2009年05月22日(金)  「いじわるのへや」の女王、たま2才9か月。

この一か月もあっという間に過ぎ、娘のたまは今日で2才9か月。あと3か月で3才、そして『ぼくとママの黄色い自転車』の公開日。2才9か月につけるキャッチコピーを何にしようかと考え、「おっぱい卒業」「丸が描けるようになった」(今までは線だけだったのが円を閉じられるようになった)「イヤイヤ本格シーズン」などの候補が頭に浮かんだが、先ほどパパに「このへや はいんないで。ここは たまちゃんのへや! いじわるのへや!」と言い張っているのを見て、「『いじわるのへや』の女王」とした。今週はパパの帰りが毎晩遅かったので、あんなにパパになついていたのが一転、「たまちゃん、パパにいじわるするのよ」と開き直っている。好きだからこそ憎いってやつかしら。

別段甘やかしているつもりはないけれど、厳しくしつけてもないうえに、じいじばあばには甘えたい放題という育ち方をして、世界は自分中心に回っていると思っているふしがある。「たまちゃん せっかくかわいいふく きていったのに かわいいって いってもらえなかった」。この自分大好き病が重症化しないよう(ほどよい自己肯定を残しつつ、鼻持ちならないナルシストにならないように)経過を見守っているところ。

「パパがでんわしているうちに アンパンマンみようよ」などと悪知恵もますます働くようになり、たま語はヒットを連発。だけど、書き留めるのが追いつかない。帰宅したパパに「おへやへ どうぞ」。どこでそんな言葉を覚えるのか、不思議不思議。今月のMVT(Most Valuable Tamago)は、じいじばあばのうちで「ウンチ!」と訴えたときに、飛び出した一言。

たま「ばあば、ウンチでる!」
ばあば「(おむつを確かめて)あら、もう出ちゃってるじゃない」
たま「もう いっぽん!」(そして、トイレで、成功!)

ウンチは一本二本と数えるのか! そもそも数える場面ってないよね〜と大笑いした。今日、保育園に迎えに行くと、一人でトイレに入り、自分でズボンとオムツを下ろして便座に腰を下ろしていた。こんなことも自分でできるようになったのか、とびっくり。そばにいると、つい手を出してしまうけれど、ほうっておくと、どんどん自力で解決してしまうのかもしれない。

「いじわる」と「いたずら」は知恵に比例してひどくなるのか、家中の薬や化粧品が空にされた一か月でもあった。バンドエイドはことごとく袋から出されてビヨーンと伸ばされ、ハンドクリームは水洗いされ、ポンプ入りのクレンジングの中身は床に押し出された。床がよく滑り、わたしが転びかけたときの顔がよっぽどおかしかったらしく、「ママ びっくりしてたねえ」と後からうれしそうにからかってくる。イジワル!

今夜の子守話は、「たまちゃんいっぱい」の話をリクエストされたので、実体験をふまえて「おりこうたまちゃん へそまがりたまちゃん」のお話。

子守話69「おりこうたまちゃん へそまがりたまちゃん」

たまちゃんは このごろ いじっぱりで いじわるで へそまがりです。
ママのことを ほんとうは だいすきなくせに
「ママ だいきらい」といって こまらせるのが だいすきです。
ママが「たまちゃん おしょくじよ。てを あらってらっしゃい」というと
「はーい。てを よごしまーす」と いたずらを はじめます。

ところが あるひのこと。
たまちゃんが てに インクをつけて せっせと よごしていると
せんめんじょから たまちゃんそっくりな おんなのこがでてきて
「おててを あらいました」と きれいなてを さしだしました。
「あら たまちゃんが ふたり!」
ママは びっくりしましたが たまちゃんは もっとびっくり。

しょくじのまえに たまちゃんは ふざけて
「ごちそうさま」と いいますが
  たまちゃんそっくりな おりこうさんは「いただきます」と てをあわせます。
もちろん だれかさんみたいに スープにぎゅうにゅうをいれて
「こうしたほうが おいしいよ」なんて いじわるを いったりしません。

おなかがいっぱいになると たまちゃんは
「まずかったー。おなか ぺこぺこー」と いいますが
おりこうたまちゃんは「おいしかったです。ごちそうさまでした」と てをあわせます。

おふろにはいって あたまを あらうとき
たまちゃんは いやだいやだと あばれますが
おりこうたまちゃんは おとなしくしています。

「おりこうたまちゃんと いたずらたまちゃん
 どっちが ほんものの たまちゃんかしら」と ママがいいました。
「こっちが ほんものにきまってるじゃない」と
たまちゃんは いおうとしましたが ひねくれものの くせがでて
「こっちは にせものでーす」と いってしまいました。
「へそまがりたまちゃんが にせものたまちゃんってことは
 おりこうたまちゃんが ほんものたまちゃんなのね」と ママは いいました。
おりこうたまちゃんは 「はい そうです」とこたえました。

と、そのときです。
「うえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!」
たまちゃんは じぶんでも びっくりするぐらい おおきなこえで
なきながら ママに だきつきました。
「ほんものの たまちゃんは こっちよ こっち!
 ママ そっちの たまちゃんは にせものだよ!」
ママは たまちゃんのあたまを よしよしとなでながら いいました。
「そんなこと わかっているわよ」
「え?」とおどろいて たまちゃんは ママをみました。
「たまちゃんのこと ママは せかいでいちばん よくわかっているからね。
 どんなに そっくりな にせものでも ママは ぜったいに みぬけるわよ」
でも たまちゃんが あんまり へそまがりで いじっぱりなので
ママは にせものたまちゃんに だまされた ふりをしたのでした。

たまちゃんが ないているあいだに
にせものの おりこうたまちゃんは いなくなっていました。
「さっきの たまちゃんは どこにいったのかな」
たまちゃんと ママが まどのそとの そらをみあげると
ちいさなほしが ぐんぐんと そらたかく のぼっていくのが みえました。

もしかしたら こまったママを たすけるために
おほしさまが おりこうたまちゃんに ばけたのかもしれません。


今日も『つばさ 絵本 まじょのなみだ』で日記を訪ねてくださる方が大勢。明日の放送にも、ちょこっと登場。絵本の世界が夢に出てきたという設定のメルヘンな美術にもご注目。いよいよ、明日は5月23日!

