日々の喧噪に、 埋もれて終うだろうと、 考えて居たのか。
其れとも。
何の区切りも無く、 唯、 漫然と始まった事に。
強い意識が、 在るのだろうか。
確かに。
精神的な区切りなど、 其処には無くて。
紙切れ一枚と、 呼称の変更より。
内に宿した命の不安定さに、 翻弄された日々の方が。
より鮮明に、 想い返されるけれど。
「日付変わったよ。」 「大事な日でしょ?」
俺の言葉に。
さも意外だと、 言わんばかりの表情で。
そして、 褒めて敬えと、 言わんばかりの表情で。
「覚えてたの?」 「良く一年も我慢したと想わない?」
姫は応えた。
渇望した日なのだ。
姫の、 認識以上に。
強く、 強く、 待ち望んだ日だったのだ。
何度も、 何度も、 切り刻まれながら。
ようやっと。
此の手に、 転がり込んだ日だったのだ。
忘れる筈は無い。
---------- References Dec.07 2005, 「保険の欲しい婚姻でしょうか」
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