■「口紅から機関車まで」幅広い工業デザインを手掛けたレイモンド・ローウィーの展覧会へ。渋谷のNHK近くにある『たばこと塩の博物館』の企画展。なぜここかというと、ローウィーの代表作が、たばこのPEACEのパッケージデザイン。学芸員らしい女性 (エピソードに富んで知的好奇心をくすぐる内容で、終わったときには大きな拍手が起きた)の説明によると、デザインを依頼されたローウィーは実際のたばこの箱で試作品を作り、中身の重さまで実物と合わせてプレゼンしたそう。使う人のことを考えたデザインだから長く愛されているのではという話に納得。「押し出し式」が主流だった口紅に、くるっと回して出す「繰り出し式」の革命を起こしたのも、この人。他にも不二家、シェルをはじめ数々のロゴの生みの親だったと知る。年を取っても創作意欲は衰えず、コンビニのSPARのロゴを開発したのは75才のときだったとか。作品はもちろん「作る姿勢」に感銘を受ける。
■夕方からは原宿のPATER'S shop and galleryでフォトモア写真コンテスト受賞作品展。「フォトモア」とは「写真をもっと楽しもう!」と富士フィルムが展開しているサイト。写真コンテストも行っていて、今回の応募テーマは 「食のある風景」「旅々」。中学時代の同級生、げんたがパリへパティシエ留学中に撮ったフルーツの4枚組写真が、応募作品300点の中からphotomore賞に選ばれ、展示されていた(画像は、げんたと作品)。他にもケーキにハート型の化粧砂糖をかけている写真など、おいしそうな作品ばかり。白いお皿やチーズの箱の真ん中にパネル貼りした作品を展示していたのが可愛かった。遅めの時間だったせいか、大阪からこのために上京したげんたとわたし以外は、会場スタッフの方だけ。おいしいエスプレッソをごちそうになり、アンケートのお礼にペンをもらい、記念写真も撮ってもらう。19日まで開催。■外苑前のトラットリア・ペコラで食事しながら、積もる話。映画好きのげんたがネットで『パコダテ人』情報を見つけ、いまいまさこカフェにやってきたのが縁で再会したのが3年前。最近観た作品では東西ドイツ統一に翻弄される家族を描いた『グッバイ・レーニン』が面白かったとのこと。旧東ドイツのアンネットと文通していたわたしには、とてもそそられる内容。それから地元の話。わたしたちが通った中学校のある堺市三原台に今も住んでいるげんたによると、三原台は中国人住民が増え、小学校の運動会のアナウンスやスーパーの価格表示が二か国語になっているのだそう。パティシエ修行をしながら製菓器具会社に勤めるげんたとは、お菓子も共通の話題。大阪の製菓業界は東京以上に狭い世界で、「みんなつながっている」のだとか。朝日新聞のbeで読んだツマガリの話をすると、「あの記事が出た後、ますます売れてるねんて」と言ってから、「よかったわあ。おみやげ、ツマガリのクッキーやねん」。気の合う友人は、こんな偶然がよく起こる。
2002年05月15日(水) パコの不一致