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JIROの独断的日記
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2005年01月31日(月) 「障害がある人間」=「劣った人間」とはいえない。(追加あり)

◆アインシュタイン、ビルゲイツは高機能広汎性発達障害だ

 

今夜、テレビで自閉症の子供さんを取り上げていたけれども、どうしても、障害を持った、「可哀相な」「気の毒な」人、という雰囲気を出そうとしている。ナレーションが気に入らん。故意に、悲劇的なトーンで話す必要はない。

自閉症は、精神科で扱うが「発達障害」という分野である。原因はまだ、判明していないが、周りに人がいないように振る舞う、とか、自分の世界に閉じこもる、とか、言葉の発達が遅れているとか、まあ、そんなことが書いてある。

しかしながら、同じ自閉症の領域に属する発達障害に「高機能広汎性発達障害」というのがある。

「高機能」とは、知能のおくれがない、ということで、それでは何が問題なのかというと、



  • 相対的対人関係の質的異常
  • コミュニケーションの質的異常
  • 幅狭く常同反復的である行動・興味・活動のパターン

の三つの領域に障害があることで特徴づけられる発達障害だそうだ。

 ところが、小見出しに書いたとおり、相対性理論は分からなくても、相対性理論のアインシュタインと言えば誰でも知っているあのアインシュタインも、我々(の過半数)が使っているWindowsを作った、ビル・ゲイツ氏も「高機能広汎性発達障害」なのだ。

異常とは文字通り「常」と「異なる」と書くわけで、そういう意味なら、なるほど、二人とも異常なのだろう。

しかし、アインシュタインとビル・ゲイツよりも自分の方が優れている、と自信を持って言えるひとがいたとしたら、そのほうが、ちょっと、危ない。


◆障害を持つ音楽家たち。イツァーク・パールマンの場合。

 

ここでは、身体に障害がある人を取り上げる。私の得意分野、音楽の世界には、身体的障害がありながら、「超一流」の評価を得ている人が何人もいる。

例えば、イツァーク・パールマンという、一応アメリカ人だが、その名の示すとおりユダヤ人のヴァイオリニストは、現存するヴァイオリニストの中でも最高の技術と音楽性を併せ持つ、希有な天才だが、足が不自由である。

 小児麻痺で足の自由を失い、ステージに出てくるときは、巨体を松葉杖で支えながら出てきて、普通のヴァイオリンのソリストは立ってヴァイオリン協奏曲を演奏するが、彼は椅子に座って演奏せざるを得ない。

その椅子に辿り着くまで、両手は松葉杖で塞がってしまうから、指揮者が彼のヴァイオリンと弓を持って一緒に出てきて、パールマンがどっこいしょ、と椅子に座ったところで、彼に、楽器と弓を渡す。

すると、パールマン先生は、指揮者に向かって「ちょっと待って」という仕草をし、自分の燕尾服の内ポケットをゴソゴソ探りはじめる。

 何をやっているかと思うと、おもむろに指揮棒を取り出し、「ああ、あった」とか云いながら、指揮者に渡す。観客にどっとウケる。と毎回分かっているのだが、やるのである。

彼のサービス精神である。ステージに出てくるとき、痛々しいので、観客がどんな顔をして良いか分からぬ、という雰囲気を敏感に察して、彼の方が気を使って色々考えた末、こういう「コント」を思いついたらしい。

ヴァイオリンを弾き出すとその上手さは、筆舌に尽くしがたく、それは競演するオーケストラのヴァイオリンセクションを初めとする音楽家たちの表情を見るとよく分かる。

彼ら以上にヴァイオリン弾きに苦労が分かる者は居ない。ソリストにとっては、一番怖い「聞き手」であるが、ベルリンフィルのような、超・超・一流のオケの連中もコンチェルトの後で、拍手を惜しまない。

ある日本のオーケストラのヴァイオリニストは「彼は、足が不自由だが、彼のヴァイオリン演奏を聴いていると、それ以上に自分が、手が不自由な人間に思えてくる」と評していたのは、言い得て妙である。なにより、パールマンの音楽を聴けば、脚が不自由であることなど忘れてしまう。パールマンといえば、まず彼の音楽を想起するのが普通の音楽ファンであろう。つまり、音楽家としての彼の評価に、身体的障害は全く入り込む余地がないのだ。


◆全盲のヴァイオリニスト和波隆義

 

ヴァイオリニストの和波孝禧(わなみたかよし)氏は(1945年生まれだから、今年還暦かあ。もう、そんなになるかな。)生まれたときから、視力が無い。

しかし、ご両親が大切に育てられ、そのうちに音楽的才能があることに気づき、鷲見三郎(すみさぶろう)氏、江藤俊哉氏に師事し(このお二人に教わるというのは大変なことなのだ。日本で一番偉い(つまり優秀な弟子が沢山いる)、先生なのだ)、後は省略するが、もう何十年もヨーロッパを中心にソリストとして活躍している。

ライプツィッヒ・ゲバントハウスなどという、由緒あるオーケストラ(メンデルスゾーンがここの指揮者だった)から呼ばれるというのは、目もくらむほど大変な修行の成果だろう。

話が少し逸れるが、目の不自由な人はどうやって音楽を覚えるかというと、ちゃんと点字の楽譜というものが存在するのである。というか、実は、点字は楽譜が最初だった、ということは余り知られていない。文字の方が後から出来たのだ。何かの本でずっと昔に読んだ。

さて、和波孝禧氏はソリストだけではなく、ここ10数年で大変有名になったサイトウ・キネン・オーケストラで、ソリストとしてではなく、オーケストラのメンバーとして演奏をすることがあるのだが、和波さんを見ていると全く奇跡としか云いようがないことが、目の前で起きる。

つまり、オーケストラは指揮者の棒を見て、曲の一番最初の音を出すタイミングとその後のテンポを知る。最後の音を長くのばして、切るときも、棒を見る。

いうまでもなく、これらは視覚情報である。和波さんは全く何も見えない。最初の音をどうやって合わせるか(クラシックではロックバンドのように「1・2・3・4!」などとカウントすることは絶対にない。)?

何もしないのに、他の人とぴたりと合わせて弾きはじめるのである。

 あまりにも自然なので、一瞬、誠に失礼ながら、本当は見えるのではないか、と思うほどである。

ご本人は、「非常に単純化していえば、集中力と訓練によって可能です。」と仰るのだが、どうにもこうにも、初めて生で拝見したときは驚いて、しばらく、何も声が出なくなったことを覚えている。

分からないなりに想像すると、音楽家は管楽器奏者や声楽家でなくとも、必ず音を出す前に、ブレス(呼吸)をするし、フレーズの切れ目でも呼吸をする。

 音楽の本質は歌であるから、呼吸の無い音楽というのは、無いのである。

 しかし、管楽器奏者も弦楽器奏者も同じステージの隣の人間にも聞こえないぐらいの呼吸音しか、出さない。オーケストラ全員のブレスがいちいち、「スーハー、スーハー」と聞こえたら、やかましくて、音楽にならぬ。

だが、和波孝禧さんはこのときのわずかな、空気の変化を、目が見える者よりも敏感に感じ取っているのではないかという気がする。しかし、それだけでは、音を切るときやテンポが変化するときはどうするのか、説明にならぬ。兎に角、不思議なことなのである。

 なお、和波孝禧さんに関しては、本が2冊ある。ひとつは、母上がお書きになった母と子のシンフォニー―盲目のヴァイオリニスト、和波孝禧を育てた母の手記という、大変に有名になった本である。息子が目が見えないことを、全く気にしなかった訳はないが、一緒に旅行に行ったり、ヴァイオリンのレッスンに行ったりした、母上の溢れるばかりの愛情に、親とはこういうものか、と、胸が熱くなる。

 もう一冊は、和波孝禧さんご自身の著書がある。音楽からの贈り物という本で、プロの演奏家になって独立して、結婚して(奥様はピアニストでいらっしゃる)、演奏活動や日常生活で感じた、音楽のこと、生活のこと、目が不自由な人が世間の人々に知って欲しいこと、などが、端正な文章で綴られていて、私は、視覚障害者云々というよりも、プロの音楽家、プロのヴァイオリニストが書いた、大変貴重な本だと思っている。


◆ある能力がたまたま欠けているからといって、それで終わりではない。

 

色々な「障害があるといわれている人」が世の中には居るが、アインシュタインの例で分かるとおり、本当に障害と言い切れるのか?障害とはなにか?というケースがある。

また、二人の音楽家で明らかなとおり、ある能力は確かに欠けているが、それを補って余りある能力、才能を持っている人がいる。

だから、「障害がある人」=「劣った人」と単純に決めつけるべきではない。


2004年01月31日(土) BSE問題「米国、全頭検査拒否」←米国は、全頭検査している和牛をいまだに禁輸している事、知っていますか?
2003年01月31日(金) フランツ・シューベルト

2005年01月30日(日) 新潟では雪下ろし中の事故などで、既に8人が亡くなり、46人が怪我をしている

◆新潟県ホームページ「雪害防止のために(新潟県知事 泉田裕彦)(1月28日)より抜粋。

この冬は例年になく雪が多く、雪下ろし中の事故などで、既に8名の方が亡くなり、けがをされた方も46名にのぼっております。

特に、地震の被災地では、建物の倒壊や雪崩などの雪による被害が発生しやすくなっています。

また、震災後の心身の疲労の蓄積から、雪下ろしなどの際、思わぬ事故が発生する可能性も高くなっております。

 県民の皆様、特に震災被災地の皆様におかれましては、どうかこれ以上の犠牲を出すことなくこの冬を乗り切り、県民みんなで復興の春を迎えられることを希望いたします。

 平成17年1月28日

新潟県知事 泉田 裕彦


◆コメント:サマワで給水するより、新潟で雪下ろしをするべきではないか。

 引用したのは、新潟県知事が28日に発表したコメントの最後のごく一部であり、その前の文章からは、降り積もる雪の中、半壊家屋の調査、対策に翻弄されている、現地の人々の不安と苦労をうかがい知ることが出来る。

それにしても、雪下ろし中の事故などで、すでに8人の方が亡くなり、怪我人は46人もでているという事実を日本中の人々は知っているのだろうか?内閣総理大臣は知っているのだろうか?

人間、現金なもので、新潟中越地震から3ヶ月と1週間が経ち、日本人全体のこの出来事に対する関心が薄れかけている。


◆民主党岩國哲人(いわくに てつんど)衆議院議員の意見は正しい。

 

28日(金)の衆議院予算委員会では、民主党の岩國哲人衆議院議員が代表質問をしていた。

そういえば、国会には岩國さんがいたんだ、と思い出した。

この人は、7歳の時に父上が亡くなって、働いて苦労して東大を出て、日興證券に入り、後、債権ディーリングの世界で頭角を現したが、娘さんの教育のことを考えて、モルガンスタンレーに転職。
 さらに、1984年に、世界最大の証券会社(というか、正確には Investment bank=投資銀行、というのですがね)であるメリルリンチに移り、87年にはなんと米国本社の上席副社長にまで上りつめた、俊英である。

あの競争の激しいアメリカの金融界で、メリルの副社長といったら、飛び上がるほどの地位なのである。当然、年収は何億単位で、マンハッタンの超高級マンションに住み、毎朝、リムジンで出勤していたわけである。

しかし、この人は、驚いたことに、その2年後、郷里である出雲市の熱心な招聘に応じて、メリルリンチ上級副社長の地位をかなぐりすてて、山陰の小さな市の長を引き受けた。 自分の年収は何十分の一に減った。ところが、極めて熱心に仕事に取り組み、そこで、天下のメリルの副社長にまでなった能力を発揮したのだから、凄いことになった。何しろ、100項目の改革を提案し、あっという間に、全部実現した。全国から注目を浴びた。こういう優秀な人材が国会にいるのは、素晴らしい。


◆優先順位があるだろう。

話がそれたが、要するに、岩國哲人さんという、もの凄く優秀な人がいま、衆議院議員になっていて、28日に、小泉首相に対して代表質問をしたのだ。

  冒頭、 「自分はイラクへの自衛隊派遣には反対である。元々反対であったが、自国の豪雪地帯の人々が、冬の到来直前に大地震によって大変な被害を受け、半壊の、かろうじて持ちこたえている家は、雪の重みで崩れかけているし、水道管が破れたままになっているのに、自衛隊はそちらは手伝わないで、イラクで水道管を直している。という状況を見て、ますます、今、自衛隊がイラクにいるのは、おかしいと思うようになった。 イラクのひとはどうでも良いということではなく、優先順位があるはずだ」という趣旨の発言をしていた。

 極めて、正鵠を得ている。 正しい。 これこそ、sense of proportionというものだ。


2004年01月30日(金) 「イラク自衛隊派遣承認、衆院特別委で可決」民主主義が必ずしも正しい選択をするとは限らない
2003年01月30日(木) 民放の「コメンテーター」と、テレビ屋たちは、いい加減にしろ。

2005年01月29日(土) 小泉首相は頭がおかしいのではないか、と本気で心配になってきた。

衆議院TV(ネット配信)、1月27日(木)予算委員会での民主党管直人氏の質問と、首相答弁

◆管直人氏

 ここに、小泉発言録があります。

 まず、「約束を守れなくとも大したことではない。」

「フセイン大統領がイラクで見つかっていないからと云って、フセイン大統領がいないとはいえない。」

「大量破壊兵器はいずれ見つかる。」見つかったんでしょうかねえ?これも、云いっぱなしでありました。

「どこが非戦闘地域か分かるわけがない。」

その後岡田代表には、「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ」こんな開き直りの答弁、これが説明になっているでしょうか?

 そして、「人生いろいろ」これなどはまさに開き直りの象徴だとも云えるわけでございます。


どうか、私達に対する切り返しではないんです。

国民の皆さんが、非戦闘地域について、或いは公約について、或いは総理の厚生年金について、ある意味で私達は国民を代表して訊いていることに対して、こういう答弁をされるのは、国民そのものを、バカにしたような答弁ではないか。こういう答弁は止めるべきだと思いますが、反省の弁と止めることをお約束頂きたいと思います。


◆小泉首相

 私はいつも、誠意を持って、いかに国民に分かりやすく答弁しようと心がけているんです。

そしてね。これは、最初の「約束を守れなかったのは大したことではない」、というのは、これは30兆円の枠を守れと、云ったときの発言だと思うんです。

ま、確かに、この言葉をとれば、この言葉は適切だったとは思わない。これは、反省してんです。


 

 しかし、イラクにフセイン大統領が見つかっていないからといって、イラクにフセイン大統領がいないとはいえない、と言う発言、これは、私、適切だと思いますよ。

あのころ、いろんな質問に答えていた。イラクに大量破壊兵器が見つからないから永遠に見つからない、というようなトーンだった。

 あのときの国連での状態、国連での討論、国連での決議、フセイン大統領が審査を拒否する状況を見れば、これは、あるなあ、と思っても不思議じゃない。

で、私もあのころはいずれ(大量破壊兵器が)見つかるのではないかと思っていたんです。

で、結果的には無い、となった。予想、見込みは外れることがある。

しかし、あのころの状況から見れば、本当に大量破壊兵器を持っていないと思うんだったら、フセイン大統領は国連の査察を受け入れて、自ら「(大量破壊兵器は)無いですよ」と証明していれば戦争は起こっていなかったんです。


 それと、これも管さんとの議論で、「どこが戦闘地域で、どこが非戦闘地域ですか」と言う議論になった。

で、私が「非戦闘地域がわかるわけがない」といった。当たり前でしょ。

誰に訊かれたって、内閣総理大臣に訊かれたって、防衛庁長官に訊かれたって日本に、ここに、居てですよ?

私がどこが戦闘地域かどこが非戦闘地域かイラク行って調べたって分かりませんよ。

それは、専門家が良く検討して、「自衛隊が派遣される地域は非戦闘地域でなければならない」という意味で言ったのであって、いまだって、訊かれたらですよ。どこが戦闘地域で、どこが非戦闘地域かそういうことを想定していた、イラク復興支援特別措置法じゃないんです。

そこで、自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だという、これは、一番解りやすい答弁ですよ。

これは党首討論で私が、丁寧に誠実に答弁しているの。私は、「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」というのは、極めて妥当で分かりやすい答弁なんです。


◆コメント:本当に、小泉首相、頭おかしくなりつつあるのではないの?

 国会の両議院の本会議と全ての会議の様子はインターネットで見ることができる。

発言者を指定すれば、その部分から、再生をはじめる。使いようよっては、便利だ。但し、ダウンロード出来ないし、以前は平成12年からのビデオがすべてアーカイブに保存されていたのに、今は、1年経つと、消してしまう。この辺が如何にも狡猾である。

それはさておき、今週の木曜日に、民主党の管直人氏が、小泉首相に代表質問し、首相が答弁したときの部分を文字にしてみた。

 出来る限り、発言をそのまま文字にした。

管直人氏も久々の国会で、少しぼけていて、センテンスが完結しなかったり、以前よりも発言のキレが悪いことが分かるが、そういうことは些末なことである。

問題は、小泉純一郎内閣総理大臣のことである。知識の乏しさ、思考過程の異常さ、自分が絶対正しいと信じ切っている、かなり誇大な、はっきり云って、やや病的な自己像である。

そして、音声をここでアップロード出来ないのが誠に残念ななのだが、発言しているときの小泉首相の言葉は、ろれつが回っておらず、発音が不明瞭である。

まさかとは思うが、アルコールが入っているのではないか、と思うぐらいである。

私は、小泉氏を茶化しているのではない。真面目に心配になってきたのだ。

脳のCTだかMRIだか撮ってみた方がいいように思う。

無論、私は医師ではないから、病気かどうか徒に書くべきではないが、とにかく、云うことなすこと、余りにも常軌を逸している。

総理の健康状態は、彼だけの問題ではない。


答弁の内容は、事実認識も論理もめちゃくちゃで、敢えて指摘するまでもないくらいだ。

「フセインが査察を受け入れていたら、イラク戦争は起きなかった」という箇所に、まず、驚く。

イラクは国連の査察団を受け入れていたのである。イラク戦争が始まる2ヶ月まえ2003年1月21日、IAEA(国際原子力機関)のエルバラダイ事務局長は、「我々が任務を完了するまでには、なお数ヶ月を要する」と発言している。

小泉首相は、それを知らないか(だとしたら、当時の国際情勢が全く分かっていなかったことになる)、忘れてしまった(わずか2年前の、しかも些末な事柄ではない。国連を査察をしていたかどうかという重要な事実をわすれるのは普通では、考えにくい)ということになり、どちらにせよ、問題である。

さらに、 「フセイン大統領は国連の査察を受け入れて、自ら「(大量破壊兵器は)無いですよ」と証明していれば戦争は起こっていなかったんです。」という発言は、小泉首相が国連憲章が武力行使を禁じているという国際法の基本をいまだに全く勉強していないことを、物語っている。

最後に、イラク復興支援特別措置法では、自衛隊が活動するのは、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、活動する期間を通じて戦闘行為が行われる見込みがないと認められる地域に限っているのであり、なによりも、この法律は、小泉首相自身が強行採決させた法律なのである。

「自衛隊の活動は非戦闘地域に限」るという文言を含む法律を自ら作っておいて、実は、「非戦闘地域がどこにあるのか、分からない。イラクに行っても分からない」というのでは、非戦闘地域という概念自体が無意味化しており、このような法律に基づいて自衛隊を海外に派遣するのは、宿営地の建設だけで344億円も税金を使ったのであるから、国民に対して、サギを働いたも同然である。


