決戦と称すれば、 刺々しさが強過ぎる。
だが対面と称してしまえば。
生々しさと、 潜んだ厳しさが、 陰に隠れて霞んでしまう。
平然として、 困難と向き合わねばならないのだ。
当然の様に、 柔らかく振舞わなければならないのだ。
決して内なる緊張を見せずに。
俺と貴女と二人で、 打てる手は打ち終わった。
肥料を撒いて、 土地を耕して、 後は種を蒔き、 出芽を待つだけじゃないか。
残るはただ、 俺が腹を括るのみなんだ。
ただ一言、 あの人は言った。
不安を見透かしたかの様に、 あの人は言った。
「器の大きさが問われるわね。」
人当たりの良い、 あの人自慢の美声は。
凛として厳しく、 相も変わらず的確な援護射撃だ。 |