2008年05月22日(木)  マタニティオレンジ292 我慢と自惚れを覚えた1歳9か月
2007年05月22日(火)  万葉ラブストーリー2007脚本募集
1979年05月22日(火)  4年2組日記 外でしゅくだい


2009年05月21日(木)  「バカ」と言われて傷つき、「うるさい」と叫ぶ。

今朝、娘のたまを保育園に送って行くと、「お母さん、昨日の件はあれから三者面談をしまして、たまちゃんにもわかってもらいました」と担任の保育士さんに言われ、「昨日って……なんの話でしたっけ」となる。「たまちゃんが言われたあの言葉の……」とヒントをもらって、「ああ、あのことですか」と思い出した。

昨日、たまが登園したところに駆け寄ってきた同じクラスの男の子が、いきなり「たまちゃんってバカだね」と言ってきた。とてもうれしそうな「いいこと言うぞ」の顔でやって来たので、何を言ってくれるのか期待したわたしも面食らったが、たまは殴られたような顔になった。「わたし、きずつきました」と語るその顔がみるみる崩れて、「うえーん」と泣き出した。うちではバカという言葉を使わないし、たまが口にするのを聞いたこともないけれど、「バカ」の意味はわかっていて、それが人を傷つける言葉であることを身をもって感じているのがわかった瞬間だった。

覚えたての生意気な言葉を使ってみたいイタズラ心は理解できるし、男の子に悪気はなく、もちろん本心で言ったのでもないこともわかったので、「たま、大丈夫だよ。たまのこと、ほんとにバカだなんて思ってないよ」と慰め、涙をすするたまを託した担任の保育士さんが、その後で「三者面談」を開いたのだった、面談では、男の子がバカと口にしたことがなぜいけないのか、言われたたまがどんな気持ちになったのかを説き、男の子とたまの双方に「人にバカと言うのはやめようね」と言い聞かせたという。子どもだからと聞き流すのではなく、2歳児相手に真剣に向き合い、正しいことと間違ったことを諭してくれる先生の姿勢に頭が下がった。

人を困らせる言葉には子どもを喜ばせる中毒性があるようで、たまは「うるさい!」と叫ぶ快感に最近目覚めてしまった。保育園でこの言葉を叫んでまわりを凍りつかせるお友だちを見て、「うるさいといえば、みんなこまって、うごけなくなる」ことを覚えたらしく、うちで自分の思い通りにいかないことがあったときや叱られたときなどに「うるさい!」を連発するようになった。これまでは「ダメでしょ」「うるさいって言われたら悲しいよ」「そんなこと言うたまちゃんは嫌いよ」などと注意していたのだけど、いっこうに懲りてくれない。ちょうど今夜、また「うるさい!」が飛び出したとき、今朝の保育士さんとのやりとりを思い出して、「なぜ、うるさいと言ってはいけないか」にもう少し踏み込んでみようと思い立った。

「たま、うるさいって言われると、悲しい気持ちになるのは、どうしてかわかる? うるさいってことはね、あなたの声を聞きたくありませんってことでしょ。おしゃべりしたくないってことでしょ。それって、あなたとは何にも一緒にしたくありませんって聞こえるの。たまちゃんがママにうるさいって言ったら、ママはね、たまちゃんはママがいらないんだって思って、淋しくなるから、悲しい気持ちになるの」とわたしが語るのを神妙な顔で聞いていたたまは、
「うるさいって いって ごめんね。うるさいって もう いわないよ。ママ すき」と言った。ただ「ダメ」と言われるより、ダメな理由を説明されたほうが、腑に落ちる。2歳児にもその説得は十分通じるんだなあと感じた。

友人の川上徹也さんが書かれた本『仕事はストーリーで動かそう』の中に、教訓などを物語にすると、子どもにも理解されやすく、「嘘をついてはいけない」と理屈で言われるより、嘘をついたらどんな困ったことになるかを描いた「狼と少年」のストーリーに感情移入したほうが抑止力は働くといったことが書かれてあった。頭ごなしの禁止より、体温の通った言葉の説得、もう一歩進めて「おはなし」にしてあげると、「あなたのことを思って言ってるんですよ」という気持ちも一緒に伝えられる気がする。

そんなわけで今日の子守話は、なぜ「うるさい」や「バカ」と言ってはいけないか、のお話。

子守話68「うるさい ごめんなさい」

どうぶつむらに サイくんのかぞくが ひっこしてきました。
サイくんは はずかしがりやですが みんなと すこしずつ なかよくなって 
どうぶつむらが だいすきに なりました。

ところが あるひのこと。
サイくんと いつも いっしょにあそんでいる カバくんが
おもちゃの とりあいになったときに いいました。
「うるさい! うるさい! うるさーい! サイだから うるさーい!
 うるさい サイは あっちいけ!」
カバくんは おもちゃを とりあった いきおいで いったことでした。
「サイだから うるさい」なんて いったのも ふざけて いったことでした。
けれど サイくんは とっても かなしくなりました。
ころんだわけでも ないのに むねのおくが ずきずきと いたくなりました。

そのひから サイくんは だまりこくってしまいました。
カバくんが はなしかけても へんじをしません。
カバくんは じぶんが「うるさい」といったから すねているんだなと おもいました。
けれど あやまるのは おもしろくありません。
「なんだよ ふざけて いっただけなのに。
 ともだちなんだから わらって ゆるしてくれたら いいじゃないか」

ところが カバくんは ゾウくんと あそんでいて こういわれたのです。
「カバくんは バカだねえ。バカが さかだちしたら カバだもんね」
ゾウくんは おもしろがって いったのですが
カバくんは ちっとも おもしろくありませんでした。それどころか
「ゾウくんは ぼくのこと バカだと おもってたんだ」とかなしくなったり
「ぼくって ほんとに バカなのかな」となやんだりしました。
また「バカ」といわれるのが こわくて カバくんは だまりこくってしまいました。

