< 爪の先に甘い毒を仕込むのですか >
心地好い距離感を保つ為には。
雄に許された選択肢を、 行使する事無く過ごさねばならない。
狩りの本能が備わって居るから。
自身の爪で、 互いの距離に傷を付けぬ様に。
指先から覗いた爪の先を、 何度も、 必死に、 指の間に閉じ込め直す作業を、 繰り返さねばならない。
けれども。
あの時の沈黙を、 例え投げ遣り半分だと、 理解していても。
牙を剥かせるには、 十分過ぎる解答。
あの一瞬の間は。
言葉遊びを通り越し、 邪な想いを育て上げるのに、 十分過ぎる間隙。
そして。
互いの遊び心が、 言葉遊びの範疇に収まる程小さく無い事を、 再認識するのに十分な時。
「そんな事言ってると・・・」 「本当に襲っちまうぞ!」
何時と変わらぬ問い掛けに。 普段通りの冗談に。
そして俺なりの励ましに。
「・・・。」 「それでもイイっかな。」
御嬢は。
初めての沈黙と初めての許容を、 投げて来た。
---------- References Nov.18 2003, 「誘導路の灯が点いて居たのですか」 Nov.10 2003, 「酒精に強い人では無かったですか」 |
2003年11月20日(木)
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