自由自在に泳ぎ、 巧みに、 獲物を捕らえながらも。
自身に連なる糸を、 巧みに、 手繰り寄せられる。
其の糸に、 宿り在るのは。
一蓮托生の、 深い信頼だろうか。
其れとも。
所詮、 使役関係に過ぎないのだろうか。
篝火に応じて煌めく、 川面の波紋へ。
視線を落としながら。
定まらぬ焦点に。
想いが、 揺らめく。
対の鵜は。
恰も、 仲睦まじく船縁に並ぶ様に、 映るだけで。
決して、 対の立場に在る訳では、 無いのだ。
飽く迄。
糸の先に繋がる存在とのみ、 対を為すのだ。
其の身は。
自身に結わえられた、 其の糸を、 如何に想うのだろう。
応えを、 問う間も無く。
糸の先の存在に、 片方のみを片付けられ。
対の鵜は、 一羽、 残される。
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