くちを きかなくなった カバくんが うつむいて あるいていると
ドスンと なにかにぶつかりました。
「ごめんなさい!」
とおもわず こえがでて あやまった あいては サイくんでした。
「こっちこそ ごめんなさい」とサイくん。
「だいじょうぶ? ケガはなかった?」
「うん。サイくんも いたくなかった?」
サイくんと カバくんは おたがいを しんぱいする ことばをかけて
「だいじょうぶって きかれると なんだか うれしいね」
「うん。あったかい きもちになるね」とうなずきあいました。
サイくんと カバくんは しばらく だれとも おしゃべりしていなかったので
おしゃべりって やっぱり たのしいなと おもいました。

「こないだは うるさいなんていって ごめんなさい。もういわないよ」
とカバくんは あやまりました。
「ごめんなさいにも サイがついてるけど いわれても イヤじゃないね」
とサイくんは わらって いいました。


今日は、「つばさ」劇中では表紙しか登場しなかったにかかわらず、「絵本 まじょのなみだ」の検索結果でこの日記に飛んで来られた方が多数。来週9週の放送では、物語のラストが明かされるのでお楽しみに。5月23日まであと2日! 

2008年05月21日(水)  マタニティオレンジ291 徒歩20分の冒険
2007年05月21日(月)   マタニティオレンジ121 ついに床で寝る
2005年05月21日(土)  『サッシペレレ』でサンバナイト
1979年05月21日(月)  4年2組日記 水やり


2009年05月20日(水)  魔の2歳児のイヤイヤイヤがはじまった

魔の2歳児のイヤイヤはとっくに始まっていて、「うちのたまは軽いほうだわ」と思っていたら、なんのなんの本格シーズンに突入していないだけだった。昨日、保育園からうちに帰り着くまでに、これでもかのイヤイヤを浴び、世間のお母さんたちが「うちの子のイヤイヤにはほとほと参っている」とうなだれる気持ちがようやくわかった。

保育園の玄関にある自分の靴を、自分より先にママが見つけたのが気に入らず、イヤイヤイヤ。
靴箱が視界に入るところまで引き返して、やり直し。「ママは みないで!」と靴箱から目をそらさせる警戒ぶり。
保育園の庭から門まで出るまでに、帰りたくなくてイヤイヤイヤ。
整骨院へ立ち寄ろうとすると、最初は入るのをイヤイヤイヤ。なだめて入れば、今度は出るときに立ち上がらずイヤイヤイヤ。
自宅マンションまでたどり着くと、わたしがポストを開けたのが気に入らず、イヤイヤイヤ。「たまちゃんの みるの!」と言い張り、郵便物をポストに戻させ、開けるところからやり直し。だけど、自分あての手紙(といってもペンフレンドなどいないので、待っているのはしまじろうのDM)がないことに逆上してイヤイヤイヤ。
オートロックの鍵を開けるのも自分がやりたくてイヤイヤイヤ。
エレベーターがイヤイヤイヤで階段を上れば、2階を4階だと言い張り、「たまちゃんの おうちは ここよ」でイヤイヤイヤ。
部屋のある4階に来ると、「ここは 2かいよ」と言い張り、イヤイヤイヤ。

よくぞこれだけ楯突く材料があるものだなあとあきれたり感心したりしながら、自宅玄関にたどり着いた。反抗するというのは自己主張の現れで成長のしるしなのだと言うが、本人は時間が経つと、「たまちゃんね さっき 2かいを 4かいって いったの」と実に冷静に自分を見ていて、成長どころか、親を追い越しておちょくっとんのか!という気分になる。この先どれだけやりこめられることやら。

今日の子守話(数がふえたので、1〜25話26〜50話のページを分割)は「パパ いっぱい」の話。少し前のお風呂上がりに、たまが「パパ いっぱいのはなし して」と言い出し、2才にしてドッペルゲンガーを思いつくとは、と感心した。即興で家のあちこちからパパが現れる話をしたら大喜びだったのだけど、パパがふえる理由が空白で、しりきれとんぼになっていた。「5つ子案」や「夢落ち」などを考えてみたけど、イヤイヤ娘からヒントを得て、ぐずった台詞を聞き間違えたあわてんぼ天使の仕業にしてみた。ほんとに「パパ いっぱい」だと『マンマ・ミーア!』で困るけれど。

子守話67「パパが いっぱい」

たまちゃんが ほいくえんからかえってくると
「たまちゃん おかえり」
パパが げんかんで おでむかえして
たまちゃんのうわぎをぬがせました。

うわぎをぬいだ たまちゃんは いいにおいのする だいどころへ。
「たまちゃん おかえり」
なべをかきまぜているパパが ふりかえりました。
「あれれ パパ いつのまに たまちゃんを
 おいこして だいどころに きたの」と
たまちゃんは びっくり。
「きょうの ばんごはんは カレーだよ。
 さあ てをあらっておいで」
パパは なべをかきまぜながら いいました。

たまちゃんが せんめんだいで てをあらっていると
「ああ いい おゆだった」と
おふろから はだかんぼのパパがでてきました。
「あれれ パパ いつのまに おふろにはいったの?
 おなべを ほったらしにして だいじょうぶなの?」と
たまちゃんは またまたびっくり。
パパは バスタオルでからだをふきながら
「たまちゃん パパのきがえをとってきてよ」といいました。

たまちゃんが タンスのあるへやにいってみると
パパが せんたくものをたたんでいました。
「あれれ パパ いつのまに こっちのへやにきたの?
 おまけに いつのまに ふくをきたの?」と
たまちゃんは もっとびっくり。
「たまちゃん ふくがびしょぬれだよ。これに きがえなさい」と
パパは たたんだばかりのシャツを さしだしました。

シャツをきがえた たまちゃんが だいどころにもどってくると
なべのまえに パパがいました。
「あれれ パパ いつのまにか もどってる」
たまちゃんは もう なにがなんだか わけがわかりません。

トイレへいくと ドアがしまっていて なかから
「うーん。もうちょっとまっててね。うーん」と
パパのこえがします。
うわぎをぬがせたパパと おなじパパでしょうか。
それとも またもうひとり ふえたのでしょうか。

「あ そうだ。おふろあがりのパパ!」と
たまちゃんがおもいだして せんめんじょにかけこむと
バスタオルをまいたまま パパがふるえていました。
「たまちゃん はやく きがえをもってきてよ」

