雲間の朝日に想うこと


< 欲しい答えが違ったのでしょうか >


例え、
相手を想い、
相手に想われて居たとしても。


其の間で、
受け渡される感情は。

異なった物かも知れない。



求める想いと、
与える想いは。

同一の物に見えて、
相違した物なのかも知れない。






だからこそ。


互いの間に、
擦れ違いが生じ。

時として、
互いの想いに疵を負わせるのだけれど。












其れでも。



何の不信感や、
或いは、
何らかの違和感を。

互いに、
感知する事が無く。



恰も、
同一の感情を交換したかの様に、
想いが、
壁を擦り抜ける事が。






其処に在る絆の、
確かさの証拠なのだろうか。




















俺が求めたのは。


恐らくは、
姫から届いた想いとは、
異なる物なのに。

恐らくは、
相談に対する客観的な返答で、
感情論では無いのに。











何故に。





 「小坊主の人生に関わる立場になった時は相談に乗るね。」
 「どんな道でも小坊主について行きたいって思ってる。」



先に届いた、
具体的な相談の返答よりも。

後に届いた感情の方が、
心強い助言に感じるのかな。


2004年11月30日(火)


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History
2001年11月30日(金) 試されているんですか



< 春は来ないのでしょうか >


絶える事の無い、
永続的な刻の流れの中で。


変わらずに、
其処に在る物も。

続く事無く、
消滅する物も。

新たに、
出現する物も。


何れも、
大切な物だけれど。




仕事。
恋愛。
生死。
人生。

何の区切りも、
同時に、
新たな始まりで。


其の、
切り替わりの瞬間には。

少しだけ、
踏ん切りと覚悟が必要なのだと想うのだ。














来春は、
区切りの瞬間で。


俺も、
姫も、
姫の息子も。

今迄と、
完全に同じ形は取れないから。




来春は、
巣立ちの瞬間で。


俺も、
姫も、
姫の息子も。

今の場所には、
共に住んで居られないから。







懸案を、
一つでも解決しようと。


 「家、どの辺で探すの?」
 「何時迄に出れば良いの?」
 「姫と、一緒に住めるの?」


俺は、
姫に話を振ったのに。















如何して、
はぐらかすのだ。

















怖かろうと、
不安だろうと。

そして、
俺を信じられなかろうと。



区切りの刻は、
必ず、
眼前に現れるのに。





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References
 Nov.13 2004, 「終着駅への誘いでしょうか」


2004年11月29日(月)


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History
2003年11月29日(土) 其の価値を忘れて居ませんか
2001年11月29日(木) もう少しだけ近づけませんか



< 映るのは同一の風景でしょうか >


二人の、
歩んだ時を。

丁寧に、
蘇らせる為の手段であって。


手元に切り落とされ、
収められる時は。

決して、
他人の為では無い。





其処に、
切り落とされた時には。


撮された、
其の姿の他に。

其れ迄、
二人で歩んで来た時が、
刻まれて居るから。




初めて、
意味を為す画なのだ。











目の前に映る物は。

決して、
全ての想い出では無く。




其の裏に撮す、
深い想いは。


飽く迄、
個々人が撮し採る想いで。


決して、
二人と同一の想いでは無いのに。















 「一緒に色んな所に旅行したいって言ってくれた事。」
 「嬉しかった。」


たった今、
目の前で産まれた其の言葉に、
込められた想いを。

後でもう一度、
呼び覚ます為の術は。




 「私と旅行したこと内緒で。」
 「他の♀に写真見せるの目的なのが嫌だけど。」


姫には、
目的を達成する為の、
旅行なのだと。

未だに映るのか。















良いんだ。

きっと、
姫なりの表現だ。



不信感を残しつつも。

僅かに前進し、
前向きに替わったのだろうから。





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References
 Apr.13 2004, 「二人では何処へも行けないのでしょうか」
 Oct.19 2004, 「記憶は捨てる物だったでしょうか」


2004年11月28日(日)


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History
2002年11月28日(木) とどめを刺せますか



