少し揺らいだ想いの狭間に、 漂う香り。
何らかの切っ掛けで、 既に連絡すらも取り合わぬ相手の近況へ、 針が向く。
今。 現在。
自身の傍で自身を包む存在に、 何度も何度も、 身を委ねようとして。
「何度も思ったの。」 「結婚しようって。」 「必要としてくれる事が嬉しかったの。」
束縛から解き離れる事を、 望んでいても。
本気の想いを、 互いの想いに投げ付け、 互いの意志に叩き付けて。
其の結果、 想いの岩が砕けようと。
其処に残した痕跡は、 真に値する物だからなのか。
「違う人への気持ちがある。」 「その事の方が大事なの。」
アイツの抜け殻は、 香りの先は。
未だ俺と言う亡霊を追い続けて居ると、 書き記す。
もう何もしてあげられないけれど。
こんな時、 只『幸あれ』と願えば。
痕跡に負けぬ力を、 何時かアイツに届けてやれるのだろうか。
---------- References Apr.19 2003, 「本当は何が詰まった文ですか」 |