たまちゃんは タンスのあるへやに まいもどって
せんたくものを たたんでいるパパから
おふろあがりの パパがきるふくを うけとると
せんめんじょに いそいでもどりました。

ふくをきた おふろあがりのパパが
たまちゃんといっしょに だいどころにくると
テーブルには 3にんのパパがいました。
カレーをつくっていたパパと
せんたくものをたたんでいたパパと
げんかんで たまちゃんのうわぎをぬがせたパパ。
そこに「ああ すっきりした」と
トイレからでてきたパパが くわわりました。
「1、2、3、4、5。パパが 5にん!」
どうなってるのと たまちゃんは めをぱちくり くちをあんぐり。

どうして こんなことがおこったのでしょう。
それは あわてんぼの てんしの しっぱいでした。
こどものねがいをかなえてあげるのが てんしのしごとなのですが
あわてんぼてんしは とんだ ききまちがいをしたのです。
きのうのよる たまちゃんがぐずって
「パパ こわい。パパ こわい」とないたのですが
なみだごえで はながつまって
「パパ ごばい。パパ ごばい」と
くものうえの てんしには きこえたのでした。

パパ ごばい。
パパ 5ばい。

いつもは ひとりのパパが 5ばいの 5にんだったら。
たまちゃんの おねがいを かんちがいした あわてんぼてんしは 
はりきって たまちゃんのパパを 5にんにふやしたのでした。

てんしがかなえるねがいごとの ききめは たった30ぷん。
カレーをたべおわると
5にんだった パパは ひとりになりました。
どうやら カレーをつくっていたパパが ほんもののパパだったようです。
「おさらを あらうときまで いてくれたら ラクだったのにな」と
ひとりになった パパは ブツブツいいながら 
5にんのパパと たまちゃんの カレーのおさらを あらいました。

2008年05月20日(火)  物書きは孤独なさびしがり屋
2007年05月20日(日)  マタニティオレンジ120  たま9/12才
2005年05月20日(金)  『シェ・ルネ』→『ラ・ボエム』8時間の宴
2002年05月20日(月)  ともだちの写真集デビュー
1979年05月20日(日)  4年2組日記 はちがみねキャンプ場


2009年05月19日(火)  絵本『まじょのなみだ』を探している人

この日記をお借りしているサイト「エンピツ」にはアクセスログ解析がついてきて、みなさんがどこから飛んで来られたか、足跡をたどることができる。今朝から「絵本 まじょのなみだ」の検索結果でやってくる方が急増。「つばさ まじょのなみだ」「朝ドラ 魔女のなみだ」「nhk 魔女の涙」など検索ワードの表記もさまざま。探している人がこんなにいるんだ、とびっくりしている。

『まじょのなみだ』は、放送中の朝ドラ「つばさ」第8週で登場している番組オリジナルの絵本。今日は、ヒロインつばさ(多部未華子)が保育園で読み聞かせに挑戦し、「魔女の足跡はとても小さいので」と読み間違えて、園児の優花ちゃん(畠山彩奈)に「あしおと」と訂正されていた。『まじょのなみだ』は明日以降も登場し、9週まで2週間かけて物語の全貌が明らかになるので、引き続きお楽しみに。絵本とは違う理由で魔女が涙を流すという別バージョンのラストも用意されているので、お見逃しなく。

「つばさ」第1週の放送が始まってしばらくは、検索ワード「シーザー」で飛んでくる人が多かった。演出などスタッフの名前で飛んでくる人もあり、「この人を捜している人がいるんだな」と思ったりする。「脚本協力 今井雅子」のクレジットが出る月曜は「今井雅子」で検索して飛んでくる人がふえる。

ログ解析は、自分が関わっている作品への注目度を測る物差しにもなるし、「こんな検索ワードで飛んで来たのか!」という驚きも楽しい。「脚本家 速筆」とあれば、「誰か書ける人いない?」と必死で探しているプロデューサーの顔が浮かぶ。「逆さ吊りヌード」で飛んで来た人がいて、「まさか」と思ったら、友人ミヤケマイの作品にそういうものがあって、日記で紹介していた。自分で日記に書いても忘れていることは結構あり、訪ねてくれる人のおかげで、思い出させてもらっている。

2008年05月19日(月)  マタニティオレンジ290 クラスのお友だちがわかる
2007年05月19日(土)  MCR LABO #3「審判」@shinjukumura LIVE
2006年05月19日(金)  鴻上尚史さんと「恋愛」対談
2005年05月19日(木)  鬼界浩己事務所公演『グレートエスケープ』
1979年05月19日(土)  4年2組日記 大きなこぶ


2009年05月18日(月)  「心」を「亡」くすと書いて「忙」しい

「心」を「亡」くすと書いて「忙」しいとは、その通り。処理能力を超えた仕事を抱えると、あちこちに気持ちが行き届かなくなり、生活能力が低下するのがよくわかる。

娘のたまのシャンプーが切れたので、買い置き棚から新しいのを下ろしたのだが、まったく泡立たず、洗い流した後もべとつきが残っていた。「よっぽど汚れているんだなあ」と思い込んで、使い続けること数か月。大人用シャンプーが切れたので、自分が使ってみるときに手に取ったら、「ベビーシャンプー」ではなく「ベビーローション」と書いてあった。そら泡立たんわ!

