ふと淋しそうな声が聞こえた。 ふと不安な声だと感じた。
この感覚が、 この想いは、 今迄も証明し続けて来た。
貴女の心が、 俺とは別の方向に漂流している事。
「小さな彼が体調悪くて。」
貴女の支えが、 貴女の活力の源が、 元気を無くして居る今。
小さな彼の代わりを俺が担う事など、 永遠に出来ないから。
「実家に預けたの。」 「こういう時側に居てやれないんだよね。私。」
貴女は自分の意思で、 荒波へ漕ぎ出した。
その荒波の厳しさは、 一度船出をしてからでないと、 決して理解出来ないのに。
不思議な事に、 今迄の様な嫉妬心は無い。
寧ろ貴女を気遣う想いだけで、 身体全域が覆われている。
傍から見たら当然の事だけれど。
半分は、 俺の心が変化して修得した、 信頼感。
半分は、 貴女の想いが築いて来た、 安心感。
小さな彼への嫉妬は、 二人にとって負の力しか持ち得ない物だから。
其れを消し去る努力もまた、 一つの積み上げた歴史。
ただ頑張れと、 一言しか言えないけれど。
前よりは気持ちの籠められた頑張れに、 成長していると確信が持てる。 |