人として、 為すべき一つの仕事を。
既に、 為し得て居るから。
晴れ晴れと、 自信に満ちて。
自身を、 刹那に導くのかも知れないけれど。
未だ、 為し得ぬ何かを。
手元で、 温め行く相手に。
其の刹那を、 押し付けて良いのだろうか。
其れとも。
寧ろ相手が、 其の重量を受け止めるべきなのだろうか。
お互いが、 築き行く想いは。
未だ、 歩み始めたばかりなのに。
「もし、そうでも。」 「私は切らないからね。」
姫は、 歩みを辞めると、 俺に言う。
姫は、 肌で感じて居た何かを、 俺に、 隠して居たのだろうか。
其れとも、 怖れが、 口に出す事を妨げて来たのか。
「ここに何かあるかも。」 「念入りに見てたから。」
健康診断を終えた、 姫は。
右胸を押さえながら、 そう呟いた。
俺は、 姫の決断を決して認めない。
魅力を失いたく無いと、 何れ程姫が、 抵抗したとしても。 |