上映会会場の公民館近くの天ぷら屋さん「幸宝」でお昼をごちそうになる。今日高松で次回作がクランクインした井口喜一プロデューサーも合流。天ぷらに行き着くまでに出される一品一品が感動もの。「こちらはフグです」と説明され、「え! これが!」と驚いたのは胡麻豆腐(フグのフォアグラか!と早合点)だったが、胡麻豆腐もフグも舌でとろけて口福〜。満を持して登場の天ぷらは、衣の軽やかなサクサク感が秀逸。きす、えび、あなごなど、衣に閉じ込められ、揚げられると、海鮮の新鮮さが際立つ。今朝もぎたてといういちじくの天ぷらが珍しく、サクッ、ジュルッといただく。
途中、たまが拳を天つゆに突っ込んで母娘で天つゆまみれになる事件があった。その瞬間、頭に思い浮かんだのは、舞台挨拶どうしよう!だったが、すぐに水洗いすると、まったくしみは残らず、ワンピースの布地が薄いので自然乾燥で乾いた。たまはせっかく映画にちなんで黄色いワンピースを着てきたのに、着替える羽目に。
14:20からの2回目の上映の20分ほど前に公民館に着くと、長蛇の列! 岡山から駆けつけた今井雅子ファン第一号の「岡山のTOM」さんと一年半ぶりに再会。岡山産マスカットを求肥で包んだ「陸乃宝珠」(「珠」の字が入っているのがポイント)という源吉兆庵のお菓子をお土産にいただく。
1回目の上映を終えて出てきた人たちが2回目をこれから観る知り合いに「よかったよ」などと笑顔で声をかけていく。1回目、2回目ともに300人を超える人が観てくれたそうで、これは島民3万人あまりの2%に相当する数。全戸に配布したチラシには、わたしが舞台挨拶する旨も記されていた。
1回目を観ていたわたしの両親は、舞台挨拶を見るため、会場に残っていた。高松に住む母のいとこが友人を誘って1回目を観にきてくれていた。わたしが会うのは初めてらしい。映画のおかげで、いろんな人に会える。
入れ替えに時間がかかり、10分押しで小豆島町長、土庄町長、井口さんとともに舞台挨拶。小豆島の風景をお借りしたお礼、16年前に小豆島に来たこと、原作との大きな違いである黄色い自転車が島の緑に映える姿を見て感激したことなどを話す。映画の終盤で感動していただけたなら、その半分は小豆島という場所の力だと締めくくった。小豆島町長さんは小豆島観光協会の会長でもあり、ぼくママのプロモーションにもご尽力いただいた様子。恰幅のいい堂々たる風貌の土庄町長さんはユーモラスな語り口。このお二人とご挨拶しそびれてしまったのが残念。慣れた名調子で司会進行をされた「二十四の瞳映画村」の有本裕幸さん、上映会を主催された高松の映画館ホール・ソレイユ支配人の岡雅仁さんとはご挨拶できた。
いよいよ地元での本編鑑賞。スクリーンで観るのは、初号試写、完成披露試写、キャリアマム試写会、親子試写会に続いて5回目。地元ならではのあたたかな期待感が客席を包み、とてもいい雰囲気。小豆島の場面に差しかかると、おなじみの場所が画面に現れるたびに「おお」とどよめきが起こる。「おお?」とハテナや笑いが混じるのは、大志が自転車で移動する距離への突っ込みらしい。それもまた微笑ましい感じがして、ああ小豆島で観ているんだなあと実感できた。映画が終わると自然に拍手が起こり、ありがたい気持ちでいっぱいになった。出口で「ひさしぶりの映画で、いいものを見せていただきました」と地元の女性に声をかけられる。小豆島には映画館が一軒もないので、今日の鑑賞がひさしぶりという人は多かったのかもしれない。
「ぼくまま、みるう」と心待ちにしていたたまは、犬のアンが出てくるたびに喜び、終盤まで集中して観てくれ、エンジェルロードを見届けたあたりでコテッと寝た。舞台挨拶も印象に残ったようで、「ママの こえ きこえたよ」とうれしそうに言い、「また しょうどしま いって ぼくまま みるう。ママの こえ きくう」。保育園でも小豆島へ行くことを「ぼくまま いく」と先生たちに言っていたから、たまにとって、「小豆島=ぼくママ」らしい。
わたしたちが泊めていただいているゲストハウスに移動し、映画の関係者の方やご近所さんも集まって、柳生さん主催のバーベキューパーティ。あなごやサザエなど海鮮も豪快に。