2月に第1弾、3月に第2弾を見て、あちこちで「面白かった」と触れ回っているMCR LABOの第3弾「審判」を観る。「沈痛な面持ちでひたすらその時を待つとか、そういった意味ではなく、日常に於いて度々報告される厚顔無恥な事後報告により審理を通過することなく決められた道を歩かされるとか、そういった意味合いです」とチラシにある。
鑑賞の友は前2回と同じくわたしのシナリオご意見番のアサミちゃん。3回目ともなると、役者さんの顔もだいぶ覚えて(作、演出のドリルさん=櫻井智也もばっちり)、行きつけの店で「ここのコーヒーの香り、好きなんだよね」とくつろぐ気分で、ドリルさんの世界を楽しむ。だけど、トーストをいきなり口に突っ込まれるような不意打ちにはときどき見舞われる。髪がびしょ濡れの女がいきなり風船を膨らませたかと思うと、風船から送られる風で髪を乾かすといった「!」を間に噛ませながら、それぞれ癖ありワケありの登場人物たちが一言放つたぶに、物語はごろごろと転がっていく。台詞の面白さはあいかわらずだけど、筋書きは予定調和じゃない。期待に応えて予想を裏切り、80分の上演時間は気持ちいい速さで過ぎていく。個人的には、某テーマパークの舞台裏を描いたエピソードに衝撃を受けた。あの話、どうやって思いついたんだろう、というような突飛な設定でありながら、そこで繰り広げられる会話には妙なリアリティがある。劇場を出てから「あの台詞が面白かった」「あそこに受けた」などと言い合いながら歩いていたら、新宿まで20分ほどの道のりもあっという間だった。全4段階の実験も、7月の第4弾「愛情」を残すのみ。どんな最終章になるのか、とても楽しみ。
MCR LABO #2「審判」
作・演出 ドリル(MCR) 舞台 小林英雄 照明 シミズトモヒサ 音響 中村成志(SoundGimmick) 制作 八田雄一朗(MCR)/丸山かおり(MCR) プロデューサー 赤沼かがみ(G-up)
櫻井智也(MCR) 小野ゆたか 大佐藤崇(ロリータ男爵) 中川智明 三瓶大介(ククルカン) 草野イニ(ロリータ男爵) 山田奈々子 高橋優子 上田楓子(MCR) おがわじゅんや(MCR) 福井喜朗(MCR) 渡辺裕樹(MCR) 小野紀亮(MCR) 伊達香苗(MCR) |
◆2007年3月21日 MCR LABO #2「愛情」@下北沢駅前劇場
◆2007年2月12日 MCR LABO #1「運命」@shinjukumura LIVE
2006年05月19日(金) 鴻上尚史さんと「恋愛」対談
2005年05月19日(木) 鬼界浩己事務所公演『グレートエスケープ』
1979年05月19日(土) 4年2組日記 大きなこぶ