■ダンナがサッカー中継に見入っているので「パコダテ人とどっちが面白い?」と聞いたら、「サッカーに決まってるだろ!」と言われた。関係者試写で観たときは感動していたくせに、「ストーリーが荒唐無稽すぎる」「大人にはついていけない」と今頃になってあら探しを始めた。『海の上のピアニスト』を一緒に観たときも、「船に何ヶ月も閉じこもっていたピアニストが、こぎれいなカッコしてて、髪も伸びてないのはおかしい」と難癖をつけ、作品を全否定した人なので、ファンタジーを受けつけないのかもしれない。(ちなみにわたしは、あのピアニストの時間が止まっているのは、訪ねて行った友人の見た幻だからだと思っている。そうでなきゃ、ピアニストの乗った船が大破されるのは残酷すぎる)。人の作品で意見が分かれるのは許せるが、自分の記念すべきデビュー作をそんな風に思われていたとは。つじつまとか理屈とかすっ飛ばしているところがパコダテ人の面白さなのだが、それを欠点だと指摘する意見もある。でも、世界中を敵に回したって、自分の家族にはわかってほしいのだ。しっぽごとひかるを受け入れてくれた日野家のように。「あの作品はわたしそのものって言ってくれる人もいるのに、それを否定することは、わたしを否定することだ!」と暴れていると、サッカーから片時も目を離さないダンナは、「いや、君そのものは見てて面白いよ」。そんなこと言われてうれしいもんか。あーあ、パコの不一致、とスネた。■後日、友人E君に話すと、「サッカー観てるときに、そんな野暮なこと聞くのは、飼い犬がご飯食べてるときに手を出すようなもの」と言われた。つまりはタイミングが悪かったということ。「今度、目の前にごちそうがないときに聞いてみたら」とアドバイスされたので、あらためて同じ質問をしてみよう。