< 深層を隠す為の手段なのでしょうか >
極限迄。
唇を近付け、 魅惑的な音を奏でる。
鼻歌混じりの歌を、 如何にも御機嫌麗しき様と言った具合に、 囀り、 踊り、 弾む。
じっと息を潜め、 其れを覗き見る存在が。
直ぐ近くに在る事など、 露程も知らずに。
事が露見し、 其の事実を認識すると。
「未だ切れてないの?!」
「それ、切る前にしてよ。」
「だって、恥ずかしいもん・・・」
何時も貴女は大仰に驚いて。
恥ずかしいと言う一言を残し、 そして口を噤むんだ。
決して自分から、 電話を切れぬ貴女。
其の貴女が、 俺が受話器を切った直後に魅せる姿が。
篦棒に楽し気で、 篦棒に明るいのは。
寂しさの裏返しなのだろうか。
俺の声が終わった事を、 認めたく無いからだろうか。 |
2003年11月08日(土)
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