そして、これら全ての不備、無知、欺瞞をそのまま認識できず、自分は誠実に答弁していると信じて疑わないのは、小泉首相の異常に強い自信、つまり自己愛に基づいており、私は、それが、殆ど病的な領域に達しつつあるのではないか、と懸念している。


2004年01月29日(木) <米上院公聴会>大量破壊兵器「大量備蓄ない」 ケイ氏証言←ブッシュ・小泉両氏は責任を取るべきだ。
2003年01月29日(水) 日本の「歌手」は下手な人が多い。

2005年01月28日(金) アシュケナージの「モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番&第27番」を薦めます。

◆私は、ピアノは嫌いだったのです。

私は子供の頃から、オーケストラが好きで、ピアノは余り好きではありませんでした。

ピアノは、楽器の分類で「鍵盤楽器」だと云われるけれども、鍵盤楽器(英語だったら、「キーボード」です)といっても、ピアノと、その前身というか、今では全く別の楽器として存続している、チェンバロという楽器は発音体が弦ですが、パイプオルガンの発音原理は一部はリード楽器(ハーモニカとか、アコーディオン)と同じですし、別のパイプ群はフルートと同じように、振動する物体はなく、空気が渦巻きを作るときに出る音を利用しています。

鍵盤楽器というのは、それぞれの発音のメカニックを作動させる装置の一番末端の形状が、たまたま同じ鍵盤であったというだけなのです。


◆ピアノは打楽器です。

 

ピアノとチェンバロは弦を発音体とする点では共通していますが、音の出し方が正反対です。ピアノよりも前からこの世にあるチェンバロは、バロック音楽では欠かせない、とても繊細な美しい音を出しますが、これは、弦をはじいて音をだします。詳しく説明すると長くなるので仕組みは省略しますが、結果的に、音の強弱の差が出せない、あるいは殆ど出せないのです。

これに対して、ピアノは、グランドピアノの中をのぞいたことがある人もいるでしょうが、鉄製の弦(ピアノ線)をフェルトを貼ったハンマーで「叩いて」音を出します。従って、敢えて云えば、ピアノは「打弦楽器」です。

ピアノのアクション(キーを押さえてから弦を叩くまでのメカニズム)は、大変精巧なものです。天下の大発明です。

何故ならこれによって、強い音と弱い音の差をはっきり出せるようになったからです。ピアノの正式名称は「ピアノ・フォルテ」ですが、(本当はもっと長いのですが)そのような歴史的背景があるのです。

 ピアノのダイナミックレンジ(最弱音と最強音との、音圧の差)はものすごいです。このおかげで、表現力がそれまでとは比較にならぬほど多様になりました。

 しかも、不思議なことに、ピアノのアクションはどれも同じなのに、例え同じ楽器を弾いても一人一人、音色が違うのです。

 私は、アシュケナージを聴くまでは、ピアノの打楽器的要素、つまり弦を叩くことにより避けがたい、キンキン(高い音)、ガンガン(低い音)と表現したくなる音色があまり好きではなかった。

そして、打楽器ですから、他の音楽家なら当然出来ること、つまり長く音をのばしながらクレッシェンド(段々音を強くする)することが出来ないのが、つまらないと思いました。

太鼓と同じ事で、ピアノはキーを叩いた瞬間(正確にはその何百分の一秒後)の音量が一番大きく、後は減衰するしかない。弦楽器や管楽器のように、ビブラートをかけて美しく旋律を「歌う」ことは、原理上、不可能なのです。

どうもその辺が気に入らなかった。


◆アシュケナージが弾くと、ピアノが「歌う」のです。

 

ここまで読んで、ピアノをご存じの方は、ピアノだってペダル(一番右のペダルを踏み込むと、鍵盤を放しても、しばらく音が鳴り続けます。ペダリングはピアニストの大切な技術なのです)があるじゃないか。と仰るでしょう。

 しかし、ペダルを踏めばよいと云うものではない。極端な話、ずっと踏んでいたら、音が全部残って、混ざって、濁った音が出てしまいます。大変難しい。

ところがですね。アシュケナージが弾く、モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番&第27番のCDをたまたま聴いたときに、私は、文字通りひっくり返りそうになりました。

それまでの私の知っているピアノとは全く別の楽器の音かと思いました。

一つ一つの音が、何かの光を放っているかのようにキラキラと輝き、しかも柔らかく、FFを弾いても耳障りにならず、PPを弾いても、はっきり聞こえる。

 さらに、テクニック、要するに、ピアノが「上手い」ってことですな。これはもう、難しいのを弾かせれば、目の回るような曲も弾けるのです。アシュケナージさんは。


◆人類史上唯一無二の天才の作品を現代の大天才が演奏した贅沢なCDです。

それだけの技術を習得した人が、単純に指のややこしさとかからいえば、後生の作曲家、プロコフィエフとか、リストとか、バルトークに比べれば、表面上はずっと優しいけれども、これを弾いたら、ピアニストに限らず、その音楽家の才能が一遍でばれてしまう、人類史上最高にして唯一の真の天才、モーツァルトのピアノ協奏曲を弾いています。

以前紹介しましたが、 カール・フレッシュというヴァイオリンの名手にして大先生は、こう云っています。



「ある音楽家の教養の程度は、彼のモーツァルトに対する関係で分かる。相当の年にならねばモーツァルトを理解することができない、というのは、よく知られた事実である。若い人たちは、モーツァルトを単純、単調、冗漫だと思う。人生という嵐によって純化された人だけが、単純さの中の崇高さと、霊感の直接性を理解するのである」



というと、しち面倒くさそうに聞こえますがそんなことはないです。聴けば良いんです。

このCDにはいっている、23番と27番はその天才が書いたピアノ協奏曲のなかでも最も美しい。27番は最後の協奏曲です。

天才の書いた最高の作品を、現代の最高のピアニスト(この人は指揮もするのですが、この度、N響の指揮者になりました。私からすれば、夢のようです)が演奏した、大変贅沢なCDです。

 一生に一度だけでよいから、試しに聴いてみて下さい。

くどいようですが、あれこれ理屈はいりません。ただ、聴いて下さい。


2004年01月28日(水) 身心の具合が悪かったら、早く医者へ診てもらうことだ。心配しながら過ごすのは損。
2003年01月28日(火) アメリカは何故イラクを攻撃するのか。

2005年01月27日(木) 新大久保駅ホーム転落死亡事故は4年前の昨日だった。

◆新大久保駅ホーム転落死亡事故

2001年1月26日 19時15分頃 山手線新大久保駅で、ホームに居合わせた韓国人留学生とカメラマンが、線路に転落した酔客の救助を試みるも、進入してきた内回り電車にはねられ3名とも死亡。この事故を教訓とし、線路上への人などの転落を検出するマットの取り付け、ホームに駆け上がるための非常用ステップの設置、列車緊急停止用ボタンの設置など、駅の安全性を向上させる取り組みが全国的に進んだ。助けた二人には後日感謝状が贈られた。 (Wikipedia)


◆コメント:記録としての日記。

 

人間は、相当悲惨な事件事故が世の中で起きても、それが目の前で起こった現実でないと、驚くほどかんたんに忘れる。

目の前で起きていないのに、テレビなどのメディアを通して知った事実を「疑似現実」というのだ、と大学の教養課程「社会学」で教わった。

つまり、この段落の初めのセンテンスを言い換えれば、「疑似現実は、長期記憶として定着しない」ということになろうか。

疑似現実でも覚えておかなければならない大事な出来事が世の中には沢山あって、それを忘れない、あるいはときどき記憶に蘇らせる「リマインダー」として、日記は有効である。

私が、Web日記を書き始めたのは2002年4月なので、新大久保事件よりもずっと後であるが、それよりも前からローカルでは、日記を書いていたので、思い出したのである。


◆線路に転落した人は泥酔していた。

 Wikipediaは中立的に事実を述べてあるだけで、それはそれでよいのだが、忘れていけないのは、



  • 線路に落ちる人がいなければ、韓国人留学生と、日本人カメラマンは死ななくて済んだであろうこと。

  • 多くの目撃証言などによれば、留学生とカメラマンが助けようとした人は、新大久保駅のホームで、既に傍目にも分かるほど、酔っぱらっていたのにも関わらず、さらに駅の売店で日本酒のカップ酒を買ってさらに、酔い、足元がふらついており、これと、線路に転落したこととの因果関係は、ほぼ明らかであること。

である。

多くの日本人は、アルコールを分解するのに必要なアセトアルデヒド脱水酵素の2種類のうち1種類しか有していない人が多く、これが欧米人(彼らは大抵2種類の酵素をもっている)よりも酒に弱い原因であることは、判明している。

したがって、日本ではアルコールを多飲することによる暴力が、事故が起きやすい事は経験則から明らかであり(私は4年ロンドンにいた。その間、数えきれぬほど、英国人とパブに行った。そして、彼らが信じられぬほど大量のビールやワインを飲むのに、日本人ほど酩酊状態に陥ったり、ましてやそれが原因で喧嘩が始まったのを見たことがなかった)、その極端な場合がこの事故だった、といってよい。


◆それでも今でも駅の売店で酒を売っているのは、一体、どういう了見なんだ?

 

過去の教訓が全く生きていないではないか。

 どうして、今でも駅のホームで酒を売ることを許しているのか、理解に苦しむ。

今日の、正にこの瞬間も日本のどこかでは、酔っぱらいが喧嘩をして人を殴って怪我をさせたり、しつこくカラんで、迷惑をかけているのに違いない。

問題は、彼らの多くは、自分が酒を飲むとどういう行動を起こすか、あるいはその可能性が高くなるかということを承知しているのにも関わらず、「酒の席での失敗」を繰り返すことである。

 「まあまあ、酒のときぐらいはめを外そうよ、そう、カリカリしなさんな」という声が聞こえてくるようだが、さほど簡単に済ませる訳にはいかぬ。

 人間の身体に、「ある程度酔えば、自動的に飲酒をしたくなくなるような仕組み」があればよいのだが、残念ながら、人体にそのような機能は、なさそうだ。
 我々の経験はむしろ、その逆の傾向を認めざるを得ない。。普段から酒癖の悪い人間は酔えば酔うほど、自制が効かなくなる。何かのきっかけがあれば、人殺しさえしかねない。 実際に、人類史上それが原因で人生を棒に振った人間が沢山いる。

 酒席での殺人を、「飲んでいたんだから大目に見よう」と主張する人はまさか、いないだろう。

覚醒剤常用者が、薬が切れて禁断症状が現れると自分は暴れる、と知っていながら、薬を使い続けて、挙げ句に刃物を振り回して人を殺した、というケースで「犯行当時、被告人は、心神喪失で責任能力がなかったから、無罪」と言う判決が出たら、誰もが怒るだろう。

 云うまでもなく、覚醒剤を使い始めるときには心神喪失ではなかったから、である。

翻って、「自分は酒を飲んで他人に迷惑をかける傾向がある」と知りながら酒を飲む人間は(アルコールは、たまたま、現在の日本国の法律で合法とされているだけであり、人間の精神に作用を及ぼす薬物である点に置いては、覚醒剤=アンフェタミン、メタンフェタミンと変わるところはない)、覚醒剤常用者と大差ない。

この問題は、第一義的には、薬物乱用者自身の責任だが、その薬物の販売を駅のプラットフォームなどという危険な場所で禁止しない(高速道路のサービスエリアで禁止しているが、そんなことは当然であり、賞賛には全く値しない)、日本国の怠慢でもある。


2004年01月27日(火) 医師・病院たたきは国家的謀略らしい。
2003年01月27日(月) 「科学的事実」の曖昧さ。

2005年01月25日(火) 「ヤフー、ネット銀行業に来年参入へ 顧客拡大目指す」←460万人の顧客情報を盗まれた会社が銀行ですか・・・。

◆記事1:ネット銀行業に来年参入へ ヤフー、顧客拡大目指す

 

 ヤフーは20日、インターネットを使った銀行業務で、あおぞら銀行と提携することで合意した、と発表した。ヤフーはあおぞら銀の完全子会社、あおぞら信託銀行(東京)に120億−130億円を出資し、来年前半に銀行業に参入する。

 ネット上の商取引は年々拡大を続けている。決済業務で利用者の利便性を高めたいヤフーと、若年層を中心に顧客を獲得し、個人取引部門を強化したいあおぞら銀の思惑が一致した。

 新しいあおぞら信託銀行は来年前半から、ネット専業銀行として決済サービスや消費者ローンの取り扱いを始める予定で、社名変更も検討中。

 あおぞら信託は3月末までに、普通株式と普通株に転換できる議決権のない株式を発行。いったんあおぞら銀が引き受けた後、同月中にヤフーへ譲渡する。(共同通信) - 1月20日19時22分更新


◆記事2:ヤフーBB顧客情報流出 恐喝未遂容疑で2人を逮捕 (注:昨年の記事です)

 

 インターネット接続サービス「ヤフーBB」の契約者情報が流出した事件で、警視庁は30日、同サービスを運営するソフトバンクBB(本社・東京都中央区)から金を脅し取ろうとしたとして、無職冨安泰生(24)=東京都新宿区早稲田町=と無職森琢哉(35)=同文京区本駒込3丁目=の両容疑者を恐喝未遂容疑で逮捕した。冨安容疑者が同社のサーバーコンピューターに侵入して入手した顧客情報を使って、右翼団体元幹部らが同社を脅したとされる。

 冨安容疑者は顧客情報を引き出したことは認めたうえで「恐喝に使われるとは思わなかった」と供述、森容疑者は容疑を認めているという。

 捜査1課の調べでは、冨安容疑者は昨年春ごろ、知人でソフトバンクBBの元派遣社員の男性(30)が社員だった時に使用していた接続用IDやパスワードなどを入力して同社の保守管理用のサーバーコンピューターに侵入するのを盗み見て、IDなどを記憶。同コンピューターに侵入して、顧客情報を引き出すなどするようになった。

 このことを聞いた知人の森容疑者が、義父で元右翼団体会長の森洋被告(67)=恐喝未遂罪で公判中=に伝え、洋被告が金を脅し取ろうと計画。洋被告の指示で冨安容疑者は1月上旬、新宿区内のインターネットカフェで同社のコンピューターに入り込み、約460万人分の顧客情報を引き出した。 (朝日新聞 2004年5月30日 (日))


◆コメント:大丈夫かな?

 

 個人情報流出事件というのは、会社であれ、役所であれ、非常に深刻な事態なのですが、人間の慣れは恐ろしいもので、昨年、あまりにも多くの情報流出が起きた所為か、誰も怒らない。不思議です。

ソフトバンクは、昨年(発覚したのがちょうど1年前ですね)何と460万人もの顧客情報を盗み取られて、右翼団体元幹部に恐喝されていた会社です。盗まれた情報が第3者に渡っている可能性も高い。

加えて、12月13日の日記で引用した記事によれば、460万人の情報漏れ以前にも、別の顧客情報漏洩があった模様です。

漏れた情報が一体誰の手に渡ったのか分からない。

 Yahoo!のサイトを見ても、トップページでは、何もそのことに触れず、新規顧客の勧誘をしている。

 世間もこの事件のことを忘れている。それをいいことにうやむやにしています。そして、そのまま、今度は銀行を始めるというのでしょ?

 とんでもないと思うのです。


◆460万人の情報漏れをうやむやにしたまま、銀行をやるの?

どうも、ソフトバンクの会長さんのそういう杜撰な神経が心配なのです。12月13日の日記で私は、IT業界の人たちは、客商売の怖さが分かっていない、と書きましたが、銀行となったら、尚更慎重になって貰わないと、お客が危険なのです。

ネット銀行といえども、銀行なのだから、客のカネを預かるわけでしょう。くどいようだが「銀行」ですからね。情報が漏れたら大変ですよ。

誰がどれぐらい預金を持っているかという情報が悪い奴の手に渡ったら最悪ですね。

ネット銀行の勘定に置いてあるカネだけ盗まれるならまだしも、情報を入手した奴が、全員、コンピューターとかネットワークに詳しくて、ネット銀行の口座に不正にアクセスできるだけの知識を持っているとはかぎらないでしょう?

その場合、どういう事が起こりうるか?

個人の預金残高と、出入金記録を見れば、誰が金持ちか大抵見当がつきます。そして、 個人情報を盗まれるときはほぼ100%、氏名、住所も漏れるわけです。

そうするとですね。世の中には凶悪な人がいますから、誰が金持ちか目星をつけて、住所が分かったら、どうなります?

 下手したら、強盗に入られて、殺されちゃいますよ。

しかし、Yahoo!BBの契約者は増えているようですから、銀行が出来たら、きっと預金する人が沢山いるのでしょうね。

危ないと思うのですがねえ・・・。


◆追加記事:商品未着でヤフーを集団提訴へ…オークション落札者

 

国内最大手のインターネットオークション「ヤフー・オークション」で、落札者が代金を送金したのに商品が届かない被害に遭ったのは、サイトを運営するヤフー(本社・東京都港区)に責任があるとして、全国の被害者約100人が同社を相手取り、3月にも名古屋地裁に損害賠償請求訴訟を起こすことが25日、わかった。

 北海道や東京都、神奈川県、大阪府などの約100人の被害者らで「ヤフオク詐欺被害者原告団」を結成。原告団長の会社役員水野昇さん(52)(愛知県尾張旭市)によると、被害額は1人当たり2万―100万円で、請求総額は1000万円以上に上るとみられる。

 詐欺被害に対し、ヤフーは50万円を限度とする補償制度を設け、ホームページに規定内容を載せているが、水野さんは「補償制度があっても競売の管理はヤフーの責任」と話している。原告団代理人の福島啓氏(ひろし)弁護士は「多くの被害者を出したにもかかわらず、犯罪の温床となるネット競売システムを構築し、問題があるシステムを放置したことは看過できない」としている。

 一方、ヤフー側は「出品希望者の住所確認を行っているが、残念ながら悪質な出品者が入る可能性はゼロではない。トラブルの事例などをホームページで積極的に紹介しており、利用者自身がよく判断してもらいたい」としている。 問い合わせは原告団のホームページ(http://web-sos.info/)へ。(読売新聞) - 1月26日3時10分更新


◆コメント:

やはり、体質的に、管理が杜撰なのですよ。


2004年01月25日(日) 自衛隊を戦地へ送るという「前例を作っ」てしまったことの恐ろしさ。
2003年01月25日(土) うつ病であるかどうかどうやって判断するか。ベックのうつ病調査票

2005年01月24日(月) 自らの政策を誰にでも分かる様に説明するのは、政治家の最も重要な政治行動なのです。

◆記事:首相答弁めぐり民主・社民が一時退席…国会代表質問

 

 国会は24日、衆院本会議で小泉首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が行われ、与野党の論戦がスタートした。

 しかし、民主党の岡田代表の再質問に対する首相の再答弁をめぐって審議が紛糾、民主、社民両党議員が本会議場を一時退席し、両党不在のまま質疑が続行される異例の事態となった。代表質問の最中に野党側が退席したのは現行憲法下では初めて。

 午後1時からの本会議では、最初に質問に立った岡田氏が、首相の答弁を「不十分だ」とし、年金制度改革など9項目にわたって再質問した。

 これに対し、首相は「すでに明確に答弁している」と答えるにとどまり、その後の2度の補足答弁でも「不満があることは理解したが、私は漏れなく答弁したと思う」などと具体的な答弁を避けた。

 このため、民主党は激しく反発。社民党とともに本会議場から退席したが、河野衆院議長は議事を進行させ、自民党の武部幹事長による代表質問が続行された。共産党は出席を続けた。