< 贈る心算で奪ったのでしょうか >


感謝や、
労いや、
奉仕の想いを。

其処に、
如何程詰め込んでも。


其の想いが、
相手に伝播せぬ事など。

日常茶飯事で。




自身の想いが、
正確に、
相手に伝達される事など。

寧ろ、
稀少だけれど。







其の、
想いの中に。


好奇心や、
自己顕示欲や、
征服欲や、
遊び心など。

多くの雑念が、
混じり込んで居たから。




其処に、
怒気が生じたのだろうか。












痙攣に、
自由を妨げられ。

踊る為の羽をもがれた姫は。


 「もう上に乗れないじゃん!」


半減し、
迫力を失った怒気を。

其れでも、
必死に贈り続けて来た。













姫に、
愉悦を贈ろうとして。

其の愉悦を、
強奪して終ったのか。




奉仕の想いを建前に据え、
姫を弄び。

姫の、
踊る楽しみを封じたのか。













深く、
強く、
其の感覚を感知出来る様にと。

大小、
長短、
多寡、
様々な波動を、
懸命に捕らえたのに。








 「初めて手でいかされちゃった・・・」
 「何でそう言う事するのよ!」



如何して、
怒られるのだろう。





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References
 Oct.31 2004, 「上下関係は要るのでしょうか」


2004年11月27日(土)


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History
2002年11月27日(水) 根雪の様に残り続けますか
2001年11月27日(火) 貴女にも確かな跡がありますか



< 想いの配達人はお休み中でしょうか >


良好な状態を保って、
其の心を、
育み行く為には。


決して偏る事無く。

豊富な刺激を、
身に与え続ける必要が在るから。




良好な状態を保って、
其の身を、
育て行く為には。


決して偏る事無く。

様々な栄養を、
手に入れ続ける必要が在るから。







きっと、
想いの掛け逢わせにも。




決して固執する事無く。


複数の手段や、
種々の強度で。


二人の想いを混じらせて行く事が、
肝要なのかも知れない。














其れ故に。






例え毎朝、
例え毎晩、
言葉を交わして居ようとも。

例え毎日、
昼の電話を欠かさずとも。


想いの不足感が生じ。




想いの掛け逢わせが、
殆ど無かろうと。


掛け逢わせの手段が、
多岐に渡れば。


然程、
想いの不足を感知せずとも、
済むのだろうか。














送信履歴の画面に並ぶ、
『ひみつ日記』の文字に。


気付いて居なかった訳では、
無いけれど。






 「カメ来ない・・・」


姫の定時便に。

とうとう、
注意報の発令を顕す文字が記された。












今、
亀に配達させるから。


2004年11月25日(木)


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History



< 少しは埋めつつ在るのでしょうか >


ふと読み返した文の、
中身の的確さに。

只、
呆然と立ち尽くした。



想いと意地で固められた、
根拠の無い自信と。

不安と寂しさから生じる、
無制限の甘えと。


嘗て、
其の言葉一つ一つは、
そう認識された筈なのだ。











其れが、
意識の土俵に登るのは。

決して、
日常茶飯事では無い。


其れを、
意識した時点で。

二人の関係は、
二人の関係では無くなるから。



けれども。


現実には、
経た年月の差と、
埋めようの無い経験値が、
其処に在り。


時に、
顔を出す。










年齢差。





気付かれる事は、
抑も許されないけれど。




平然と振る舞い、
頼れる存在に見えようと。

年下の雄が、
何れ程、
年月の差から産まれる経験の差に、
怯えて居るかなど。



相手に、
伝わる事は無いのだ。















 「ずっと居られない気がするんだよね。」
 「多分信用できないんだと思う。」


過去の雄に抱いた事の無い、
其の感覚を。

常に言い続ける、
姫の言葉は。


或いは、
本質を把握出来ては居ないかも知れぬ、
俺への警告だろうか。














 「お仕事お疲れさま。」


貴女の、
労いで始まる過去の文に。


分かって居なかったのは、
俺の方なのだと。

只、
呆然と立ち尽くした。





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References
 Jul.17 2003, 「相手の為に腹が切れますか」
 Mar.09 2003, 「相手を想うとは何なのだろうか」


2004年11月23日(火)


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History
2001年11月23日(金) この考えは傲慢ですか



