近況報告や、 或いは、 詫びねばならぬ事や。
もしかしたら、 伝えるべき事の幾つかは、 未だに、 伝えられて居ないかも知れない。
けれども。
互いの手など、 其処に、 関与する事は無く。
個々の路は、 既に己の手で造られ、 そして、 自ら分け入ったのだから。
其処には、 一欠片の想いも無くて。
在るのは、 只の回顧である筈なのだ。
何も、 想う事は無いのに。
何故に。
遭うかも知れぬと、 手が留まる?
「ホテル、こっちにする?」
「小坊主の好きな方で良いよ。」
姫は、 其の土地の事を分からぬと、 俺に、 全てを委ねて居るけれど。
其れが、 誤魔化しの為の言葉だと。
姫には、 分かったのかも知れない。
アイツの家の、 最寄り駅。
何度も訪れた商店街に、 未だ、 泊まる勇気が無いのは。
アイツへの想いが、 全く足りて居なかった事を。
俺自身が、 理解して居るからだろうな。
---------- References Aug.30 2003, 「沈黙に勝る物が有るのでしょうか」 May.27 2002, 「今更わざわざ言う事ですか」 Apr.03 2002, 「最後の糸を切れませんか」 |