シャンプーでさえこのていたらくで、食料品の管理は、推して知るべし。冷蔵庫が空っぽで、棚の食料ストックをあさっていたら「こんなところに、よもぎ切り餅が!」と発見、しかし、取り出してみると、緑色の正体はカビだった! ううむ、似ている……と感心している場合ではない。

もちろん子どもに手が回らないこともしょっちゅう。「オムツはきなさい!」と指示を跳ばしつつ自分の身支度をして、あたふたと手をつないで出かけて数分後、だっこしてようやく「オムツしかはいてない!」と気づいたりする。大人の目線から見下ろすと、シャツの下がまさかオムツ一丁だとは思わないのだった。

こんな親のもとで、娘はたくましく育っている。適応力と自立心にすぐれた子になりそうだ。

2008年05月18日(日)  マタニティオレンジ289 東京都内子育てカルチャーショック
2007年05月18日(金)  数学の本 日本語の本
2003年05月18日(日)  風じゅーの風よ、吹け!
2002年05月18日(土)  『パコダテ人』のかわいい絵の安井寿磨子さん
1979年05月18日(金)  4年2組日記 西佳先生好きょ


2009年05月17日(日)  「つばさ」第8週は「親子の忘れもの」

昨日の日帰り奈良の旅、「万葉LOVERSの集い」を終えて東京へ帰る途中にもお楽しみはあり、京都駅で下車して、映画『幸福のスイッチ』の監督で脚本家でもある安田真奈さんと初対面。今井雅子ファン第一号の岡山のTOMさんが湯布院映画祭で安田さんと知り合い、「お二人は絶対に合うはず!」と仲人役を買って出て、メールを交わすようになった。「関西人」「年がひとつ違い」「会社勤めを経て脚本家に」という共通点に同じ年に初めての子どもを出産というオマケも加わり、「一度お会いしたいですねえ」と言い合ううちに3年経った。

西口改札ですんなり待ち合わせてからの一時間半、初対面というより再会のような打ち解けた雰囲気で、お見合いは予想通り、いや予想以上に大成功。あまりに話すことがありすぎて、話題に詰まる空白というものがなく、話せば話すほど、「うわっ、こんなとこまでそっくりやん!」という発見が続々。安田さんはわたしの卒業した大学の学部を受験し、コピーライターの勉強もされていたという。子育てで感じていることにも「わかるわかる」という近しさがあり、「こんな話を考えたんですよ」とわたしが言えば、「おんなじこと考えてますねえ」と安田さん。身近に脚本家の知り合いはほとんどいないので、同世代の女性と母国語(大阪弁)で「映画は2年3年かかって、どないなるかわからへんから、ギャンブルやねえ」などと仕事の話をできるのも新鮮で楽しかった。宇治の茶房「中村藤吉」の甘味処の「最中の皮といただくあんみつ」にも大満足。ジェイアール京都伊勢丹が手がける食空間「SUVACO(スバコ)」の3階にあり、西口改札目の前のエスカレーターを上がってすぐ。

安田さんからは「京ばあむ」というバームクーヘンをお土産にいただいたが、奈良のイベント会場に駆けつけてくださった初対面のいまいまさこカフェ常連、殿一気!!さんからは山崎屋の「奈良漬サブレ」と「飛鳥の蘇」という古代の乳製品をいただき、行きの京都駅から奈良の会場までの道中をご一緒してくれたさのっちさんからは、京都北山のマールブランシュのバターカステラ「さざれ」と名古屋の桂新堂のえびせんべい「初涼み」を頂戴する。食いしんぼを公言していると、皆さん、おいしいものを持ち寄ってくださり、ありがたい。マールブランシュは京都での学生時代、自転車を漕いでケーキを食べに行った店。ころころと可愛らしい丸いカステラが、当時の思い出を運んできてくれた。

今日は打ち合わせに奈良漬サブレを持参。サブレがほろりと口の中で溶けた後に残る奈良漬の食感と味を称して、「ドラマとは、かくあるべし。甘いサブレかと思いきや、別な味わいを残すもの」とプロデューサー氏。今回の万葉ラブストーリー3作品は、いずれも後味にふくよかな余韻があった、とあらためて昨日の完成披露試写を振り返った。

さて、一昨日の日記にも書いたように、明日からの朝ドラ「つばさ」の第8週「親子の忘れもの」と第9週「魔法の木の下で」は、「脚本協力 今井雅子」のクレジットが毎日出る。その案内メールの反響が週末の間も届き続け、「観てますよ」や「来週から観ます」という声に励まされた。「8週9週のお知らせというメールのタイトルを見て、子どもができましたの報告かと思った」という天然ボケな同級生からの反応も。

西谷真一さん(1〜3、6週)、大橋守さん(4、5、7週)に続いて、3番手の福井充広さんが演出する8週9週は、ラジオぽてと社長の真瀬に4年も会っていない優花という娘がいて、川越に住んでいることを知ったつばさが、真瀬と優花をつなげようとする2週間。つばさは、8週では真瀬の心を解かし、9週では優花の心を解かす。そこで鍵となるのがおはなしのチカラ。8週では『まじょのなみだ』、9週では『おはなしの木』という番組オリジナルの物語が登場。涙を流す魔女の顔が表紙の絵本『まじょのなみだ』は、つばさが子どもの頃のお気に入りで、知秋にも読み聞かせしていたという設定。そのラストには、絵本とは違うバージョンがあり(9週で明らかに!)、そこに母・加乃子の「親心」がうかがえる。『おはなしの木』は、真瀬の亡き妻・千波が優花に聴かせる子守話として遺した未完成のお話。その続きが9週に完成し、物語も、親と子もつながる。

8週のキーアイテムは「5月23日までに認知度30%達成」の貼り紙。川越でのラジオぽてとの認知度、つまり、ぽてとを知っている人の割合を目標の日までに上げようと躍起になる今週の真瀬は、やたらと水を飲む。真瀬にとって重要な意味を持つ5月23日に向けて、ドラマの中の日付と放送日がシンクロしていくので、ぜひオンエアでご覧ください。わたしの好きな英語ダジャレは字幕入りでお目見え。優花役の畠山彩奈ちゃんがとにかくかわいいので、ご注目。真瀬の過去を知るフリーアナウンサーの横矢みちる(山本未来)も初登場。メルマガ「いまいまさこカフェ通信」20杯目の記事もあわせてどうぞ。

NHK連続テレビ小説「つばさ」(月)〜(土)放送中
【放 送】総合・デジタル総合 8:15〜8:30
     デジタル衛星ハイビジョン 7:30〜7:45
     衛星第2 7:45〜8:00
【再放送】総合・デジタル総合 12:45〜13:00
     衛星第2 19:30〜19:45/(土)9:30〜11:00(一週間分)