< 不在を強調したいのですか >


二人の決め事や、
二人の役割が。

徐々に、
形成されて行く事は。


互いの、
心地好い空間を創り。

同時に、
空間の柔軟性も奪い行くのだろうか。








其の柔軟性の消失が。

実は、
二人を強固に結び付ける為に、
身体の選択する手段で。




本能的に、
相手への依存心を増す事で。


責務を果たす相手が、
自身には必要な存在なのだと、
自身に認識させ。

責務を果たす相手にも、
自身には不可欠な存在だと認識させる、
戦略なのだろうか。












一つ一つ築き上げて来た、
二人の世界は。


確実に、
自身の周囲に根を生やし。

同時に、
自身の周囲に形を増やすから。



きっと。

視界に触れる寂寥感も、
其の分、
増えてしまうのだろう。

















確かに全て、
俺に割り当てられた行為だけれど。

姫は、
態と残した訳で無い。












積まれた新聞と広告。

洗われっ放しの食器。

点いた儘の寝室のテレビと、
枕元の電灯。




深夜、
帰宅の扉を開いた瞬間に。

視界に飛び込む、
形は。












 「ちょっと、寂しいよ・・・。」


何れも、
俺の多忙と不在を強調したいが故の、
姫の意思表示に違いない。





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References
 Nov.15 2004, 「寒さを半分貰ってくれるのですか」
 Sep.12 2004, 「お帰り代わりの平手打ちですか」


2004年11月22日(月)


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History
2003年11月22日(土) 眠れる価値に気付けないのでしょうか
2002年11月22日(金) 二人が一番近付く方法は何ですか



< 逆転の為の贈り物でしょうか >


其れは、
焦燥感から生じた想いかも知れない。


自身の遅れを取り返し、
一気に、
逆転する為の。

只の、
方策かも知れない。



想いも寄らぬ事実を、
捻り出せれば。


其れが何で在るかなど、
問題では無かったかも知れない。






 「小坊主にあげる物。」
 「もう注文しちゃった!」


迫る聖夜に、
準備万端の姿を見て。

想いは、
其処へ至ったのだから。












けれども。


自身が、
其の日付を、
強烈に意識して居る事は。

事実には違いないのだ。




粘り強く、
拒否し続けた其の壁を、
突き崩して。


又一つ、
互いを対等に押し上げたから。
















姫に宛て、
初めて書いた手紙に。




 「本当だ!」
 「来月で二年半だ!」


初めて逢って、
初めて想いを交わして、
二年半目の日は。

聖夜に程近い日曜なのだと、
認めた。


















毎月の記念日に、
必ず手渡すと。


約束した、
初めての食費を添えて。





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References
 Oct.14 2004, 「価値観の違いの一つでしょうか」
 Jul.27 2003, 「対等の土俵に登れますか」


2004年11月20日(土)


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History
2003年11月20日(木) 爪の先に甘い毒を仕込むのですか



< 理解の進んだ証拠でしょうか >


想いの深さが呼び覚ました、
直感なのだろうか。

其れとも、
只の学習効果だろうか。



起き抜けの動作の、
素早さが、
妙に際立って居た事で。


今日の作業行程を、
慌てて、
組み直した。







迷子や、
脱走や、
行方知れずを。

何度も、
繰り返して居るから。



過去の鮮明な映像が、
簡単に、
脳裏に浮かび。


恐らく生じるであろう、
夕方の事態も。


殆ど同時に、
脳裏に浮かんだのだ。











 「解禁葡萄酒。」
 「買って帰ります。」


夕方の、
仕事帰りの姫の文に。

報告が、
重ねられたのを確認して。


帰宅の準備に取り掛かる。




三十分後には。

きっと、
電話が掛かって来るのだ。













此れを。

少しだけ、
姫を理解して来たと言っても、
良いのだろうか。


或いは、
馬鹿な想いだろうか。














 「今日も遅くなる?」

 「すぐ帰るから。」


予想通りの、
姫の、
電話に。

用意した荷物を抱え、
用意した答えを繰り返した。






急いで、
帰らなきゃ。





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References
 Jul.04 2004, 「既に他人だと言う事ですか」
 Apr.07 2004, 「其れでも欲しい唇でしたか」


