貴女への恨み辛みが飛び出そうになるのを、 必死で飲み込んだ。
何故。
貴女の行動が、 貴女の性格が、 憎くて憎くて仕方ない。
何故。
人間など初めから両面性を持った生き物で、 俺が惹かれた貴女の魅力が欠点と成り得る事など、 何も貴女に限った事では無く、 誰でも有り得る極当たり前の節理なのに。
貴女が口にした事が、 もし事実では無いのなら。
きっと俺に気を遣って、 俺を楽にしようとしているに違いない。
「再婚に怖さは無いの?」
「私は・・・怖くない。」
貴女が口にした事が、 もし本当なら。
自然に素直に、 俺と向き合ってくれているんだ。
「結婚に辛さはないの?」
「初めから壊れた結婚だったから。」 「駄目になるの当たり前の結婚だったから。」
初めから壊れた道を、 どうして選んだ?
ただの意地だけで、 どうしてあの男を選んだ?
もし貴女が既婚者じゃなければ、 影に怯えながら進んで来る必要など、 無かったじゃないか。
もし貴女に小さな彼がいなければ、 何の障害も無く、 俺の元に来られたじゃないか。
勘弁してくれ。
何の為に俺は、 神経を擦り減らして来たんだ。
貴女への恨み辛みが飛び出そうになるのを、 必死で飲み込んだ。
俺が選んだ選択肢だろう。
自分で自分の責任が取れない位なら、 初めから俺には、 貴女と向き合う資格など無かったんだ。 |