 与野党はその後の本会議休憩時に打開策を協議。改めて岡田氏が質問し、首相が答弁することで事態を正常化させた。河野衆院議長は審議再開の際、「答弁にあたっては誠意を持ってきちんと対応されるよう望む」とする異例の注意を行った。


◆コメント:問題外。

 

今に始まったことではないが、小泉首相という人は、自分の政策を明瞭に、具体的に、一点の疑問の余地も無く丁寧に説明した試しがない。

 これだけで、本来、首相として、いや、それ以前に政治家として、失格なのです。

昔の総理大臣に田中角栄という人がいた。

立花隆が月刊文藝春秋に書いた「金脈問題」に端を発して、世論からバッシングを受け、さらに、ロッキード事件という戦後最大の疑獄事件で、ついに刑事被告人となった。問題が無かったとは、従って、決して言えない。

しかし、田中角栄の施政者としての実務能力は、いろいろな人が書いたものを読むと、殆ど天才的に優れていたようである。

 なにせ、小学校しか出ていないというのに、猛勉強をし、持ち前の記憶力の良さとすさまじい集中力により、必要な知識は片端から覚えてしまい、しかも忘れない。
役人の中で一番イバっていて、自分たちのことを、日本人の中で一番優秀な集団だと思っている大蔵官僚ですら、田中角栄には舌を巻いた。


◆田中角栄がインタビューを受けたときの逸話は興味深い。

 

田中角栄はとっくの昔に他界したが、その秘書を23年務めた、(個人的な印象でいうといかがわしいオヤジだが)早坂茂三氏も今年、亡くなった。
この早坂氏は、何せ一番近くで毎日朝から晩まで田中角栄のお伴をしていた人だから、彼が書いた「オヤジと私」という本は、面白い。
私は、個人的には、田中角栄や早坂茂三のような、権力欲むき出しの、ギラギラ脂ぎった人間に、好意を持てない。
ただ、この日記で何度も書いたが、「自分のムシが好かない人間は、能力がない」、という論理はおかしい。

 政治家や、政策に対する評価は、そのような情緒的な判断ではいけない。

以上を断った上で、話を進める。

 早坂氏が書いた「オヤジと私」と言う本に、非常に重要なことが書いてある。

そのまま、引用すると長くなるので要約すると、こういうことだ。


田中角栄は、新聞でも雑誌でもテレビでもインタビューを申し込まれて、断ったことがない。そして、インタビューで大体どういう質問を受けるか、早川氏が予め訊いておく。すると、田中氏はもの凄い集中力で勉強した、というのだ。

例えば、角栄が大蔵大臣在任中に、日銀法を発動して、(今は無くなってしまったが)山一証券を救済し、これにより、証券恐慌を未然に防いだという実績がある。その辺を詳しく聞きたいという質問があれば、角栄氏は早坂氏に、

「当時、大蔵省証券局がやった仕事、当時の財政・金融情勢を示す資料、戦後、節目節目の統計資料を全部集めろ。それから、山一騒動当時、関係法令がどうなっていたか全部調べて整理しろ。」と命じるのだそうだ。

今のように数字がデータベース化されて、PCでかんたんに検索できる時代ではない。全て手書きの資料や、活字だ。資料集めを命ぜられた早坂氏もさぞや大変だったと思う。

それはさておき、資料を全部揃えると、膨大な量になる。

 それを田中角栄氏は一点もゆるがせにせず、赤鉛筆で線を引きながら、2時間でも3時間でも一心不乱に、もの凄い集中力で勉強して頭にたたき込んだ、という。

インタビューの相手は「朝日新聞」のときもあれば、「週刊プレイボーイ」のこともある。

 田中角栄は、その時の世の中の情勢と、その媒体(新聞・雑誌など)の読者層を考えて、自分の説明がどのように話せば一番解ってもらえるかを、とことん研究して、インタビューを受けたのである。

何故、そこまでするかと云えば、早坂氏の言葉を借りると、

「オヤジ(田中角栄)は、あらゆる分野のマスメディアに登場する場合、自分が発言し、説明することが、政治家として一番重要な政治行動であることを、正確に理解していたから」です。

小泉さん、この本読んだことありません?


◆議会制民主主義でしたよね?この国は?

日本国の主権者は国民である。

 政治家は、国民に対して、自分が何を考えて、何をしようとしているかを正確に理解して貰うよう努力する義務があるのだ。日本国は議会制民主主義を標榜する国家なのだから、それが、本来の姿である。

小泉純一郎氏は、この一番大事な点を全く理解していない。 それこそが、彼の致命的な欠点なのだ。


2004年01月24日(土) 「医療機関の立ち入り検査へ 名義貸し問題で厚労省 」←問題の根源は厚労省が定める「標準医師数」という官僚的形式主義だ。
2003年01月24日(金) 公徳心と我慢

2005年01月23日(日) 大統領就任演説「<米大統領>演説で「世界で圧政に終止符」と訴える」←じゃ、アメリカに国連査察を入れましょう。

◆ブッシュは、非常に優秀なお笑い芸人の資質を持っている。

 

「ブッシュ妄言録」という本があり、その元になったWEBサイトがある(日本語にも訳されている。そのまま検索すればすぐに見つかる)。

 下手なお笑い番組や、マンガより、100倍笑える。例えば、



「あのね、民主主義的な国家というものは、大量破壊兵器など作らないものなんだ」(あのー・・・・。)

(テレビ討論で)「確固たる信念があれば、どんな質問にも答えられるものなのだ。君の質問には、答えられない」(ということは・・・)

(訪英時、イギリス人の小学生に「ホワイトハウスはどんなところ?」と訊かれて)、"It's white."(「白いよ」)(・.・;)


◆甘く見ていた・・・。

しかし、何といっても彼の最高傑作は、



"I think anybody who doesn't think I'm smart enough to handle the job is underestimating."(私のことを大統領として知能が足りないといっている人達は、その事実をまだまだ甘く見ている)。


はい。甘く見ていました。恐れ入りやして、ごぜえやす。

上の英語で何が問題かというと、「みんな自分(ブッシュ大統領)のことをバカだといっているが、それは誤解だ(misunderstanding)」と言うべきところを"underestimate"(低く見積もる)と云ったのである。

つまり、「私の馬鹿さ加減はまだまだこんなものではないぞ」という意味だ。

これは、ブッシュ大統領の本意ではなかろうが、皮肉にも真理を言い当てている。

たしかに、世界はブッシュのバカさ加減を甘く見ていた。

 いずれにせよ、中学生レベルだ。アメリカの一般市民のみなさん。こういう人を大統領に選んで恥ずかしくないですか。そうですか。


◆真面目に読む気にもなれないブッシュの就任演説だが・・

 

彼の知能の低さを端的に象徴しているのが、表題に掲げた一言だろう。

「世界の圧政に終止符を打つ」のだそうだ

 そうですか。それでは、アメリカに国連から大量破壊兵器の査察チームを入れましょう。

 何しろ、アメリカが保有する大量破壊兵器こそ、種類も量も、世界最大である。

 そして、何と、彼らはそれを平気で使う。アメリカは間違いなく世界で最も危険な国家だ。

国際法の理念上、日本国憲法が「全て国民は法の下に平等である」と規定しているがごとく、国連加盟国の法的地位は経済力の如何に関わらず、平等でなければならない。

アメリカは、結局大嘘だったが、イラク戦争を開始するに当たって、「イラクは大量破壊兵器を保有していて何時攻撃してくるかわからぬ」と主張した。


◆地球上で最も危険な国家、アメリカ合衆国。

繰り返すが、一番危険なのはアメリカ合衆国である。

 イラクは大量破壊兵器を保有していなかったし、国連の査察にも応じた。アメリカを攻撃していなかった。

アメリカは何もしていないイラクを攻撃して10数万人のイラク人を殺した。多くの親が子供を失い。多くの子供が孤児となった。

 アメリカは国際社会の制裁を甘受すべきである。

アメリカがイラクで行ったことは、広島・長崎に原爆を投下したことと同様に、永久に許されない蛮行である。その国の大統領が「圧政に終止符」だってさ。日本語では、こういう状況を「笑止千万」、という。馬鹿馬鹿しくて、これ以上まともに論ずる気になれぬ。


2004年01月23日(金) 「空自本隊、クウェートに到着」←航空自衛隊の任務はどう考えても、人道支援活動ではない。
2003年01月23日(木) 「イラクが生物兵器をつかったら、戦犯として裁く」(ブッシュ大統領)←お前はどうして裁かれないのだ?

2005年01月22日(土) 疲れたときは、「アダージョ」(その2)

◆ご感想をお聞かせ頂き、まことにありがとうございます。

 

 2週間ほど前に、疲れたときは「アダージョ」と題する文章を物したところ、何人かの読者の方が、お薦めしたCDを聴いて下さり、とても良かったと仰るのをうかがった。

 社交辞令ではなく、私にとって、これに勝る喜びは、無い。


◆音楽は、感ずるものであり、「分かる」「分からない」というものではない。

 

 白状してしまうと、私は、Web日記ENPITUの「時事・社会」というジャンルに登録していて、そのことを後悔は決してしていないのだが、書いていて何が「楽しい」かと問われれば、我が国の政治・経済・外交や、社会問題を批判する文章よりも、私がこの世で最も好きな「西洋古典音楽」や「オーケストラ」(これが無くなったら、私は死ぬ)にまつわる話を書いているときの方が何十倍も楽しい。

 と、云っても、蘊蓄をひけらかしたい訳ではない。音楽を聴くのに知識は必要がない。

 音楽という芸術は、それを聴くことにより、楽しかったり、勇気づけられたり、悲しい気持ちが癒される。それで十分である。

 楽譜が読めなければならないとか、作曲家について百科事典で調べたり、ましてや和声学や対位法や楽曲分析を「勉強」する必要は全く無い(プロになろうと言う人は話は別だが)。

 勿論、興味が生じて勉強したくなったらそれも一向に構わないが、音楽はまずは感ずるものであり、「分かる」「分からない」という言い方は正しくない。


 

 私が、ここでしばしば西洋古典音楽に言及するのは、数十年にわたってクラシックを聴き続けた結果、これは、宝の山であり、今まで聴いたことが無い人も必ず、好きになる曲があるはずだ、と考えているからである。

世の中には、いまだにクラシック音楽を、学校時代の音楽の授業の延長上にあるもの、つまり、「お勉強」だと見なして、食わず嫌いでいる人があまりに多く、勿体ないな、と思うからである。

 他人が何を聴こうが、大きなお世話であることは承知しているが、自分が味わった感動を人と分かち合いたいという欲求も、抑えがたいのである。

 音楽を言葉で表現するのは、大変難しい。それだけに、「薦められたCDを聴いたら、とても良かった」と云って頂けたときは、飛び上がるほど、嬉しい。

 感想を、Web上、メールで教えて下さった、aozoraさんipaさん、ありがとうございました。


◆今週はバーバーという作曲家の「弦楽のためのアダージョ」をお薦めします。

 

 これは、色々な、映画やドラマで使われるので、聴いてみれば、ああ、あれか、と思うかもしれない。

 サミュエル・バーバー(1910-1981)はアメリカの作曲家である。カーティス音楽院という学校できちんと勉強した、まともな作曲家だ。交響曲や、バイオリン協奏曲、ピアノソナタも書いているのだが、現在では、この「弦楽のためのアダージョ」だけが、突出して有名で、バーバーと云えば、「弦楽のためのアダージョ」なのである。

 この曲を聴くと、何の信心も無い私ですら、自然に敬虔な気持ちになる。最初は一つの旋律だが、やがて、弦楽5部(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)がそれぞれ、独自の旋律を奏でて、それが互いに絡み合い(対位法といいます)、非常に複雑で、不思議な、しかし、美しい人の心を揺さぶる厚い響きに発展してゆく。

素人にも、完全に完成された、文句のつけようが無い芸術作品であることが、察せられる。

善良なアメリカ人には失礼ながら、この音楽を書いた人と、現在のホワイトハウスの主が、同じ国の人間であるとは、信じがたいほどである。

 ブッシュ大統領の数々の暴挙を見ていると、つい、アメリカ人全体に対する憎悪が沸いて来そうになる。この曲を聴くと、そのような考え方は、誤っていることが、分かる。


◆お薦めCDは。。

 

 この曲を録音したCDは多すぎて困ってしまったが、他にも美しい曲ばかり録れてあるこの一枚をお薦めしたい。

(Amazonは在庫が少なくなっているようですが、楽天市場でも、Yahoo!Shoppingでも、「バーバーのアダージョ〜名演集」で検索したら、売っていました。価格は変わりません。絞り込みたいときは、「アーティスト」に「マリナー」(指揮者です)と入れてみて下さい。)

 3曲目の「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」は、ユニークで、美しい作品だ。

 以前、シチューだったか、カレーだったかのCMで流れていたので、聴けば、ああ、あれか、と思うだろう(因みにあのコマーシャルでリュートを弾いていたのは、つのだたかしと言う人で、ドイツのケルン音楽大学リュート科で勉強したプロのリュート奏者なのだが、弟はジャズ・ドラマーで、かつ、「メリージェーン」を歌っていた、つのだひろ氏だというのだから、面白い兄弟である)。

リュートというのは、中世(バッハなどよりも前)に好んで使われた楽器で、少し乱暴に分類してしまうと、ギターの前身である。

そのリュートの独奏用に書かれた曲をテーマに用いて、レスピーギ(1879〜1936)というイタリアの作曲家が書いた管弦楽曲が「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」である。

変な言い方だが「懐かしさ」を感じる音楽で、うっかり聴くと、子供の頃のことなどを思い出して、つい、ホロリときそうになる、しみじみとした名曲である。


◆リンク:

 

ドイツで、研鑽を積まれた後、ドイツのオーケストラで演奏なさったご経験をお持ちのプロフェッショナルのクラリネット奏者、モモリーネ様が本稿を取り上げ、リンクを貼って下さいました。

過分なお言葉、恐縮の極みですが、同時に、

ご専門の芸術家が駄文をお読みになり、リンクを貼って下さるとは、身に余る光栄であります。

厚く御礼申し上げます。


2004年01月22日(木) 「自衛隊派遣を高く評価 米大統領が一般教書演説」←てめえに「評価」する資格はねえんだよ
2003年01月22日(水) 我慢の大切さと我慢しすぎの怖さ

2005年01月21日(金) 「もはやバブル後ではない 竹中経財相が経済演説」 問題の本質を誤魔化すな。

◆経済政策の誤りをもう一度検証する。

 

 竹中金融相は平成14年11月5日(金融相就任直後)、定例記者会見で次の通り発言した。



◆記事:竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録(平成14年11月5日)

このデフレの要因はたくさんありますけれども、そのうちの1つの重要な要因が、やはり不良債権によって金融仲介機能が低下しているということにあって、まさにデフレと不良債権問題の悪循環が存在しているのではないか、これをいかに絶つかということが大変強い政策上の問題意識として出てきていると、そのように理解していただきたいと思います。



 

解説を加える必要がないほど、はっきりと、竹中氏は不良債権がデフレの原因であると述べているのである。その発言通り、メガバンクを中心に金融庁は特別検査を1年に2度も入るという、異常なペースで行い、銀行はとにかく力ずくで、不良債権を減らした。

不良債権を減らすとは、銀行にとっては、お金を返さない客に、無理にでもカネを返させるか、その債権を諦めて、それによって生じた損失を、自己資本を取り崩して埋めるか、おおざっぱにいえば、そのどちらかをやらなければならない。だから、何十万件もの企業が倒産したのだ。


◆不良債権は、ピーク時の半分になりました。しかし・・・。

不良債権は確かに減った。今日の新聞記事。



◆記事:銀行不良債権23・8兆円…ピーク時より半減

 金融庁は21日、全国127銀行の2004年9月末の不良債権残高(金融再生法ベース)が計23兆7910億円となり、同年3月末に比べて2兆8030億円減少したと発表した。

 各行が不良債権処理を進めたためで、ピークだった2002年3月末の約43兆2070億円からほぼ半減した。

 不良債権処理に伴う損失は、約1兆5000億円と、前年同期より約1兆円減った。3月末に続き、本業のもうけである実質業務純益を下回った。

 不良債権の内訳は、金利を減免したり返済に遅れがある「要管理債権」が6兆9800億円と、3月末比で4兆750億円の大幅減となった。

 一方、破たんの可能性が高い「危険債権」以下は16兆8110億円と、1兆2710億円増えた。(読売新聞) - 1月21日23時24分更新



不良債権は、一番多かったときに比べて、半分になったのである。

竹中氏の主張が正しければ、デフレ不況は回復の兆しを見せているはずだ。しかし、実際には、物価は下がり続けているのである。



◆記事:12月の都区部消費者物価、前年比0.4%下落――11月の全国も0.2%下落

 総務省が12月28日発表した2004年平均の東京都区部の消費者物価指数(2000年=100、速報値)は前年に比べ総合で0.1%、物価の基調を映す生鮮食品を除くベースでは0.2%のそれぞれ低下となった。ともに1999年から6年連続の下落で、緩やかなデフレの傾向が続いた。天候不順でコメや野菜、米国産牛肉の輸入禁止で牛丼が大幅に値上がりしたものの、パソコンをはじめとする耐久消費財や自動車保険などの値下がりが目立った。



◆どうして、こうなって、何がいけないのか?

