する、 自身の為の時から。
少しずつ、 相手の為に割く時を捻出する。
多分。
其の想いが在るだけで、 十分なのだ。
其れ故に。
其の象徴で在る筈の、 赤い頂点が。
不格好に、 失われた姿にも。
極自然と、 笑みを零して了うのだろう。
「先に食べちゃうね。」
姫から届いた合図に。
娘の、 満面の笑みが浮かぶ。
今年の誕生日の、 贈り物は。
頂上の苺だけ、 娘に喰われて終った後の、 洋菓子だった。
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2007年05月31日(木)
---------- History
2006年05月31日(水) 片隅に住んで居てくれたのですか 2005年05月31日(火) 其の予感は冗談で良いのですか 2004年05月31日(月) 求める想いが異なるのでしょうか 2003年05月31日(土) 嵐に喧嘩を売れますか 2002年05月31日(金) 放っておけますか
< 多くに紛れれば平気でしょうか >
軽重の差は在れど。
其の数は、 物差しに他ならないから。
多くの言葉が、 届く事を。
望むのだけれど。
深層は。
良質の言葉以外に、 然したる意味など無い事を。
良く、 自覚して居るのかも知れない。
其の寂寥感は。
唯一と言う、 数の少なさに由来する感覚では、 無くて。
飽く迄。
唯一故に、 結果的に極めて際立って了った、 其の想いが。
余計に。
傍には無い温感を、 際立たせたに過ぎないのだ。
「小坊主。」 「誕生日おめでとう。」
「ありがとう。」 「でも少し寂しい。」
「じゃぁ。」 「私から何通も贈る?」
日付の進んだ其の直後に、 届いた文は。
唯一。
坂の街の人からの、 一通だった。
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2007年05月30日(水)
---------- History
2005年05月30日(月) 要らぬ隠し味だったでしょうか 2003年05月30日(金) 腹を括り終わったか 2002年05月30日(木) 何重にも掛けた鍵をこじ開けますか
< つつくのでしょうか >
嗜好は、 個々人に独立して添えられる物で。
自身に与えられた環境に準じて、 創られるのだけれど。
嗜好の、 其の素因は。
飽く迄。
二つの、 自身を構成する嗜好に、 依存するのだ。
其れ故に。
未だ、 自身に与えられる年月の、 乏しい存在に。
宿る嗜好は。
鏡像の如く。
其の源流を、 映すに違いない。
「同級生だったから。」 「良く棒でつついたんだよね・・・。」
「蒲鉾屋の社長?」
「お淑やかにしてれば。」 「今ごろ玉の輿だったのに・・・。」
嘗て。
俺に漏らした、 姫の、 幼少時代の姿を。
ふと。
娘に、 重ねて了う。
祖母から贈られた、 飯事遊びの品の中から。
迷わずに、 包丁を取り出し。
娘は。
其の切っ先を、 俺に向けた。
満面の笑みと共に。
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2007年05月27日(日)
---------- History
2006年05月27日(土) 川面の底なら番鳥でしょうか 2005年05月27日(金) 駄目の理由が伝わりませんか 2004年05月27日(木) 二人の子供の心算でしょうか 2003年05月27日(火) 少しで良いから成長出来ますか 2002年05月27日(月) 今更わざわざ言う事ですか
< 基礎に勝る想いでしょうか >
順を追い、 隙間を埋め。
一つ、 一つ、 積み重ねる事でこそ。
堅固な石垣が、 築かれるのだけれど。
基礎を固めぬ儘、 形ばかりの塀を築いた後に。
果たして。
強固な石垣を、 積み上げられるのだろうか。
順を追わずに、 歩む事で。
順序だった想い以上に、 亀裂は、 生じるのだけれど。
丁寧に、 丁寧に、 想いで補修して。
後付けの役を、 整えれば。
順序に勝る、 堅牢な石垣を、 此の手に出来るのかも知れない。
狂わざるを得なかった、 其の順序を。
互い違いに成りながら、 一揃い、 整えた事に。
安堵する。
「初めまして。」 「ご挨拶が遅くなりまして・・・。」
「遠いところをよくおいでに。」 「こちらこそ大変失礼をいたしまして・・・。」
ようやっと。
