< 貴女にも確かな跡がありますか >
つい半日前まで・・・
いつもとは違う天からの風景に、 跳ね回っていた心臓。
その時と全く同じ椅子に座っているのに、 今は本当に大人しくしている。
ちらりと見えていた空を舞う綿は、 もう暗闇の中に姿を隠し、 まるで自分の心の中が映されている風景を、 見せられたような錯覚に陥る。
微妙な痛痒さを感じ、 そっと覗き込んだ左胸・・・
ほんのりと色づいていたはずのそこには、 いつの間にかくっきりとした痕跡が浮き出ている。
ふと本を支える右手の親指に目をやると、 大きな跡が浮き出てきている。
慌ててその指を隠し、 隣の人へ視線を移す。
「寝てるか・・・」
全く必要ない事なのに・・・ 逢っていた時よりも周囲が気になるのは、 何故なんだろう? |
2001年11月27日(火)
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