うっかり者に加えてこの頃は家のことに手が回らないわたしは、「親子の忘れもの」ならぬ「親の忘れもの」の常習犯。昨日じいじとデートにでかけたたまがレストランで靴を脱いで足をぶらぶらさせていたら、突然「くつしたが おちるよう」と言い出し、じいじがテーブルの下をのぞきこむと、たまの両足からはわたしの靴下が垂れ下がっていたという。ダンナから伝え聞き、その光景を思い浮かべて涙が出るほど笑ったが、「笑い事じゃないでしょ」と呆れられた。たまは自分で靴下を履いたらしいが、あるべき場所に子ども用の靴下がなく、その辺に転がっていたわたしのもので間に合わせたものと思われる。

2008年05月17日(土)  マタニティオレンジ288 気の済むまでやらせる
2007年05月17日(木)  マタニティオレンジ119 麻疹の予防接種を受けるべきか
2003年05月17日(土)  脚本が届く日
2002年05月17日(金)  人生最高の日〜『パコダテ人』最終日
1979年05月17日(木)  4年2組日記 今日から日記


2009年05月16日(土)  第3回万葉LOVERSのつどい

NHK奈良主催の脚本コンクール「万葉ラブストーリー」募集の審査に第1回から関わっている。企画を立ち上げたNHKの高田雅司君が大学の同級生という縁で声をかけてくれ、映画監督の井筒和幸監督、万葉学者の上野誠先生という著名なお二人とご一緒させていただいている。

授賞式が「受賞脚本のドラマ化作品」の完成披露試写を兼ねているのが、このコンクールのユニークなところ。受賞の喜びに加えて作品が形になる喜びまで味わえ、おまけにその感動を大スクリーンで観客と分かちあえる。賞金額とは別に「ごほうび感」でいうと最強のコンクールかもしれない。

その授賞式兼完成披露試写イベント「万葉LOVERSのつどい」の第3回の会場は、ならまち文化センターの大ホール。300名収容の客席はほどよい傾斜で、舞台からの眺めよし。脚本の応募数だけでなく、イベントに集うお客さんも着実にふえている印象。

ちなみに、第1回、第2回はこんな感じ。
◆2008年09月15日(月) 「第2回万葉LOVERSのつどい」でますます万葉ラブ!
◆2007年12月12日(水) 万葉LOVERSのつどい

始まる前に上野先生と雑談してたら、「愛しき、古(うつくしき、いにしえ)」で万葉ラブ初の男性受賞者となった福島敏朗さんが「缶コーヒーのジョージアのCMを作っていた」と話すのが聞こえ、思わず、「わたしのいた広告会社がやってた企画なんですが」と割って入ったら、福島さんはその企画をカタチにする制作会社でディレクターだったとのこと。「じゃあミタさんとイトウさんとやってたんですか?」と話がつながる。第1回の受賞者には高校の同級生がいたし、世の中狭い狭い。

第一部のトークでは、上野先生、前回もご一緒した中村宏アナウンサーと今回初めての松本純キャスターとともに受賞3作品に登場する歌3首(今回は「桃」「梅」「桜」がそろった)を紹介しながら、花の歌からドラマを発想するヒントを話す。いつもながら上野先生のリードは天才的。わたしの特大ビスケット指輪を引き合いに「今、スイーツのアクセサリーが人気」という話題から「花を贈られるとき甘い気持ちになる」と語り、今回のテーマ「花の季節と万葉集」へ導いた。大きすぎるのがアダのビスケット指輪、あのサイズなら客席からもよく見えたかも。

第二部は授賞式に続いて完成披露試写。今回は偶然3作品とも花と職人が登場するので、「脚本家の仕事は職人。今日の感動を糧にして書き続け、作品の花を咲かせて」と祝辞を贈る。ドラマは3回目らしい完成度の高さで、会場はよく笑い、よく泣き、惜しみない拍手に包まれた。こんなに温かく観客に受け入れられる試写はそうそうない。

今回は奈良町の俯瞰ショットのオープニングから1本目の舞台の墨工房に寄っていって1本目のファーストシーンが始まるというつかみの良さが新鮮。さらに、1本目のラストの墨工房の店舗の場面が2本目のファーストシーンになり、2本目のラストが梅の木の下にたたずむそばを通りがかるトラックから3本目が始まるという形で3作品がなだらかにつながる。若者の初々しい恋、伴侶を失った男性の再生、老いらくの恋という並びも絶妙で、オムニバスのパッケージ感がお見事。654編から選ばれた脚本の力はもちろん、テイストの違う3作品をひとつの世界にまとめあげた演出の伊藤敏司ディレクターのセンスに唸った。場内が明るくなっても涙がひかず、あわてた人も多かったかもしれない。司会の中村アナもその一人で、涙をこらえながらマイクに向かったが、「オヤジが職人だったもので……」と言いかけて言葉に詰まり、客席の涙指数を再び上げた。

まだまだ書きたいことはあるけれど、ひとまずここまで。

京都駅から会場までの移動におつきあいくださった方あり、会場に駆けつけてくれて初対面が叶ったた方あり、今回もラブがいっぱいな集いでした。

ただいま京都へ移動中。新幹線に乗る前に、『幸福のスイッチ』監督の安田真奈さんと、ついに対面。関西人同士で、年が近くて、子どもも同い年。むっちゃ盛り上がりそうで楽しみ!

【お知らせ】ドラマ「万葉ラブストーリー」放送 

会場を感動で包んだ3作品をぜひオンエアでどうぞ!
5月22日(金) 20:00〜20:43 総合(関西)
【タイトル】
・「恋はももいろ」(脚本:佐々木紀子)
・「愛しき、古」(脚本:福島敏朗)
・「春日影の庭」 (脚本:橋目真理子)


当日書きそびれたけど、今回は出演者ゲストも豪華。第1話で墨職人・純一役を演じた木咲直人さん、第3話で植木職人・野坂篤役を演じた石倉三郎さんと野坂の初恋の人・優子の孫・かりん役を演じた西本利久さんという朝ドラ「だんだん」でおなじみの3人が登壇。「弟君だ〜。そば屋のオヤジだ〜。せっちゃんだ〜」と会場を沸かせた。トークも面白く、「どんな女優さんになりたいですか」と聞かれた利久ちゃんは「石倉さん」。「だんだん」の撮影現場では石倉さんに歌を教えてもらったそうだが、それは「ピーッ(つまり放送禁止)なうた」と利久ちゃん。すかさず石倉さんが「谷間にチ○チ○はさまって〜」と陽気に歌い出し、会場は大爆笑。万葉ラブドラマの中でも石倉さん、軽妙ないい味出してて、最高!

