雲間の朝日に想うこと


< 卑怯者ですか >


いつも受話器の向こうに、
必死にお前を想い浮かべて来たけれど、
今はお前の姿を微塵も感じないように、
大きな鏡だけを想像する。

お前の声にfilterをかければ、
ただの無機質な音声・・・
俺自身にそう言い聞かせる暗示こそが、
自分で張れる最強のfilterだから。




けれども・・・

俺の気持ちが揺れてしまえば、
そんなfilterなんて有って無いような物。

あっさり突破されそうで、
お前の姿どころか声さえ聞くことが出来ない。



 「一番簡単な方法だよね。」



お前の言葉に耳も貸さず、
一通の文だけを送りつける。

そして一方的に、
鏡に映る自分の姿めがけて大きな鉈を振り下ろす。






粉々に割れた鏡・・・

破片でつけた傷が、
俺にはいくつか残っているけれど、
お前の姿は何処にも映っていない。

自分だけの世界に逃げ込んで、
この世の終わりを待つだけ。



 「一方的過ぎる。」



お前の言葉は自然で当然の言葉。

きっと俺に見えない大きな傷跡が、
お前には残ってしまったはずだ。


それで良いのか?


2002年03月29日(金)


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