< 空蝉に似たる花こそ光でしょうか >
既に、 咲き誇る便りの届いた、 其の土地から。
未だ、 綻び掛けの蕾すら疎らな、 其の土地へ。
柔らかな日和に運ばれて。
本来、 花は届くのだけれど。
其処に、 重ね逢わさる想いは。
ずっと、 ずっと。
季節には抗う向きに、 吹いて来たのだ。
其れ故に。
殊更、 印象に残ったのだろうか。
肇の風が、 季節と共に吹いた刻は。
今も、 鮮明に在る。
あの子は。
「前みたいに桜の写真を送って欲しいの。」 「待ち受けにするから。」
今年も。
自身には臨めぬ画を、 渇望し。
殆ど、 間を置かずに。
「其の心算だったよ。」 「後もう二週間位かな。」
「ありがと。」
言の葉を、 返す。
其れは。
決して、 望まれた故の応えでは無くて。
震災直後に届いた、 あの時に。
毎年欠かさぬと心に誓った、 あの子の想いへの、 応えだから。
---------- References Apr.10 2011, 「逆向けの春風でしょうか」
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2016年03月29日(火)
---------- History
2008年03月29日(土) 気には掛からぬ物でしょうか 2006年03月29日(水) 紡げぬ糸に成るのでしょうか 2005年03月29日(火) 罠に掛かって居るのでしょうか 2003年03月29日(土) 一言でも力が有りませんか 2002年03月29日(金) 卑怯者ですか
< 命を否定する懇願を是認出来ますか >
其の両者は、 決して、 並存出来ぬ事では無い筈なのに。
一つ、 一つ、 個々に向き合うと。
矛盾に、 苛まれる。
尊く、 厳かな其の生を。
保ち、 全うする事と。
望む自由を、 叶え。
想う幸を、 優先する事と。
其の何方が。
真に、 正しい路なのだろうか。
日々の質を希う事は。
時に、 命の存在を否定して了う。
あの子は、 総てを理解した上で。
「小坊主ちゃんも医者と同じ事言う。」 「教科書みたい。」
非難と諦めを、 ごちゃ混ぜにして。
行き所の無い拳を、 吐き放った。
「退院したいって想う事は。」 「そんなに贅沢なのかな。」
「贅沢だとは想わないよ。」 「でも其れは難しいよ。」
無機質な其の部屋に居続ける、 其の苦痛は。
理解出来るけれど。
でも。
あの子が横たわる、 透明な樹脂で覆われた場所の、 其の意味も。
無視出来ない程、 重いんだ。
御免ね。
---------- References Feb.12 2016, 「望まぬ目先を謀るのですか」 Jan.03 2016, 「愛は死に至らしめる事でしょうか」
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2016年03月27日(日)
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2005年03月27日(日) 違いを嗅げと言うのでしょうか 2004年03月27日(土) 如何して言葉が掏り替わるのですか 2003年03月27日(木) 何の為の選択でしたか 2001年03月27日(火) 俺は期待外れじゃなかったですか
< 今更贖罪の心算ですか >
其れは、 想いの解離だろうか。
其れとも。
互いが、 互いに、 想う故の。
想いの、 向きの相違だろうか。
個々に想い描く場所が、 異なる事は。
寧ろ、 自然な事で。
其の差異を、 補い続ける想いに。
想いは、 宿るのだけれど。
あの子に浮かんだ、 其の場所が。
二人の場所で。
俺に浮かんだ、 其の場所が。
決して、 二人の場所では無い事は。
大きな差異に他ならない。
「お願いがあるんだけど。」 「付き合って欲しいところがあるの。」
「良いよ。」 「俺に資格が在ればの話だけれど。」
「資格なんて考えた事無かったな。」 「松島に行きたいの。」
「そっか。」
「遊覧船で指食べられたいの。」
「痛いよ?」
そうだね。
俺が、 真っ先に其処を想い浮かべた、 其の理由は。
あの子への想いでは無くて。
きっと、 俺に在る疚しさのせいだね。
---------- References Aug.03 2015, 「観に行く場所では無いですか」 Apr.21 2012, 「未だ進めぬ日付でしょうか」 Jul.21 2011, 「照らせる深さでしょうか」
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2016年03月10日(木)
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2008年03月10日(月) 好きだけが理由でしょうか 2007年03月10日(土) 不要の起点だったのでしょうか 2006年03月10日(金) 一歩目は何処に在るのでしょうか 2003年03月10日(月) 揺らぐのは自分の心が足りないからか 2002年03月10日(日) 話を戻して良いのか 2001年03月10日(土) そんなことがあったのか
< 待って居るしか無いのでしょうか >
指向も、 想いも、 衝動も。
立ち居振る舞いは。
其の一つ一つの粒の多寡が、 選択し、 創り上げるから。
周期的に変動する、 特定の配列が。
自身を差配したとて。
何ら、 不可思議な事では無いけれど。
其の源泉の片方を、 既に失い。
残された一端は、 殆ど機能せぬ筈の、 其の身に。
何故に。
周期的に繰り返される、 擾乱が。
未だ、 残存するのだろうか。
丁寧に、 丁寧に。
其の履歴を追えば。
あの子は。
粗、 初旬の頃に。
奥底へと墜落する。
「四月に入ったら。」 「思い出の品を塵で良いので廃棄して下さい。」
今月も。
独り、 想いを闇に沈めて。
狂い始めて了うんだね。
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2016年03月07日(月)
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2004年03月07日(日) 秤は未だ揺れて居るのですか 2003年03月07日(金) 不安を口にする権利が有るか 2001年03月07日(水) お帰りが言えますか
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