肌を刺す、 其の空気の鋭利さも。
街に漂う、 秋の木の実が放つ、 異臭も。
木々を揺らす、 其の風の強さも。
散り散りに散り行く葉の、 多寡も。
そして。
雲間から差し込む、 光の強さも。
其処に在る差異は。
殊の外、 大きい物だから。
夜明けと言うには、 少し遅めの、 陽光を。
未だ、 空が白み始めた程度の土地へ、 贈り。
夕焼けの、 艶やかな画を切り撮っては。
既に暮れ、 一日が闇に紛れ始めた街に、 彩りを加え。
せめて。
其の、 一瞬一瞬の差異だけでも埋めようと、 想うのだろうか。
其れでも。
互いの眼前に描いて居る、 其の刻は。
想いの外、 大きい物に違いない。
「お誕生日御目出度う。」
「ありがとう。」 「いちばん嬉しい『おめでとう』よ。」
「近くで居られたらなぁ。」
「こんなに近くにいるよ。」 「息遣いさえ感じるほどに。」
坂の街の人は、 俺を隣に描くけれど。
其の一方で。
「おやすみ。」 「今夜は少しはやめにこの言葉を贈るね。」
「おやすみ。」 「本当に早めだね。」
「だってやっぱり少しでも埋めたいから。」 「時差と距離を。」
坂の街の人は、 俺を、 遙か遠くに描いて了うね。
---------- References Dec.09 2007, 「間接路を如何に扱いますか」
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