 なんと、物価は6年連続で下がり続けている。

 どうしてこうなったのかと云えば、不良債権は、資産デフレの結果であるのに、竹中氏は不良債権がデフレの原因だ、と、間違った認識に基づいて、金融・経済政策を実行したからである。

 本来ならば、先にデフレを止め、ややインフレにもっていく、ぐらいが丁度よかったのだ(インフレ・ターゲットとか聞いたことあるでしょう?)。

たしかに、歴史的には、インフレ・ターゲットは、インフレーションの時期にこれを抑制する目標として用いられる概念である。

 デフレから脱却するためにインフレターゲットを設定するとしたら、初めての例となるから、勇気は要る。

だが、デフレが続くということは、モノの価値が下がり続けるということである。

 そこだけ見れば良いように思えるが、モノの価値つまり価格が下がれば、企業の収入が減り、従業員への給料も減る。

 だから、消費者はモノを買い控える。ますます、物価が下がると言う状況になってしまう。

 デフレ・スパイラルである。日本ではそれが、ずっと続いている。

モノの価値が下がるということは、相対的に通貨の価値は上がる。資産だけを持っている人や会社はいいが、借り入れをしている会社にとっては、借金(債務)の実質的な負担がより大きなものになってしまう。その結果、不良債権が増えるのである。

 何年も前から、いろいろな識者が警告を発していたのだが、竹中氏は無視してきた。これは、明らかに政策判断の誤りである。

 担当大臣(と、大臣に全てを丸投げした内閣総理大臣)はそれを認めなければいけない。しかし、この二人は絶対に自説が誤りだったと認めないのである。

 それは、今日、衆議院で竹中氏が行った演説を読めば明らかである。



◆記事:もはやバブル後ではない 竹中経財相が経済演説

 竹中平蔵経財相は21日、衆院本会議で経済演説を行い、不良債権処理など構造改革の進展で、民間需要中心の景気回復やデフレ克服の動きが進んでいると強調。「『もはやバブル後ではない』と明確に申し上げたい」と述べ、負の遺産を清算する「守りの改革」から、新たな成長のための「攻めの改革」に取り組む考えを表明した。

 経済活性化のため「民間でできることは民間で」と指摘。その象徴として郵政民営化を挙げ、通常国会での確実な成立を目指すと訴えた。公共サービスの受注を官民が競う市場化テストの導入やアジアとの経済連携、国・地方財政の三位一体改革の推進などにも全力を挙げる姿勢を示した。 (共同通信) - 1月21日15時47分更新




◆さんざん、民間に介入しておいて、余計にデフレを長引かせているというのに、今更・・・

 竹中氏率いる金融庁は銀行という民間企業に特別検査にはいり、その銀行の債権(貸出)をみて、あれも不良債権、これも不良債権だ、早く片づけろ。と、思い切り民間に介入しておいて、不況を長引かせているというのに、責任を取ろうとしないで論点をボカしている。

「民間需要中心の景気回復」がすすんでいるのだそうだ。

一体、どの統計を見たら、そんな結論が出てくるのか?誤魔化すな。


◆これほど、見事に舵取りを間違えている政府の責任をマスコミは何故指摘しないのか

 

 以上、私が書いたことは、私の意見というよりも客観的な事実である。

 全く、この失政のおかげで銀行や銀行から貸付を受けている企業がどれほど迷惑したか分かったものではないのだ。

 本来、このようなことは、 新聞やテレビの経済部が国民に分かりやすく説明して、政府を問いつめるべきなのだが、そういう動きを見たことがない。

 これでは、マスコミも怠慢のそしりを免れない。


2004年01月21日(水) 「自衛隊の活動は憲法に違反するとは思っていない」(小泉首相)←首相、「考える」という習慣を身につけて下さい。
2003年01月21日(火) 聖域無き構造改革なら、国会議員年金を減らしたら?最低でも年間412万円

2005年01月20日(木) 「偽造カード被害(スキミング)防止、金融庁と警察庁が初協議へ。 現時点におけるスキミング対策について。

◆記事1:偽造カード被害防止、金融庁と警察庁が初協議へ

 

 金融庁と警察庁は19日、偽造された銀行のキャッシュカードを使って、現金自動預け払い機(ATM)から現金が引き出される犯罪が急増しているため、被害の拡大防止策を検討する方針を明らかにした。

 21日に実務者レベルで初協議を行い、事件の手口や被害の実態、金融機関側の取り組みなどについて意見交換する。金融庁は2月に、捜査当局の意向を踏まえ、銀行が被害額の一部を負担する自主ルール作りや捜査協力を要請する考えだ。

 金融庁はさらに、銀行にビデオの保存期間の延長を求めるほか、偽造しにくいIC(集積回路)カードの導入や、カードでの引き出し限度額の引き下げなどを要請する方針だ。 偽造カードは、キャッシュカードの磁気テープに入力されている個人情報だけ読み取り、預金者の手元にカードが残るため、預金者が被害に気づくのに時間がかかることが多い。銀行の防犯ビデオの保存期間が1か月程度と短いため、被害が発覚した時点で消去されているケースも多いという。(読売新聞) - 1月20日3時7分更新


◆記事2:大規模カード偽造団摘発へ 被害、全国で10数億円

 

 ゴルフ場の暗証番号付き貴重品ロッカーから銀行のキャッシュカードを盗み、スキミングの手口で偽造カードを作り口座から預金を盗み出す事件が首都圏で相次ぎ、警視庁など捜査当局は、中国人と日本人の大掛かりな偽造グループに対し、19日にも一斉に強制捜査に乗り出す方針を固めた。

 スキミングでの銀行カード偽造をめぐる摘発は全国で初めて。被害は確認されただけで3億円、最終的には10億円以上になるとみられ、犯罪組織がカード社会の弱点を巧妙に突いている実態があらためて明らかとなった。

 強制捜査を受けるのは北関東の名門ゴルフ場など。このゴルフ場では関係者がグループの手引き役として関与した疑いがあり、詳しく事情を聴く。(共同通信) - 1月19日2時15分更新


◆コメント:云うまでもないが、人のカネを盗む奴が一番悪いのである。

 

 振り込め詐欺のニュースが少し影を潜めたと思ったら、今度はスキミングですか。

昨日捕まったのは、中国人だが、日本人にもやっている奴はいるのであろう。

こういう事をする連中というのは、自分で働かないで、人のカネを盗むことに関して、大して罪悪感が無いのであろう。記事2の手口を読むと、あたかも一種の「ゲーム」を楽しんでいるかのように思われる。彼らから見れば、きっと、ロッカーなんかにキャッシュカードを入れておく奴がバカだということになるのだろう。

性犯罪者の性癖は治らないから、住所氏名を公表しようか、という議論が進んでいるが、プロの窃盗犯も何度刑務所に入ろうが、全然懲りないらしいから、性犯罪者の扱いに関する論理を適用して、氏名、顔写真、住所(どこかに定住しているかどうかわからないが)全員公表するべきではなかろうか。


◆誰に責任があるのか。

 

 結論から云えば、窃盗事件なのだから、人の所有する金銭を不法に取得した奴が一番悪いに決まっている。

 ところが、ネット掲示板を読むと、予想したとおり、「簡単にスキミングできるカードを作り、何ら対処せず、しかも、クレジット会社のように損失補償をしない銀行がけしから」ん、という意見が多かった。

確かに銀行は、預金を集まるときだけ、ペコペコするくせに、客が暗証番号を抜かれて、被害にあっても、「損害賠償する法的根拠がない」と木で鼻をくくったようなことを云うのだとすれば、それは怠慢だ。

客から預かった金を守ろうという気持ちがもっと強くなければ困る。銀行という仕事は信用だけで成り立っているからだ。

しかし、銀行だけが悪いと断定するのは、一面的なものの見方だ。

キャッシュカード詐欺、スキミングにもいろいろな手口があるだろうが、こういう手口は、変な言い方をすれば「日進月歩」だろうから、その全てに対抗できるような防衛策を考えろといっても、技術の開発には時間がかかるだろう、と容易に推察できる。

また、防衛策、たとえば、何らかのソフトウェアを考案したとしても、大手銀行は全国に何万台にも及ぶATMを設置(銀行だけでなくコンビニの中にもありますね)しているのだから、その全てにソフトをインストールするにはどうしても物理的な時間がかかる。

新しい手口が発見された瞬間に万全の態勢を取る、ということは、従って、不可能であることが分かる。


◆預金者もカードをロッカーなどに入れてはいけない。

 

 今まで日本ではこういう悪質な犯罪は無かったのだから、初めて被害に遭った人が、無防備であったことを責めるのは酷である。

しかし、「振り込め詐欺(おれおれ詐欺)」と同じように、今や、世間でこれだけ騒がれているのだから、これからは、ゴルフ場でもどこでもロッカーに貴重品を放置しておいて、スキミングに遭ったら、被害者にも油断が遭ったとの責めを免れないだろう。

私は、このたぐいの犯罪など無かった頃から、今に至るまで、外出する際には、財布、カードなどは常に身につけている。ロッカーの鍵などその気になれば簡単に開いてしまう。

 それでも、もっと巧妙な方法で、カードを読み取られているかも知れないから、口座の残高は、頻繁にチェックするべきだ。自分の財産なのだから、それぐらいの気構えで守らなければいけないのではないだろうか?それこそ、「自己責任」である。


◆さしあたって、引き出し限度額指定が可能な銀行を使えば良いのではないか。

 

 先刻、調べたら、メガバンクの中で三井住友銀行は、1日の引き出し限度額が、デフォルト(口座開設時の設定)では300万円だが、今では、0〜300万円の範囲内で、1万円単位で設定できる。ここに詳しい説明が書いてある。

現時点では、これが、一番現実的な対処であると思われる。

 他のメガバンクも可及的速やかに同様の設定を可能ならしめるべきだ。


◆繰り返すが、人の財産権を侵害する奴が、一番悪いに決まっている。

コンピューターウィルスのニュースを読んだ時に、いつも私は感じるのであるが、本当に一番悪い奴は、ウィルスを作ったばらまいて、人が困るのを見て喜ぶ、陰険な野郎なのだ。しかし、世間は、あたかもコンピューターウィルスを自然界のウィルスと混同しているかのようだ。

 とりあえず、感染しないように、とか、感染した場合の対処ばかりを論じ、肝心の犯人を捕まえようとする気持ちが弱すぎる。

スキミングは、要するに泥棒なのだ。

 人が汗水流して働いて稼いだカネを盗み、自分は働かずに遊んで暮らそうという根性の持ち主が一番悪いのであり、彼らを捕まえて、厳罰に処することが一番、重要な課題である。

そこのところを抜かして、いきなり、カネを預かっている銀行の責任に言及するのは、思考の飛躍である。


2004年01月20日(火) 「首相は辞任すべきだ」 先遣隊派遣で民主・菅氏  ←同意する。
2003年01月20日(月) 小泉政権は全部中途半端ですな。

2005年01月19日(水) 総合学習を見直しへ ゆとり教育の柱、文科省が検討←週6日に戻さないと、取り返しがつかないと思います。

◆記事:総合学習を見直しへ ゆとり教育の柱、文科省が検討

 

 文部科学省は18日、ゆとり教育を掲げる新学習指導要領の目玉である「総合的な学習の時間」(総合学習)の在り方を見直す検討を始めた。中山成彬文科相は同日、子どもの学力低下に関連し、総合学習より国語や算数(数学)などの基礎的教科を重視すべきだとの考えを示した。

ただ総合学習の見直しには、教育現場から「生きる力を身に付けるための処方せんだったはず」との声も上がっており、小、中学校への導入からわずか3年での見直し論議には反発も予想される。(共同通信) - 1月18日21時56分更新


◆コメント:総合学習と称する「自習時間」が週に4時間もあるのですよ。

以前にも取り上げたことがあるけれども、私の知る限り、少なくとも東京都の公立小学校・中学校では、「ゆとり教育」を導入する前から、これが教育か、というほど、学校・教師・授業のレベルが低下していた。

 その上に「ゆとり教育」を始め、土曜日を休みにしてしまい、さらに、国語・算数・理科・社会の時間をそれぞれ減らして、「総合学習」という「授業」が週に3時間も4時間も加えられた。

総合学習という曖昧な表現は、いかにも役人が責任逃れに考えつきそうな名称であり、実際に、総合学習の時間に何を行うかは、現場で勝手に決めろというのが文部科学省の指示であった。

 さすがは、国家公務員試験で一番成績が悪い奴が配属される役所と揶揄されるだけのことはある。驚異的な無責任さ、である。

現場の教師も給料が低くて、有能な人材がいないから、急に「総合学習」で「子供の個性を伸ばせ」などと、抽象的なことを云われても、何をしたらよいか分からない。

 近所に住んでいる、外国人を呼んできて、バナナを使った変なおやつを食って「国際感覚を養っ」たことにしてしまう、という、殆ど喜劇としか形容しがたい状況となった。

子供の学力の無さは、我々の小学生の頃と比較すると唖然とするほどであり、中学生が九九を覚えていない、ローマ字は全然分からない、などということが、普通になってしまったのだ。

私は、これは、国民を暗愚にして、統治しやすくするための、超長期的国家的陰謀なのではないか、その背景にはアメリカがいるのではないか、などとスパイ小説のようなことまで本気で考えた。

陰謀はともかく、せめて自分の子供は救わなければと思い、私立に入れた。どんなに程度の低い私立でも、公立よりはマシ、と本気で言われているのである。

教育と教養とは同一ではないが、教育がなければ、教養の素地が出来ぬ。

今日、日本で犯罪や不祥事が増えているのは(外国人による犯罪は別として)、教養の無い人間が増えて、そういう人間に限って子供が出来、教養がない人間の「拡大再生産」が行われている、という皮肉な現実が一因になっている、と、私は考えている。

以前、故・ライシャワーハーバード大学教授が「日本人の教育に賭ける情熱」を高く評価していたことを書いた。早く、その情熱を取り戻さなければならぬ。土曜日に休んでいる場合ではないぞ。


2004年01月19日(月) 「陸自先遣隊、イラク入りへ=クウェート出発、オランダ軍先導」 小泉は平然としている。腹が立つ。
2003年01月19日(日) 周囲の人がうつ病になったら。

2005年01月18日(火) NHK番組改変問題で「徹底究明求める声明」 民放労連 ← 妥当です。

◆記事1:NHK番組改変問題で「徹底究明求める声明」 民放労連

 

 NHK特集番組の改変をめぐり、チーフ・プロデューサーが内部告発した問題で、日本民間放送労働組合連合会(碓氷和哉委員長)は18日、「事件の徹底究明を求める声明」を発表した。

 声明は「制作者の良心をまっとうしようとしたプロデューサーを守り抜くことを表明しているNHKの労組を強く支持する」などと労組同士の連帯を表明。中川昭一、安倍晋三両衆院議員に「国民が納得のいく説明」を求めている。 (01/18 21:14)


◆コメント:問題の本質は何か。

 

 1月13日の日記で、NHK以外のマスコミ各社は、国家権力の前にひれ伏すつもりか、と書いた。


今の腐った世の中では、マスコミ各社、特に民放の報道の連中は、臭い物に蓋をする、を通り越して、NHKに全て押しつけて終わりになる可能性が高い、と期待していなかった。 その意味では、今日の民放労連のコメントは、私にとっては嬉しい誤算である。


◆NHKの番組内容と、検閲して良いかどうかは別の話である。

 

 何通か、反論メールを貰ったが、その中で明らかに勘違いしているものがあった。

NHKが放送しようとしていた「従軍慰安婦」に関する番組内容が誤っていたから、放送法3条の2に照らし、内容を修正されても仕方がない、という意見である。



 【法律の構成に関する基礎知識】

まず、分かっていない人がいるが、放送法3条と3条の2は別の条文である。

放送法に限った話ではない。どの法律でも、3条と4条の間に新たな条文を加える必要が生じた場合、新しい条文を4条にしてしまうと、以後、全部繰り下がり、他の法規でその法に触れているものは全て、書き直さなければならず、膨大な作業と整合性を確認する精査が必要になる。

こうならないために、3条と4条の間に追加したのが、3条の2、さらに追加したければ、3条の3、となる。3条の2は「さんじょうのに」であり、第3条第2項とは全く違う。




 さて、放送法第3条は次の通り。


第三条  放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

 これは、云うまでもなく、日本国憲法第21条から派生した規定である。



 日本国憲法 第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。



 そして、放送法第3条の2は次の通り、



第三条の二  放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

一  公安及び善良な風俗を害しないこと。

二  政治的に公平であること。

三  報道は事実をまげないですること。

四  
  1. 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

  2. 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては、特別な事業計画によるものを除くほか、教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない。

  3. 放送事業者は、国内放送の教育番組の編集及び放送に当たつては、その放送の対象とする者が明確で、内容がその者に有益適切であり、組織的かつ継続的であるようにするとともに、その放送の計画及び内容をあらかじめ公衆が知ることができるようにしなければならない。この場合において、当該番組が学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。

  4. 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。




◆放送法3条の2は検閲を認めているわけではない。

 

 放送法3条の2は、放送局が番組を制作する上での、簡単に言えば常識、モラルについて言及している。

勘違いして貰っては困るが、私の通常スタンスとしては、我が国のマスコミに対して極めて批判的である。

報ずるべき事を報じない。視聴率を取るためには、ヤラセでも何でもやる。

TBSは人殺しの片棒を担いでおきながら、よくもいけしゃあしゃあと、存続しているものだ。等々、相当過激なことを書いている。

ご覧になりたい方は目次のページの検索欄に「マスコミ」と打ち込んでみて下さい。

しかし、だからといって、法律を曲げて解釈してはならぬ。法律はあくまでも客観的に正しく理解されなければならない。

 大事なことは、放送法3条の2は、「マスコミの心得」を明文化した規定であるが、国家が放送内容に関して、放送前に介入してよいとは、一言も書いていない、ということだ。


◆憲法21条第2項には但書(ただしがき)がない。

 

 但書とは、法律の条文中、例外を定める文言(もんごん)である。

もう一度、21条2項を引用する。



2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

 これだけである。

 場合によっては、国家権力による介入を許す、という趣旨ならば、この後に、「但し、法律で別途規定する場合は、この限りではない」という但書が付け加えられるはずなのだ。それが、書かれていない。


つまり、日本国憲法は「如何なる場合も検閲をしてはいけない」と、定めていることを意味している。


◆番組内容が偏向しているかどうかは、国民の評価に委ねられるべきである。

 

 番組の内容が中立であるとは、どのような状態なのか、定かではない。

 多分、人によって「中立」の位置は異なるだろう。

 人間の心理として、自分の知識、思想に合致するか、近い内容であれば、自分が中立かどうかは検証しようとしないで、「この番組は中立だ」と評価するのであろう。

つまり、「番組内容の中立性の判断」は実際は極めて主観的な評価にならざるを得ないが、その評価は、主権者である国民に委ねられるべきであり、政治権力が行使されるべきではない。


◆安倍晋三氏が介入した、と断じる根拠も、していないと断じる証拠も、現在、存在しない。

 

だから、私は、NHKと安倍晋三氏のどちらが真実を語っているかは、断定しない(先日書いたとおり、想像はしているけどね。

NHKのプロデューサーは、政治家に何か云われたというのであれば、何故、放送局の人間ともあろう者が、録音しておかなかったのか、不思議である(尤も、早いうちに提示すると、没収される恐れがあるので、まだ公表しないだけかも知れない。無論、これは、一つの想像に過ぎない)。


◆結論:検閲は許されていない

私の本稿における結論は、NHKの番組内容がどのようなものだったか、と言う問題と、政治家、乃至日本国が、放送内容を検閲してよいか否か、と言う問題は、関係がなく、そして、検閲は、してはならない、ということに尽きる。

繰り返すが、検閲は、憲法によって、例外なく禁止されている、ということは、認識されるべきである(但し、これも繰り返しになるが、だからといって、現在の日本のマスコミが行っている報道の内容・姿勢が正しい、と、私が考えているわけではない)。

本稿は、そのことを、放送法と憲法を見比べて説明したのである。 是非、全体を読んで頂きたい。

最近、一部だけを読んで「反論」めいたメールを送ってくる人がいるが、文章は、全体を読んで頂きたいものだ。


2004年01月18日(日) 「集団的自衛権行使へ解釈変更を=安倍自民幹事長」←図に乗るんじゃねえぞ、この野郎
2003年01月18日(土) 麻酔医に感謝。

2005年01月17日(月) 「デフレ続いている。日銀は一層の努力を」(竹中平蔵氏)←竹中さん、「デフレの元凶も不良債権」といっていたじゃないですか。

記事1:消費者心理21カ月ぶり悪化 12月、判断を下方修正

 

内閣府が17日発表した昨年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す消費者態度指数(一般世帯、季節調整値)は昨年9月から0・2ポイント低下の45・6となり、7・四半期(21カ月)ぶりに悪化した。内閣府は、基調判断を「ほぼ横ばい」へと下方修正した。下方修正は2003年3月以来。

 季節調整前の原数値は、昨年11月比4・0ポイント低下の44・0と、3カ月ぶりに悪化した。

 指数は「今後半年間の暮らし向き」など4つの指標で構成。うち「暮らし向き」と「耐久消費財の買い時判断」の2つが昨年9月から低下した。昨年半ばからの景気減速を反映した形で、内閣府は「消費者マインドも楽観的と言えない」と分析している。(共同通信) - 1月17日16時56分更新


◆記事2:デフレ解消に向け、政府・日銀は引き続き努力が必要=竹中担当相

 

[東京 17日 ロイター] 竹中経済財政・郵政民営化担当相は、閣議後の記者会見で、デフレは続いているとし、「デフレ解消に向け、政府・日銀は引き続き努力をしていかなければならない」と述べた。