もうひとつ追伸。JR奈良駅から会場のならまち文化センターへ向かう道が歩いていて実に楽しくて、収穫だった。UGADA HOTELというゲストハウスのガラス戸に描かれたアートにはしばし見入ってしまう。近々オープン予定のカフェのメニューにカレーがあり、それもとっても気になった。他にも心惹かれるカフェやギャラリーがそこかしこにあり、舞鶴から取り寄せているらしいお魚屋さんのイキのよさも魅力的で、この通り目当てにゆっくり一日遊びに来たいと思ったほど。次回万葉ラブストーリー募集があれば、その審査のときにでも。 

2008年05月16日(金)  ダバインディアでカレー三昧
2002年05月16日(木)  パワーランチ


2009年05月15日(金)  朝ドラ「つばさ」7週間の感想百色

午前中、朝ドラ「つばさ」第8週(18日から)「親子のわすれもの」、第9週(25日から)「魔法の木の下で」の案内メールを600通ほど送信する。この2週間は「脚本協力 今井雅子」のクレジットが毎日出るので、そのご案内とともに「つばさ観てくださいね」と宣伝する。

「つばさ」の案内メールは、3月末の放送開始直前以来。これまでの7週間を観てくださった方から、感想が続々。基本的にわたしの知り合いで、しかも返信をくれる方々は好意的なのだが、「好みは分かれそうだけど、わたしは好き」という意見が多数。

「意欲作なので賛否あると思いますが、最終回を迎えた時にいいドラマだったと言われるようがんばってください」「ときどき、サンバさんたちが出すぎたり、ミュージカルになったりと、狐につままれたように困惑する回もありますが、そこも作り手側のパンクな挑戦!と、面白く拝見しています」「今までの連ドラにはあまり見られなかったようなカメラワークが新鮮」「当初的にカノコさんの奔放さがキツかったが、今は馴染んで総体的に元気があってエエと思う」「個人的には、朝から大爆笑できるドラマと割り切って見ているので、関西弁で言うなら、こんなドラマもええやんって感じです」「『つばさ』はまさに自分のツボを捕えていて最高です。ドタバタあり、歌あり、ダンスあり、家族愛に恋に友情、泣かせる話につばさの成長する姿などなど盛りだくさんですね」などなど。「つばさは思いやりのあるいい娘だし、品があるし。草食系の弟のキャラも好きよ。高畑お母さんも色々あったんだなあと思うと、心痛むし。秀樹は出てくるだけでうれしいし。ラジオ80、8も聞きたくなってきたし」は50代女性。

……と書きかけたところで時間切れ。ただいま5月16日朝7半時。午後から「万葉LOVERSの集い」のため日帰りで奈良へ。衣装はフランシュリッペで一目惚れした「不思議の国のアリス」ワンピース。

2008年05月15日(木)  マタニティオレンジ287 財布から消えたお札と『相棒』チケット
2007年05月15日(火)  三島由紀夫はなぜ死んだのか
2004年05月15日(土)  レイモンド・ローウィー展→フォトモア展
2002年05月15日(水)  パコの不一致


2009年05月14日(木)  信号の「赤」の位置はどこ?

昨日の保育園の帰り、たまが突然「きをつけ」のポーズを取った。「どうしたの?」と聞くと、「あれ」と指差した先には、縦型の赤信号。赤い灯りの中に、「止まれ」ポーズの人型があった。やがて信号が青になると、「歩け」ポーズの人型を真似て、たまは腕を直角に曲げ、元気よく横断歩道へ一歩を踏み出した。

その数日前、保育園への登園のときに、「あかは うえだね」とたまが言って指差したのも、縦型の赤信号だった。赤と青、どっちが上かなんて、立ち止まって考えたこともなかった(いや、子どもの頃は考えたのだろうか)けれど、たまは何か大きな発見をしたように、しみじみと「うえだね」と信号を見上げるのだった。縦型信号機で上ならば、横型では赤は左だろうと思って見てみると、横型では左から「青」「黄」「赤」の順番。

信号に限らず、2歳児の視点で世の中を眺めてみると、気づかされることは多い。「しゃぼんだまの おはなし して」とせがまれ、「しゃぼん玉がどうなるお話?」と詳しく聞くと、「たまちゃんが しゃぼんだまで そらとぶ おはなし」と言われ、子どもの頭のやわらかさに驚いた。コピーライター時代に東京ディズニーランドの広告を作っていた頃、「夢のあるビジュアル」を大のオトナたちがうんうん唸り、しゃぼん玉の中にミッキーたちキャラクターが入っている案を捻り出したりしたものだけど、子どもの発想力は、こともなげに、ひらりと、そこまでジャンプしてしまう。

そういうわけで、今日の子守話は、しゃぼん玉で空飛ぶお話。

子守話66 しゃぼんだまの じゅうたん

こうえんで たまちゃんは おともだちのみんなと
しゃぼんだまあそびをしました。
「おおきな おおきな しゃぼんだまをつくろう。
 いちばん おおきな しゃぼんだまをつくろう。
 たまちゃんより おおきな しゃぼんだまをつくろう」
はりきった たまちゃんがつくった しゃぼんだまは
たまちゃんが りょうてを ひろげても
かかえきれないほど おおきくなりました。

「わあ すごい」
たまちゃんが しゃぼんだまを のぞきこんだ そのとき
つるんと たまちゃんの からだが しゃぼんだまの かべを とおりぬけて
たまちゃんは しゃぼんだまの なかに すっぽり はいってしまいました。

たまちゃんを つつみこんだ しゃぼんだまは
かぜにふかれて そらへ そらへと のぼっていきます。
さいしょは こわがっていた たまちゃんも
だんだん たのしくなってきました。
しゃぼんだまあそびを している おともだちが ちいさくみえます。
みんな そらとぶ たまちゃんを うらやましがっているのでしょう。

