深く埋め込まれて居る、 防衛機能は。
自身の、 意思如きに差配されず。
危機に応じて、 素直に、 身体を揺り動かすから。
眼前の危機は。
互いの深層を、 過度に、 意識させるけれど。
逆に。
危機が、 一時的で在る可能性や。
或いは。
自身の注意で、 危機を回避出来る可能性が、 提示された事で。
張り詰めて居た防衛機能の、 撤退と。
同時に生じた、 我と称する意思の表出が。
一瞬の気の緩みと、 一瞬の心の甘えを、 創り上げて終ったのかも知れない。
僅かながらも、 棘の在る、 俺の振る舞いに。
刺されて破裂する、 風船の様に。
「退院しない方が良かった。」 「その方が小坊主が優しかった。」
久しぶりに、 人の香が漂う筈の、 寝床の中で。
姫は、 泣き出した。
退院した所で。
決して、 姫の不安定が、 改善した訳では無いのだ。
身体も。
そして、 心の方も。 |