互いに自由となる時間が乏しい中。
逢う為に、 相手の元に帰る。
「ただいま」
此の一言が持つ安心感を、 届けたい故に。
けれども。
ただ家に現れ、 飯を喰らい、 眠り、 出掛けて行く相手は。
どんなに愛しい相手でも、 例え抱き合って眠ろうと。
自身を召使いの様に扱う雄と、 何ら変わりないのか。
互いが好き同士で。 互いを欲し合って居ても。
互いに届かぬ想い。
其れでも。
相手の家に帰らねば、 顔を見ずに、 何年も経って仕舞う。
相手が家に戻らねば、 其の顔は何時か、 何処かに去ってしまう。
全て失いそうな不安に駆られ、 他の方法を産めずに、 日々だけが過ぎて行く。
「なあ。」 「同棲って何だろうな。」
「あほ。」 「本来俺がお前に聞く質問だろ。」
共に暮らす奴と彼女が、 何を想おうと。
只でさえ乏しい時間ならば。
一緒に居る時間の価値を、 見失ってはならない。
そう想わないか。
---------- References Oct.25 2003, 「幸せな二人に見えましたか」 |