2004年11月19日(金)


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History
2002年11月19日(火) 予知夢ですか
2001年11月19日(月) まだ関係が壊れそうで怖いですか



< 優先する事が即ち道具視でしょうか >


欲しい物は、
数多に在って。

其の欲には、
限度が無いから。


手に入れたい物は、
無数に在って。

其の全てを手中に収めるのは、
不可能だから。



其処に、
優先順位を付けて。


自身の周囲に、
少しずつ、
集めて行くのでは無いのだろうか。











可能ならば。

可能性が、
残されて居るのなら。


何れも、
手に入れたい物で。



不可能ならば。

可能性が、
殆ど無いのなら。


何れを、
優先したいのか。





只、
其れを伝えたい故の、
言葉だったのに。
















不真面目に応えれば、
其れで、
良かったのだ。

きっと、
正しい応えなど要らないのだ。



如何して。

不安を除去する為だけの、
方便が、
吐けないのだろう。










確かに、
欲しいかと問われれば、
答えは肯定だけれど。


 「欲しいの?」

 「欲しいよ。」


安易な誘導尋問に、
簡単に釣られた自身へ、
反吐を吐く。

















 「だから私とのつき合いに迷いがあるんでしょう?」

 「そうじゃなくて。」


子を産む道具では無いと。

姫は又、
声高に叫び続けた。


2004年11月18日(木)


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History
2003年11月18日(火) 誘導路の灯が点いて居たのですか



< 何方が手段で何方が目的でしょうか >


自身の能力の向上や、
或いは、
環境の向上に。

例え其れが、
何れ程、
貢献する事で在っても。


困難や、
苦痛の、
伴う道へ、
自身で歩み続ける事は。


安易では無いから。



其処に、
意義や意味を備えて。

先へ進もうと、
試行するのかも知れないけれど。







其処に、
報酬や快楽が在れば。


いとも簡単に、
困難や、
苦痛へ、
一歩を踏み出せるから。



人は、
寄り添い、
進むのだろうか。












 「どうすると気持ち良い?」


俺の快楽を、
姫は、
自身の快楽に置き換え。



 「筋トレになるかな?」


其の行為を、
姫は、
自身の苦痛に投与する。












確かに。

姫の動きは、
俺に、
より強い快楽をくれるけれど。


確かに、
其の動きには。

姫の筋力を増強する効果が、
在るのだけれど。







其れを知り。


 「一石二鳥?」


大喜びで、
毎日踊ろうとする姫に。









筋線維の回復には、
二日乃至三日は必要なのだと。


早く、
伝えるべきだろうか。


2004年11月16日(火)


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History
2002年11月16日(土) 少し力をもらえますか



< 寒さを半分貰ってくれるのですか >


相手を、
深く、
深く、
想い描き。

其の心中を察し、
理解しようと努めれば。


自身の想いは。

限りなく、
相手に近似され得る想いに、
収束し行くだろうから。








相手が、
強く、
強く、
想い描き。

其の心に浮き出る、
何らかの事象に。




其れを、
自分が強く想い描いて居る様に、
錯覚する事も。


或いは。

其の事象に近しい自身の環境に、
注視して、
増幅してしまう事も。





必然なのだろうか。












帰宅後、
再び仕事場へ戻ると、
宣言した俺に。


 「寒いよ?」


心配と、
激励と、
情報提供とを含め。

俺を想い、
姫は一言呟く。















違う。

姫は、
俺の感ずる寒さを指摘したのでは無い。


自身の感ずる寒さを、
殊更強く、
俺に表現したんだ。














姫は盛んに。


 「寒いよ?」

 「姫・・・が?」

 「他に誰がいるのよ♪」


此の後に感じねばならぬ寒さを、
強調し続けるけれど。










きっと、
俺の帰宅を待ち侘びる事無く。

飼い猫と、
温まって居るに違いないのにね。




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References
 Sep.12 2004, 「お帰り代わりの平手打ちですか」


2004年11月15日(月)


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History
2003年11月15日(土) 見つめ直して居ますか