母と義母が、 面と向かって言葉を交わした。
拍子抜けする程、 あっさりと。
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2007年05月26日(土)
---------- History
2005年05月26日(木) 残酷な矛盾でしょうか 2004年05月26日(水) 本当に寄り添うための刻ですか 2003年05月26日(月) 無事なら良いと想えないのか 2002年05月26日(日) 無駄な抵抗は止めませんか
< 子守歌の方が身近でしょうか >
事の、 自身に対する軽重を、 量る事は。
格段に、 高度な事だから。
恐らく、 其の身は。
自身に頻発する事柄を、 重視し。
早急に、 備えて行くのだ。
其れ故に。
其れ等、 吐露された言葉の数々は。
其の身に、 日々起こり在る環境要因を。
如実に、 反映するに違いない。
父を意味する言葉でも無く。
挨拶を意味する言葉でも無く。
毎晩。
「任天堂♪」
覚えたての、 装置の起動時に流れる、 無機質な電子音を。
言い残して。
娘は。
姫と共に、 寝室へ向かう。
多分俺は。
然程、 重要な存在で無いんだろうな。
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2007年05月20日(日)
---------- History
2005年05月20日(金) 傍に望むのは違う相手でしょうか 2004年05月20日(木) 経験は御墨付きで埋められますか 2003年05月20日(火) 解れた糸が絡まっていませんか
< 制動装置に成るのでしょうか >
想いは、 時に暴走して。
自身には扱えぬ程の大きさに、 膨張するから。
決して、 壊して終う事の無い様に。
必死に、 必死に、 言い聞かせるのだけれど。
其の、 制動装置を踏み付ける為の、 自身への言葉を。
想いとは、 逆方向へ駆り立てる為の、 自身への言葉を。
何故に。
其の、 想いの矛先へと、 吐いて了うのだろうか。
其処に宿る矛盾は。
互いの想いを、 削り抉る、 格好の、 破壊具だと言うのに。
「いつかは消えてしまう。」 「この想いはなくなってしまう。」
坂の街の人の、 矛盾へ。
「自分に言い聞かせてる言葉なのに。」 「何故か大好きな大切な人に伝えたくなるんだよね。」
そっと、 布を被せる。
「その通りよ。」 「同じなのね。」
安堵する、 坂の街の人に。
同じでは無く。
嘗て、 同じ景色を映した人が、 居たからだと。
そうは、 答えられなかったけれど。
---------- References May.13 2007, 「万に一つの刻なのでしょうか」
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2007年05月14日(月)
---------- History
2006年05月14日(日) 惚けて嘘吐くべきでしたか 2005年05月14日(土) 情けない過去だからでしょうか 2003年05月14日(水) 独りだけ遅れているのですか 2002年05月14日(火) イイ女になってくれますか
< 万に一つの刻なのでしょうか >
ほんの少し、 時を回して了えば。
かたかたと音を立てて、 崩れて終う。
二度と、 同じ景色を此の手には出来ぬ、 一揃いの筒を。
何故に、 此の手に持たせたのだろう。
互いを具象化し、 互いの傍に添え置く筈の、 其の姿が。
儚く、 脆く、 繊細に映る事に。
何の違和感も、 持たぬのだろうか。
眼前で繋がる、 手と、 手を。
決して離さずに。
眼前に在る想いが、 真実で、 貴重で、 唯一だと。
力強く言う、 坂の街の人は。
同時に。
「いつかは消えてしまう。」 「この想いはなくなってしまう。」 「でも。」 「なくなったとしても大切。」
眼前で繋がる、 手と、 手が、 切り離され。
眼前に在る想いが、 消えた、 其の刻の事を。
力強く主張した。
「次は二月。」 「毎年二月と五月なの。」 「二月まで待てる?」
「其処迄待つの?」 「待てる訳ねぇじゃん。」
僅か十五分しか無い逢瀬の残りを、 貪るかの様に。
再び、 繁みに顔を埋め。
応じる様に。
二つの万華鏡は、 かたかたと、 揺られて姿を変えて行く。
儚く、 脆く、 繊細に。