日銀は、昨年1月20日に当座預金残高目標を30―35兆円に引き上げて以降、1年間、金融政策を据え置いている。この点について、竹中担当相は、「日銀が独立して決めることであり、中身について私から申し上げることはない」とした。

 19日には、郵政民営化に関する政府・与党協議会が予定されており、政府と与党の協議が本格化する。同担当相は、「19日になるかどうか分からないが、自民党の申し入れと我々の基本方針の考え方について、私達なりに整理をして示す」と述べた。(ロイター) - 1月17日11時10分更新


◆記事3:金融庁ホームページ :竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録(平成14年11月5日(火) 9:10〜9:20  於)院内)より、抜粋。

問)(記者) 白書についてなのですけれども、デフレについて実体経済の重しとなっているという部分について重点的に分析されていますが、現在のデフレの状況はやはり深刻なのかということについてのご見解と、あと不良債権処理についても、今年、特に白書で強調されていると思いますけれども、その点についてコメントをいただけますでしょうか。

答) (竹中)今のデフレ、不良債権の問題は、昨年の「経済財政白書」から一貫して問題意識として掲げて、かなりしっかりとした分析をしてきているつもりであります。

デフレについては、特に実体経済ですね。実質成長率で見ると、決してその「改革と展望」の想定を下回っているわけではないと認識されるんですが、名目値についてはそれより少し厳しくなっている。その意味で、このデフレ対応については、より重要な位置づけがやはり与えられなければいけないという認識のもとで多面的な分析をしたつもりです。

 このデフレの要因はたくさんありますけれども、そのうちの1つの重要な要因が、やはり不良債権によって金融仲介機能が低下しているということにあって、まさにデフレと不良債権問題の悪循環が存在しているのではないか、これをいかに絶つかということが大変強い政策上の問題意識として出てきていると、そのように理解していただきたいと思います。


◆コメント:竹中大臣は、不良債権が減れば、デフレからも脱却出来ると考えていた。

 

竹中大臣が、採用した金融再生プログラムに関しては、1月12日に触れたばかりだ。要するに、不良債権が無くなれば、デフレが解消して、景気は改善するというのが、「竹中理論」だったはずである。

現実には、大手都銀は、その不良債権比率を、予定よりも半年早く、目標のレベルまで減らすことに成功した。しかし、銀行貸出は少しも増えず、デフレは止まらない。

今日もまた、物価指数ではないが、消費者態度指数という統計が発表され、消費者が積極的におカネを使おうという気持ちになっていないことが、明らかとなった。消費が増えなければ、物の値段は上がらない。(記事1)

竹中大臣もいまだにデフレが続いていることは、記事2で明らかなとおり、認めているのであるが、いつの間にか、責任を日銀に押しつけている。今や自分は金融相ではない。竹中氏は郵政民営化担当大臣である。

あれほど、「不良債権を減らせ」の一点張りだった、小泉・竹中ペアは不良債権の「ふ」の字もいわなくなってしまった。

21日から通常国会が召集される。小泉首相は多分、「不良債権を減らす、という公約は守った」と得意げに云うだろう。しかし、景気を改善させる、という究極の目的が実現されていないのでは、何の意味もないことは、いうまでもない。


2004年01月17日(土) 「サダムが権力を失ったことで、世界はより平和になった。」(ジョージ・ブッシュ)←お前の所為で、より危険になったんだよ、バカ。
2003年01月17日(金) 英語を聞き流すだけで話せるようになるわけが無い。

2005年01月16日(日) 「陸自先発隊が最大被災地バンダアチェ入り」 アチェ州の被害が特にひどい理由。




◆記事1:陸自先発隊が最大被災地バンダアチェ入り

 

【バンダアチェ(インドネシア最西部)=川辺徹】インドネシア・スマトラ島沖地震・津波の救援・復興支援のために派遣された陸上自衛隊の医療・航空援助隊先発隊(20人)が16日、最大の被災地となった同島ナングロアチェ・ダルサラム州の州都バンダアチェに到着した。

陸上自衛隊が今回津波の被災地で支援活動を行うのは初めて。

先発隊は、医官、看護官などからなり、早ければ17日にも活動を開始、医療支援のほか、本隊の受け入れ準備などにあたる。

 本隊の約200人は今月末、輸送艦「くにさき」で到着する予定で、同艦に搭載しているヘリコプター5機を使い、支援が遅れている地方への物資輸送など航空面での支援も行う。

アチェでは各国軍もすでに活動を始めている。インドネシア国軍によると、米、豪、シンガポール軍など10か国の約3100人が物資輸送や医療分野での活動に携わっている。 (読売新聞) - 1月16日22時8分更新


◆記事2:地震と津波のトラウマ深刻=再出発できず復興に影響も−インドネシア・アチェ

【バンダアチェ(インドネシア)16日時事】スマトラ島沖地震と津波の発生から16日で3週間。壊滅的な打撃を受けたインドネシア・ナングロアチェ州では、国際社会による救援・復興作業が展開されているが、被災者の多くが震災のトラウマに悩まされ、生活の立て直しや仕事に取り掛かれないでいる。10万人以上の犠牲者の多くが身元も確認されないまま葬られる中、遺族は「避難所で生存しているのでは」と、容易に現実を受け入れられない。(時事通信) - 1月16日15時0分更新


◆コメント:アチェ州は独立運動が激しかったのだ。

 

今回の津波による被災地の仲で、引用した記事にもあるとおり、最大(最悪というべきだろうね)の被災地は細長いスマトラ島の北端の一帯、アチェ特別州である。

津波そのものの破壊力とそれがもたらした、住民への精神的打撃(記事2)が甚だ激しい。

ただし、純粋に津波の物理的な破壊力がこの地帯でもっとも強かったのかどうかは分からない。
と、いうのは、実は、インドネシアは地図を見ると分かるが、随分と広範に広がっていて、各地域での独立運動が絶えないのだ。

 東ティモールという地名を記憶している人は多いだろうが、あれもインドネシアである。但し、あそこは、すでに独立を果たした。

アチェ州にも、インドネシアからの独立を目指すイスラム系武装組織、「自由アチェ運動」(GAM)が、存在していて、このグループが1976年に「独立宣言」を行い、それ以来、独立を阻止しようとするインドネシア国軍との戦闘で、住民も巻き込まれて1万人以上が死亡している。

また、アチェ州からは天然ガスが採掘されるのだが、それをジャワが全部持って行って、収益を横取りしてしまうので、経済的な面からも、積年の恨みがあるのだ。


◆2003年にはアチェ州全域に戒厳令が発令された

 

メガワティ大統領は03年5月、アチェ州全域に戒厳令を発令し、GAMの掃討作戦を開始したほどなのである。

したがって、今回津波の被害が、アチェ州で最もひどい、という状態は、政治的な原因を考慮する必要がある。

 非常に残酷な話だが、インドネシア中央政府の立場からは、アチェ州は「厄介者」のGAMの巣窟であるから、意識的に救助、支援を手薄にしている可能性が、十分にある。

しかし、どこの民族紛争でも同じ事であるが、実際に武器を手にとって中央に楯突いている人間は一部で、大多数の一般市民は平和に暮らしたいと願っていたはずである。

今回の津波の被災者の多くは、そのような「普通の人々」である。

1週間ほど前にも書いたが、津波による死者の遺体の状態はひどい物で、それから更に時間が経っているのだから、耐え難いほどの腐敗臭が、現地に充満しているはずであり、作業をする自衛官は全くご苦労様なのである。


◆アチェ中は破傷風感染者が出たそうだ。内閣は自衛官の健康に最大限の配慮を。


「国境なき医師団」は15日、スマトラ島沖地震とインド洋大津波で大きな被害を受けたインドネシア・ナングロアチェ州で、67人が破傷風と診断されたことを明らかにした。」(時事通信) - 1月16日11時0分更新



 

破傷風というのは、破傷風菌によってもたらされる恐ろしい病気で、私が子供の頃は、まだ学校で予防接種があったのを覚えている。

 発症すると、歯を食いしばり、全身を弓なりに痙攣させて、そのあまりにも苦しそうな様子は、大抵のことには驚かないはずの医療従事者ですら、目を背けたくなるほどだという。

被災者を助けるのは崇高な任務だが、自衛官の健康が損なわれて良いわけがなく、綿密な予防措置が取られていることを望む。


2004年01月16日(金) 「陸自先遣隊、成田空港を出発」 Sein(=be)とSollen(ought to)
2003年01月16日(木) 天皇陛下は落ち着いていて、立派だと思った。私だったら、きっと、取り乱すだろうな。

2005年01月15日(土) 「本田美奈子さんが緊急入院 急性骨髄性白血病」 先日彼女のCDについて書いたばかりだ。

◆記事:本田美奈子さんが緊急入院 急性骨髄性白血病

 

歌手の本田美奈子(本名工藤美奈子)さん(37)が急性骨髄性白血病のため東京都内の病院に緊急入院したことが13日、明らかになった。
 所属事務所によると、昨年末から風邪のような症状が続き、数日前、受診したところ、12日になって病気が判明、そのまま入院した。約6カ月間の入院治療が必要という。

 本田さんはことし、デビュー20周年。コンサートツアーのほか、3月から東京・帝国劇場で始まるミュージカル「レ・ミゼラブル」の出演などを予定していた。

 本田さんは「1日も早く復帰できるよう頑張りたい」と話しているという。 (共同通信) - 1月13日18時13分更新


◆コメント:急性骨髄性白血病というと・・・。

 

本田美奈子さんが、ソプラノ歌手になって、見事な演奏をしていることは、丁度一ヶ月前、12月14日に書いたばかりなので大変驚いた。

 Yahoo!の検索キーワードランキングを見ると、「本田美奈子」「急性骨髄性白血病」という言葉が、上位に挙がっていた。

しかし、素人で、急性骨髄性白血病を検索して、その解説を読み切った人は殆どいないだろう。

たとえ、全部を読んだとしても、これは、非常に専門的な内容で、理解出来ないはずだ。

 なるほど、医者になるってのは、大変だ。こんなややこしい話を理解して、記憶するだけでも大変だが、それは、血液の専門家になるための最低条件、出発点ということでしょう。 私など、白血病の種類を覚えるだけでも一苦労である。

私の年代の人間は「急性骨髄性白血病」というと、夏目雅子を思い出す。あの頃は、白血病は「不治の病」という印象が強く、あまりにショッキングなので、さすがに芸能記者も書くのがためらわれた様子だった。


◆「今では、8割以上が治癒する」、という記述を信じよう。

 

ネットで、この病気を検索すると、わかりやすい白血病の話が上位に出てくるので、読んだ人もいるだろう。

途中の理論的なところは難しいので、分からないが、とりあえず、「経過と予後」という項を見て少し安心した。



無治療のまま経過をみますと急性白血病患者さんは2-3ヵ月で死亡します。現時点の最良の化学療法を行った時、小児急性リンパ性白血病では、95% 以上が完全寛解となり、標準リスク群の80%、高リスク群 (年齢10歳以上、初診時白血球数30,000/μL 以上、B細胞性白血病、Ph陽性白血病など)の60%以上が治癒するものと期待されています。成人急性リンパ性白血病では、約80%が完全寛解となりますが、寛解例の30%以下にしか治癒は期待できません。

急性前骨髄球性白血病では、レチノイン酸と化学療法により、今や約95%が完全寛解になり8割以上が治癒するものと期待されています。




そういえば、同じ芸能人でも、夏目雅子よりもずっと後、渡辺謙がこの病気に罹ったが、治ったし、アイドルの吉井怜も同じ病気になったが、見事に復活した。医学の進歩は素晴らしい。急性骨髄性白血病は化学療法が治療の中心となるようだが、若い人の方が強い薬に耐えられるので、治癒率が高いそうだ(因みに私は、白血病は「寛解」=「治癒」だと思っていたが、そうではないのだね。詳しくはわかりやすい白血病の話をご参照。)

そうはいっても、病名を告げられたときの気持ちは患者でなければ分かるまい。自分が死ぬかも知れないと思ったときの本田美奈子さんの恐怖と・絶望・不安は察するに余りある。

本田美奈子さんが「私は負けない」と健気にコメントを出した。是非治って欲しい。


◆人間、なかなか死なないものだ。

人間なかなか死なないものだよ(そうとばかりは言えない、などと野暮なことは云わないでね?)。

私の身内は7年前、乳癌で、かなりヤバいところまで進行していた。

全摘したが、リンパ節に転移していた。主治医に5年生存率40%と云われた時は、自分のことではないのに、目の前が真っ暗になった。

しかし、化学療法(薬です)が予想外に奏功して、7年経ったいまでは、完治して、働いている。

他の人が同様の経過をたどるとは限らないことは、いくら素人の私といえども、承知している。ただし、そういうこともある、という話。諦めないことだ。


2004年01月15日(木) <通常国会>政府、冒頭でイラク派遣一括承認へ ←暴走する政府
2003年01月15日(水) 車掌が寝坊で遅刻、7本に影響 JR山陽線姫路駅←こんなの、ロンドンでは日常茶飯事。

2005年01月13日(木) NHKだけの問題ではない。他のテレビ局、新聞社も国家権力の介入を受けてるはずだ。

◆記事1:「政治介入で番組内容変更」NHKプロデューサー会見

 

 NHK番組制作局の長井暁チーフ・プロデューサー(42)が13日、東京都内で会見し、昨年末にNHKの内部告発窓口「コンプライアンス(法令順守)推進委員会」に、2001年1月に放送した番組で「政治介入を許した」として、調査を求めたことを明らかにした。

 この番組は「戦争をどう裁くか」。民間団体「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(バウネット)が開催した「女性国際戦犯法廷」を取材したが、同法廷が昭和天皇と日本国家の責任を認める判決を出した点などに触れなかった。

 バウネット側は同年7月に「事前説明と異なる内容に変更された」として東京地裁に提訴。昨年3月、制作会社に「事前説明通りの番組になるとの期待を抱かせた過失がある」と賠償命令を下す判決が出ている。

 番組を手掛けた長井プロデューサーによると、中川昭一衆院議員、安倍晋三官房副長官(当時)らが、放送直前に同局の国会対策担当だった総合企画室の野島直樹担当局長(現・理事)らを呼び出し、番組の放送中止を要請。NHKでは、当時の松尾武放送総局長の指示で一部をカットし、通常44分の番組を40分に短縮して放送した。

 長井プロデューサーは「不利益を被るかもしれないと、この4年間悩んできた」とした上で、「NHKは独自の判断で編集したと説明しているが、現場の声を無視し、政治的圧力を背景に番組を変更した。幹部の責任は重大」と語った。


◆記事2:事実と全く違う NHK問題で安倍氏反論

 

 自民党の安倍晋三幹事長代理は13日午後、従軍慰安婦をめぐる番組をNHKが安倍氏らの指摘を受け内容変更して放映したとされる問題で「(番組担当の)プロデューサーは事実と全く違うことを述べている」と反論した。党本部で記者団の質問に答えた。

 安倍氏は、放送直前の2001年1月29日にNHK幹部と会ったことについて「NHK側が『予算の説明をしたい』ということで時間を割いた。その中で先方から党で話題になっていた番組の説明もあり、私が『公平公正な報道をしてもらいたい』と述べたのが真実」と説明した。(共同通信) - 1月13日19時3分更新


◆コメント:どちらかがウソをついていることだけは、明らかだ。

 我々は真実を知らない。状況から推測するしかない。

 NHKの長井プロデューサーの証言と、安倍晋三氏の発言では、内容が正反対である。従って、どちらかが嘘をついている、と考えるのが普通である。

結論から言うと、国家権力が圧力をかけたと考えた、と考える方が自然である。

長井プロデューサーはサラリーマンである。

 マスコミの人間ではなくても、サラリーマンならば、今日の長井氏のような大胆な行動を取ったら、組織の中でどういう目に遭うか、容易に想像できる。

下手をしたら、路頭に迷う。

 それでもなお、NHKという会社と、さらには日本国という国家を敵に回す行動を取るからには、余程切迫した感情とそれをもたらした歴史的事実があったと考えるのが自然である。

 また、12月17日の日記で書いたが、河野太郎衆議院議員が、自分のメルマガの中で、「テレ朝が核燃料リサイクルの問題を放送したら、スポンサーから猛烈な圧力がかかり、それ以上の放送が出来なくなった」という事実を暴露している。

 スポンサーは民放の収入源であり、国家とは違うと言うかも知れない。確かに違う。どう違うかといえば、国家権力の介入の方が強烈だということだ。

何故か。

 放送局を開設するためには、国(総務省)の免許を必要とするからである。これは電波法で規定されている。

 つまり、国が悪意を持てば、放送局の免許を取り消して、テレビ局を潰すことが可能なのである。国会議員、それも政権政党の議員がこの伝家の宝刀を振りかざせば、全ての放送局は服従せざるを得ない。つまり、「報道の自由」という「清く正しい」概念は、実体的には無きに等しい。


◆国家権力が報道機関の報道内容に介入していることは容易に想像できる。

 具体的にいつ、誰が、どの番組の放送を中止させたかなどと言うことは、私も知らない(というか、書けない)が、歴史を振り返ると不思議なことがいくつもある。

戦後最大の疑獄事件といわれた田中角栄のロッキード事件や、1985年の日航123便墜落事故、エイズ薬害事件などは、特に民放の普通の感覚でいえば、非常に「美味しいネタ」である。ところが民放もNHKも一切、この事件、事故をドラマにしたことがない。

これが、犯罪だと、ドラマや映画になっている。三億円事件も、大久保清も、通り魔の川俣軍司も、三菱銀行梅田支店立てこもり事件も、浅間山荘事件も、ドラマや映画になっている。 ところが、ロッキードや123便はドラマにも映画にもならない。変だと思いませんか?