< 其の挨拶は悪戯なのでしょうか >


確かに、
其処には平均が在って。

両極に属する存在よりも、
総じて、
中央に属する存在が多いけれど。



個々人の価値基準は、
個人から発生する物だから。



自身が、
其の分布の両極に位置しようと、
或いは中央の近傍に居ようと。

与り知らぬ事なのだ。








其れ故に。



自身と、
相手の、
社会的分布から見た、
偏りに。

自ら気付く事など、
多くないから。



想い逢う二人の、
創り上げる世界が。


俗世間と切り離された、
二人の世界として。


甘美に、
存在し得るのかも知れない。
















 「私を引き受けてくれる人と。」
 「一緒に帰るから。」
 「だから正月は帰らないね。」


姫の、
母親への返事は。


俺と過ごす予定への、
返事でもあり。

同時に、
俺への意思表示でもあるのだろう。





 「その人、物好きな人ね。」
 「犬や猫が好きで、物好きな人って。」
 「太ってボーっとしている人しか居ないよね。」


姫の母親は。

彼女なりの口の悪い言い回しで、
其の厳しさを訴え、
暗に心配して居るかも知れないけれど。










犬や猫が好きな、
此の俺は。

痩せて居て、
どちらかと言えば激情家だと。


 「驚くよね・・・」

 「だね・・・」


姫と二人、
唇を重ねながらほくそ笑む。









俺と姫の認識は。

きっと、
実社会の分布の、
両極に位置するのだと。


お互い、
薄々感じながら。





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References
 Nov.13 2004, 「終着駅への誘いでしょうか」


2004年11月14日(日)


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History
2003年11月14日(金) 其の形は俺でしたか
2002年11月14日(木) 望む物は何ですか
2001年11月14日(水) 慎重になってはいけませんか



< 終着駅への誘いでしょうか >


其の場所へ、
辿り着いて終えば。

其処から先へ進む事は、
無いだろうから。


其の場所へ、
向かって終えば。

其処から戻って来る事など、
無いと想ったから。




如何しても、
其れを、
阻止しようと考えたのだろうか。

其れとも、
邪魔しようと考えたのだろうか。






 「一緒に行くか?」


其の言葉は、
想いから出た言葉では無く。

寧ろ、
強迫で産まれた言葉かも知れない。














恐怖が、
此の身に在る事など。

全く気付いて居ないだろうけれど。


震えを極力隠す様に、
必死に、
冷静を振る舞う。











 「母から妙な時間に電話来た。」
 「また帰って来なさいって。」


姫の、
昼の便に。

姫の、
母親の言葉が並んで居た。



 『正月以外の日に来れば?』
 『どーんとあんたの事引き受けてくれる男はいないのかね?』


暗に、
来春を見越した誘いが、
其処に、
記されて居るのだ。














 「一緒に行くか?」

 「止めとく。」
 「この人と結婚するからって。」
 「初めての紹介で驚かせるんだもん。」





其の、
姫の止めとくは。

俺との未来が決まった後に、
一緒に行こうの意で。



俺とは、
行くのは止めておくの意で無い事を、
祈ってる。





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References
 Oct.24 2004, 「飛べぬ理由は何処ですか」
 Oct.09 2004, 「距離は恐怖の対象ですか」


2004年11月13日(土)


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History



< 心の一部を捨てられますか >


人は其れ其れで、
或いは日々其れ其れで。

物事への感受性や、
発動迄の閾値は、
常に、
変遷を続けて居るけれど。



人が、
生物で在り続ける以上は。


喜怒哀楽の、
其の僅か一つでも欠如した、
想いなど。

存在し得ないのだ。






何れ程、
優しさに包まれた想いでも。

其の一部に、
必ず裏返しの想いが在り。


何れ程、
怒りに満ちた想いでも。

其の裏には、
僅かばかりの優しい想いが、
隠れて居るのだ。







其れなのに。




如何して人は、
何時でも、
相手の片面のみを求め。

其の反面を、
遠ざけようとするのだろうか。


















僅かな言い合いと、
続く喧嘩。



 「当たり散らす為に私が居れば良いんでしょ!」
 「どうせ、他の女の人探してるんでしょ!」


姫は何時も。

俺の優しさだけを、
取り出そうとして居る。












其れ以外の人に、
自身の、
最愛の、
唯一の人以外に。

当たり散らせと言うのだろうか。


其の存在を、
暗に創れとそう言うのだろうか。





人を構成する要素として、
其の身に与えられた感情は。

人が生きる為に、
其の身に宿された怒気は。


決して、
捨て去る事など出来ないのに。


2004年11月12日(金)