「こんにちは たまちゃん」
しゃぼんだまの そとから ことりさんが はなしかけてきました。
「ねえ わたしも しゃぼんだまの なかに いれてくれないかしら。
 じぶんで はねを うごかして とぶのは つかれてしまったの。
 しゃぼんだまに のっけてもらえたら らくちんだわ」

たまちゃんが どうしようかなと まよっているあいだに
ことりさんは とがった くちばしで 
しゃぼんだまの かべを つつきました。
そのとたん パチンと しゃぼんだまが はじけて 
たまちゃんは じめんめがけて まっさかさま。

たまちゃんを みあげていた おともだちは びっくり。
「みんな たまちゃんに むかって しゃぼんだまを ふくんだ!」
おともだちが いっせいに しゃぼんだまを ふきました。
いくつもの しゃぼんだまが くうちゅうで くっついて
おおきな しゃぼんだまの じゅうたんが できあがったそのとき……
すとん!と たまちゃんは じゅうたんの うえに ちゃくちしました。

「いいな いいな」「わたしも のせて」「ぼくも ぼくも」
みんな おおさわぎで おしあいへしあい。
「みんなも こっちにおいでよ」
たまちゃんは てをのばして おともだちを ひとりひとり
しゃぼんだまの じゅうたんに ひっぱりあげました。

そんなに たくさん のっかって だいじょうぶ?

ところが みんなで しゃぼんだまを ふきつづけたので
しゃぼんだまの じゅうたんは ちいさくなるどころか
どんどん おおきくなって ぐんぐん そらたかく とんでいきました。
そして なまけものの ことりさんも のっけてあげました。

2008年05月14日(水)  マタニティオレンジ286 プチ反抗期で「いーの!」
2007年05月14日(月)  遠山真学塾で『障害者権利条約』勉強会
2005年05月14日(土)  病は気まで 『ぎっくり背中』の女
2002年05月14日(火)  戯曲


2009年05月13日(水)  2才と17才と60才のピアスの穴

「ピアスを開けたの。まだひと月経ってないんだけど、この後が楽しみ」
と聞こえてきた声の主が初老の女性で、反射的に頭のテープレコーダーをオンにした。
「気分転換したいと思ってたのよ。内科に血圧のお薬取りに行ったら、ピアス開けますってカードが貼ってあって、すぐできますかって聞いたら、はいって言われて」
そんなきっかけでピアスを開けるとは、頭ではなかなか思いつかない設定だ。
「金属アレルギーでイヤリングができなかったけれど、ピアスならオシャレを楽しめそうでしょ」
60才前後と思われるその女性のうきうきした気持ちが、弾んだ声に現れていた。おばあちゃんになってもカラフルなワンピースを着て、ピアスをとっかえひっかえするんだ、と思っているわたしは、勝手に親近感を抱いてしまった。

わたしがピアスの穴を開けたのは、17才のとき。アメリカ留学から戻って高校2年の続きを始めた2学期の始めのことだった。アメリカでは「どうして開けないの?」と何度もせっつかれつつ尻込みしたまま帰国したのだけど、同じクラスになったミヤさんに「一緒に開けへん?」と誘われて、高校の近くのショッピングモールでホッチキスみたいな器械を買った。自分で開けることにしたのは、耳鼻科で開けるより安いという理由だった。千円も違わなかったと思うけれど。

ミヤさんとは部活も同じ体操部で、たまり場にしていた部室でピアスホール開通式を執り行うことになった。「氷で感覚を麻痺させると痛くない」と聞きつけ、高校の向かいの定食屋(三国屋という名前で、最近閉まってしまった)で「ジュースの氷だけください」と注文したら、タダでコークの紙コップに入れてくれた。その氷で耳を挟んで痺れさせ、まずわたしがミヤさんの耳にピアスを打ち込むと、「ほんまや、全然痛ないわ」とミヤさん。都市伝説の白い糸(ピアスの穴を開けると、白い糸が出てきて、それは視神経……という噂がまことしやかに語られていた。ありえない、と思いつつ、脅迫効果は抜群だった)が飛び出すこともなく、怖がり、痛がりなわたしは安心したのだけど、打ち込むミヤさんのほうが怖じ気づき、耳の途中で針が止まってしまった。「どないしよ」とうろたえるミヤさんに、「ええから、ブスッと行って!」と物騒な指示を飛ばし、なんとか穴は開通した。

ピアスを開けたことは、親には内緒だった。膿みに気をつけてこまめに消毒しながら、穴が定着するのを待つ。傷口である穴の表面が乾くまでの約一か月はファーストピアスを外せない。耳の前に髪を垂らし、耳の真下で縛るという縄文人風ヘアスタイルでピアスを隠したのだけど、ある日の夕食でバレてしまった。覚悟していた以上に親は激怒し、普段温厚な高校教師の父は「自分の生徒やったら耳引っ張って職員室連れて行く」と目くじらを立てた。母親には定期券代を没収され、しばらくの間、10キロあまりの距離を自転車通学することになったが、車がびゅんびゅん通る道で、ピアスを開けるより危険やん、と思った記憶がある。どうやって怒りが解けたのかは覚えていないけれど、穴を塞ぐことは免れ、現在に至っている。

ピアスの穴を叱られたとき、「アメリカの高校生はみんなやってる」と口答えしたら、「ここはアメリカとちゃう!」と重ねて叱られたが、クラスメートの中にも「親が生んでくれた体に勝手に傷をつけるべきではない」という意見があって、そんなことを想像もしなかったわたしは驚いて、小さく反省した。うちの親は厳しすぎる、と当時は反発したけれど、最近娘のたまと同い年(2才!)のおともだちがピアスを開けたのを知って、「わざわざ傷つけなくても!」と即座に思った自分に驚いた。2才はさすがに早すぎるけれど、17才になっても、娘がピアスを開けるときは、親の心にも穴が開くのだということが、ようやく分かった気がする。

2008年05月13日(火)  マタニティオレンジ285 OH!ボール OH!三枚目
2007年05月13日(日)  マタニティオレンジ118 母の日は「わたし」の日だった!
2004年05月13日(木)  246CAFE<>BOOK
2002年05月13日(月)  ディレクター

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