ロッキードはドラマにしたら、自民党支持率低下は間違いがない。

123便は、一応最終報告書が出ているけれども、いまだにネットでは、様々な説がささやかれている。これは、真実かどうか分からないけれども、ある学生は、この事件を詳しく調べようとしたら、大学の担当教授から、この件に首を突っ込むと命が危ないから止めろと云われた、という。

そういう、何か非常に怪しげな問題、国民が、「これこそ真実を知りたい」という事件・事故は、取り上げられない。ここに「きな臭さ」を感じなければ、だめだ。

つまり、強大な権力を持った何者かが圧力をかけているのであろう、と推測するのが自然である。

民放というのは、視聴率を取るためなら、ヤラセだってやるのですよ。もう、それは、手段を問わないですよ。

 その連中が、こんな大事件をドラマやドキュメンタリーにしない。不自然だ。

 百歩譲って、123便をドラマにするのは、遺族の気持ちを考慮して控えている、ということは有り得る。

しかし、田中角栄がドラマ、ドキュメンタリーにならないのは絶対におかしい。スポンサーは関係無いだろう。ごく普通に考えて、時の政権が圧力をかけ続けているのだろう。

もちろん、これは、完全に状況証拠というか、想像の域を出ない。しかし、河野太郎議員の暴露などを考慮すると、「妄想」とは言えない。民放は、たかが民間企業の圧力にも屈するのである。ましてや、国家権力が相手となったら、何をかいわんや、である。


◆これは、マスコミ各社のジャーナリズムとしての正念場だ。

 

 私の想像が正しければ、殆ど全ての新聞社や、テレビ局は、本来、国民に伝えなければならない重大なニュースに関して、国家権力によって、報道内容を制限されたり、禁じられた経験があるはずだ。

今回、民放局のなかには、NHKの長井プロデューサーが発言した内容を「NHKの会長が国家権力に屈した」として、NHKの体質の問題として報じている局もあるが、それは、問題のすり替えだ。それでもジャーナリストか、といいたい。卑怯だ。

まずは、内閣官房副長官の立場にあった安倍晋三が報道の内容に介入しようとしたのかどうか出来る限り調査・取材すること。その結果したことが明らかになったならば、まず、圧力を加える国家が悪い。国家は、基本的に表現の自由を制限してはいけない。

憲法第21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 」

NHKは、従軍慰安婦の問題について取り上げたというが、とにかく国民が番組を見てみなければ、判断を下しようがないではないか。

 それを、放送前に、内容を変更せよ、と指示したのであれば、なにか放送されてヤバい事実があるからだろう、と勘ぐられても仕方がない。


 民放各局及び、新聞社はこれをNHKをスケープゴートにして、闇に葬り去るべきではない。

 全ての局、新聞社は、「実は、うちも、こういうことを言われたことがある」と暴露すればよいのだ。このクーデターを起こせるか、国家権力に屈するか。

ジャーナリストとして腹をくくることが出来るかどうか、が試されている。


2004年01月13日(火) "Sense of proportion"(平衡感覚)ということ。
2003年01月13日(月) ディズニーランドで成人式ってのはギャグですなあ。

2005年01月12日(水) 「金融再生プログラム」は失敗ではないかとおもうが、記者会見で誰も追求しない。

◆記事1:大手銀 三井住友・みずほ、不良債権比率を半減 半年前倒し達成−−9月中間決算

 大手銀行のトップを切って、みずほフィナンシャルグループ(FG)と三井住友FGが22日、04年9月中間決算を発表した。

連結最終利益はみずほが前年同期比8・4%減の2339億円、三井住友が同62・8%減の533億円。

東京都による外形標準課税の返還があり、利益がかさ上げされた前年同期の反動で、減益となったが、不良債権処理がヤマを越え黒字は確保した。

9月末時点の不良債権比率(貸出金に占める不良債権残高の割合)は、みずほが3・1%、三井住友が4・4%となり、両グループとも、3年間で同比率を半減させる政府の金融再生プログラムを半年前倒しで達成した。

両グループともに07年3月末までに剰余金を積み上げて返済原資を確保する方針を表明、早期の公的資金完済に意欲を示した。毎日新聞 2004年11月23日


◆記事2:2004年の銀行貸出残高、4.0%減・8年連続マイナス

 

日銀が12日発表した貸出・資金吸収動向によると、都市銀行や地方銀行など民間銀行の貸出残高は2004年平均で389兆331億円となり、03年比4.0%減だった。

8年連続のマイナスとなったが、03年の減少率に比べ0.9ポイント縮小した。

日銀では、「企業の有利子負債圧縮の動きが続いてはいるものの、銀行の住宅ローン強化などが奏功してきている」(考査局)という。

 民間銀行のうち、都市銀行などの貸出残高は6.4%減と減少率は1.3ポイント縮小。第二地方銀行も2.2%減となり、1.9ポイント縮小した。一方、地方銀行は03年は0.4%伸びたものの、04年は0.3%減だった。(Nikkei Net)


◆記事3:12月の都区部消費者物価、前年比0.4%下落――11月の全国も0.2%下落

 

総務省が28日発表した2004年平均の東京都区部の消費者物価指数(2000年=100、速報値)は前年に比べ総合で0.1%、物価の基調を映す生鮮食品を除くベースでは0.2%のそれぞれ低下となった。

ともに1999年から6年連続の下落で、緩やかなデフレの傾向が続いた。

天候不順でコメや野菜、米国産牛肉の輸入禁止で牛丼が大幅に値上がりしたものの、パソコンをはじめとする耐久消費財や自動車保険などの値下がりが目立った。


◆コメント:銀行の不良債権さえ減らせば、景気は回復すると首相、金融相は云っていた。

 

金融再生プログラムは2002年に竹中金融相のタスクフォース(木村剛などから成る特別チーム)が策定した政策である。

 要するに、「不況が続いている原因は、銀行が多額の不良債権を抱えているためだ。」という考え方である。

不良債権が足かせとなって、銀行は新規の貸出が出来ず、企業が必要とする資金を借りることができない。それが、経済活動が拡大せず、デフレが止まらない原因なのだ、というのが、小泉・竹中の経済政策の大前提であった。

 そして、銀行の不良債権を減らすために、金融庁は、1年に何度も4大メガバンクに検査に入り、不良債権と見られるものは早く処分することを強制した。

 おかげで、頑張ってコストを切りつめて、立ち直りかけていた何千という企業が潰された。


◆不良債権は減ったが貸出は減り続けている。

さて、記事1にあるとおり、平成16年度の中間決算で、主要行は竹中金融相の要求を実現した。

 貸出金全体に占める不良債権の割合、つまり不良債権比率は、平成14年度3月期には8%以上だったのが、今では、4%である。

  竹中理論によれば、銀行の貸し出しが増えて、デフレは止まらなくてはおかしいのである。ところが現実はどうか?

記事2にはっきり書かれているとおり、今もなお、銀行の貸出残高は減少し続けている。

 そして、記事3を読むと、物価が下落し続ける現象、つまりデフレーションは依然続いていることが明らかである。


◆どうしてこのようなことになったか。

 

詳しくは、昨年、8月24日8月29日に書いたので、ご参照頂けると有難いのだが、一言でいえば、銀行の不良債権は、不況の原因ではなくて、結果であるのに、これを取り違えたことが、致命的な判断ミスだったのである。


◆経済政策の失敗の責任をマスコミは何故問わないのか?

 毎週、火曜日と金曜日には閣議(内閣、大臣たちの会議)が首相官邸で開かれる。その後、各大臣は、定例の記者会見を開く。

 その質疑応答は各省庁のホームページに掲載される。

 金融庁であれば、記者会見概要へ行けばインデックスがあるから、マスコミと大臣の質疑応答を全て読むことができる。 私は仕事上、金融相、金融庁長官、日銀総裁会見などは全部読むので、分かるのだが、この「金融再生プログラム」の明らかな失敗を、記者会見の席上で問い質す記者がいない。

新聞報道に関しては、全てに目を通している暇はないが、今はネットで全国紙のみならず、地方紙の記事・社説を読むことができるので、なるべくチェックしているのだが、やはり、経済政策に対する追求が全くと云ってよいほど、見られない。

昨日も書いたように、人間は直ぐ忘れる。しかし、マスコミは商売なのだから、忘れたり、忘れたふりをしてはいけないのである。どうしてこれほど遠慮するのか。政府に睨まれるのが怖いのならば、ジャーナリストなんか辞めた方がよい。

兎に角、私は、竹中前金融相と小泉純一郎内閣総理大臣の説明(弁明)を聞きたい。明らかな失敗をしたら、認めなければいけない。

直ぐに何でも忘れて、なんとなく「まあ、もう、いいじゃないか」で済ませるのが日本人の悪癖である。


2004年01月12日(月) 大量破壊兵器は無かった。何故、米国はフセインを拘束できるのか?何故、小泉首相は米国を支持し続けることができるのか?
2003年01月12日(日) ウィーンフィルのホルンとリヒテルのピアノ どちらも、日本製です。

2005年01月11日(火) スマトラ島津波の被害 米国の津波警報センターは、津波の危険を伝えていなかった。




◆記事1:<インド洋津波>65分後に津波情報 米の警報センター  毎日新聞ニュース速報(2005年1月1日 (土))

 

 【ワシントン和田浩明】26日のスマトラ沖大地震の発生から約1時間5分後に、米海洋大気局の太平洋津波警報センター(ハワイ)が、「震源付近で津波の可能性がある」との情報を電子メールやファクスなどで関係各国に発信していたことが分かった。大気局の当局者によると、この情報の発信先には、太平洋津波警報組織国際調整グループ(26カ国・地域)の加盟国でもあるインドネシアとタイ政府も含まれていた。

 被害の大きかったタイのプーケットでは津波の到達が約2時間後だった。このため両政府がこの情報を避難勧告などの形で適切に活用していれば被害の軽減につながった可能性がある。


◆コメント:日本の新聞、情報の原文を確認しなければだめだよ。

 

 この記事を読むと、米国の太平洋津波警報センターは、12月26日の地震発生直後に津波の警報がある、と警告していたにもかかわらず、インドネシアやタイ政府が、情報を無視、又は、軽視したがために、大惨事となった、という印象になる。

しかし、太平洋津波警報センターが地震直後に発した情報を読むと、驚くべき事がわかる。


◆記事2:米国海洋大気庁(NOAA)の太平洋津波警報センターが地震直後に出した情報(原文)

TSUNAMI BULLETIN NUMBER 002

PACIFIC TSUNAMI WARNING CENTER/NOAA/NWS

ISSUED AT 0204Z 26 DEC 2004



THIS BULLETIN IS FOR ALL AREAS OF THE PACIFIC BASIN EXCEPT

ALASKA - BRITISH COLUMBIA - WASHINGTON - OREGON - CALIFORNIA.



.................. TSUNAMI INFORMATION BULLETIN ..................

ATTENTION: NOTE REVISED MAGNITUDE.

THIS MESSAGE IS FOR INFORMATION ONLY. THERE IS NO TSUNAMI WARNING

OR WATCH IN EFFECT.



AN EARTHQUAKE HAS OCCURRED WITH THESE PRELIMINARY PARAMETERS

ORIGIN TIME - 0059Z 26 DEC 2004

COORDINATES - 3.4 NORTH 95.7 EAST

LOCATION - OFF W COAST OF NORTHERN SUMATERA

MAGNITUDE - 8.5



EVALUATION

REVISED MAGNITUDE BASED ON ANALYSIS OF MANTLE WAVES.

THIS EARTHQUAKE IS LOCATED OUTSIDE THE PACIFIC. NO DESTRUCTIVE

TSUNAMI THREAT EXISTS FOR THE PACIFIC BASIN BASED ON HISTORICAL

EARTHQUAKE AND TSUNAMI DATA.



THERE IS THE POSSIBILITY OF A TSUNAMI NEAR THE EPICENTER.

THIS WILL BE THE ONLY BULLETIN ISSUED FOR THIS EVENT UNLESS

ADDITIONAL INFORMATION BECOMES AVAILABLE.

THE WEST COAST/ALASKA TSUNAMI WARNING CENTER WILL ISSUE BULLETINS

FOR ALASKA - BRITISH COLUMBIA - WASHINGTON - OREGON - CALIFORNIA.


(訳)

津波情報短信

このメッセージは参考の為のものであり、津波警報ではない。

(中略)

評価:マントル波の分析により、マグニチュードを(8.0から8.5に)修正した。

この地震は太平洋エリアの外で発生した。歴史的な地震及び津波のデータに鑑み、この地震による、破壊的な津波の脅威は環太平洋地域には、存在しない。

震央付近でのみ、津波が生じる可能性がある。

(訳注:震央と震源は違う。震源は地下の地震の発生点そのもの。震央とはそれを地球の表面に投影した場所をいう。)

追加的な情報がなければ、本情報が、この地震に関する唯一の告示になるだろう。


◆コメント2:津波の警報なんか全然だしていないじゃないか。

 

 この原文を読んだときには我が目を疑ったが、正真正銘、原文そのままなのだ。

震央付近といったって、それがどの辺りなのか全く書いていない。

そしてなによりも悲劇的なのは、インド洋諸国は、過去1000年もの間、津波の経験が無かったそうだ。

だから、津波が押し寄せてきているのに、呑気に見ていて、飲み込まれた住民が沢山いる、上の写真を見よ。

普通、ここまで、待っていないで逃げるだろう。日本人なら。知らなかったのだ。


◆津波警戒システムというのはさほど複雑、高価なものではない。

 津波を予知するためには「ツナミーター」というセンサーを搭載したブイが必要だが、ツナミーター1基の費用はわずか25万ドルである。

 シアトルの太平洋海洋環境研究所長のエディー・バーナード氏は、たった数個のブイがあれば間に合ったはずだと言う。

研究者たちは、インドネシア近海を含めインド洋に、もう2基の津波測定器を置くことを要望したが、その計画には資金が出なかったと、バーナードは語る。

ひどい話である。


2004年01月11日(日) 「非戦闘地域」という概念は一体、どこへ行ってしまったのか。
2003年01月11日(土) 腹にくる風邪が流行っているそうだ。おかしいと思ったら、早めに診てもらいましょう。

2005年01月10日(月) 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」 世の中の、事件、問題、争点を忘れないようにさせるのがマスコミの重要な仕事のひとつだ。

◆余りにも次々と、色々な事が起きるので、直前の問題すら忘れてしまう。

 

 インドネシア・スマトラ島沖地震の被害があまりに甚大であり、多くの人命が失われ、さらには、まだ、連絡が取れない日本人もいるので、マスコミ各社の報道はどうしても、これに偏る。


◆北朝鮮への経済制裁はどうなったのか。

 我々の記憶は実に頼りない。

わずか一ヶ月前、12月10日には、北朝鮮が実務者協議の際に日本に提示した横田めぐみさんの遺骨は本人のものではなかったことがDNA鑑定で明らかになり、日本中が激怒し、北朝鮮に経済制裁を加えるべきだ、という世論が盛り上がっていたのに、その関心はどこかへ飛んでしまった。

今は、どういう話になっているのか。


◆郵政事業民営化は可能なのか。

 年が明けてから、小泉首相は、今年こそ郵政民営化の年だといきり立っていたけれども、その前に、他国に拉致された日本国民を救出することの方が大切ではないだろうか。

そもそも、郵政3事業の民営化がいかに、無理というか、滑稽な話であるかについては、以前書いたのでご覧頂きたい(りそなは自己資本比率が4%に満たないので、一昨年、国有化された。郵貯・簡保の自己資本比率は0.3%。どうして民営化出来るのか?)。


◆自衛隊のイラク派遣期間延長が何となく決められてしまったが、これでいいのか。

 そして、同じ頃、小泉首相はイラクへの自衛隊派遣を1年延長することを決定し、これに対しては、複数の世論調査では国民の過半数が反対の意思表示をしていた。

 本来ならば、もっと小泉首相に納得の行く説明を求めなければならないのに、マスコミはなんとなく、うやむやにしてしまった。

イラク復興支援特別措置法では、自衛隊が活動するのは、活動する期間を通じて戦闘行為が行われないと認められる地域(=非戦闘地域)と規定されているのに、小泉首相は、民主党の岡田代表に党首討論で、「この先1年間サマワが非戦闘地域であると判断する根拠を示せといわれて、「未来の事など分かるわけがない」と、自ら作った法律が意味をなさないことを認めたのである。

 その問題が解決する前に、何となく自衛隊の派遣期間延長がなし崩し的に決まってしまった。

 とんでもない話なのだが、どういうわけか、マスコミ各社は、この問題を問題にしようとしなかった。

 そもそも、これは、憲法の遵守にも関わる問題なのだから、十分に国会で討論されるべきだったのに、54日間の会期中、真剣な議論が見られなかった。この点を批判する新聞がなかった(社説で一回書いたぐらいではだめだ)のは情けない。


◆新潟中越地震の被災者はどうしているのか。

 

 10月23日に地震が発生してから、今日で79日が経過した。

地震発生直後は、小泉首相や何人かの閣僚、野党議員も含む国会議員が「現地視察」に行っていたが、その後「視察の結果をふまえて」被災地の復興に関して方策を考えて、法案を提出する準備は出来ているのだろうか。

山古志村は、日本有数の豪雪地帯。現地の人は何とか、家を潰さないように、有志が交替で、雪下ろしをしているという話を、12月25日に書いた

 村民だけでは、間に合わないので自衛隊の出動を要請するかも知れない、とのことだったが、現状はどうなっているのか。

義捐金はかなり集まった様子だったが、本当に足りているのか。今はもう、援助を必要としないのか。必要なのであれば、それは何か。


◆マスコミはリマインダーとなれ。

 

 人それぞれ、仕事やら学業で忙しい。

 これらのニュースをずっと意識し続けているわけにはいかない。しかし、忘れて良い問題は、一つもない。

私は、時事問題の日記を書いているから、目次を眺めれば直ぐに思い出すが、こういう事をしている人間は、例外的だ。

マスコミは、現在最も注目するべきニュースを伝えるだけではなくて、過去の事件を記録し、読者に思い出させる任務をも負っていることを、自覚して頂きたい。



◆リンク

 昨日の日記にリンクして頂きました。

ちりんのblog

弐式沿岸警備日誌改

ある医学生の言いたい放題

皆さん医学を専攻なさる方々でいらっしゃいます。


2004年01月10日(土) 「報道自粛要請に反論 当然の責務と朝日、毎日」 2社しか抗議しないのか。

2005年01月09日(日) <大相撲>升席にも灰皿なく 館内全面禁煙 嫌煙者の硬直的思考(追加分を含む)。

◆記事:<大相撲>升席にも灰皿なく 館内全面禁煙

 

 今年から6場所すべてで館内全面禁煙を打ち出した大相撲。初場所の幕が開いた両国国技館でも、升席に置かれていた茶屋名入りの陶器の灰皿が姿を消し、喫煙派は取組の合間に、館外に設けられた喫煙場で、寒さに身をすくめながら、たばこをふかした。

 1日に2箱の喫煙をするという千葉県船橋市の男性会社員(40)は「席では吸えない方がいい。国技ですから。中入後は相撲を見たいからたばこを我慢します」と熱心に観戦していた。(毎日新聞) - 1月9日20時56分更新


◆コメント:タバコの害を強調するなら、酒の害については何故言及しないのか。

 

 相撲はどうでも良い。

 所謂嫌煙運動とか、タバコ嫌いの人の主張を読んだり聴いたりしていつも気になるのは、「自分は絶対に正しい。タバコを吸う奴はバカだ。」という独断的な論調である。

タバコを公共の場で吸うのが何故いけないかというと、副流煙や、喫煙者が吐き出したタバコの煙を吸うことによって、非喫煙者の健康を害する可能性がある、ということだろう。要するに、喫煙者が肺ガンになるのは勝手だが、他人を巻き込むことは許されない、といいたいのであろう。

 タバコと対にして語られる嗜好品は、云うまでもなく、酒=アルコールである。

 嫌煙者には、酒、ないし、酒飲みの行為には寛容だが、喫煙者に対しては異常なほど厳しいことをいう人が、多いというのが私の経験から受ける印象である。

 ところで、酒飲みは他人に害を及ぼしていないとでも思っているのか?(念のため書き添えるが、「全ての飲酒者が他人に対して害を加えている」、と主張するつもりはない。但し、「無視できないほど高い割合で、『はた迷惑な酒飲み』が存在する」というのが、私の認識である。)


◆アルコールは向精神薬である。

 

 タバコの人体に及ぼす悪影響については、あれほど喧伝されているのに対して、同じ嗜好品であり、しかも人間の身体と精神に影響を及ぼすアルコールについては、何故啓蒙活動がなされないのか不思議だ(要するに、タバコは嫌いだが、酒は好きだという人が多いだけのことだろう)。

昔から「酒で身を滅ぼす」という慣用句はあるが、「タバコで身を滅ぼす」という言葉はない。アルコールは人一人の人生を棒に振るほど、強い向精神薬である。

普段おとなしい人が、酒席で人格が変わったかのようになるのを見たことがないひとはいないだろう。一方、タバコをすって、急に人にカラむ人がいるだろうか?