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History
2003年11月12日(水) 相手の傍に身を置けますか
2002年11月12日(火) 救いの神になれますか
2001年11月12日(月) 気持ちに正直になっていますか



< 癖に成る程良いのでしょうか >


お互いが、
お互いへの理解を深め。

お互いが、
お互いを想い逢う事で。



何らかの、
習慣付けられた行動は。

半ば、
自動化されるだろうから。









僅かな、
視線の変化や。

僅かな、
身体の動きで。


相手の想いを察知し、
自然に、
茶を淹れる様に。






想わず、
或いは極自然に。

想い描いた行動が、
表出する事は。


何ら、
不思議な事では無いけれど。












其の、
自然な行動は。

普段の二人を、
如実に、
表現する物だから。








其れを見聞きして。



何か、
間違って居ないだろうかと。

少しだけ、
衝撃を受けたんだ。





















 「小坊主が前に来ると。」
 「自動的に足を開いちゃうのよね。」


 「あっそ。」
 「雄が来るとの間違いじゃないの?」














其れ故に。




ソファーに座る姫は、
何時も、
妙な動きをして居たのか。





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References
 Sep.17 2004, 「一瞬電気が走るからでしょうか」


2004年11月10日(水)


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History
2003年11月10日(月) 酒精に強い人では無かったですか
2002年11月10日(日) 隠した寂しさが見えていますか
2001年11月10日(土) 黙っておくべきでしたか



< 其の理想像は何処に行くのでしょうか >


姫の息子の、
思い付きから産まれた、
鋤焼と、
家族の団欒が。


殊の外、
応えたから。


心の内を、
見透かされたのだろうか。




其れとも。


口惜しさと、
落胆を、
悟られぬ様にとの想いが。


態態しく映り、
妙な振る舞いとして察知されたのだろうか。





 「どうしたの?」


小鳥が、
此の身を窺う様な視線は。

案外、
早くに飛んで来た。












夕方に、
手元に届いた一つの訃報は。

自分の想い描く姿に、
一番近しい例を、
いとも簡単に突き崩したのだ。


















身体も、
想いも、
裸で向き逢う聖域で。






親父の後輩が、
最愛の人を失った事も。

親父の死後にも、
大変御世話になった御夫婦である事も。

子が無い事も、
子が出来ぬであろう事も、
仲睦まじい事も。



全て曝け出し。




若くして、
奥様が旅立った事を、
姫に告げた。
















 「私は、小坊主より先に死なないから。」
 「大丈夫だよ。」


きっと、
妙な事を言ったと。

姫も、
想って居るだろうけれど。











不器用な励ましが。

風呂の温かさより、
身に浸みる。





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References
 Aug.24 2004, 「聖域だと想ってはいけませんか」


2004年11月08日(月)


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History
2003年11月08日(土) 深層を隠す為の手段なのでしょうか



< 何度目の別れでしょうか >


強く、
強く、
想いを記憶として固化するには。

其の刺激を、
何度も、
何度も、
呼び戻す必要が在るから。



緩やかな幸福感では。

決して、
深く根付かないのだろうか。








眠りの間の、
記憶の固化作業を妨げ、
新たに、
上書きする為には。

何度も、
何度も、
強烈な刺激を誘導する必要が在り。




其の為には。

穏やかな、
包み込む想いでは無く、
激情で無ければならないと言うのだろうか。














目の覚めた、
其の瞬間の違和感で。


何れだけ、
想いで包み込んでも。

何れだけ、
此の身で温めても。


決して、
融かす事の出来ぬ氷壁が、
今も健在で在ると、
悟らされた。




















寝起きの姫は、
後ろ向きで。

手も、
身体も、
声も、
無言も、
俺の全てを跳ね付ける。















姫の、
想いの中の俺は。

姫の夢の中で、
再び、
別れを告げるのだろう。









 「小坊主。」
 「もう、嫌いになったって言わない?」



ようやっと発した、
姫の一言に。

幾ら、
言わないと応えても。





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References
 Jul.12 2004, 「手の届かぬ夢ですか」


