ずいぶん長く関わっている作品の会議に出た。一緒に本づくりをしてきた人より初めて会う人が多くて緊張する。しかも、脚本についての意見をうかがう会なので、出された意見について、こちらの見解や直しの方針を返さなくてはならない。まな板の鯉のような気分を味わいつつ、自分のこと、本に込めた意図をわかっていただこうと言葉を投げかけた。
脚本を書いてお金をもらうようになって10年。脚本業に専念するようになって間もなく3年。それでも、原稿を書くたびに、プロデューサーや監督の反応にドキドキする。初稿を送ってから感想を聞くまでの時間はとくに長く感じられるし、二稿、三稿と改訂を重ねて、本当に良くなっているのか、この方向でいいのか、不安になる。「面白かったですよ」「よくなってますね」と言ってもらえれば、これでいいんだと安心して、またパソコンに向かえるのだけど、いいんだか悪いんだか微妙な反応をされると出口を見失う。
物書きというのはさびしがり屋だとつくづく思う。書くという孤独に耐えられるのは、書き上げた先に待っててくれる人がいるからだ。力を振り絞って倒れ込んだら、タオルで包まれ、あたたかい飲み物を差し出されるのだと信じていたい。だから、最近いちばんうれしかったのは、はじめてわたしの原稿を読んだ仕事相手に、次に会ったとき、「面白かったよ。思わず電話しようかと思った」と言われたこと。大勢の打ち合わせで会ったばかりで電話どころか一対一で口をきいたこともなかったので、そんな相手に「電話しようかと思った」ほど気に入ってもらえたんだ、と勇気が湧いた(「湧」という漢字は、まさに勇気がふつふつ湧いてきそう)。
2007年05月20日(日) マタニティオレンジ120 たま9/12才
2005年05月20日(金) 『シェ・ルネ』→『ラ・ボエム』8時間の宴
2002年05月20日(月) ともだちの写真集デビュー
1979年05月20日(日) 4年2組日記 はちがみねキャンプ場