 臓器に与える害は、いうまでもなかろう。飲み過ぎれば肝臓を痛める。そのまま行けば肝硬変になる。肝硬変になると血液の流れが悪くなり、バイパスとして食道内部を走っている動脈の血流が増えて、盛り上がってくる。盛り上がってコブになることがある。これを食道動脈瘤という。

 何かの拍子にこの食道動脈瘤が破裂すると、患者は、病室の天井まで届くほど、猛烈な勢いで、噴水のように血を吹き上げて、こときれる。

 殆どオカルト映画である。大袈裟ではない。常識だ。


◆私が酒飲みから受けたトラウマ

 

 私の死んだ父親は銀行の支店長で、1月2日が誕生日だった。毎年、正月2日は、部下を呼んで(呼ばれた方も迷惑だったろう)、酒宴をひらく。母親は前日遅くまで、翌日、酒飲みたちに出す料理の準備で大わらわであった。

当日、何十人という銀行員が私の実家の座敷に入れ替わり立ち替わりやってくる。

私は、母を手伝い、料理の皿や、ビールや、お銚子を座敷に運び、まめまめしく働いた(無論、無報酬である。上司の子供にお年玉を与えるのは失礼に当たるのだ)。

さて、来客たちは、最初こそおとなしいが、酒が回り始めると、世間の例に漏れず、酒癖の悪い奴が大声を出し始めたり、後輩にねちねちと小言を言ったりし始める。

その頃から私は、大の男の酔態を見るのが大嫌いになった。

 宴の始まる前は、彼らは「支店長のお坊ちゃま」である私に対しても、礼儀正しくしているが、アルコールでタガが外れると、その醜いこと・・・。

 中には私に酒臭い息を吹きかけて、10歳にもならない私に抱きついてくる奴もいた。そのときの、ぞっとするほどの嫌悪感は、今でも忘れることができぬ。

 フラッシュバックが起きるのである。こうなると、一種のPTSDである。酔っぱらいは、このようにして人を傷つけているのだ。


◆タバコを吸いながら歩いている人を見ると殴りたくなる、と書いていた医学生がいた
  

本当に、嫌煙の話になると、普段は、冷静で論理的な文章を書いている医学生すら、驚くほど、情緒的な表現が目立つようになる。

「タバコを吸いながら歩いている奴を見ると殴りたくなる」とまで書いた医学生の日記をちら、と読んだことがある。

それなら云わせて貰う。

酔っぱらいが大嫌いな人間は、あのみっともない「酔態」を見るたびに、同じような感情を抱いているのだ。

 私など、「殴りたい」どころではない。殆ど、「殺意」を覚える。

ただ、仕方がないので、必死に我慢しているのである。酒の席での振る舞いに関しては寛容であれ、という、日本社会の慣習(悪習だ)による無言の圧力がそうさせるのだ。


◆物理的な害のみならず、精神的な害もかんがえろ。

 

タバコの煙が非喫煙者の肉体的健康に害を及ぼすのは、認められないのであれば、酒飲みが、酒嫌い、酔っぱらい嫌いの人間に対して、酒席の度に与えている精神的な害についても議論されるべきだ。

女性など、酒の席だから、大目に見ろといい、酒臭いオヤジにセクシュアル・ハラスメントを受けて、相当に嫌な思いをしているはずだ。

イジメと同じで、こういうことは、行為者は大したことをしていないと思っているだろうが、被害者は、想像以上に精神的なダメージを受けているのだ。

 私は、これは、精神的傷害罪とでも云うべきものだと考えている。


◆飛躍した議論はよせ。

 

嫌煙者は、「タバコを吸うような奴は、駄目な奴なんだ」などと極端なことを云う。

タバコとて、嗜好品の一種である。それを好んだことにより、全人格を否定するのは明らかに乱暴で、飛躍した議論である。要するに「言い過ぎ」だ。

かつて、日本で最初に生体肝移植を行った、島根医大の話を書いたことがある。

 執刀医の永末助教授(当時)は、第二外科の全医局員とナースを集め、「我々は肝移植を標榜している。赤ん坊は死にかけている。家族は結果は問わないから移植手術をしてくれといっている。これで、この手術を引き受けないなら、明日から肝移植の研究など止めよう」とまで云った。

手術に失敗すれば、大学を追われる、ことによっては、医師を辞めなければならないかも知れない、と覚悟していた。

 NHKのインタビューに答え、永末先生は、「医者を辞めても、私は英語が得意なので、英語塾をやれば、生活できるだろうと思いました」と答えた。

 これほど、立派な先生を、私は他に知らない。私の身内が、この生体肝移植チームにいたので、知っているのだが、永末先生は、ヘビースモーカーである。

これでも、タバコを吸う奴は駄目な奴だ、と嫌煙家は主張するのだろうか?


◆追加

 

 上の記述に対する反論として、「タバコの煙(副流煙)は周囲の全ての人体に影響するが、飲酒者は酒癖の悪い人間ばかりではない」、という意見があった。

 では、タバコの煙は主流煙にせよ、副流煙にせよ、周囲の人に対して、100%の確率で生理的悪影響を与えることは証明されているのであろうか?

 少なくとも主流煙、つまり能動的喫煙については、これが、癌を誘発するなどの危険因子として作用する人と、しない人がいる事は経験則から明らかである。

 例えば、映画監督の市川昆氏は、テレビなどで見たことがある人もいるだろうが、ほぼ、1日中タバコを吸っている(全てを肺まで吸い込んでいるとは限らないが、それでも、舌ガンの誘発要因になるはずである)。本人が1日100本吸っているというぐらいだから、間違いなかろう。

 市川監督は1915(大正4)年生まれだから、今年で90歳になる。長寿である。このような人は、市井の一般人にも大勢、いる。

 このタイプの人の身体は、タバコの煙が含む、様々な有害物質に対して、何らかの生体的反応は起こしているのであろうが、疾病を誘発し、死を招く要因としてまでは、作用していないと考えられる。

 副流煙に関しても同様の傾向があるのではないかという、推論が可能ではないか。それとも、別の根拠があるのだろうか?何故、害が出る人と出ない人がいるかといえば、素人考えながら、何らかの遺伝子が関係している、と想像される。が、それは専門家の研究を待つしかない。


2004年01月09日(金) 「防衛庁が取材自粛を要請 自衛隊イラク派遣の報道で」 言論統制、大本営発表となりつつある。大変な事になった。
2003年01月09日(木) アメリカを査察する計画。その後どんどん署名は増えているが、日本人が殆どいないのです。

2005年01月08日(土) 「想像を超える」…町村外相、タイの津波被災地を視察 自衛官の心身の状態に注意せよ。

◆記事:「想像を超える」…町村外相、タイの津波被災地を視察

 

 【プーケット=川上修】町村外相は8日午後(日本時間同)、インドネシア・スマトラ島沖地震と津波で大きな被害を受けたタイ南部のプーケット周辺を視察した。

 被災状況を把握し、今後の支援に反映させるためで、外相は津波で全壊したホテルなどを見て回った後、記者団に「想像を超える激しさ、すごさ、悲惨さを感じた」と感想を語った。

 日本政府の支援や対応については、「無償資金5億ドルは、今月20日ごろまでに国際機関や各国政府に振り込む。単なる約束ではなく、すぐ実行に移す」と述べ、無償資金を早期に支援に使うべきだとの考えを強調した。

 また、外相は現地で被災者の治療に当たっている日本の緊急援助隊医療チームを激励した。(読売新聞) - 1月8日21時15分更新


◆コメント:各国政府は、救援活動に当たる人々の心身の健康に留意せよ。

 

 あの、鈍そうな町村外相ですら、顔色が変わっている。

 一つには、先日も書いたが、どこの被災地も、何百体、何千体という遺体が発する腐敗臭がもの凄いからであろう。

軍人で、少々のことには驚かない筈だし、既に政界から身を引くことを決めている、アメリカのパウエル国務長官、国連のアナン事務総長が現地を視察している様子をBBCやCNNで見ることが出来るが、その表情を見ると、改めて「ただごとでない」ことがはっきりとわかる。

視察するだけの人はいいが、ものすごい悪臭の中で、遺体をある程度修復し、防腐剤を注入し、搬送する作業を繰り返している自衛隊や各国の軍隊、ボランティアなどには、つくづく頭が下がる。

私など、週刊文春の写真を見ただけで、本当に気分が悪くなってしまったのである。

 現場の苦労は察するに余りある。

 今回のような大災害でなくても、交通事故や、火災などの悲惨な光景を目にして、PTSDを発症する、警察官、救急隊員、消防隊員、自衛官は多い、と精神科医が述べている。

現在、現地で働いている自衛官その他支援活動に当たる人々は、早めに交替するようにローテーションを組むべきだ。

悪臭の中で作業をすると言うことは、多量の細菌を吸い込んでいるわけであり、身体によいわけがないし、精神状態が不安定になるのは、むしろ正常な反応だろう。

自衛官が、心身に異常を来さないように気を配るのは、管理職、即ち、防衛庁長官だが、内閣は連帯して責任を負うのであるから、各閣僚は事態を注視せねばならない。


 何故、このような、当たり前のことをくどくどと書くかというと、理由がある。

 昨年5月だったか、6月だったか、サマワの自衛隊宿営地で集団食中毒があり、何十人もの隊員が高熱を発し、下痢と嘔吐で脱水症状を起こしたことがある。

 酷暑の地での脱水症状は、生命に関わる。しかし、その時には、内閣からだれも様子を見に行かなかったのである。

私は、くどいようだが、イラクへの自衛隊派遣には反対である。しかし、自衛官が実際に厳しい環境で体調を崩して苦しんでいるときに、知らん顔をしている内閣というのは、ひどいと思った。

まして、今回は、自衛官は人助けに尽力しているのである。困った人々を助けようと懸命に働く同胞を十分にケア出来ないような内閣は、無能だ。これは、日本政府に限った話ではない。


2004年01月08日(木) 陸自先遣隊の派遣了承=今夜、政府に伝達−公明  日本を破滅に導く人々
2003年01月08日(水) 女性が男性よりもおしゃべりなのは、脳の構造の違いによるもの。しかし、病院の待合室では静かにしていただきたい。

2005年01月07日(金) 疲れたときは「アダージョ」。お薦めがあります。

◆好きな曲を聴くのが一番よい・・・。が、たまには。

 

 本でも、音楽でも何を読むべきか、何を聴くべきか、という「議論」は意味がない。

人それぞれ、生まれも、育った環境も、性格も、現在おかれている環境も、心の状態も、感受性も違うからである。

だから、ここで紹介するCDを「聴くべきだ」とは全く思わないけれども、あまりに美しいので、値段もそれほど高くないし、是非お薦めしたいのである。


◆テンポが思い切り遅い曲ってあんまり聴いたことがないでしょう?

 

 ipodがやたら売れているそうだが、若い方々がお聴きになっている音楽は、大抵、テンポがクラシックで云うところのアレグロ以上で、しかも今は、テンポはシンセサイザーの如き「電子楽器」で完全に一定に保たれている。あれが気になるんだよね。テンポっていうのは、揺れるのが自然なんだ。

元気のいいときに、快活な曲を聴いて、より一層元気になるのは気分がいいものだ。

 しかし、とかくに、人の世は住みにくい。 シャバに出ると、つくづく、疲れたなと思うことが多いものである。

 ここで紹介する1枚のCDはそういう方に特にお薦めしたい。名マエストロ、カラヤンが生前録音したおびただしい曲のなかから、「アダージョ」(静かに、ゆっくりと)ばかりを集めたものである。


◆カラヤンの功績

 

 カラヤンは兎に角レコードが多くて、商業主義的(つまり金儲けが目的)な俗物だ、と言うようなことを、クラシック通を自認する人は言いたがるが、必ずしもそうとはいえない。

 見逃されがちなのだが、彼の大きな功績の一つは、ベルリンフィルという、世界一上手いオーケストラで、誰にでもなじめるポピュラーなクラシック名曲を沢山演奏・録音した、ということである。

そろそろ、そのCDを紹介しよう。 アダージョ・カラヤン。2000円しませんよ。 クラシックというと「長くて退屈」だと思うでしょう?これは違うんだ。



  1. アダージェット*交響曲第5番 作曲 マーラー
  2. カノン 作曲= パッヘルベル
  3. タイスの瞑想曲 作曲=マスネ
  4. アンダンテ*交響曲第3番 作曲 ブラームス
  5. アダージョ・モルト 作曲 ビバルディ
  6. オーゼの死 作曲 グリーグ
  7. アダージョ*ディベルティメント第15番 作曲 モーツァルト
  8. アダージョ 作曲 アルビノーニ
  9. アレグレット*交響曲第7番 作曲 ベートーベン
  10. G線上のアリア 作曲 バッハ
  11. 悲しきワルツ 作曲 シベリウス


 全て、演奏はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。 指揮はカラヤンです。

どれも、大変に美しい。美しいと云われても分からんだろうけれど、これは、聴いて貰うしかない。

1曲目のマーラーの交響曲第5番のアダージェットというのは、この交響曲は5つの楽章から出来ていて、他の楽章は、大変疾風怒濤のごとく激しいのだが、この楽章だけは、ぞっとするほど、静かで神秘的で、この世のものとは思われぬ。

あまりの美しさに、聴いていると、背筋にゾクゾクと寒気を感ずるほどである。ヴィスコンティの映画「ベニスに死す」で使われたことでも知られている。

あとは、パッヘルベルのカノンとか、アルビノーニのアダージョとか、これは、もうただ聴いて頂ければいいですね。


 ゆったりとしたテンポの曲は演奏するのは易しいかというと、大間違いで、こういう曲こそ演奏者の音楽性が丸見えになるのです。

テンポが早い曲、例えば「熊ん蜂の飛行」(リムスキー・コルサコフ)とか、ショパンの「子犬のワルツ」とかは、それは、確かに早く弾けるようになるまでは、それなりに練習を積まなければならないが、早いから、とりあえず、弾くだけで、素人は感心してしまう。

ゆっくりしたテンポの曲というのは、そのような狭義の「テクニック」でだますわけにはいかない。こけおどしが効かない、といいましょうか。演奏者の音楽的なセンスが最も問われるのです。

で、カラヤン・ベルリンフィルを聴いてみると、やはり、ただ者ではないですね。

まあ、だまされたと思って、気が向いたら、聴いてみて下さい。「マーラーの5番のアダージェットはいいですね。」なんて云うようになったら、貴方、なかなか、渋いですよ。


2004年01月07日(水) Cry now. Play later."―今、泣いて、後で弾け。― イワン・ガラミアン=ヴァイオリン教師
2003年01月07日(火) 欧米人との正しい握手の仕方。

2005年01月06日(木) 生存者への支援もさることながら、遺体の処理だけでも大変だ。

◆本日発売の週刊文春を見ましたか?

 

 いつもの、週刊文春のカメラマン、宮嶋茂樹カメラマンは、写真と共に、「不肖宮嶋」などと、冗談めかした記事を書くのは、ご存じの方も多いと思うが、今回は流石に、真っ青になった様子である。無理もない。

かなり、ひどい写真なので、無理にご覧になることはないけれども、宮嶋カメラマンが取材したのは、タイ南部のリゾート地・カオラック(普通の世界地図には載っていない。Google Imageで"カオラック"で検索して、やっとどの辺りか分かった)である。

週刊文春によれば、この町は特にヨーロッパからの旅行者に人気のある観光地で、多くの高級ホテルやコテージが建ち並んでいたが、その殆どが津波に飲み込まれてしまった。 被災当時、滞在していたのは約1万人だったが、地元紙によると元旦の時点で死者の数は、3700人を超えているという。

宮嶋カメラマンによれば、「安置されている何百体もの遺体は、かろうじて性別だけは判定できるが、、顔の形も肌の色も分からないような状態」とのこと。

死体安置所にぎっしりと並んだ遺体を、わざとピントを外し気味で撮影しているが、これは、ひどい。殆どが溺死だった上に、津波に飲み込まれて、流されている間にあちこちにぶつかったものと思われ、不気味に膨らんだ上に傷だらけである。


◆これは、確かに見ただけでは、本人確認できない。

 

 次のページには、遺体を一体ずつ写真にして掲示してある場所を撮影しているのだが、間接的に見る死体の写真がまた、目を覆いたくなるようなひどさである。私は検屍官ではないから、詳しいことは分からないが、水死体特有の・・・・とにかく、無茶苦茶なのである。


◆生存者を救うためにも遺体は早く処理しないと・・、

 取材したテレビ関係者は「現地はとにかく、想像を絶する腐敗臭が充満している。」という。腐敗した遺体から、細菌が飛び散っているわけで、それを吸い込んだら、生きている人間にも良くない。

 15万人もこんな状態で亡くなっているとすれば、亡くなられた方は本当にお気の毒であるが、兎に角早く、本人確認を済ませて、一刻も早く荼毘に付すしかなかろう。しかし、これほど多くの遺体を処理できるかどうか、まず、それが、最大の難関である。

 昨日は、自衛隊のご活躍を祈る、と安易に書いてしまった。

それはそうなのだが、何とも、辛い仕事だろう。自衛官自身が健康を損なわないことを切にいのる。今は、それしか言えない


2004年01月06日(火) 「核搭載ノドン東京照準…700キロ小型化成功情報」←云いたくないが、こうなると従来の専守防衛では対処不能なんです。
2003年01月06日(月) 日本人はもう少し声を掛け合ってもよいのではないだろうか?