2004年11月07日(日)


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History
2002年11月07日(木) 待っていてはくれないのですか



< 最後の一日分を捲り終えましたか >


重ねれば重ねる程、
想いは、
一層深みを増す物だとしても。



深み在る想いの、
表現に。

言葉や、
行為の、
幾層もの重ね逢わせが要らぬのは。



何故だろうか。









数多の好きが、
決して、
相手に響かぬ一方で。

僅かな視線や、
些細な表情が、
相手の芯を捕らえて離さぬ時に。




想いの要として、
其処に在る筈の流れが。


二人の想いでは無く。

時間と言う次元で、
独占的に、
支配されて居るだけの様な気がするのだ。



















昼の定時便が。

普段の長文では無く、
僅か数文字で在った事が。



殊更、
意識の深さを表現して居る事に、
瞬時に気付き。




いよいよ、
お互いが完全に対等な場所へ、
足を踏み入れた事に。

想わず襟を正す。

















 「明日から。」
 「私、結婚出来るのよー♪」



黙って居られぬ、
其の姿に、
姫らしさを感じ。

想わず笑みを浮かべながら。




本当は。














 「おめでとう。」
 「日付変わったら、ワインで乾杯する?」



先を越され、
贈り物を贈る機会を奪われた事に。

悔しさを隠せない。





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References
 Oct.06 2004, 「日捲りを始めて居るのでしょうか」


2004年11月06日(土)


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History
2003年11月06日(木) 何の為に依存をするのですか



< 護る事も愛情で良いのでしょうか >


起き抜けに、
身体を寄せ逢わせ、
互いを、
密着させる。

決して、
一寸の隙間も創らぬ様に。



毎朝の、
隣に在る温かみを感知し。

感謝の意を込めつつ、
想いを、
豊かに出来るのなら。


幸せな事に違いないけれど。




抱き逢う理由は。

決して、
想いを確かめる為では無いのだ。












事は、
急を要するから。


一瞬の遅れは、
或いは、
僅かな緩みは。

直に、
自身への痛みとして、
反映されるから。





自身の身を、
或いは相手の身を、
護る為に。


素早く抱き寄せ。

掛布団を、
頭から掛け直す。




何人たりとも、
二人に触れられぬ様に。


決して、
這い込む隙を創らぬ様に。
















携帯から奏でられる、
目覚ましの音と。

殆ど同時に。


 「来た?!」

 「来るね・・・」

 「走って来た!」

 「飛んだ!!」



















 「ゴロゴロゴロ・・・」



奴は、
猫撫で声で甘えながら、
迫り来る。

俺と、
姫の身へ、
其の爪を突き刺しに。





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References
 Sep.02 2004, 「敵か味方か何方でしょうか」
 Mar.23 2004, 「寝坊の理由は誰のせいでしょうか」


2004年11月05日(金)


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History
2003年11月05日(水) 強さが本質でしょうか
2002年11月05日(火) 宿題を出して良いですか



< 合鍵の様な物でしょうか >


自身が、
相手の信を受け得る存在か、
或いは否か。


其の基準が、
何処に在るのか。

時として、
見失って終うけれど。





自身が、
相手の唯一の存在だと。
感じさせる行為は。


恐らくは、
其の基準の一つに違いない。











其れ故に。







悪口。
軽口。


他人の気質を、
滅多に口に出さない、
其の相手が。

自分の傍で、
ふと、
其れを洩らす時。







自身が、
相手の身近に在り、
其の信を、
受け得る存在なのだと。


確認し、
想いを紡げるのかも知れない。


















 「あら。」
 「あの人の方が危ないのよ?」






友人二人の、
俺の良く知る言葉と。

友人二人の、
俺の知らない行動を。




上手に比較して。


















姫は一つ、
秘密を共有させてくれる。


2004年11月04日(木)