---------- References May.11 2007, 「奥深き想いの証拠ですか」
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2007年05月13日(日)
---------- History
2006年05月13日(土) 共通項には値しないのでしょうか 2005年05月13日(金) 俺より想いが深い日なのですか 2004年05月13日(木) 本音は何処に在るのでしょうか 2003年05月13日(火) 早く分かち合いたくは無いのですか
< 何故に憂いが宿るのですか >
確かに、 責めを果たして居る様に、 映るかも知れない。
自身の歩んだ道と、 其の結果、 其処に創り上げられた物へ。
正面切って、 向いて居る心算かも知れない。
けれども。
其れが、 望まぬ姿で在ったのなら。
其処に、 常に、 後悔の文字を呼び続ける姿で在るのなら。
其処に注がれる、 数多の想いに対して。
何の責めも、 負っては居ないのだ。
娘を抱え、 輪に交じって踊りながら。
「小坊主家の娘なんだからね。」
事在る毎に、 俺の気概を強い調子で意識させる、 姫の言葉が。
何遍も、 何遍も、 脳裏で繰り返された。
姫自身は。
其の、 門構えの外に在り続けるのだと、 主張するかの様に。
初遠足に、 大はしゃぎする娘が。
余りに、 鮮やかに映った故か。
腰掛け、 此方を観て居る、 姫の視線が。
半ば楽しげで。
そして、 半ば清々したと言わんばかりに、 想えて終う。
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2007年05月12日(土)
---------- History
2005年05月12日(木) 満足だから捨てられるのでしょうか 2004年05月12日(水) 片想いなのでしょうか 2003年05月12日(月) 気付かせるのが目的でしたか
< 奥深き想いの証拠ですか >
幾度も、 幾度も、 想いを縒り逢わせて。
深く、 奥行きの在る想いが、 育ち行くから。
其の、 想いの深度を。
的確に具象化可能な、 言葉や、 音楽や、 形など。
現実には、 存在出来ぬのだろうか。
其れとも。
飽く迄。
想いは、 仮想領域に描かれる虚像に、 過ぎないから。
其の、 想いの具象化など。
端から、 不可能なのだろうか。
如何なる物を以てしても。
自身の想いを、 反映出来ぬ時に。
途方に暮れて終うけれど。
想いを充足出来ぬ、 其の事こそ。
深き想いの証に、 他ならない。
「ごめん。」 「小坊主に似合う物が見つからないよ。」 「想いの方が鮮やかで。」
坂の街の人から。 謝罪が届く。
そんな言葉など、 不要なのに。
---------- References Apr.08 2007, 「少しは軽く想えるのでしょうか」
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2007年05月11日(金)
---------- History
2004年05月11日(火) 何方に在った重荷ですか 2003年05月11日(日) 貴女の過去は幻ですか
< 表裏揃った評価でしょうか >
自身に贈られる、 賞賛や、 評価は。
自身の能力や、 格や、 価値を。
推し量る指標に、 他ならないけれど。
時に人は。
其の、 相対的な推定値に、 惑って了う。
本来は。
自己評価こそ。
自身の責任の下に、 進んだ足跡を、 正確に、 評価可能な物差しかも知れない。
誉れや、 誇りは。
内と、 外と、 双方の指標が高位に在って。
初めて、 成立するのだと。
幼気な仕草は口にする。
一つ、 一つ。
新たな動作を、 自身に備え行く娘に。
「良い子ねぇ。」
御褒美の言葉を、 贈る度に。
娘は。
徐に、 自身の頭を撫でるのだ。
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2007年05月03日(木)
---------- History
2006年05月03日(水) 別の女の痕跡でしょうか 2005年05月03日(火) 猫程度だと言い張る気でしょうか 2003年05月03日(土) 女の魅力を気にし過ぎていませんか
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