生後ちょうど一か月の今日、出産した助産院で一か月検診を受けてきた。母子ともに経過は順調。助産院の食事がおいしすぎて入院中に2キロ太ってしまったわたしの体重は、退院時から8キロ減り、一気に妊娠前の体重に。ひたすらおなかがすくので、ごはんも甘いものも手当たり次第食べているのに、こんなにあっさり減量に成功してしまうとは。母乳育児は太らないとはいえ、寝不足のせいもあるのかも。「まだまだ食べてよし!」と助産師さんに太鼓判を押される。食欲の秋、歯止めなく食べて母乳に変換しよう。
広告会社に勤めていた頃、雑誌広告の審査を務める機会があった。長机に広げられた広告を見て回っていたら、「赤ちゃんの一才の誕生日は、お母さんの一才の誕生日でもあります」という内容のコピー(正確な言い回しはうろ覚え)を見つけて思わず涙ぐみ、一票投じてしまった。子どもを産んだだけで母になるのではない、子どもの成長と一緒に母として成長するのだ。当時「なるほど!」と膝を打った言葉の意味を、この一か月、身をもって実感した。驚いたり戸惑ったりしながら、赤ちゃんに教えられる毎日。同じコピーにいま出会っていたら、あの頃の何倍もの涙を飛ばしただろう。
こんなに家にこもった一か月は今までなかった(外出したのは数えるほど)けれど、こんなに感動に満ちた一か月もなかった。まつ毛が少しずつ伸びていくのを確かめ、切ったばかりの爪がもう伸びて腕に食い込むのに驚き、抱きとめる重みが日に日に増していくのを感じ、ただひたすら生きることが仕事の一日を見守りながら、生命の神秘に感心したり、まだ憎しみも怒りも知らない平和な心を羨ましく思ったり。今日9月22日で、たまも一か月、たまの母も一か月。
2005年09月22日(木) innerchild vol.10『遙<ニライ>』
2003年09月22日(月) 花巻く宮澤賢治の故郷 その3