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History
2003年11月04日(火) 痕跡に負けぬ力が届きますか
2001年11月04日(日) 上手くいってますか



< 本能で想って居ないと言う事でしょうか >


予測と異なる、
或いは想定外の事柄が、
自身に生じた時に。

一時的に、
怒気と、
興奮と、
視野の低下を伴うのは。



人が生物故に、
否応無しに発動する防衛本能の、
副産物で。

決して、
芯の想いから産まれる物では、
無いけれど。







目の前の相手を、
敵視し、
迸りを喰らわせるのも。

飽く迄、
事実なのだ。













待ち合わせに成らぬ事。

予定を御破算にして、
再び、
仕事に戻らねばならぬ事。




直前の電話は、
予測の範囲外で。


防衛本能の中枢は。

其処に、
迎撃の準備と意識の集中とを、
強いたから。




苛々を増し、
無言に成り、
そして、
全く気付かなかったんだ。


















だから姫は。

何時もの様に、
終業の合図を贈って来なかったのか。




 「どうせ私と話すことなんて無いんでしょ。」
 「もっと楽しくおしゃべりできる人と歩けば?」

 「そうじゃなくて・・・」

 「どうして怒ってるか。」
 「気づかないの?」

 「・・・あ。」

 「せっかく行って来たのに。」
 「今夜のために。」

















姫は、
綺麗だった。

整った、
良い匂いの髪を、
風に靡かせて。


2004年11月03日(水)


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History
2003年11月03日(月) 言葉が泳いで漂っていますか
2002年11月03日(日) 俺の負けですか



< 真剣だから慎重なのでは無いですか >


何者が、
想いの深さを定義するのだろうか。


相手の求めを予測する、
読みの鋭さか。

相手の為を提供する、
懐の広さが。

相手の心地好さを、
最大限に引き出す技術か。



それぞれの要素が、
何の程度、
重み付けされて。


想いの深さに寄与するのだろうか。








恐らくは。


気軽に応え、
適当に応える事が。

相手の求むる、
振る舞いだったのだろう。



けれども。


其れは、
相手の為に成らぬ事で、
決して、
解決に成らぬ事が。

其の、
厳しさに内包されて居るのだ。







きっと。

迷惑千万だと想われるに、
違いないのだけれど。



















 「どうせネッ友には。」
 「忙しくても時間作って答えるんでしょ!」
 「何で私だけに厳しいの?」


苛々を叩き付け、
姫は、
寝床を飛び出す。













苦労の伴わない知識は、
決して身に付かないから。


真に相手を見つめた応えは、
案外複雑で、
一般論を並べて終わる話では無いから。



そして、
俺の解決方法を伝えても。

きっと姫は、
面倒臭いの一言で片付けるから。












 「腰痛のこと、調べてくれない?」

 「自分で調べた?」



朝の喧嘩が、
何れ程、
其の日一日に堪えようと。

応えを、
言わなかったんだけれどな。


2004年11月02日(火)


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History
2003年11月02日(日) 何の姿で居れば良いのでしょうか



< 一度は機会を貰えないのですか >


自身の中身を、
相手に、
完全に複製する事は。

不可能だから。


人は、
伝える事を止めないけれど。




其の、
労力を厭わぬ想いが。

枯渇した時。




諦めに似た妥協か、
或いは離別かを。

人は、
選択肢として、
脳裏に浮上させるのだろうか。








言っても無駄。


嘗て何度か、
諦めに似た妥協を探り。


そして俺は、
想いを保てずに崩壊した。



アイツの時も、
貴女の時も。












相手を、
嫌いに成る時が。

果たして、
何の様な時か。


其の問い合わせに応えた事が、
直接の原因だろうか。






 「姫がそう想う理由が。」
 「俺には分からない。」

 「うん。」
 「言ってないもん。」






嘗ての俺と同じ様に。

姫は、
言っても無駄だと、
口にする。














寄り添いたいと、
お互いが願いつつ。

其れでも、
譲れぬ部分が在るのなら。


伝えて行くしか無い筈なのに。















察しろと、
姫は俺を試して居る。


2004年11月01日(月)


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History
2002年11月01日(金) 充電出来ましたか





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