2005年01月05日(水) 「『戦争より遙かに満足』救援活動に従事する米兵。」 「人間の本性は善である。」(孟子)

◆記事:「『戦争より遙かに満足』救援活動に従事する米兵。」

 

 スマトラ沖大地震と津波の被災者に救援物資を届けるため活躍中の米軍ヘリ搭乗員らは「イラク戦争より、はるかに満足できる。」と話しているという。スマトラ沖の米空母エイブラハム・リンカーン艦上からロイター通信が4日、伝えた。

 同通信によると、艦載ヘリの女性パイロットは「ここでは破壊じゃなくて人助けをしている」と意気盛ん。被災者に物資を届けて離陸するとき、みんな笑顔なのが特にうれしいとはなした。

 ある男性航空兵は「僕の人生でこんなに意義深いことはほかになかった」と感激の涙をこぼしている。

 別の同僚はイラク情勢の混迷ぶりと比較しながら語った。「ここでは、立派な大義のためだということが分かっている。」

 イラク戦争は米国民の間でさえ否定的見方が広まり米兵の思いは屈折。救援活動の文句なしの「正しさ」が使命感を満足させているようだ。(毎日新聞夕刊)


◆コメント:「人間の本性は善だ」(孟子)。

 

 数日前、アメリカ人はバカばかりだ。と書いたのを撤回します。ごめんなさい。

無論、教育も、教養も、人徳もあるアメリカ人はいるに決まっている、と分かっていても、頭に血が上ってああいう書き方をしてしまった不明を恥じる。
イラク戦争が間違った行為であることは変わらない。この点に関しては、私は今現在もアメリカ政府の罪を問いたい。アメリカ人にはバカもいることは確かだ。

しかし、上に引用した記事を読んで、過去にも触れたことがあるが、中国の戦国時代の思想家、孟子のことを思い出した。

孟子は、「人間の本性は善である」と説いた。

 勿論、人間には、醜い面、残酷な性質があることは百も承知だった。しかし、人間の善なる心に希望を託した。

孟子は、それを、「井戸に落ちそうになっている赤子がいたら、だれでも飛んでいって抱きとめるだろう。」という例を用いて端的に表現した。


◆アメリカ人だろうが、何国人だろうが、人殺しより人助けの方が嬉しいに決まっている 

 

 冒頭に引用した記事を読んで嬉しくなった。

 やはり、誰だって、人に善を施して、感謝されたら嬉しいに決まっている。「イラク戦争より遙かにうれしい」という米兵の言葉は心の底からの気持ちだろう。兵隊は云われたとおりに動くだけだ。 イラク戦争で、殺せと言われてイラク人を殺した米兵は、その後罪の意識にさいなまれるものが続出しているという。

 今度は、正真正銘の人助けだ。嬉しくないはずがない。

 アメリカが世界中に戦争をもたらす国ではなく、「国際救助隊」になってくれたら、大歓迎だ。


◆自衛官諸氏のご活躍と無事を祈る。
 

 今度、救援活動に自衛隊を派遣することに関しては大賛成だ。こういうことなら、税金だって、納め甲斐があるというものだ。

 日本は、台風、地震の災害が多く、そこらの軍隊よりも、災害派遣出動には慣れている。何より、日本人は神経が細やかで、親切だ。

日本は5億ドルを拠出するが、ドイツはそれ以上の金額を提示しているという。

 まあ、金額はもういい。問題は、この何カ国にもわたる広範囲の被災地を、如何にして上手く分担して、効率よく支援するかだ。

今頃、ジャカルタでは、復興支援会議が開催されているはずだ。人智の限りを尽くして欲しい。頑張れ。人類。


2004年01月05日(月) 「失業デモ、銃撃戦に サマワ、武器野放しも」←こういう場所へ行く必要はない。
2003年01月05日(日) 英語の上達には音読 中途半端な留学は無駄。

2005年01月04日(火) ラデツキー・マーチの無い、ウィーン・フィルニューイヤーコンサート

◆被災者配慮、行進曲なし ウィーンの新年コンサート

 

 【ウィーン1日共同】初春のウィーンの恒例行事、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートが一日行われ、スマトラ沖地震の被災者への配慮からクライマックスの「ラデツキー行進曲」を演奏しないなど、例年よりも祝賀色を抑えた演奏会となった。

 ラデツキー行進曲はヨハン・シュトラウスの作品。軽快で楽しい曲のため、コンサートでは毎回最後に演奏され、聴衆が手拍子で新年を祝う。しかし今年は指揮者のロリン・マゼール氏らから「被災者が苦しんでいる中でそぐわない」との声が出たため、ワルツ「美しく青きドナウ」でしめくくった。(共同通信) - 1月2日6時45分更新


◆ウィーン・フィルがWHOに1600万円寄付

 

 世界保健機関(WHO)は1日、オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から11万5000ユーロ(約1610万円)の寄付を受けたと発表した。スマトラ沖地震の津波被害救援費用に充てられる。

 WHOによると、毎年1月1日の「ニューイヤーコンサート」で知られるウィーン・フィルは、毎年元日に人道支援機関への寄付を実施している。今年はWHOを寄付対象機関とすることが数カ月前から決まっていたが、年末にスマトラ沖地震が発生したため、目的を津波被害の救済に絞ることになった。(産経新聞)[2005/1/2/12:01]


◆コメント:多分、ニューイヤーコンサートで初めての出来事ではないか(未確認)。

 

 本来ならば、ウィーンフィルのニューイヤーコンサート、などという楽しい話題は、直ぐにでも書きたいところであったが、何せ、大災害が起きた後なので、暫くは、そういう気分にならなかった。

毎年、ニューイヤーコンサートはウィーン現地時間の昼間に始まる。そのおかげで、日本では丁度夜に生中継を見ることができる。

ウィーンフィルは、独立したシンフォニーオーケストラではない。

 普段はオペラの伴奏をしている、「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」である。その中から、有志がいわば趣味で自主運営しているオーケストラであり、「テクニックバリバリのベルリンフィル」とも一線を画す、地上に唯一無二、独特の響きを醸し出す、人類の宝である。

そのウィーンフィルの人々が、スマトラ島沖地震に配慮していることに、感動した。

本当はニューイヤーコンサートは、正規のプログラムが終わり、アンコールで「美しく青きドナウ」という、ヨハン・シュトラウスの楽しいワルツを演奏し、それでも観客の拍手が何時までも鳴りやまず、その年の指揮者が一言新年の祝辞を述べる。

 そして、ラデツキー行進曲を演奏し、そのときには、観客も手拍子を合わせて、大変楽しい雰囲気で終わる。

今年の指揮者はロリーンマゼールという人だった。

1930年、パリ生まれの米国人2世で、9歳で指揮法を習い始め、12歳でアメリカの最も古いオーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニックを指揮して、15歳までに、アメリカの殆どのメジャーオーケストラを指揮してしまった。 日本人の想像の域を超えた大天才である。

 そのマゼール氏が大変神妙に、災害で苦しんでいる人々の為に、この演奏会の収入を寄付したい(勿論、ウィーンフィルの人々の同意の下で)、更に、被害者が苦しんでいる中、あまり華やかなことも控えたいということで、ラデツキー行進曲の演奏は止めておきたい、といった。

 皆、正直言って驚いたが、ヨーロッパ人も大勢、津波で亡くなっているので、他人事ではない、と思ったのであろう。何の抵抗もなく受け入れられた。このようなことは、ニューイヤーコンサート史上、初めての出来事ではないだろうか(確認はしていない)。寂しかったが、やむを得まい。


 ただ、嬉しいこともあった。コンサートの映像を見ていたら、かつて、この日記でも取り上げたが、日本人として初めてウィーンフィルのメンバーとなった、テューバの杉山康人氏が、この晴れ舞台で立派に演奏していた。

ヘタクソと評価されていたら、ニューイヤーコンサートに出してもらえるわけはない。杉山氏の技術と音楽性が天下のウィーンフィルで認められていると云うことは、大変に誇らしい。

もう一つ。3年前、小澤征爾氏が日本人、いや、東洋人として初めてニューイヤーコンサートで棒を振ったのは記憶に新しいが、2年後、2007年、再び同コンサートの指揮をする可能性がかなり濃厚であるという話が伝わってきている。

小沢氏は好き嫌いはあろうが、ウィーン国立歌劇場の音楽監督である。そして、ニューイヤーコンサートを2度も振らせてもらえるとは、人種とは関係なく、西洋音楽の本当に完成された音楽家として評価されていることを意味するのであり、その偉大さを日本国は一層認識するべきである。


2004年01月04日(日) ウィーンフィルのオーボエ 日本人技術者の執念
2003年01月04日(土) 「イラク攻撃」は征服でなく解放…米大統領演説 アメリカの強迫性人格障害的行動

2005年01月03日(月) 「アジア南部で感染症発生のおそれ」 サマワよりも津波被災地に「給水」してくれ。

◆海外安全ホームページ アジア南部で発生した地震・津波被害(感染症発生のおそれ)より抜粋

 

 1月2日付の世界保健機関(WHO)の発表によると、死傷者は15万人を越えると見込まれ、また、被害の大きかった地域では安全な飲料水の不足や下水処理施設などへの被害から水不足、衛生状態の悪化が深刻になっており、感染症発生の可能性があるとしています。現在までのところ、これらの地域において感染症の発生の報告はありませんが、緊急に安全な飲み水の確保と衛生設備を整備しなければ、感染症発生により死亡者はもっと増えるかもしれないと警告しています。

特に飲料水など水を介して感染するコレラ、肝炎、腸チフス、細菌性赤痢、また、マラリアやデング熱などの蚊やその他の虫を介して感染する感染症の発生のおそれがありますので、これらの地域に渡航、滞在する際には手洗いの励行及び安全な飲料水や食べ物をとるように十分注意し、蚊など虫に刺されないよう注意して下さい。

 なお、地震や津波による被害やそれに伴う感染症情報は、WHOホームページ(http://www.who.int/hac/crises/international/asia_tsunami/en/)にてご覧いただけます。


◆邦人680人と連絡取れず=町村外相、プーケット視察へ−スマトラ沖地震

 

 町村信孝外相は3日午後、インドネシア・スマトラ島沖地震と津波被害に関し、同日午前までに外務省に安否照会があった邦人3129人のうち、約680人となお連絡が取れていないことを明らかにした。大半は個人旅行者とみられる。同省はインターネットのホームページなどを通じ、家族と連絡を取るよう呼び掛けている。

 また、政府は3日、歯型による遺体確認を行うため、法医学者1人をスリランカに派遣した。(時事通信) - 1月3日19時1分更新


◆コメント:サマワより、タイ・インドネシアで「給水事業」してくれ。

 

 引用した記事のほか、「国連人道問題調整事務所(OCHA)のヤン・エグランド所長は同日、食料支援を必要とする被災者が180万人にのぼることを明らかにした」という。

これほどひどい天災は見たことがない。

戦争などしている場合ではない。武器など捨てて、「救援の多国籍軍」を結成するべきで、世界中、駆けつけられる国は、出来る限りの水、食料、薬品と、通訳、医師、精神科医、カウンセラー、感染症・公衆衛生の専門家を、タイ、インドネシア、スリランカを初めとする被災地に急行させるべきである。

6日(木)には、ジャカルタで復興支援会議が開かれ、「国連アナン事務総長、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国の首脳級に加え、インドネシアなどに対する主要援助国である日本の小泉首相、中国の温家宝首相、韓国の李首相、オーストラリアのハワード首相、ニュージーランドのクラーク首相、米国や、被災国であるスリランカやインドなどの首脳級や、欧州連合(EU)、世界銀行、世界保健機関(WHO)、アジア開発銀行(ADB)などの国際機関も参加の見通し」だそうだが、まだ3日もある。

 会議が始まるまでに何千人も死ぬぞ。

外務省の海外安全ホームページに書かれているとおり、飲料水から、伝染病が広がる可能性が高い、というのであれば、日本は、サマワでイラク人が「自分でもできる」と文句を言っている、「給水事業」などさっさとやめて、東南アジアに注力するべきだ。何といっても被災地に最も近い、大国なのだ。我々は。


◆天災と戦争

 

 今回の災害で一瞬にして孤児になってしまった子供が大勢いる。

 日本人でも、一家4人で旅行していて、父親と姉の死は直ぐ分かったが、母親の生死が不明で、祈るような気持ちで時を過ごしていた12歳の少年がいた。

今日、母の死が確認された。一人のこされた少年は、大声を上げて、泣いた。

何という残酷な運命か。

また、同時に思う。

 多くの日本人は、この日本の少年を見て、気の毒だと思っただろう。

 だが、戦争中のイラクでは、こういう孤児が毎日新たに発生しているのだ。

 そして、東南アジアは天災だが、イラクは、戦争、つまり人間が他の人間を孤児にしているのである。如何にひどい行いか、分るだろう。

 それでもイラク戦争を支持するのか?

アメリカ人はこの戦争を始めた人間を再び大統領に選んだ。

日本の首相は、「今でも、イラク戦争は正しいと思っている」と公言する。

バカばかりだ。


2004年01月03日(土) 「謙譲の美徳」
2003年01月03日(金) 「アメリカを査察する計画」に登録した。

2005年01月02日(日) 「タイ南部、邦人百数十人が安否不明=不明者身元特定、早くて1カ月」日本政府、早く動け。

◆記事1:タイ南部、邦人百数十人が安否不明=不明者身元特定、早くて1カ月−津波被害

 

【プーケット(タイ南部)2日時事】スマトラ沖地震による大津波の被害を受けたプーケット、パンガー、クラビのタイ南部3県で少なくとも邦人百数十人の安否が依然確認されていないことが2日分かった。日本政府当局者が明らかにした。家族らの情報から津波襲来当時、3県に滞在していたとみられ、遭難した公算が大きいという。今回の津波による邦人犠牲者が飛躍的に増える恐れが出てきた。

 邦人不明者の情報はプーケット島へのツアー参加者を中心に収集されてきたが、今回判明した不明者の大半はピピ島やカオラックに滞在していたという。  (時事通信) - 1月2日21時0分更新


◆コメント:早くしないと、火葬されてしまうぞ。

 

日本人のことだけを心配していてはいけないが、日本政府はまず、日本人の安否の確認と、亡くなっているのならば、ご遺体の特定に全力を挙げるべきなのである。

 正月どころではない。

事が事なので、流石に外務省は動いているのであるが、全然進展が見えない。

外務省 海外安全ホームページを見ると、タイ:津波被害者のご家族の方へというページがあり、読めば分かるが、遺体の本人確認は各人(家族)でタイに行って、問い合わせて、自分でやって下さい。通訳も自分で連れて行って下さいという、極めてすげない内容である。このページの一部を引用すると



タイ政府は、死傷・行方不明者情報をウェブサイト上で公開しています (http://www.csiphuket.com)。同ウェブサイトでは、今回の津波によりタイ国内で死傷・行方不明になった方を、氏名や年齢によって検索することができます。



そこで、そのURLを開くと、Official Thai Tsunami Infomation Centerのサイトになっているが、殆どが現地語で表記されており、このサイトから「氏名や年齢で行方不明者、死傷者を検索すること」など、普通の人には出来そうにない。

Japaneseというリンクをクリックすると、現れるのは、次のメッセージだけである。


限界と妨害点

  1. 害が発生した当初、津波によってお亡くなりになられた方々のご遺体のほとんどが水着しか身に付けていなかった為に、身元の確認をする際に充分な証拠が見当たらない点。身元確認に役立つものはほとんど波によって流された、または泥に埋まっている状態である。
  2. ほとんどの被害者は、水、泥に溺れて亡くなられ、遺体を発見するのに4日から5日間という時間が必要であった。発見された遺体はほとんど腐敗しており、身元確認をするのが非常に困難であった。
  3. タイのような大変暑くて湿気の多い熱帯気候の中で災害は発生した為に、遺体は大変早く腐敗してしまい、身元確認のための部品を回収するのが非常に困難となった。しかし15カ国からのDVIチームとタイ警察,法廷のスペシャリストが集結し、それぞれの遺体の身元確認を急いでいる。被害者のご家族、または親戚の方々には、それぞれ被害者の何らかの記録(歯科治療の記録、指紋、DNAなど)の提出を要請している。





つまり、日本政府は、タイ政府に訊いてくれ、といい、タイ政府は、死体の腐敗が早いので、遺体の特定は難しいというような弁明をかろうじて日本語でWebサイトに記載しているに過ぎない。

但し、これは、失礼な言い方だが、はっきり言って、タイやインドネシア政府に多くを期待するのは、無理だ。事態(犠牲者の数)が大きすぎて、タイ、インドネシアの法医学者全部集めてもどうにもなるまい。

こういうときは、日本政府が率先して法医学者なり、検屍ができる専門家を、出来るだけ大勢、大学や研究機関などから集めて、通訳も集めて、現地入りして、残念ながら、多分すでに亡くなった方を、御遺族が見つけ出す手助けをするしかない。

出来れば日本人以外の病人の治療や、検屍にも協力するべきだ。

日本政府は、自国民に対する責任と、アジア最大の超大国としての国際的人道的責任を全うするべきである。こういうのを国際的貢献というのだ。

それとも、日本政府は、中東の戦争の手助けに何千億円も使うカネはあるが、自然災害の被害者のご遺体を日本に戻すのに使うカネなどない、というつもりなのであろうか?

元日に首相官邸ホームページに首相の「年頭所感」が掲載たが、犠牲者は誠にお気の毒、とおざなりの言葉が連ねてあるだけだ。

また、外務大臣は今年になってから、この緊急事態に関して何の発表もない。一体なにをぼやぼやしているのだ。

緊急事態なのである。繰り返すが、正月もへったくれも、ない。


2004年01月02日(金) 「困っている人を助ける」ためにできること。
2003年01月02日(木) 1.初夢の行事 2.辛い正月

2005年01月01日(土) 「津波被害で5億ドル支援…小泉首相コメント」 イラクには50億ドルでしたね。

◆記事1:被災国支援で5億ドル無償供与=自衛隊の追加派遣も−小泉首相表明

 

 小泉純一郎首相は1日、インドネシア・スマトラ島沖大地震に伴う津波災害に対する緊急支援措置を発表した。最大5億ドル(約515億円)を被災国や国際機関に対し無償供与するとともに、捜索・救助活動のため自衛隊の艦艇、航空機、人員の追加派遣を検討する。6日にジャカルタで開かれる首脳級の復興支援会議で正式に表明する考えだ。(時事通信) - 1月1日23時0分更新


◆記事2:津波被災者救助でタイに派遣の海自艦が活動終了

 

 インドネシア・スマトラ島沖地震による津波災害で、国際緊急援助隊派遣法に基づき、12月28日からタイの周辺海域へ派遣されていた海上自衛隊の護衛艦など3隻について、大野防衛長官は1日、活動を終結するよう命令を出した。

 タイ政府から依頼された海域での捜索を終えたためで、3隻は被災者とみられる57人の遺体を収容し、タイ側に引き渡した。

 派遣されていたのは、護衛艦「きりしま」「たかなみ」と補給艦「はまな」。

 12月29日にタイ南部のプーケット島西方の沖合で1体を発見し、31日からは、同島の北北西約70キロの海域で計56体を収容した。日本人の有無は確認されていないという。

 また、30日には、艦載ヘリコプターで日本の国際緊急援助隊員12人をカオラックからピピ島に運んだ。3隻は、テロ対策特別措置法に基づき、インド洋で外国艦船への給油を行い、日本への帰国途中、タイ周辺での被災者の捜索活動を命じられた。(読売新聞) - 1月1日22時47分更新


◆記事3:外務省ホームページ:イラク関係「我が国のイラク支援 (平成16年11月15日)より

 

昨年10月のイラク復興国際会議(マドリッド会議)において、我が国は当面の支援として総額15億ドルの無償資金の供与(電力、教育、水・衛生、保健、雇用及び治安の改善等)、中期的な復興需要に対する支援として基本的に円借款により最大35億ドルまでの支援(電気通信、運輸等も含む)、合計50億ドルまでの支援を実施する旨表明しております


◆コメント:随分、扱いが違いますね。

 

日本政府は、イラクへは、米国から強要されて、50億ドルもの大金を拠出することが、決まっている。(記事3)

小泉首相がいうところによると(記事1)津波被害に対してはその十分の一しか、資金を提供しないのだそうだ。

また、イラク、サマワには、特別に生命の危機に瀕している人、つまり、スマトラ島沖地震の被災者のような緊急性を要する人はあまりいないと思うが、そこに、東京ドームが16個も入る巨大な宿営地を建設し、600人もの自衛官を2年間駐留させることになっている。

陸自のみならず、空自は米英軍の兵士や物資をC-130輸送機で輸送している。


一方、スマトラ島沖地震の被災者は、今もなお、生命の危機に瀕しているし、今後、伝染病の蔓延などによる、二次的な犠牲者が出て、未曾有の大災害となりつつあるのだが、記事2に書かれているとおり、タイの周辺海域へ派遣されていた3隻の海自の艦船は、29日にプーケット島付近に到着して、遺体の収容作業などを行っていたが、今日、防衛庁長官は活動を終了するように命令をだした。

この間、たったの3日である。

要するに、イラク戦争とスマトラ島沖地震に対する日本の対応は、資金供与 50億ドル:5億ドル、自衛隊 2年間:3日間

余りにも対応が違いすぎる。ほぼ、1年前に、sense of proportionと言うことを書いた。"sense of proportion"とは、「物事の重要性の大きさに応じて、それに注ぐエネルギーを正しく配分する能力」のことである。日本政府にはこの能力が欠落しているように思われる。

はっきり言えば、露骨に打算的で、人間として、下品だ。


2004年01月01日(木) 「小泉首相が靖国参拝、元日は初めて」←参拝するのは構わないが、公約では「8月15日」でしたね?小泉さん。
2003年01月01日(水) 一月一日

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