何れ程強く、 何れ程深く。
想いを、 刻み込んで在ろうとも。
其れは飽く迄、 判断や、 或いは計算等で。
自身を、 より良い方向へ導く行為の域を、 出る事は無いのだろうか。
其れ故に。
強い想いが、 事切れたとしても。
本能が、 相手の存在を、 上手に消去するのだ。
自身の記憶から。
惚れた雄の存在を、 忘れようとも。
決して忘れぬ存在が、 其処に居る事を。
其れは、 明示する言葉に、 他ならない。
「このケーキ買って帰る!」
「食べられるの?」
「半分にする!」
「じゃあ一個ね。」
「もう一つは?」
「もう一つ?」
酩酊下、 俺へ放った罵声を、 忘れようとも。
酩酊下、 傍に居る存在を、 完全に消し去ろうとも。
酩酊下、 通常の判断力を、 無くした状態でも。
其の脳裏から。
決して、 姫の息子は消えないのだ。
「小坊主、ごめんね。」 「また酔って一杯言っちゃったね。」
姫の指す、 俺を詰る行為よりも。
離れたいと、 口にし続ける姫の。
言葉とは裏腹な、 其の想いが。
鮮明に、 俺に灼き付いて居る。
---------- References Dec.14 2004, 「少しだけ猶予期間を創りますか」 Nov.29 2004, 「春は来ないのでしょうか」 |